『「何ごとをなすにも時というものがある。時、それは人間の力を超えた、

目に見えない大自然の力である。いかに望もうと、春が来なければ桜は咲かぬ。

いかにあせろうと、時期が来なければ事は成就(じょうじゅ)せぬ。

冬が来れば春はま近い。

 桜は静かにその春を待つ。

それはまさに、大自然の恵みを心から信じきった姿といえよう。 

わるい時がすぎれば、よい時は必ず来る。

あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。

時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。

だが何もせずに待つことは僥倖(ぎょうこう)を待つに等しい。

静かに春を待つ姿は、一瞬の休みもなく力をたくわえている。

たくわえられた力がなければ、時が来ても事は成就しないであろう。

 時を得ぬ人は静かに待つがよい。

大自然の恵みを心から信じ、時の来るを信じて、着々とわが力をたくわえるがよい。

着々とわが力をたくわえる人には、時は必ず来る。時期は必ず来る。

待てといわれればなおあせるのが人情である。

だが、自然の理はわがままな人情には流されない。

冷たいのではない。静かに時を待つ人には、

暖かい光を注ぐのである。おたがいに時を待つ心を養いたい』

                    (「道をひらく」PHP研究所刊より )

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心 2019.8.2103

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