筒井大志『ぼくたちは勉強ができない』(集英社)は青春受験漫画。秀才高校生が理系志望の文系の天才と文系志望の理系の天才の教育係になり、大学合格を目指す。文系の天才と理系の天才は得意科目と志望が逆であり、逆の科目は勉強が全くできない悲惨な状態であった。得意分野に進めば良いと思うが、本人達の意思は固い。

得意分野と志望を逆とする設定は物語としては面白いが、ゼネラリスト志向の日本の受験制度では悲惨な科目があると得意分野を志望する場合でも大学合格は厳しいのではないか。日本には才能を活かすよりも、標準を押し付けて潰す傾向がある。天才達が得意分野を志望する現実味のある設定でも苦手科目の教育係になる物語は成り立つだろう。

教育係の秀才男子高校生が天才だけど苦手科目は悲惨な成績の二人の女子高校生の教育係になる設定は面白い。その後に勉強が苦手な水泳部の女子高校生の教育係にもなる。彼女は後から登場したキャラクターであるが、第1巻の表紙では三人は同格の主要キャラクターと言える。

彼女は文系と理系の天才に対して運動の天才と説明される。しかし、何もしなくてもできる天才ではなく、努力の人である。二人の天才と比べると異質である。彼女は活発で、恋愛の意識もあり、物語を組み立てる上で動かしやすいキャラクターと思う。私は決して嫌いではないが、天才でも苦手科目を持ち、どのような点が苦手で、どのように克服していくかという受験漫画の面白さが弱まってしまった。