フランス捜査当局は東京五輪招致を巡る贈収賄疑惑で日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長の捜査開始を決定した。カルロス・ゴーン氏を陥れたことのフランスの逆襲ではないかと見方がある。もっとも東京五輪招致の贈収賄疑惑はゴーン氏の逮捕以前から指摘されていた問題である。むしろ日本の検察が真珠湾攻撃のように先制攻撃をして逆撃に遭ったと見るべきだろうか。

ルノーの大株主はフランス政府である。日仏関係は重要である。第二次世界大戦で日本が決定的に世界から孤立した出来事はフランス領インドシナへの進駐であった。映画『シン・ゴジラ』ではフランスが日本を助けている。日本企業を守るという昭和的なメンタリティは国益に反する。

「日産車が世界的な販売不振に陥ると、ルノーとしても傘下に持っておく価値が低下していく。そうなれば、シャープや東芝のように、部門ごとに切り売りされ、中国などの資本に売り飛ばされることも起こりかねない。ゴーン・ショックの最悪のシナリオが現実となれば、日産が“消滅“してしまうのである」(「日産が消滅する日 ゴーン前会長と西川社長がケンカしている合間に」FRIDAY 2019年1月9日)

一方でフランス政府は日本以上に国家社会主義的なところがある。舛添要一氏は「フランスは社会主義国」との認識が必要と指摘する(「舛添要一氏、ゴーン氏逮捕劇の理解には「『フランスは社会主義国である』という認識が必要」」サンケイスポーツ2018年11月22日)。市場原理を無視してフランスの労働者の雇用などのために、日産自動車の経営戦略を歪めさせられるのではないかという不安があることは確かである。結論は日本政府でもフランス政府でも公務員が企業経営を歪めることは危険である。