米国ニューヨーク市警察は2018年5月10日までに、警官による職務質問や所持品検査を求められた住民らに対し警官が名刺を差し出す制度を開始する方針を明らかにした。この制度は2017年12月に可決された、市警の透明性の向上を図る「知る権利法」の一環である。不必要で不当な職質などの発生に対する不満への対応策となっている。

名刺には警官の氏名、職位や警官バッジの番号などが記載されている。職質の様子などをとらえた警官装着のカメラの映像内容の把握を希望した場合、同州の情報公開法に基づいた申請方法を示す市警の公式ウェブサイトへの案内も説明されている(「職務質問の際には「名刺」提出、米NY市警で義務化」CNN 2018.05.10)。

警察官の権限濫用抑制のために取り組みを進める米国は、埼玉県警巡査が乳児を揺さぶって死なせるなど警察官の犯罪が相次ぐ日本とは対照的である。日本では警察不祥事の一端をまとめただけでも手を大きく広げなければ持てないほど分厚い紙の束になる。英米には警察の不当捜査に対する人権擁護というマグナカルタ以来の伝統がある。

CNNの記事からはニューヨーク市警察に労働組合が存在することが分かる。この点も日本の警察とは異なる。日本の警察ではパワハラやセクハラが起きているが、労働組合結成という労働者としての当たり前の人権が認められていない状況もあるだろう。但し、今回の名刺提示の義務化に労働組合は反対している。公務員労働者の利益だけしか考えないと、情報公開の抵抗勢力になってしまう。