【PJニュース 2010年5月3日】第二東京弁護士会綱紀委員会に係属中の弁護士懲戒請求事件において、懲戒請求を受けた対象弁護士側が自ら提出した証拠書類や証拠説明書、上申書を懲戒請求者に閲覧・謄写させないことを求める上申書を提出していた。懲戒請求人側だけが相手方の証拠や上申内容を知らない状態で主張立証を余儀なくされたことになり、反発も予想される。 http://www.pjnews.net/news/794/20100502_7
弁護士懲戒請求では裁判と同じように懲戒請求者と対象弁護士が準備書面や証拠を提出し、主張・立証する。懲戒請求者側が提出する証拠を甲第○号証、対象弁護士側が提出する証拠を乙第○号証とナンバリングする点も裁判での原告・被告と同じである。
この弁護士懲戒請求は業務上知り得た情報(懲戒請求者の信仰)の漏洩や品位を損なう広告宣伝などを理由とし、既に複数回の文書の応酬がなされている。対象弁護士側の上申によって、対象弁護士側が提出した証拠・証拠説明書・上申書については懲戒請求者の閲覧・謄写対象とせず、準備書面については閲覧・謄写用に証拠の引用を削除した版を別に作成した。
対象弁護士側が提出した2010年4月27日付の上申書は閲覧・謄写させない理由を以下のように説明する。懲戒請求者側はインターネット上で懲戒請求書や関連資料を公開している。提出証拠には第三者(A氏)のプライバシーに関する内容が含まれるため、公開によってA氏への損害や対象弁護士の守秘義務違反になる可能性があるとする。 ここには対象弁護士側に非公開を求める理由が述べられているが、懲戒請求者側に証拠を吟味して反論する機会が失われてしまうことへの考慮はない。これが公正な手続と言えるか疑問である。
仮に第三者のプライバシーが閲覧禁止を正当化する理由となるとしても、それで機械的に閲覧禁止とするならば問題である。この懲戒請求事件のA氏は懲戒請求の当事者ではないという意味において第三者であるが、懲戒請求者側が提出した陳述書(甲第17号証)の作成者であり、全く無関係な存在ではない。具体的事実に即してプライバシー侵害になるか慎重な判断が望まれる。
弁護士懲戒制度は権力の不当な介入を避けるために弁護士の自治組織である弁護士会で運用される。このこと自体には一定の意義が存在するが、弁護士同士のかばい合いが横行し、非行弁護士に甘いとの不満も渦巻いている。 公正に判断したか、身内に甘い判断をしたかは主観の問題であり、様々な意見があるだろう。しかし、この懲戒請求事件のように対象弁護士側の上申書によって、懲戒請求者側だけは相手方の証拠や上申書を閲覧できない状態では最初から不公正な条件になってしまう。【つづく】
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者) 
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