政府は第196回国会に不利益事実の不告知の主観的要件に重過失を追加するなどの消費者契約法改正案を第196回国会に提出する見込み。第196回国会2018年(平成30年)1月22日に召集された通常国会で、法案の名称は「消費者契約法の一部を改正する法律案」となる。東急不動産だまし売り裁判原告として不利益事実の不告知の要件緩和を歓迎する。
不利益事実の不告知は消費者契約法第4条第2項の規定で、事業者が利益となる事実を告げながら、不利益となる事実を告げなかった場合に契約の取り消しを認めている。東急不動産だまし売り裁判は、この規定を不動産売買契約に適用したリーディングケースである。東急不動産は「眺望・採光が良好」など環境面の良さをアピールポイントとしながら、隣が作業所に建て替えるという不利益事実を説明しなかった。これが不利益事実の不告知である。
この不利益事実の不告知は事業者が不利益事実を知っていて故意に説明しなかったことが要件である。東急不動産だまし売り裁判では裁判を起こす前に東急リバブル東急不動産に文書で質問し、東急不動産が隣地建て替えを知っていたことを文書として保持していた。このために故意は当然に認められたが、他の消費者トラブルでは故意がネックになることが多い。
消費者委員会消費者契約法専門調査会「消費者契約法専門調査会報告書」(2017年8月)は以下の理由から、不利益事実の不告知の主観的要件に「重大な過失」を追加することを提言した。「問題となっているのは、取消しを認めてもよいはずの場合に、故意の立証が困難であるために、それが必ずしも実現できないという点にあると考えられる。そこで、このような立証の困難に起因する問題に対処するために、不利益事実の不告知の主観的要件に「重大な過失」を追加することが適当であると考えられる。」(4頁)
これは2017年5月26日の消費者契約法専門調査会で議論された。丸山絵美子委員(名古屋大学大学院法学研究科教授)は以下の注文を出した。「利益告知や重要事項が問題となっている場面で、事業者はどういう義務を果たすべきで、著しい不注意とはどういう場合に言えるのか。そこを丁寧に考察して盛り込んでほしい」(「消費者契約法専門調査会/「故意または重過失」に変更か/「不利益事実の不告知」で」日本流通産業新聞2017年6月2日)。
改正案を説明する消費者庁資料では「不利益事実の不告知の要件緩和」と題している。例として「「日照良好」と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを、故意に告げず、マンションを販売」とする。これは東急不動産だまし売り裁判そのものである。
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