吉田はるゆき漫画、清水茜監修『はたらく細菌』(なかよしコミックス)は人体細胞擬人化漫画『はたらく細胞』のスピンオフ漫画である。赤血球などの細胞は登場せず、細菌を擬人化する。キャラクターではなく、コンセプトを利用したスピンオフである。

善玉菌と悪玉菌の陣取り合戦を描く。『はたらく細菌』というより『戦う細菌』という感じである。肉ばかり食べて野菜を食べないと体に悪いということを実感させる作品である。この意味で非常に教育的である。臭い屁が出るという点も少女への教育効果がある。

一方で『はたらく細胞』の面白さは乏しくなっている。二つの陣営の戦争となると、個々の細菌は各陣営の駒になってしまう。作者は個々の細菌の個性を描こうとしているものの、所詮は陣地の拡大・防御という大目的の中の話に過ぎない。これに対して『はたらく細胞』には別個の細胞が各々の役割を果たし、それが人体の調和になるという市場主義的な面白さがある。

昭和の日本は皆が一丸となって邁進することに美学を感じる傾向があった。しかし、そこには個人を抑圧する特殊日本的集団主義の大きな弊害がある。『はたらく細胞』は全体的指導者の統制を受けず、個々の細胞が市場主義的に動く面白さである。このような作品が出たことは、昭和とは異なる時代にいることを感じる。