アーケードジョイスティック(レバー)の定番というか、一番信頼性が高くコストパフォーマンスの良いレバーといえばセイミツのLS-32であるということに異論を差し挟む余地はありません。ま、実際にメンテナンスを長年やってみりゃ解ることなんですけどね。


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最近、各キャビネットメーカー純正に採用されている三和のJLF-TP-8Yは基本構造に問題があり、長年改良を加えられてはいるのですが、LS-32の足元にも及ばない、というのが現実です。初期モデル(バーチャファイター1に採用されていた奴)には「プレイ時の衝撃でガイドが回転し4方向の入力しか出来なくなる」などというしょーもない欠陥もあったしな。そういう事情もあり、俺が現役のサービスマンであったときには、JLF-TP-8Yを極力使わないようにしておったわけです。


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これはJLF-TP-8Yを分解した時の画像ですがリミットスイッチの端子が直接レバーの軸に触れる設計になっています。このため、スイッチを押し下げたときに生じる端子の隙間からプラスチックの削りカスや皮脂がスイッチ内部に入り込み、接点不良を起してしまうのです。また、入力の際に「遊び」が無いので、例えば右方向に入力して手を離し、ニュートラルに戻そうとすると反動で左方向への入力がされてしまい、シューティングゲームやパズルゲームなどのプレイにおいて深刻な悪影響を与えてしまいます。正直言って、メーカー各社がこのレバーを積極的に採用するメリットがどこにあるのか、俺にはまったく理解できません。ビデオゲームの売上げを本気で上げようと思ったら、LS-32に復権させることが一番の近道だと思うのですよ。操作時に感じるストレスを我慢しながらプレイし続けてくれるお客様など、この世のどこにも居やしねえんですわ。


そういうわけで、不遇にも最近では少なくなってしまったLS-32を取り扱うための手順をまとめておきます。


まずは使用する工具。


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左から、プラスドライバー(2番)、スナップリングプライヤー、シリコングリス、マイナスドライバー(5番ぐらい)。この写真では100円ショップのドライバーが写ってるが、仕事で使う工具は最低でもHOZANやVESSEL等の名前の通ったメーカーのモノを使うように。











シリコングリスはこんな高いものでなくてもオッケー。粘度が高いと入力時のレスポンスが悪くなるので、お客様の反応を見ながら堅さを選ぶと良いだろう。


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レバー軸の後ろにマイナスドライバー用の溝があるので、そこにドライバーを当ててレバーボールの取り付け、取り外しを行う。腕力に自信がない場合は、アクリルプライヤーでレバー軸を挟んでこれらの作業を行うと良い。



IPS ソフトタッチコンビプライヤー 200mm PH-200

IPS ソフトタッチコンビプライヤー 200mm PH-200







ただし、通常のプライヤーやペンチなどでは行わないこと(レバー軸にバリが生じて、お客様に怪我をさせてしまうこともあるので)


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レバー裏側のネジを全て取り外す。ガイドが磨耗している場合は交換する。


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スイッチ部。余談だが、90年代までのLS-32と、現在のモデルとでは、使用しているスイッチが若干異なる。(AM51662C5とAM51662C5N(共に松下電工製))


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スナップリングを外して、軸受け、スプリングガイドを取り外す。スナップリングを開きすぎると元に戻らなくなるので、慎重に行うこと。


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使用しているとスプリングガイド(緑色のパーツ)と軸受け(白色のパーツ)が磨耗してゆくので、磨耗が目で確認できるほど進行している場合には交換する。


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軸受けのグリスが固まってしまっていたり、減っている場合には再度グリスアップする。(写真は新品の状態)


組み付けは逆手順になる。