諌山創『進撃の巨人(20)』(講談社コミックス、2016年)はウォール・マリア奪還最終作戦を描く。ライナーやベルトルト、獣の巨人らが待ち受け、絶望的な状況である。『進撃の巨人』は巨人に対し、なすすべもない人間という圧倒感が話題の作品である。

物語が進むにつれて人間の反撃も出てくることは当然であるが、巨人そのものが人間の陰謀のような展開になり、圧倒的な絶望感は後退した。しかし、ここにきて再び絶望的な状況になった。知性のない巨人に対抗する術ができても、巨人側も知性で対抗すると厄介である。

ここでは二人の智将に注目である。智将は現状のリソースで可能な解決策を冷徹に導き出す。そのために自分が犠牲になる必要があれば、それも冷徹に導き出す。謎が明らかになっていけば、ますます活躍が求められるところであっただろうが、無念だろう。

この巻の戦いは戦時中の日本の特攻を想像する向きもあるが、同視できないだろう。この巻の戦いは、ここを乗り切って地下室の真実に辿り着くための犠牲である。これに対して旧日本軍の特攻は何の戦略もなく人的資源を無駄にするばかりであった。