『相棒シリーズ X DAY』は刑事ドラマ『相棒』のスピンオフ映画。警視庁捜査一課刑事・伊丹憲一とサイバー犯罪対策課専門捜査官・岩月彬という異なるタイプの組み合わせ。小説版は、大石直紀『相棒シリーズ X DAY』(小学館文庫、2013年)。
伊丹は自分の情熱を共有しないエキスパートの岩月を感じ悪いと言うが、伊丹の方が感じ悪い。昭和の熱血は他人に通用するものでも、押し付けるものでもない。伊丹の縄張り意識は公務員の悪癖である。伊丹を面白いとする反応は2013年3月23日の公開当時だから成り立つのではないか。テン年代後半はパワハラやマウンティングは激しく批判された。伊丹のようなパワハラ体質、マウンティング体質は許されないだろう。昭和の感覚は通用しなくなっている。
物語の背後には金融封鎖計画「X DAY」の陰謀があった。政官財は日本政府の財政破綻、日本国債のデフォルトを想定していた。杉下右京は「日本は麻薬を摂取するように国債を発行する」と説明する。薬物依存のたとえは、言い得て妙である。薬物依存になると金銭感覚もまともではなくなる。陰謀を進める方も国債発行を続ければ財政破綻することは理解している。この点はMMTの信奉者よりは健全と言えようか。
システム障害で銀行に押し掛けた預金者達の前で札束がばらまかれるアクシデントが起きる。それによって混乱に拍車がかかる。想定外の混乱が起きることは、静かに国民に負担を押し付けたい官僚達にとって面白くない展開である。大騒ぎになることは国民の対抗手段である。