浅草仲見世の家賃値上げが問題になっている。この問題は東急大井町線高架下立ち退きの不誠実を浮き彫りにする。東急電鉄(東京急行電鉄)は高架の耐震工事の名目で大井町線高架下に居住したり、営業したりする住民を立ち退かせた。工事終了後の帰還を認めない。住民追い出しである(林田力『東急大井町線高架下立ち退き』Amazon Kindle)。
浅草寺は浅草仲見世の店舗に家賃値上げを通告した。仲見世は浅草寺の表参道である。雷門から宝蔵門まで約250mの長さである。参道の両側に朱塗りの店舗が並ぶ。下町の活気溢れる商店街である。雷おこしや人形焼き、扇子、髪飾り、模擬刀、キーホルダー、ストラップ、江戸木札などが溢れている。外国人観光客が多く、外国語が飛び交っている。
この仲見世商店街の家賃値上げが話題になっている。これまで家賃の平均は月2万3000円という破格の値段であった。これに対して浅草寺は周辺の賃料に合わせて家賃を設定することを決め、16倍の値上げを求めている。「週刊新潮」では浅草寺が守銭奴というトーンで報道している(「浅草「仲見世商店街」が存亡の機… 浅草寺が“家賃16倍”要求」週刊新潮2017年11月2日号)。
これに対して家賃値上げが公正な市場になるという見方もある。「普通の条件で店舗を借りれば37万円するような一等地を2万3000円で借りることができるのであれば、誰でも商売が出来てしまいます。すべての店がそうではないでしょうが、経営努力を怠るところが増えてきても不思議はありません」(「浅草仲見世商店街の家賃が16倍に値上がりで店側は悲鳴、でも家賃は2万円」THE PAGE 2017年11月1日)
雷門から浅草寺に行く観光客は仲見世を通るため、仲見世は周辺以上に商業的価値があると言え、周辺以上の家賃でも引き受け手がいるだろう。一方で商店主側に仲見世の発展に貢献してきたという面があれば、格安の賃料を正当化する要素になる。
コンビニやチェーン店を入れないということは一つの価値である。それは格安の家賃で既存業者の営業を続けられるようにすることで達成するものではない。それでは新規参入で土産物屋を開業したい人を抑圧することになる。これに対して東急大井町線高架下立ち退きは確実に既存の住民が追い出される。東急電鉄の不誠実は、東急不動産だまし売り裁判と同じである。