諫山創『進撃の巨人(22)』(講談社)は念願の海への到達である。表紙には海辺に立つエレン・ミカサ・アルミンの後姿が描かれる。珍しく爽やかな表紙である。しかし、それでハッピーエンドにはならない。絵が綺麗な分、物悲しくなる。

エレンの父親のグリシャの手記から深刻な真相が明らかになった。真相を知った政府首脳部は国民に情報公開を行う。これは素晴らしい。日本政府ではできないことである。これだけでも革命が起きて良かったと言える。やはり情報公開は改革の一丁目一番地である。

『進撃の巨人』の世界は全体のために個人の犠牲を是とする全体主義的価値観が強い。それは人類自体の生存が脅かされている極限状況だから仕方ないという面もあったが、実際は巨人の脅威自体に民を閉じ込めておくという欺瞞があった。

調査兵団は巨人を一掃することで海に到達した。しかし、巨人は外敵を寄せ付けない意味もあった。巨人が一掃されたことは防衛力が弱まったことを意味する。人間同士の凄惨な戦いになるのだろうか。

エレンは中二病扱いされる。シリアスな展開の中でシリアスな雰囲気を壊さずにギャグが入る。このような作品は中々ないだろう。