杉本萌『はたらかない細胞』(講談社、2018年)は清水茜の体内細胞擬人化漫画『はたらく細胞』のスピンオフ漫画である。赤血球に成長しない赤芽球をニート風に描く。赤芽球はマクロファージに育てられて赤血球になる。赤血球になることを脱核という。ところが、本書の赤芽球達は成長しても赤血球になろうとしない。働くことを拒否してモラトリアムし続ける。何とか赤血球に成長させようとマクロファージが悪戦苦闘する。

『はたらく細胞』は人体の勉強になる点が多い。これに対して『はたらかない細胞』はギャグテイストが濃厚である。『はたらく細胞』のマクロファージは、かわいらしい外見からは想像できない危ない戦士であった。怖くてかわいいお姉さんである。『はたらかない細胞』も外見は同じものの、等身大の悩める教師になっている。

『はたらかない細胞』は働かないように見えて、実は役に立っているという話かもと思ったが、深読みし過ぎのようである。そのように感じた理由としては、表紙の赤芽球が銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーのように見えたからである。働かない非常勤参謀と揶揄されながら、実は有能であった。昭和的な「頑張ります」精神の真逆のキャラクターに魅力を感じる。