まあ結局何事につけ「スポンサー(お上)がお金を出したい」ものと「潜在的な顧客ニーズ」が常に合致しているのかと言えばそうではないわけで、その摺り合わせっつーか、データ積み上げて「顧客ニーズ」があるほうに誘導するか、あるいは補助金ゲットを最終ゴールと看做して顧客ニーズを無視するか。

俺の選択は前者であるが、後者の提案も当然するわけだ。どっちが選ばれるかまでは俺の与り知らぬ所なので、まあ、どうなるかは知らん。出すもんだしたら俺の仕事は終わり。

んで、アニメのビジネスモデルの話。

TVアニメっつーのは、基本的に「30分のCF」である。これは、鉄腕アトムの頃からずっと、そう。んで、2大スポンサーが「おもちゃメーカー」と「食品(製菓)メーカー」であった。もちろん、他業種がスポンサーのことも大いにある。大塚製薬とか。でもこれも広義には食品と考えてよい。

で、1980年代後半以降、食品メーカーが次々とスポンサーから降りはじめる。グリコ・森永事件の余波を受け、Zガンダムなどから森永がスポンサーを降りる、ということもあった(これには「単なる視聴率低迷が原因だった」という説もある)。ハウス名作劇場の終焉が象徴的っちゃあそう。この辺がいわゆる「アニメ冬の時代」。あのアンパンマンですら、放映開始時にはスポンサー探しで難儀していたのだ。結局セガ(セガTOYS)がスポンサーになり、セガは大いに潤って現在に至る。その一方で、「セーラームーン」と「(コニーちゃんの)ジャカジャカジャンケン」と「しましまとらのしまじろう」のビデオが幼児を抱えるご家庭向けにバカスカ売れていたり、OVAを北米市場で展開して景気の良いアニメ会社も少しあった。本筋とはあまり関係ないが、当時のセーラームーンのパッケージソフトは「VHSがファミリー向け、LDがマニア向け」の2つのコンセプトでデザインされており、LDの方は大きなお友達向けにお色気たっぷりなジャケットであったりした。

で、「エヴァンゲリオン」で、新たなスポンサーっちゅーか、いわゆる「制作委員会方式」がTVアニメに持ち込まれる。エヴァンゲリオンが真にエポックだったのは、「ロボットアニメでありながらロボットの玩具を売ることが目的でない」事だった。本放送当時、最も売れたエヴァンゲリオンのグッズはLD及びVHSソフトだったし。俺はその頃セガで働いていたが、「エヴァが人気でモノを出したくてもそもそも商品が無い!」という状況に陥っていた(そして、「シャンゼリオン」と「レイアース」の不良在庫の山をTOY事業部から押し付けられて、店長と二人でトホホ笑いをしていた)。セガは、エヴァンゲリオンのメインスポンサーであったのにも関わらず。その後、怒涛のようにエヴァグッズが市場にあふれることになったが、これも、「メインスポンサーが玩具展開を独占しているわけではない」という、それまでの常識では考えられないスキームであったからこそ出来たことだ。(マクロスという例外的な前例はあったにせよ)。

話を戻す。要するに「コンテンツそのもの」を商品として売ることが出来れば、TVアニメと言えども「スポンサーの商品を売るためのフィルム」にしなくても良い、という流れがひとまず出来た。CFではないので、視聴率獲得を狙える時間帯でなくとも良い。スポンサー(広告代理店)が押さえている放送枠にあった企画を売り込むのではなく、深夜枠を買って(パッケージ販売が見込める)魅力的なコンテンツを流せばウハウハだぜ。というのが2006年までの流れ。本当にウハウハだったかどうかまでは知らんけど。

んでまあ、2007年までの結果を受けての2008年。DVDの売り上げが頭打ちになって「やっぱ玩具(関連グッズ)を売るアニメの方が手堅いんじゃね?」という流れになるんじゃないか。知らんけど。「らきすた」なんかは、CFとしての機能以外の価値を俺は見出すことが出来ないし。まあ、そもそも15分(Aパート)しか見てないけどね、らきすた。

そしてもうひとつ。今、放映されているアニメで「アニメオリジナル」のモノって、どれだけある?と考えてみる。ほとんどがマンガ等の原作付き。じゃあ、マンガを映像化(マルチ展開)するときに、アニメってベターな選択なの?

のだめのドラマが視聴率20%取るのに。

深夜アニメで最大値5%を狙うのと、プライムタイムで最低10%以上を狙うのと、コンテンツホルダー(出版社)的により美味しいのはどちらか。間違いなく後者。DVDの売り上げが出資した分戻ってくるなら、アニメの方が良かったね、という話にもなろうが、残念ながら、アニメのDVDは壊滅的に売れてない。そして今は、ドラマのDVDも(主にレンタル向けに)売れるのだし。

そして、舞台(ミュージカル)というフォーマットもけっこう「美味しい」事がわかった。アニメに比べて、手軽であるという利点もある。ナマモノ(ライブ)なので、リアルタイムで軌道修正が出来る、というのが最大の強み。

じゃあ、「アニメの利点」って、何?

これまでは「アニメは忠誠心の高いユーザーが居るので、手堅い収益が望める」というアドバンテージがあった。しかし、今はそれがすでに無い。日本のオタクは自分の性欲を満たしてくれる同人誌には喜んで金を払うが、オリジナルコンテンツには価値を見出してくれない。海外ではまだ事情が違うかもしれない、ということで「日本展開をしないオリジナルアニメ」の可能性を模索しはじめたフィルムメーカーも現れた。

このままではコンテンツホルダー(出版社)とスポンサー(出資者)双方から、アニメ(日本のアニメ市場)に見切りを付けられてしまうかもね。そうなる前に、DVDを買ってあげなさいよ、他ならぬあなた方「アニメファン自身」のために。

というのがエントリの主旨であったが、ご理解いただけなかったようなので、蛇足的に補筆する。

あと、大口のスポンサーとしてぱちんこメーカーの台頭にも本来は言及せねばならないのだろうが、この辺は大人の事情が絡みすぎるので俺は言えません。