立正佼成会附属佼成病院事件記者会見が2017年10月26日(木)午後2時から東京地裁・高裁2階の司法記者クラブで開催されます。加盟社以外の取材も歓迎します。佼成病院裁判の上告人及び訴訟代理人が会見します。佼成病院裁判は、自己決定権と生命尊重を訴えています。

佼成病院事件は患者の長男が勝手に患者の経鼻経管栄養の流入速度を速めたり、治療を拒否したりするなど医療への不当介入がありました。それに対して担当医師は、専門家の立場で治療の必要性や生命尊重について説明・説得することをしませんでした。また、担当医師が長男との話し合いで「自然死の方針」を採り、治療をせずに死ぬがままにしたことを問題としています。

上告人は佼成病院が適切な治療をしなかったから死亡したと主張します。8月21日に点滴を中止して経鼻経管栄養に切り替えたことは嘔吐を引き起こし、病状を悪化させました。患者の医療を受ける権利が奪われました。

東大病院輸血梅毒事件の最高裁昭和36年2月16日判決は以下のように指摘します。「いやしくも人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照し、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのは、やむを得ないところといわざるを得ない」

医師には、患者を守るために自己になしうるすべてのことをする義務があります。患者の長男が治療を拒否したことは、医師が治療を止めて良い理由にはなりません。

「1940年ライヒ裁判所刑事判決では、医師は患者側の医学的に不合理な治療の拒絶を無視しうるとした。医師の合理的な治療を父親が拒否して、幼児を死亡させた事件では、「父親の行為は監護権の濫用であるから、医師はそれに対して、簡単に退くようなことがあってはならな いのであって、そのような監護権の濫用の結果から子供を守るために、自己になしうるすべてのことをする法的な義務がある。父親が治療に反対したことは、医師の責任を免れしめるものではない。」として、子供の死に対して父親と医師の両方に刑事責任(過失致死罪)を認めた。」(町野朔『患者の自己決定権と法』東京大学出版会、1986年、60頁)

患者や家族と医師には情報の非対称性があります。医師はプロフェッショナルとして、治療をする利益、治療をしないことの不利益を説明しなければなりません。何故、長男が治療を拒否するのか、その理由は一体何なのか。治療をしなければやがて患者が被るであろう苦痛・身体的不利益をどのように説明したのか、肝心なことがカルテには何も書かれていません。

佼成病院は緩和ケアも不十分でした。苦痛緩和の措置は死期を延長するだけの措置には含まれません。苦痛を除き、人間らしい尊厳を保ちつつ安らかな死を迎えられるようにすることが望まれており、ホスピスや緩和ケアに対する関心も広がっています。

佼成病院はインフォームド・コンセントができていません。インフォームド・コンセントとは事情に通じた上での承諾、説明を受けた上での同意です。単に情報を与えるという意味ではなく、その事情によく通じさせるという意味です。医者が患者に治療の内容、目的を熟知させることが必要で、単に告知するだけでは不十分です。異議を申し立てなかったからOKとはなりません。真にメリットやデメリットを理解した上で同意することが必要です。
kosei171026