小山ゆう『AZUMI-あずみ- 2』(小学館)は、あずみの立ち位置が少し明らかになる。第1巻冒頭では井伊直弼を襲撃した。ここからは尊皇攘夷派に思えるが、異人の血が流れている、あずみが攘夷派のために働くとしたら滑稽である。
その後は尊皇攘夷派から外交官を守った。これで攘夷派でないことが分かる。大久保一翁のような幕府内改革派を支持する立場のようである。それが水戸斉昭の暗殺を目指すことは興味深い。日本史の教科書的には南紀派と一橋派の対立が語られる。一方の親玉が井伊直弼で、他方が水戸斉昭になるが、どちらも支持しない人々がいたことになる。
過酷な修行で育てられた点は『あずみ』と同じである。異なる点は大商人が育てたことである。あずみは任務一筋ではなく、生き別れの双子や義家族と交流している。現代流に言えばワークライフバランスを実現している。
あずみの表情も豊かである。暗殺が汚れ仕事であることを最初から自覚している。人間性を失わずに育てられた。これは家のために死ぬことを当然とする武士ではなく、商人に育てられたためではないか。