久世番子『宮廷画家のうるさい余白』はバロック期スペインの画家ベラスケスを主人公とした漫画である。歴史漫画であるが、ベラスケスの性格には封建的なところがなく、現代人的であるため、あまり歴史漫画と意識しにくい。

作者の前作『パレス・メイヂ』は少女帝と少年侍従の近代宮廷ロマンスであった。本作品は青年シルバ・ベラスケスが宮廷画家に登用されようと王宮を訪れ、少女イサベル姫と出会う。イサベル姫は自らを描いた肖像画を切り裂き、何か問題を抱えているようである。ベラスケスとの交流で心が開きそうである。

当時の画家は職人という位置づけであったが、ベラスケスは貴族にもなった人物である。しかし、本作品のベラスケスは貴族らしい性格ではない。むしろ、せこいところがある。

タイトルに余白とあるが、ベラスケスの絵画は余白の印象は薄い。むしろ余白のないくらいにべったり描くイメージがある。その点では「うるさい余白」のタイトルは合っている。今後の作品内でタイトルがどのように語られるか楽しみである。