東急不動産だまし売り裁判

書籍や漫画の書評、マンション問題や消費者問題、警察不祥事など。書籍『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』はマンションだまし売り被害、東急不動産消費者契約法違反訴訟を描きます。マンションだまし売りや迷惑勧誘電話、貧困ビジネス、危険ドラッグのない世界を目指します。

『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口
http://www.mynewsjapan.com/reports/1101

弁護士・裁判

『イノセンス 冤罪弁護士』第5話

『イノセンス 冤罪弁護士』第5話(2019年2月17日)はパワハラがテーマである。和倉楓弁護士(川口春奈)は役者の人気が落ちるのではないかと懸念されるほどウザいと言われたキャラクターであったが、前の法律事務所で深刻なセクハラ被害を受けていたことが明らかになる。セクハラ被害者として同情が集まるだろうか。

今回は高校のフェンシング部顧問の高松洋介(豊原功補)の弁護である。高松は部活の指導中、剣で突いたエース選手・藤里(清水尋也)が不整脈による心停止で倒れたことで、業務上過失傷害で在宅起訴された。本作品は冤罪被害者側に感情移入するものであるが、私は違和感を覚えた。

熱心に指導したという顧問の言葉には、相手がどう感じているかを無視した自己中心主義を感じたためである。熱心に指導したという感覚が生徒にはパワハラになりうる。この種の無自覚なパワハラは最も救い難い。法律事務所長も黒川弁護士に対して「黒川弁護士のため」との名目で強要する。これも同種のパワハラである。

私の違和感は正しく、頑張ることを強要する日本社会の精神論根性論が根本的な原因であった。オリンピックに出たくないという切実な声を出すことは、オリンピックに向けて国民一丸となって盛り上がることを強要する風潮がある中で健全である。自殺を考えるほど追い詰められたとは言え、折角死なずに済んだから、告訴せずに退部を要求すれば願い通りになったのではないだろうか。

埼玉県警の客引きおとり捜査に無罪判決

さいたま簡裁(瀬尾豊治裁判官)は2016年10月17日、さいたま市大宮区の客引きおとり捜査に無罪判決(求刑罰金30万円)を言い渡した。男子大学生は2016年2月に大宮駅近くの繁華街の居酒屋のアルバイト中、客になりすました男女の警察官に客引きをしたとして現行犯逮捕された。埼玉県警は26.5メートルに渡り執拗な客引きをしたと主張する。学生は当初容疑を認めていたが、初公判では客引きをした距離などを否認した。自白を強要する日本の前近代的な取調べの問題がある。
判決は「つきまとった距離および執拗性についての犯罪の証明がない」とした。捜査報告書や男子学生が客引きをした際の録音などから、実際に客引きをした距離は「半分以下程度までしか認められなかった」。
執拗性については、警察官が「(店に行くか)どうしようかな」「おいしそう」などの会話を大学生としており、「むしろ警察官の方から積極的な応対をしていた」と批判した(「客引きの大学生 さいたま簡裁、捜査手法を批判」毎日新聞2016年10月18日)。「条例で守るべき市民の平穏という前提が失われていた」と捜査の手法自体に問題があったとする(「客引きの大学生に無罪 簡裁判決 捜査手法を問題視 埼玉」産経新聞2016年10月19日)。
埼玉県警は同時期に高校生も同じような形で逮捕している。大宮署は2016年1月25日、県迷惑行為防止条例違反(不当な客引き)の疑いで、 上尾市に住む県内の私立高校3年の男子生徒(18)を現行犯逮捕した。逮捕容疑は同日午後7時15分頃、さいたま市大宮区仲町1丁目、JR大宮駅東口近くの通称「南銀座通り」で、私服警察官に「居酒屋お決まりですか」などと客引きを行った疑い(「「がっつり安く」高3男子、警官を勧誘 客引きの疑いで逮捕/大宮署」埼玉新聞2016年1月26日)。手法が類似しており、おとり捜査が疑われる。
さいたま市では機械的形式的な規制による地域経済への影響を考慮し、地域の自助努力で繁華街における健全で快適な商業環境の創出及び確保を目指す姿勢である。平成28年度第2回さいたま市商業等振興審議会(2016年11月22日)では「あまり締め付けると蕨市等のように商店会が委縮してしまって無くなってしまうこともある」との意見も出た。
「さいたま市商業等の振興に関する条例」第8条は「市は、繁華街の存する地域の商店会、自治会その他の地域を主体に活動する団体と協同し、又は連携し、来訪者が繁華街を快適に通行し、又は繁華街において安心して飲食、買物等をすることができる商業環境を整備するため、必要な措置を講じなければならない」と定める。
この条例に基づいて「繁華街における快適な商業環境の整備に関する指針」が定められた。そこでは市の責務として「来訪者の快適な通行を阻害する客引き行為の防止に関する意識の啓発」を挙げる。また、「事業者等は、来訪者の快適な通行を阻害する客引き行為を行い、又はさせることがないよう努めるものとする」と定める。

Coinhive裁判

Coinhive(コインハイブ)裁判の初公判が2019年1月9日に横浜地裁で開かれた。CoinhiveはWebサイト閲覧者のパソコンの処理能力を用いて仮想通貨マイニングを行うプログラムである。このCoinhiveをサイトに設置した男性は2018年2月に神奈川県警から家宅捜索を受け、3月末に不正指令電磁的記録に関する罪(コンピュータ・ウイルスに関する罪)で罰金10万円の略式命令を受けた。男性は不服として裁判を請求した。

弁護側はコインハイブは反意図性・不正性を満たさないため不正指令電子的記録(コンピュータ・ウイルス)には当たらないとして無罪を主張する(NT「Coinhive(コインハイブ)事件で初公判、原告は「ウィルスではない」と無罪を主張」CRYPTO TIMES 2019年1月16日)。現実にWebサイトを開いた途端に勝手に動画広告を流すページは珍しくない。Coinhiveの摘発は多くの人々から疑問や不安の声が寄せられている。国民にとって最も重い制裁手段となる刑事罰の重みを考えていない。

男性は以下のように指摘する。「警察の人からは「事前に許可(もしくは予感させること)なく他人のPCを動作させたらアウト」というような説明を受けたのですが、解釈がめちゃくちゃアバウトで「不正な指令」についてまるで考慮されていないことがわかると思います。これだとアドセンスどころかアナリティクスやオプティマイズ、世の中のいろいろなJSがアウトですし、予感というのもリテラシーによって大いに幅があります」(「仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話」doocts 2019年1月7日)

コインハイブで家宅捜索を受けた男性の報告では乱暴な言葉ばかり使う刑事が登場する。何ら誤魔化すことなく自分達の言わんとすることを大声ではっきりと述べることのできる、ほとんど唯一の言葉だからだろう。これは人間の人間に対する非人間性の問題である。
https://doocts.com/3403

NGT48山口真帆さん暴行事件と桶川ストーカー殺人事件

NGT48の山口真帆さんの暴行事件は警察の対応が批判されている。埼玉県警の不祥事である桶川ストーカー殺人事件との共通性を指摘する声がある。
「桶川で起きた「ストーカー殺人事件」を持ち出すまでもなく、ストーカーに困って警察に相談したが、とりあってもらえず、無残に殺されてしまったケースはこれまでも多くあったではないか。」(元木昌彦「「NGT事件」なぜ秋元康は謝罪しないのか」プレジデントオンライン2019年1月22日)
私は桶川ストーカー殺人事件の書評でストーカー規制を強化すればよいというものではなく、半グレの見方をするような警察が問題と指摘した。この事件でも当てはまる。
https://www.honzuki.jp/book/269886/review/213858/

防犯カメラの不鮮明な映像で冤罪

捜査機関が防犯カメラの不鮮明な映像を根拠に見込み捜査で誤った人を起訴し、無罪判決を言い渡された例が起きている。冤罪被害者らは「都合の良いほんの一部だけを抜き出して、こじつけられた」などと怒りを口にする(「冤罪を生む「防犯カメラ」、憤る冤罪被害者「都合良く抜き出され、こじつけられた」」弁護士ドットコムNEWS 2017年11月16日)。
長野地裁松本支部は2013年3月19日、塩尻市内のコインランドリーでの女性の下着などの窃盗事件で無罪判決を言い渡した。検察側が証拠としたコインランドリー内の防犯カメラの静止画像に写った男と、男性の顔の比較箇所が限られ、「犯人性の根拠となり得ない」と指摘した。証拠提出された画像は、防犯カメラの動画を捜査員がデジタルカメラで撮影した計5枚。
判決後に釈放された男性は取材に対し、逮捕前の任意の取り調べ段階から公判まで一貫して犯行を否認したと説明。「(無罪判決の)喜びより警察や検察への怒りが強い。逮捕をきっかけに職も失い人生を台無しにされた」と話した。塩尻署員からは「周辺に聞き込みをして(自宅に)住めなくしてやる」「やっていないという妄想をしているだけ」と言われたとする。担当弁護人は「客観的事実を重視するという基本原則に基づいた判断を捜査段階でしていれば、こうはならなかった」と検察側を批判した(「塩尻の窃盗で無罪判決 防犯カメラ画像証拠となり得ず」信濃毎日新聞2013年3月20日)。
大阪地裁堺支部は2018年9月18日、宝くじ売り場で現金を奪うため女性販売員を殴りけがをさせたとして、強盗傷害罪に問われたブラジル国籍の女性(37)の裁判員裁判で、無罪判決を言い渡した。「被告人が犯人と同一とは認められない」とする(「「防犯カメラ不鮮明」 強盗傷害、ブラジル女性に 大阪地裁堺支部判決」毎日新聞2018年9月19日)。
東京地裁は2018年10月4日、強盗致傷などの裁判員裁判で無罪判決を言い渡した。西野吾一裁判長は女性宅付近などの防犯カメラに写った人物を犯人と認定。外見やしぐさの特徴に類似点を認める一方、「映像などは不鮮明で、被告と極めて似ているとまでは評価できない」とした(「強盗致傷事件で無罪判決 映像不鮮明、「犯人認定には合理的な疑い残る」 東京地裁」産経新聞2018年10月4日)。
「誤認逮捕された人を取材してみると、本当に皆さん、普通の一般の方なので、たとえ釈放されたとしても、精神的な負担がかかったり、なので今も病院に通ったりですとか、仕事を休みがちだという人もいて、本当に深刻な事態だと感じましたし、誤って逮捕してしまうというと、本当に取り返しのつかないダメージを与えてしまうということを感じました」(NHKクローズアップ現代「防犯カメラの落とし穴 相次ぐ誤認逮捕」2014年10月14日)

東京五輪招致贈収賄疑惑でJOC竹田恒和会長の捜査開始

フランス捜査当局は東京五輪招致を巡る贈収賄疑惑で日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長の捜査開始を決定した。カルロス・ゴーン氏を陥れたことのフランスの逆襲ではないかと見方がある。もっとも東京五輪招致の贈収賄疑惑はゴーン氏の逮捕以前から指摘されていた問題である。むしろ日本の検察が真珠湾攻撃のように先制攻撃をして逆撃に遭ったと見るべきだろうか。

ルノーの大株主はフランス政府である。日仏関係は重要である。第二次世界大戦で日本が決定的に世界から孤立した出来事はフランス領インドシナへの進駐であった。映画『シン・ゴジラ』ではフランスが日本を助けている。日本企業を守るという昭和的なメンタリティは国益に反する。

「日産車が世界的な販売不振に陥ると、ルノーとしても傘下に持っておく価値が低下していく。そうなれば、シャープや東芝のように、部門ごとに切り売りされ、中国などの資本に売り飛ばされることも起こりかねない。ゴーン・ショックの最悪のシナリオが現実となれば、日産が“消滅“してしまうのである」(「日産が消滅する日 ゴーン前会長と西川社長がケンカしている合間に」FRIDAY 2019年1月9日)

一方でフランス政府は日本以上に国家社会主義的なところがある。舛添要一氏は「フランスは社会主義国」との認識が必要と指摘する(「舛添要一氏、ゴーン氏逮捕劇の理解には「『フランスは社会主義国である』という認識が必要」」サンケイスポーツ2018年11月22日)。市場原理を無視してフランスの労働者の雇用などのために、日産自動車の経営戦略を歪めさせられるのではないかという不安があることは確かである。結論は日本政府でもフランス政府でも公務員が企業経営を歪めることは危険である。

強姦冤罪国賠訴訟判決に憤り

大阪府内の男性(75)と妻が、府警と大阪地検による不十分な捜査や裁判所の誤判で精神的な損害を受けたとして、国と府に計約1億4000万円の賠償を求めた国家賠償訴訟の判決で、大阪地裁(大島雅弘裁判長)は2019年1月8日、請求をすべて棄却した。6年余り拘束された男性は判決後の記者会見で「何も反省しておらず、許せない」と失望をあらわにした。再審無罪が確定して約2800万円の刑事補償も受けたが、「汚名を着せられて多くの友人も仕事も失い、元に戻れるわけがない」と訴えた。男性側代理人の後藤貞人弁護士は「検察が無罪の可能性を検証せずに起訴しても過失はないとする、ひどい判決だ」と批判した(「「友人も仕事も失った、戻れない」強姦冤罪の男性の失望」朝日新聞2019年1月8日)。
「誤判防止の観点からは、率直に裁判所の非を認めた上で、なぜ警察・検察ともども女性らの嘘を見抜けなかったのか、男性を「シロ」にする方向の捜査や審理がどの程度行われたのか、徹底した検証を行う必要がある」(前田恒彦「性的被害を受けたというウソの証言で約6年も身柄拘束 人が人を裁く刑事裁判の怖さ」Yahoo!ニュース2019年1月8日)
これで責任一切なしならば国賠訴訟が何のためにあるのか、存在意義を問われる。裁判官は公務員としての連帯意識があるのか。これだけ身内に甘い判断をするならば誰も司法を信頼しなくなる。
この冤罪事件は、新宿署痴漢冤罪自殺事件と、ほぼ同時期である。私は新宿署痴漢冤罪裁判に以下のコメントを寄せたが、この判決にも当てはまる。
「この裁判で警察の決めつけ捜査が浮き彫りになりました。そして、それをごまかそう、なかったことにしようという工作が明らかになった。裁判所は行政に寄り添って国民の声に耳を傾けない。消費者が企業を訴える場合も同じ構図です。弱者の声に耳を傾けない裁判官が法律を扱うから、血の通わない判決になるのです」(上田眞実「新宿署、痴漢冤罪めぐる証拠隠蔽・改竄工作が発覚…違法捜査受けた男性は直後に死亡」ビジネスジャーナル2016年3月30日)
http://www.hayariki.net/enzai.html
enzai

カルテを調べず強姦冤罪で国賠訴訟

強姦事件などで服役中に被害証言がうそだったとわかり、再審で無罪となった男性と妻が国と大阪府に計約1億4千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が2019年1月8日、大阪地裁で言い渡される。男性側は冤罪の責任は捜査機関に加え、裁判所にもあると訴えている。

男性は2004年と08年に当時10代の女性に自宅で性的暴行を加えたとして強姦と強制わいせつの罪で起訴された。一貫して無罪を訴えたが、大阪地裁は09年5月、「女性が被害をでっちあげることは考えがたい」として、女性本人や被害を目撃したとする親族の証言などから懲役12年の判決を言い渡した。最高裁が11年4月に上告を退け、確定した。

しかし男性が服役中の14年、女性が「被害はうそ」と告白。親族も証言が虚偽と認めた。その後の大阪地検の調べで、女性が被害届を出した後に受診した医療機関に「性的被害の痕跡はない」とするカルテがあったことが判明。男性は14年11月に釈放され、15年10月に地裁の再審で無罪判決を受けた(「強姦冤罪事件、女性の「うそ」で服役 裁いた国の責任は」朝日新聞2019年1月5日)。

前田恒彦・元特捜部主任検事は以下のようにコメントします。「弁護側が検察側に対して診療記録の公判提出を求めていたにもかかわらず、検察側は手もとにないと言って提出せず(入手していたものの不利な証拠だから隠していたとの疑惑あり)、裁判所に至ってはその証拠調べすら認めませんでした」

不都合な事実を無視して見込み捜査で突っ走った警察や検察の落ち度である。医療機関のカルテをろくに確認していないことは酷すぎる。真実を見ないで何をしていたのか。余りにも無責任である。国は勿論であるが、関わった警察官、検察官、裁判官の個人にも責任を追及する問題である。彼らの給料から損害賠償金を支払うべきである。

一人の人生の道を変えた罪は重いと判断されなくてはならない。冤罪被害者は大切な時間を刑務所内で過ごすことになり、苦労や苦痛は甚大である。失われた時間は返ってこない。この年齢でよくもまあ絶望せずに戦い続けたことに尊敬の念を抱く。冤罪被害者は大いに怒る資格がある。

早期釈放 ―出獄― まさかの誤認逮捕にも!

西山孝昭『早期釈放 ―出獄― まさかの誤認逮捕にも!』(文芸社、2016年)は「逮捕されないため」「逮捕されたら」のノウハウをまとめたものである。本書の紹介文には「職務質問、誤認逮捕を避けるための自己防衛方法」とある。職務質問は「協力することが当然」「やましいことがなければ応じるべき」と要求してくるが、馬鹿正直に応じるのではなく、避けることが自己防衛になる。

警察の交通違反取り締まりがノルマになっていることは以前から指摘される。捜査や立件も点数稼ぎになっているように感じられる。投資用マンションの迷惑勧誘電話営業のような悪徳商法と同じビジネスモデルになっているのではないか。

「誤認逮捕を避けるための自己防衛方法」は必要なことである。日本の警察は簡単に誤認逮捕を繰り返している。公正に捜査していない。不十分な裏付け捜査を原因とした誤認逮捕が2件も報道されている。

愛知県警中川署は2018年9月21日、名古屋市中川区の会社員男性(22)を2017年11月に窃盗容疑で誤認逮捕していたと発表した。男性は約34時間、身柄を拘束されていた。男性は一貫して容疑を否認していた(「愛知県警が誤認逮捕 ランドセルを万引きしたとして21歳男性逮捕も別の男が犯行自供」東海テレビ2018年9月21日)。付近の防犯カメラに男性の姿は映っておらず、鑑識捜査でも裏付けは取れていなかった(「万引の容疑者として男性を誤認逮捕していた‥愛知県警中川警察署」CBCテレビ2018年9月21日)。何故逮捕したのか疑問である。日本の警察は見込み捜査で冤罪を作る。

千葉県警は2018年12月17日、船橋署員が千葉県船橋市の少年2人を傷害容疑で誤認逮捕し、約15時間後に釈放したと発表した。2018年12月16日午前0時半ごろ、同市本町4丁目の路上でけんかが起き、署員らが駆け付けた。現場には頭部を負傷した男性(59)がおり、署員らは目撃者の証言などをもとに近くにいた塗装業の少年(16)とアルバイトの少年(17)を傷害容疑で現行犯逮捕した。その後、周辺の防犯カメラの映像で、別の人物が被害男性に暴行を加えたことが明らかになったという(「少年2人を誤認逮捕、15時間後に釈放 千葉・船橋署」朝日新聞2018年12月17日)。

一方的な証言だけで事実を確認せずに逮捕する。日本警察の思い込み捜査の典型例である。防犯カメラが無ければ冤罪になっていたのかもしれない。過去にも沢山の冤罪があった。誤認逮捕した警察官が、その後も普通に勤務していると思うと恐ろしい。防犯カメラが無罪の決め手になる点はテレビドラマ『99.9 刑事専門弁護士』と重なる。

愛知県警中川署の誤認逮捕事件で本田俊彦署長は「関係者の皆様と県民に深くおわびする。署員の指導を徹底し再発防止に努める」と陳謝した(駒木智一「<愛知県警>22歳男性を誤認逮捕 窃盗容疑で」毎日新聞2018年9月21日)。誤認逮捕で受けた被害に対して、警察の謝罪は軽過ぎる。警察不祥事があると、決まりきったように「再発防止に努める」と言うが、情報公開もなく、処分も甘い状態では再発防止どころか再発促進になりかねない。警察は誤認逮捕でもデータベースから写真と指紋を消さないのではないか。

「間違いが起きたらそれを検証し、少なくとも同じ間違いをしない対策を取るという技術屋の発想を、司法に取り入れることの必要性を訴えたつもりである。それによって、えん罪・誤審・誤判を減らしていくことは可能だと考える」(稲葉光行「日本版司法取引でえん罪は増える?不適切な法科学が用いられる危険性」現代ビジネス2018年9月6日)

不当逮捕して冤罪を作るには、まず市民をモノ扱いしなければならない。相手から人間らしさを奪う。狙った市民を人間から、ただのモノに変える。冤罪事件で警察官が異様なことをしでかす例は幾つも目にしている。冤罪被害者が、どのような扱いを受けるのか、その想像は容易く、まったく楽しいものではなかった。心身共に差別され傷つけられる。不当逮捕は悪趣味かつモラルに欠ける。

不当逮捕に対して「なんと酷いこと」との感想が寄せられた。私は同意するばかりであった。心に突き刺さる。不当逮捕だけでも大問題なのに、それを誤魔化そうと姑息な策まで講じている。同じような酷いことが現在も繰り返されているのだろう。

市民がさらされている脅威が描き出されるのを見て、心を痛めずにはいられない。冤罪の犠牲者を痛み、警察権力の虚しさに涙を流す。警察国家は危険な道である。しかも、先は袋小路である。汚名で終わるか、もっと汚名で終わるかの違いだけである。

不当逮捕を憎む情熱は本物である。変化をもたらしたい、より良い社会にしたいと考えている。市民は良くないことよりも良いことを望む。不当逮捕は良くないことである。事実を明らかにすることは癒しにつながる。無知や無関心は悪と今更ながら感じる。

カルロス・ゴーン氏が強気の反論

自白を迫る特捜部に対して、ゴーン氏は強気の反論をしていると報道された(「ゴーン容疑者再逮捕1週間、自白迫る特捜部に強気の反論」産経新聞2018年12月17日)。自白頼りなところに戦前と変わらない旧態依然とした捜査手法がある。司法取引をしており、証拠を受け取ったり、調べたりする時間は十分にあった。納期意識に欠ける公務員感覚は民間感覚とはギャップがある。
捜査の状況の報道は、検察側から漏れたとしか考えられない。守秘義務違反であるだけでなく、マスメディアを使った裁判前の国民への有罪の刷り込みになり、悪質である。この種のリークが出ていることは、法律的には負ける可能性がある、仮に日本では突破できても、国際的非難に耐えられない可能性があることを検察も自覚しているのではないか。
日仏関係は重要である。第二次世界大戦で日本が決定的に世界の孤児となった出来事はフランス領インドシナへの進駐であった。映画『シン・ゴジラ』ではフランスが日本を助けている。日本企業を守るという昭和的なメンタリティは国益に反する。

ゴーン容疑者らは2018年12月10日に再逮捕された。再逮捕容疑は1回目の逮捕容疑と、期間が異なるだけで内容は同じだった。危険ドラッグ売人が無許可で危険ドラッグを販売した疑いで逮捕され、さらに危険ドラッグ密売グループに原料を提供したとして再逮捕された事例とは異なる。
特捜部OBは以下のように指摘する。「司法取引をしたんだから、逮捕前に証拠は十分にそろえたのかと思っていた。それが同じ金商法違反で再逮捕して、勾留延長なんて信じられない。これから新しい証拠が出てくるとも思えない。特捜部は、崖っぷちに追い込まれたけど、あきらめたくないから再逮捕しただけではないか。いつもは検察寄りの特捜部OBからも捜査批判が上がっている」(西岡千史「日産のクーデター失敗で西川社長が明智光秀になる日 ゴーン再逮捕も特捜部敗北の危機」AERA dot. 2018年12月12日)
戦後日本は戦前や戦中の人権侵害の刑事手続きの反省を出発点としており、再逮捕を繰り返した長期の勾留、取り調べは抑制しなければならない。拘置所での自由束縛は甚大である。推定無罪や「疑わしきは被告人の利益」、「有罪の確定判決が出るまでは犯罪人とは取り扱われない」という先進国の常識が通じていない。
昭和の頃に「日本は社会主義的な面がある」と言われたことがある。当時は、それが資本主義の弊害を抑える良いことであるかのように語られたが、むしろ日本は警察国家・全体主義国家という悪しき面で社会主義国との類似性がある。その種の日本的なものを消していかなければならない。むしろ日本は資本主義の基盤にある自由主義、個人の尊重を学ばなければならない。この点で日本は後進的であり、今や発展途上国にも追い抜かれつつある。
The Wall Street Journal (WSJ)は2018年12月9日、関係者の話としてゴーン氏が経営不振を理由に西川広人社長の更迭を計画していたと報じた。米国市場の不振や日本で相次ぐ品質検査不正問題を理由に11月下旬の取締役会で解任の提案をするつもりだったという。この場合、西川氏が保身のために国家権力を利用したことになる。

GPS不使用の偽証容疑で警視庁警部らを書類送検

警視庁の男性警部ら4人が捜査でGPS(全地球測位システム)を使用したにもかかわらず、使用を否定した嘘の証言をしたとして2018年11月30日に書類送検された。書類送検されたのは、警視庁第6方面本部所属で当時捜査3課の刑事だった男性警部(51)、捜査3課の男性巡査部長(33)、荏原署の男性巡査部長(29)、上司だった目黒署の男性警視(57)(「「GPS不使用」と偽証容疑=警部ら4人書類送検―警視庁」時事通信2018年11月30日)。

警部らは2014年12月に起きた窃盗事件の捜査で、容疑者の車に裁判所の令状を取らずにGPS端末を取り付けるなどした。ところが公判では使用を否定し、偽証した疑いが持たれている(「捜査でGPS「使っていない」とうそ証言 警視庁捜査員ら書類送検」FNN 2018年12月1日)。刑事が裁判に出廷する前、警部は巡査部長の2人に「使っていないで通せ」と指示したという(「GPS不使用と虚偽証言、警部ら4人を書類送検」TBS 2018年12月1日)。

巡査部長の2人は2016年3月までの公判で、弁護人の質問に同端末を実際は使っていたのに「使っていない」などと偽証した疑い。警視は傍聴して偽証を認識したのに適切に対処しなかった容疑(「GPS不使用と偽証指示容疑、警部を書類送検 停職にも」朝日新聞2018年11月30日)。被告に一審で実刑判決が言い渡された後、捜査員の偽証が明らかになった。

嘘をつくことは警察側の証拠全てに信憑性を無くすことである。最高裁では令状がないGPSを使った捜査は違法との判決が出ている。警察は一般に許されていない強力な権利を許されているだけに警察の人間の都合や解釈で勝手に市民個人の権利やプライベートが丸裸にされてしまうことになる。徹底した情報公開が必要である。

中野相続裁判さいたま地裁第4回口頭弁論

中野相続裁判さいたま地裁(平成30年(ワ)第552号)の第4回口頭弁論が2018年11月30日10時30分から、さいたま地方裁判所C棟一階105法廷で開かれました。この法廷の直後に熊谷6人殺害国賠訴訟の第1回口頭弁論が開かれました。

中野相続裁判は平成19年9月8日に亡くなった母親(東京都中野区)の生前贈与や遺贈が無効であるとして長女が長男と配偶者を訴えた訴訟です(平成20年(ワ)第23964号 土地共有持分確認等請求事件)。中野相続裁判は母が亡くなった一年後に始まりました。この裁判によって長男が入院中の母親の経鼻経管栄養の流入速度を勝手に速めたことや治療を拒否したことが明らかになり、立正佼成病院附属佼成病院事件につながりました。

中野相続裁判さいたま地裁事件は、長男夫婦が長女に対して平成30年1月30日付で母の遺産(共有物)の分割を求めて提訴したものです。長女は長男夫婦に相続人や受遺者を主張する資格があるか訴えます。

第4回口頭弁論で長女側は反訴状を提出しました。不当利得の返還請求です。長男夫婦が長女の同意を得ず、母親の預金を引き出したり、株式を売却したりしているためです。長男側は第4準備書面で「反訴又は別訴を提起すればいい」と書いており(5頁)、反訴は長男側も歓迎するところでしょう。

長女の代理人は長女側の主張が全面解決に資すると主張しました。長女の持分の主張には根拠があります。長男側の主張が権利実体と異なり、形式論で押し通すことは権利濫用です。長男側には入院中の母親の経鼻経管栄養の流入速度を勝手に速めるなど色々な問題があります。

長女側は証拠として乙第25号証から乙第42号証までを提出しました。長女本人が書いた「陳述書(2)」や入院診療計画書、医師記録、看護記録、『「尊厳死」に尊厳はあるか』、『メルクマニュアル第18版日本語版』、『メルクマニュアル医学百科家庭版』、「立法問題としての終末期医療」判例時報2373号138頁、「治療中止をめぐって立法による問題解決は可能か」判例時報2374号111頁、「延命中止、意思確認に力点自民、新法検討」、「ICUにおける末期医療のコンセンサス」などです。

「陳述書(2)」は長男夫婦が母を大切にしていなかったことなどを書いています。遺体を家に帰さなかったなど遺体まで大切にしませんでした。「陳述書(2)」は「通常人が被相続人であるとしたら、長男夫婦のような行いをした人物に相続させたいと思うでしょうか」で結んでいます。長女は当事者尋問に応じる意思で陳述書を書いたとします。

陳述書以外の文書は、陳述書の理解に必要なもので、長男の権利濫用を裏付ける事実です。長女が陳述書で書いた内容が長女だけが考えているものではなく、根拠のあるものであることを示す事実です。口頭弁論終了後の報告集会では「相続財産は全て相続人に明らかにしなければ不味いのではないか」との意見が出ました。
http://www.hayariki.net/nakano.html
nakano
マンションだまし売り被害を消費者契約法で解決した裁判闘争を描くノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者。
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