諫山創『進撃の巨人(23) 』(講談社、2017年)は舞台が大きく変わってマーレの戦士達の話になる。壁の外の世界では人類同士で戦争していた。このまま源氏物語の宇治十帖のように主人公も変わった話になると思いきや、物語の方向が壁の中の世界とつながる。

但し、これまでは主人公エレン達が分かっていることしか描かれなかった。パラディ島攻略が始まった時、読者はエレンが知らないことを知っていることになる。『進撃の巨人』は謎を想像する点が魅力であったが、その魅力が維持できるか気になる。それともパラディ島攻略はライナー達が視点となり、エレン達の動向が謎と提示されるのか。

『進撃の巨人』は圧倒的な巨人に食べられる無力な人間という展開が魅力であった。ところが、外の世界では科学技術の発達によって巨人の優位性が減少している。実際、エンタメの世界では昭和のゴジラは過去のものになり、地球なめんなファンタジーというジャンルが登場している。本作品も、このようなエンタメ動向を反映している。

リヴァイとミカサ・アッカーマンは超人的な戦闘力を持っている。たまたま二人が超人的という話ではなく、何らかの理由があることが示唆される。話が作り込まれた作品である。