強姦事件などで服役中に被害証言がうそだったとわかり、再審で無罪となった男性と妻が国と大阪府に計約1億4千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が2019年1月8日、大阪地裁で言い渡される。男性側は冤罪の責任は捜査機関に加え、裁判所にもあると訴えている。

男性は2004年と08年に当時10代の女性に自宅で性的暴行を加えたとして強姦と強制わいせつの罪で起訴された。一貫して無罪を訴えたが、大阪地裁は09年5月、「女性が被害をでっちあげることは考えがたい」として、女性本人や被害を目撃したとする親族の証言などから懲役12年の判決を言い渡した。最高裁が11年4月に上告を退け、確定した。

しかし男性が服役中の14年、女性が「被害はうそ」と告白。親族も証言が虚偽と認めた。その後の大阪地検の調べで、女性が被害届を出した後に受診した医療機関に「性的被害の痕跡はない」とするカルテがあったことが判明。男性は14年11月に釈放され、15年10月に地裁の再審で無罪判決を受けた(「強姦冤罪事件、女性の「うそ」で服役 裁いた国の責任は」朝日新聞2019年1月5日)。

前田恒彦・元特捜部主任検事は以下のようにコメントします。「弁護側が検察側に対して診療記録の公判提出を求めていたにもかかわらず、検察側は手もとにないと言って提出せず(入手していたものの不利な証拠だから隠していたとの疑惑あり)、裁判所に至ってはその証拠調べすら認めませんでした」

不都合な事実を無視して見込み捜査で突っ走った警察や検察の落ち度である。医療機関のカルテをろくに確認していないことは酷すぎる。真実を見ないで何をしていたのか。余りにも無責任である。国は勿論であるが、関わった警察官、検察官、裁判官の個人にも責任を追及する問題である。彼らの給料から損害賠償金を支払うべきである。

一人の人生の道を変えた罪は重いと判断されなくてはならない。冤罪被害者は大切な時間を刑務所内で過ごすことになり、苦労や苦痛は甚大である。失われた時間は返ってこない。この年齢でよくもまあ絶望せずに戦い続けたことに尊敬の念を抱く。冤罪被害者は大いに怒る資格がある。