七月鏡一原作、藤原芳秀作画『ジーザス』(小学館)は第2巻からハードボイルド色が強まる。ジーザスのまわりでは次々と事件が発生する。新星高校に通う不良少年の戸川誠治は藤沢真吾が普通の教師と異なることに気付き始める。謎の武闘集団のVIP暗殺計画が動き出し、本作品を通じてジーザスが死闘を繰り広げる謎の組織も見え隠れする。

第1巻はギャグ要素が強かった。殺し屋として生きていたジーザスが教師になる。戦場で研ぎ澄まされた鋭敏な感覚は平和な日常生活を送る上では逆に妨げになる。アメリカ合衆国では帰還兵の社会不適応として問題になったが、本作品ではギャグになっている。情報屋の情報も穴だらけである。物語の展開上必要なことではあるが、一流の情報屋らしからぬ失態である。

作者が描きたかったものは第2巻以降のハードボイルドだろう。本作品は劇画調であり、連載誌の『週刊少年サンデー』では異質であった。第1巻はハードボイルドを知らない読者を惹きつける導入部として作ったものだろうか。現実に本作品は私が少年漫画だけでなく、劇画を読むようになったきっかけになっている。