日渡早紀『ぼくの地球を守って』は前世ブームを巻き起こした漫画である。同じ設定の夢を見る主人公達が異星人の生まれ変わりで、現世の物語と前世の物語が並行して進行する。略称は「ぼく地球(ぼくたま)」。エンタメ作品には「はがない」や「俺ガイル」など知らない人には全く分からない略称があるが、その老舗である。

本作品は男子が楽しめる少女漫画である。思い出の少女漫画に浸ることも一興である(林田力「ボーナスで漫画を大人買い 〜長編コミックを読破しよう!〜」日刊サイゾー2011年7月1日)。続編には主人公の子どもを主人公とする『ボクを包む月の光―ぼく地球次世代編』がある。

坂口亜梨子(ありす)は動植物の気持ちが分かる。都市の中の植物は辛そうである。高層マンションの中に緑地スペースが設けられることがよくある。それをデベロッパーや行政は緑化と称するが、それは植物にとって可哀想なことと言えるだろう。

序盤は、まだ何が何だか分からない。小林輪には腹が立つ。亜梨子とは絶対に相性が合わないと思ってしまう。暴走族を使う手口も好きになれない。一方で、これは先に進んでしまうが、前世の関係があるのに自分だけ異なる世代に生まれた理不尽さへの憤りは理解できる。

本作品には時代を感じる。暴走族は恥ずかしい風俗になった。悪役としても存在価値は微妙である。また、雑誌の声欄や手紙でやり取りしているが、インターネット時代は別の形になるだろう。

自分達の名前を観察対象の異文化風の名前で呼ばせるという発想は興味深い。人類史では植民地の住民が宗主国風の名前にするなど支配関係を背景にする。そのような関係なしで異文化理解があることは素晴らしい。