『ドラえもん のび太の魔界大冒険』は1984年公開の大長編ドラえもん映画である。『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』(2007年)はリメイク作品である。野比のび太が「もしもボックス」で作った「魔法が科学の代わりに発達した世界」が舞台である。ドラミが活躍する作品でもある。

大長編ドラえもんではドラえもんのコスプレが常である。魔界大冒険では魔法使いの帽子を被る。雰囲気だけの帽子で何の効果もないが、魔界では意味があるというギャグが用意されている。

魔法が使える世界になったらいいとは誰しも思うことである。しかし、魔法が使える世界と誰もが魔法を使える世界は異なる。魔法を使うために特殊な技能や高価な道具がなければ魔法を使えない世界は現代社会のアナロジーとして現実味がある。これは今ではRPG的なファンタジー世界では当たり前になっているが、1980年代に描いている。しかも、秘密道具を使って簡単に願望が実現できるドラえもんの世界で描いたことは面白い。

魔界大冒険に疑問があるとすれば、石ころ帽子の効果である。石ころ帽子は姿を消す道具ではなく、存在が気にならなくなる道具ではないか。石ころ帽子を被っている人を追跡することが成り立つか。誰かを追跡していても、追跡対象者が石ころ帽子を被っていたら追跡しようという意識がなくなるものではないか。この疑問はあるものの、追われるシーンは迫力がある。また、石像化にはトラウマになるほど怖さがあった。