東京23区で自殺により亡くなった妊産婦の数は2005〜2014年の10年間で63人にのぼる(「10年で63人…東京23区 産後うつ影響か」毎日新聞2016年4月24日)。日本産科婦人科学会などの調査依頼に基づき、東京都監察医務院と順天堂大の竹田省教授が調査した。

出産数に占める割合では10万人あたり8.5人。これは出産時の出血などによる妊産婦死亡率の2倍になる。この人口10万人あたりの自殺者数を自殺死亡率と言う。日本の2014年の自殺死亡率は19.5。日本の15〜34歳の自殺死亡率は17.8人(自殺対策白書2017年版)。さいたま市の2015年の自殺死亡率は15.5。全国や埼玉県と比べると若干低い(さいたま市「平成27年さいたま市における自殺の状況」)。妊産婦の自殺死亡率は相対的に低いが、子どもを生み、育てるという状況の数字としては問題である。

妊産婦の自殺者の内訳は妊娠中の自殺は23人(妊娠2カ月で12人)、産後1年未満は40人(産後4カ月で9人)。出産後に自殺した人の3分の1が産後うつ。「急激なホルモンバランスの変化や慣れない育児へのストレス、疲労などによって、うつまでならなくても体がだるいとかイライラするなどの不定愁訴が増える」(中山美里「妊産婦の死因1位は「自殺」。共感の声が続々 、その内容とは?」BRAVA 2016年4月30日)

「家庭内で「お母さん」と同じだけの働きをする大人を確保すること、出産で思った以上に心身ともに傷ついている産褥婦のケアをしっかり行うことで、産後うつは減らせるのではないか」(kikka303「妊産婦の死因の最多が“自殺”という事実。 初産後に産後鬱を経験した2児の母が思うこと」赤すぐみんなの体験記2016年4月27日)

日本は自殺率が高く、自殺の防止は国の課題になっている。厚生労働省の平成23年度の自殺防止対策事業はフリーダイヤル「自殺予防いのちの電話」、路上パトロール及び自立生活サポートセンターの生活支援による自殺防止対策事業、「グリーフワーク」と「命の授業」を核にした地域における自殺対策モデルの構築事業などが採用された。

このうち、駆け込み寺に近い事業は「自殺企図の恐れのある女性の緊急シェルター事業」である。これはマンションの一室(2DK 定員3名)を自殺企図のおそれのある女性用緊急シェルターとした事業である。平成23年6月17日に最初の入居希望者からの相談があり、平成24年3月31日まで延べ10名が利用。平均滞在日数は17日(最長46日、最短2日)という。