尾田栄一郎『ONE PIECE 4』(集英社、1998年)はウソップの話の続きである。イソップ童話の狼少年を下敷きにした話である。サブタイトルは「三日月」。表紙は上部にクロネコ海賊団の百計のクロ、ジャンゴ、ニャーバンブラザーズ、下部にルフィが描かれる。

クロの陰謀が動き出す。ウソップが村人に話しても信じてもらえない。ウソップは辛い。それでも、一人で村を守ろうとするウソップは立派である。その思いを認めてルフィ達もクロネコ海賊団と戦う。既に仲間である。その後のストーリーの中ではウソップが存在する意味があるか、ギャグ要員かと思うところもあったが、このような熱い話が原点にあった。

ウソップは村を守るために準備する。ウソップは楠正成の千早城のような事前に準備した防衛戦で能力を発揮しそうである。今回は役に立たず、その後は冒険に出かける立場のために機会がないが、そのような活躍が描かれても良いのではないか。

クロネコ海賊団は想定していた場所とは別の場所から攻めてくる。ウソップとナミは間に合うが、ルフィとゾロは出遅れる。これは最初からルフィやゾロを戦わせないために作った設定だろう。ゾロが刀を奪われたり、ルフィが眠ったりと主人公側がハンディを持つことで、ワンサイドゲームにならないバトルが成立する。映画『ドラえもん』でドラえもんがポケットを使えなくなる設定に重なる。実力以上の敵キャラクターを根性で倒す昭和的な根性論作品の逆である。

ナミは逃げ腰であるが、ウソップがやられそうになると棒で戦う。道化のバギーとの戦いでも、ルフィをバギーにつき出しておきながら、ルフィの処刑を命じられるとバギーに刃向かった。土壇場で戦うキャラクターである。

ルフィは催眠術に弱い。これは海軍に採用されたら、強力な手段になるのではないか。それとも覇気を身につけた後は、跳ね返せるようになるのだろうか。