クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

アダム・フィッシャーの来シーズン(2)

昨日に続いてアダム・フィッシャーの来シーズンのスケジュール。

2019年2月
来年2月はウィーンフィルとのリハーサルとツアー。3月のカーネギーホールを加えると3種類のプログラムを指揮することになり、リハーサルもかなりたくさんになる。ツアーは17日のリヨンで始まり、19日がアントワープ、20日がロンドン。この3公演はマーラー9番。そのあと23日と24日はウィーンの定期で26日がアムステルダム。このプログラムはハイドン97番、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲、モーツァルトのジュピター。

2019年3月
3月2日と3日にはウィーンフィルのカーネギー公演。2日はベートーベンのレオノーレ3番、バルトークの「二つの映像」、ベートーベンの「エロイカ」。3日のプログラムはウイーンの公演と同じ。
その後はウィーン国立歌劇場の「薔薇の騎士」。21日・24日・27日・30日の4公演あるが、21日はウィーンでの1000回目の公演でネット中継される。

2019年4月
4月5日・7日・8日にはトーンハレでデュッセルドルフ交響楽団の定期演奏会。プログラムはハイドンの95番とマーラー2番。その後23日・26日・29日にウィーン国立歌劇場の「フィデリオ」

2019年5月
2日までウィーンの「フィデリオ」があり、その後はデンマーク室内管のヨーロッパ・ツアー。13日・14日がグラーツで、15日にはウィーンの楽友協会。さらにもう1公演ブダペストのリスト音楽院であるはずなのだが、これはまだ発表になっていない。プログラムはモーツァルトのプラハとヴァイオリン協奏曲、ベートーベン4番。その後にはウィーン国立歌劇場のデュッセルドルフ・トーンハレ客演で「フィガロの結婚」。

2019年6月
6月は恒例のワーグナー・デイズ。2019年は「ニーベルングの指環」2サイクルで、13日から16日が第一サイクルで、20日から23日が第二サイクル。

2019年7月
ブダペストの後はミラノスカラ座でのサリエリとプッチーニ「ジャンニスキッキ」の新制作。オーケストラはスカラ座アカデミーで、6日・8日・10日・15日・19日の5公演。

2018−19シーズンはコンサートが36回、オペラが38回でトータル74公演。

アダム・フィッシャーの来シーズン(1)

8月も半ばになり、もう間もなく新しいシーズンが開幕する。ファンクラブ・サイトにはアダム・フィッシャーの公演カレンダーを掲載していたのだが、プログラムが動かないのでとりあえずこの日記で紹介することにした。

2018年8月と9月
新シーズンの最初の演奏会は8月31日のラインガウ音楽祭。エンライトメント管の公演でプログラムはハイドンとモーツァルト。

9月7日・9日・10日にはデュってルドルフ響の定期演奏会でハイドンの「天地創造」を演奏する。9日の午後には子供向けの演奏会もある。その合間の9月8日にはボンのベートーベンフェスト。オーケストラはエンライトメント管だけど、ラインガウ音楽祭とは少しプログラムが異なる。

また、9月15日にはハンブルグのエルブフィルハーモニーでのウィーン国立歌劇場公演。演目は「フィガロの結婚」

2018年10月
9月29日、10月2日・6日・9日・13日・18日・22日・25日にはミラノスカラ座でヴェルディの「エルナーニ」。その間の10月10日・12日・15日にはスカラ座オーケストラの演奏会で「天地創造」を指揮する。

2018年11月
ウィーン国立歌劇場の「ドン・ジョバンニ」が11月14日・16日・18日の3公演。さらにデンマーク室内管との演奏会が11月25日。プログラムはベートーベンの第九で、そのあとレコーディングがある。

2018年12月
12月15日・18日・22日・26日・28日。30日にウィーンで「魔笛」。

2019年1月
元旦恒例のブダペストでのニューイヤー・コンサートの「天地創造」に続いて、1月11日・12日・13日はデュッセルドルフ響の定期演奏会でマーラー9番を演奏。そのあと同じプログラムでスペインで5公演ある。

来年の2月から7月までは明日に掲載する予定。

ザルツブルグ音楽祭の「ポッペアの戴冠」

ザルツブルグ音楽祭は毎年複数の演目を新しく制作するが、日曜日にはモンティヴェルディのバロックオペラ「ポッペアの戴冠」のプレミアがあった。ただ演出に関してはあまり好評ではないらしい。

オランダのダンス演出家であるヤン・ロウアースが演出、振り付け並びに舞台デザインを担当した作品は、前衛的な舞踏とバロックオペラが融合させたものらしいが、オペラというよりはむしろダンスに音楽を無理やりつけたようなものという批評。だから終演後のお客さんの反応も芳しくなく、喝采もブーイングも少なかったらしい。

でも音楽面のキャストは好評で、ポッペア役のソニア・ヨンチェーヴァとネロ役のケイト・リンジーには暖かい拍手があった。バロック・アンサンブル「Les Arts Florissants」をチェンバロを弾きながら指揮したウィリアム・クリスティに対しても拍手は大きかった。オーケストラはピットできなく舞台の上で演奏し、物語の一部という設定だったみたい。

バイロイト市がベテラン音楽祭職員らを表彰

音楽祭も中盤に差し掛かっているバイロイト市が、長年音楽祭に関係している職員を表彰した。このイベントはバイロイト市主催のもので、音楽祭を支えている人に感謝することを目的としている。式典は13日の月曜日に市内のヴァン・フリート荘で行われた。

表彰の対象になった人の中でもっとも有名な人はプラジド・ドミンゴ。1992年に「パルジファル」のタイトルロールでデビューして以来、ジークムントなどの役を歌った。そして今年は指揮者として「ヴァルキューレ」を担当した。

また、指揮者のアクセル・コーバーは5年連続バイロイトで指揮しているので、0.5リットルはいるビアマグをもらったのだそうだ。

それ以外に表彰の対象になった人は歌手、オーケストラ奏者、合唱団員、舞台技術者、ステージ・デザイナー、役者、照明デザイナーなどいろいろな部門に及ぶ。

ブダペスト芸術宮殿ムパへの行き方

来年ワーグナー・デイズでニーベルングの指輪の鑑賞を考えている方のための旅行案内、今日は会場までの行き方について。この音楽祭はブダペストのオペラ座ではなく、市内南部のMuveszetek Palotja、略してMupaで開かれる。日本語に訳すと芸術宮殿。ここにはバルトーク国立コンサートホールと少し小さなフェスティバル・シアター、さらにルードヴィッヒ博物館が入っている。すぐ隣には演劇を上演する国立劇場があり、周辺はミレニアム文化センターと呼ばれている。

市内中心部のホテルなどから会場に行くにはいくつかの方法があるが、一番わかりやすいのが2番の市電でMupa - Nemzeti Szinhazまで。終点の一つ手前で市内からの電車の右手に建物が見える。

それから市内の環状に走る市電の1番でも行くことができる。これだとKozvagohidという駅で降りると、建物のすぐ横に到着する。駅のすぐ前には楽屋口があるが、もちろんお客さんはそこから入ることはできない。建物に沿って正面に回ることになるが、2番の市電よりは近い。

一番わかりやすく、建物のすぐ裏側に到着する方法はHEVという郊外に向かう電車を利用する方法。これはBoraros ter駅から10分間隔で発車していて、最初の駅がMupaのすぐ裏側にある。駅から建物までは市電よりも近いので、夏の暑い時期に歩く距離が少なくてすむ。Boraros ter駅は4番か6番の市電で行くことができる。

因みにバイロイト祝祭歌劇場とは異なり、最新の建築なので空調は効いている。それにバイロイトのように盛装必須というわけではないので、ふつうの演奏会の服装で大丈夫。遠くから来たお客さんはドレスアップしている人もいるけど、暑いのでノー・ネクタイのシャツとジャケットというのが普通。もっとカジュアルな人もいる。バイロイトやザルツブルグよりずっと気軽。

コンツェルトヘボウの代役探し

ガッティ解任に伴うコンツェルトヘボウ管の代役指揮者探しは大変そうだけど、最初のいくつかの演奏会については見つかったらしい。

コンツェルトヘボウ・オーケストラは8月23日にアムステルダムで最初の演奏会があり、9月初旬にルビリアーナ、ベルリン、ルツェルンと同じプログラムでツアーがある。この演奏会はマンフレット・ホネックが指揮することになった。曲目はウェーベルン、ベル具、ワーグナーとブルックナー。

9月6日のルツェルンのもう一つの演奏会は名誉指揮者のベルナルト・ハイティンクがマーラー9番を指揮する。9月1日にも同じプログラムでキプロスで演奏会があるが、こちらは英国人指揮者のケーレム・ハサンが担当する。

9月14日のシーズン・オープニング・コンサートは昨年同様トーマス・ヘンゲルブロックがベルリオーズとメンデルスゾーン、キーシン独奏によるリストの協奏曲を指揮する。

コンツェルトヘボウのサイトを確認したところ、金曜日の時点では以下の演奏会の指揮者が空欄になっている。

9月19日から23日、ブルックナー3番
10月24日・25日・28日、リヒャルト・シュトラウス、ベルグ、ツェムリンスキー
11月1日・2日・3日、ブラームス交響曲2番他
1月24日・25日・27日、モーツァルト交響曲40番とブラームス交響曲4番
1月30日・31日・2月1日、ベートーベンピアノ協奏曲5番、シュトラウス「英雄の生涯」
3月6日・7日・8日、マーラー7番

アダム・フィッシャーは人が良いので困っているオーケストラからの頼みは断れないので、急な代役を引き受ける業界のお助け人指揮者としても知られている。だからマネージャーのところにはコンツェルトヘボウから問い合わせが来ていると想像する。アダムのスケジュールと比較すると11月と1月の公演はもしかしたら可能かもしれない。ただ新シーズンはウィーンフィルのツアーとスカラ座の新制作2つで忙しいので、どうなるかは不明。

フィルムオーケストラ・バーベルスペルグの危機回避

ベルリンにはベルリンフィル以外にもコンツェルトハウス管、放送交響楽団、ベルリン交響楽団などたくさんのオーケストラがある。その中でもちょっと異色なのがフィルムオーケストラ・バーベルスベルグ。正確に言えばベルリンではなくブランデンブルグ州のポツダムにあるオーケストラだけど、夏の野外コンサートなどではベルリンで演奏する。

このオーケストラはその名の通り、映画音楽の録音が主力のオーケストラで、映画撮影所の近くに特別のスタジオを所有している。このスタジオは2007年に建設され、高度な録音装置を所有していることで有名なのだが、そのすぐ近くに6階建てのビルが建設されることになった。この工事は1年半かかるのだが、この間は騒音のために録音ができない。だからフィルムオーケストラのマネージャーは新しい仕事の受注をキャンセルし、さらに所属の音楽家も冬には解雇せざるを得ないと発表していた。

この話を聞いたブランデンブルグ州の文化担当相が支援を約束し、オーケストラ側は大分希望が持てそうな状況になってきた。それ以外にも建設プロジェクト側も経済的な支援を約束するとともに、レコーディングのスケジュールを考慮して工事の日程を立てるなど、協力することを約束している。

バーベルスペルグはベルリンとポツダムの間にあり、ドイツの映画産業の重要な場所として知られている。映画アカデミーもあるしテーマパークも併設されているのでベルリンの人気観光地の一つだ。フィルムオーケストラは1993年に二つのオーケストラが合併する形で結成され、映画やテレビの音楽やクロスオーバー・プロジェクトなど220以上の録音プロジェクトを完成させている。

ベルリンの熱波

関東地方でも気温が40度近くまで上昇したらしいけれど、ベルリンも今年はとても暑い。天気予報の数値では今日は36度。ドイツの建物は冷房が効くとは限らないので大変だ。

環境汚染に厳しいドイツではグリーン・オフィス認定という制度があり、省エネ基準を満たしている企業には税金などで優遇される。勤め先の事務所もグリーン・オフィスなので冷房が効かない。

何でも規制したがるドイツ人だからオフィスの温度についても規定がある。それによれば、室温が26度を超えたら気温を下げる対策を取る必要がある。対策というのは冷房とは限らない。朝のうちに窓を開けて冷たい空気を取り入れるとか、ブラインドで直射日光を避けるなど。室温が30度を超えたらさらに踏み込んだ対策が必要で、35度以上の場合は仕事に適さないので、代替場所を用意する。昔は26度と30度の規定しかなかったのだが、温暖化で室温が30度を超えることも多くなったので、35度の規定ができた。

職場では熱くなると文句を言う人がいるのだが、一過性で涼しくなると忘れ去られてしまう。だから毎年同じことの繰り返しで、夏の平均室温はもとより30度を超えた日が何日あったのかも覚えていない。

2年前に従業員代表と雇用者の合意として数か所の室温測定ポイントを設定し、その値を公式室温とすることが決められた。昨年は冷夏だったのだが、今年は暑いので室温測定の重要性が増した。

ブダペストの公共交通手段

来年のブダペスト・ワーグナー・デイズに行く方向けの旅行案内、本日は公共交通機関について。

空港からホテルまではタクシーやミニバスを使うこともできるが、街の観光や音楽祭の会場である芸術宮殿までは公共交通機関を利用することになる。バス、市電、地下鉄はすべて共通のチケットで、地下鉄の駅なら自動販売機がある。表示画面の下の方に国の国旗がでているので、ハンガリー語がわからなくても大丈夫。「ニーベルングの指輪」なら最低でも5日間滞在することになるので、1週間チケットを買った方がお得。以前に書いたように空港の到着ロビーにもカウンターがあり、ここでも買える。ただし空港から中心部までのシャトルバスは1週間チケットはカバーしないので要注意。

バスも頻繁に走っているのだが、行先がわかりにくいのが問題。その点市電や地下鉄は路線図が出ているので安心だ。市電の2番は芸術宮殿に行くとき以外にも、観光にも活躍する。この路線はドナウ河沿いを走っていて、国会議事堂や中央市場などの近くを通り、芸術宮殿まの一つ先まで行く。だから到着初日でまだ街になれないなら、2番の市電沿いを観光するのがおすすめ。オペラが終わった後この市電で北上すると、ライトアップされた鎖橋など夜景が美しい。

ブダペストの地下鉄は4本あるが、一番新しい4号線は数年前に一部路線が開通した最新のスタイルだけど、オペラ座の前を通る1号線はヨーロッパ大陸で最初に開通したものなので、古いミニチュア電車みたいな車両でとてもレトロ。1号線は中心部のデアーク広場からオペラ座を通り、リスト博物館やコダーイ博物館などが沿線にある。だからクラシック愛好家の観光には便利。これに対して4号線は温泉プールで有名なホテル・ゲレルトの前に駅がある。

ブダペストの公共交通のトリップ・フランナー・サイトはこちら

ザルツブルグ音楽祭の「スペードの女王」

コンツェルトヘボウ・オーケストラのガッティ解任は突然で一方的だったので波紋が大きいけれど、その前任のマリス・ヤンソンスはザルツブルグ音楽祭で「スペードの女王」が好評だった模様。

ヤンソンスはどちらかと言えばコンサート指揮者だけど、今年はザルツブルグ音楽祭でチャイコフスキーの「スペードの女王」の新制作を担当した。オーケストラはもちろんウィーンフィルで、そのプレミアが日曜日にあった。

オーケストラと合唱団にはもちろん大きな喝采があったが、歌手陣も素晴らしかった。とりわけゲルマン役を歌ったアメリカ人ブランドン・ヨヴァノヴィッチとリーザ役のロシア人ソプラノ、エフゲニアムラヴェーヴァへの喝采が多かった。さらに「ニーベルングの指輪」のエルダやフリッカで有名なコントラアルトで、この8月に75歳になるハンナ・シュヴァルツ にも盛大な拍手が送られた。

演出はハンス・ノイエンフェルス。従来の破壊的なイメージとは大違いの伝統的な演出で、歌手や指揮者と同様の喝采を受けていたとの事。この公演にはメルケル首相ら有名人も多数招待されていたとか。

ブダペストの民泊施設

夏の音楽祭はまだ続くものの、オペラの新制作は一段落してこの週末は話題が少ない。そこで来年のブダペスト・ワーグナー・デイズに行く方のための旅情報。

観光地のブダペストはホテルの数も多いけれど、市内中心部で交通の便の良いところになると値段が高い。でもハンガリーは昔から個人の家の空いている部屋を旅行者に貸す民泊が発達していて、booking.comなどインターネットでも予約できる。

民泊施設は自宅の空き部屋を貸すタイプもあれば、家具付きのアパートを日割りで貸すタイプもある。アパート・タイプはベッド以外にソファやキッチン設備も整っているので、人数が多い方が得ではある。朝食やハウスキーピングは無いけれど、調理もできるので食費節約にもなる。

ただ問題はチェックイン。ホテルのようにフロントで24時間チャックインを受け付けるわけではない。基本的に個人が運営しているので、到着時刻を家主と相談して鍵を受け取る手続きが必要。過去にいくつか泊まった経験からすると、チェックインの手続きは一律ではない。

複数の物件を管理する事務所を訪ねるタイプが一番楽。事務所の営業時間内ならだれかがいるので比較的フレキシブルにチェックインできる。ただ営業時間外の到着は事前のアレンジが必要。それに事務所とアパートが同一住所とは限らないので、事前に確認する必要がある。

あらかじめ家主と到着時刻を相談しておいて、アパートで待ち合わせすることもある。ホテルと異なり目印がないから、アパートを探すのも結構時間がかかる。それに家主が同じ建物に住んでいるとは限らないから、予定時刻に合うことができない場合もある。ただ携帯電話があれば空港から家主に電話することもできる。

予約時の確認メールに暗証番号が書いてあり、その番号を入口のキーパッドで入力すると鍵が開くシステムのアパートもある。この方式だとチェックインの時間が遅くなっても大丈夫だけど、暗証番号は頻繁に変更しているとは限らないから、セキュリティは注意した方がよいかもしれない。

民泊施設は家主とのコミュニケーションが大切なので、ハンガリーでも使える携帯電話は必須。


インターナショナル・ユース・オーケストラ・フェスティバル

日本も熱波で気温が上がって大変らしいけれど、ドイツも今週は暑い日が続いている。ベルリンぶも33度を超える暑さ。日本に比べると湿気が少ないのけれど、多くの場所は冷房が無いので、日本とは異なる大変さがある。

そんなベルリンは現在夏休み期間なので、目立ったコンサートはない。でもコンツェルトハウスでは、インターナショナル・ユース・オーケストラ・フェスティバルが開かれている。これはEU諸国、カナダ、アフリカなどからユース・オーケストラを招いて日替わりで演奏会を開くイベント。ユース・オーケストラだから技術的には未熟かもしれないが、プログラムは結構凝っている。ベートーベンやチャイコフスキーなどの定番でプログラムを組む団体もあるけれど、メシアンやブルックナー、ストラヴィンスキー、バルトークなど難しそうな曲が並んでいる。

クラシックだけでなくジャズオーケストラも参加しているし、今年はバーンスタインのメモリアルイヤーなので、最終日のシュレスヴィッヒ・ホルスタイン・フェスティバル・オーケストラはオール・バーンスタイン・プログラムを組んでいる。

この音楽祭は8月20日までベルリンのコンツェルトハウス大ホールで開かれている。詳しくはこちら

コンツェルトヘボウ管がガッティを解雇

ヨーロッパのオーケストラの多くは夏の休暇に入っているけれど、ちょっとビックリしたニュースがあった。世界を代表するオーケストラであるアムステルダムのコンツェルトヘボウ・オーケストラが、シェフのダニエレ・ガッティを解雇した。

事の起こりは7月26日付のワシントン・ポストの記事で、クラシック音楽界のセクシャル・ハラスメントについて告発したもの。クラシック音楽の世界は師弟関係など個人的なつながりがキャリアに影響を与えることもあり、ハラスメントの土壌になっているとレポートしている。その中の例として取り上げたのがガッティで、1996年当時34歳だったガッティに24歳のソプラノが個人レッスンを願ったところ、楽屋に入るや否や抱きしめられてキスされたとか。さらにガッティはその4年後にも別の歌手との間で同様の事件を起こしたと報道されている。どちらも公にすれば歌手の将来に傷がつくということで、当時は公表しなかった。

ワシントンポストは被害者である歌手二人と事件当時その一件を相談したという友人らに取材して記事にした。ガッティ自身はそれらの件を否定しているが、過去に接した女性が不快に思ったなら謝罪する、という声明を発表した。

これを受けてコンツェルトゲボウ・オーケストラは女性団員らに聞き取り調査を行ったところ、オーケストラのシェフという立場上好ましくない行為があったということでオーケストラがガッティを解雇した。ガッティ側は身に覚えがないとして争う可能性を示唆している模様。

新シーズンにガッティが指揮する予定だった演奏会は別の指揮者が担当することになるが、現時点では詳しいことは発表されていない。

ドミンゴに対するブーイング

プラシド・ドミンゴと言えば3大テノールの一人だし、世界中で称賛される大スターだけど、188年ぶりに戻ってきたバイロイトではブーイングの洗礼を受けたみたい。

プラシド・ドミンゴは今年のローエングリンでオルトルートを歌ったワルトラルト・マイヤーとともに18年前の「ワルキューレ」でジークムントとジークリンデのペアとして出演している。この年はたしかユルゲン・フリム演出のミレニアムリングの最初の年で、前総監督ウォルフガング・ワーグナーとの確執が原因という噂でドミンゴとマイヤーを含むプレミア出演者の多くが翌年には交代してしまった。今年18年ぶりにマイヤーとドミンゴがバイロイトに再登場したのは、当時のわだかまりを解消するという意味もあったのかもしれない。

マイヤーのオルトルートはさすがに全盛期ほどの声の張りは無いにしても、出演者の中でも最も喝采を受けていたが、どうやらドミンゴに対してはブーイングも出たらしい。もっともドミンゴのバイロイト再登場と言っても歌ではなく「ワルキューレ」の指揮者としてだから、同等には扱えないけど。

バイロイトの地元紙ともいえるノルトバイエリッシャー・クーリエ紙などが批評を載せているのだが、全体的にテンポが遅く、音楽の流れを妨げているのだそうだ。ジークムント役のステファン・グールドが素晴らしい声で「ヴェールゼ」と叫んでも、オーケストラがジークムントの苦しみや絶望を表現しないので、感動がない。ジークリンデ役のアンヤ・カンペはじめキャストはトップレベルで素晴らしいのだが、ドミンゴの指揮に対しては第1幕が終わった後からブーイングが出たのだそうだ。

「ワルキューレ」は昨年までサイクルで上演していたカストルフ演出のもので、お客さんに好評とは言えないのだが、新制作時に指揮したキリル・ペトレンコに演奏に比べると遅くて緊張感がないと酷評する記事が掲載されていた。

スター・テノールに対してもバイロイトの聴衆は手厳しかったようだ。

ミュンヘン・オペラ祭は98パーセント以上の入場率

ドイツは州ごとに夏休み開始時期が異なるのだが、毎年一番最後に夏休み入りするバイエルン州は7月最終週までオペラ座は休みにならない。バイエルン国立歌劇場では6月24日から約1か月「ミュンヘン・オペラ祭」として約70の特別公演を実施している。

バイエルン国立歌劇場によれば、今年はオペラ祭として70の公演を行い、83500 枚のチケットを販売したのだそうだ。有料入場率は98パーセント以上。野外のスクリーンに生中継する「オペラ・フュア・アレ」には16800人の入場者があり、ヨナス・カウフマンがタイトルロールを歌った「パルジファル」を楽しみ、野外コンサートには5800人が集まった。

来シーズンの最初の新制作は11月23日のヴェルディ「オテロ」で、指揮はGMDのキリル・ペトレンコ、ヨナス・カウフマンとアンヤ・ハルテロスの二人が出演する予定。

ザルツブルグ音楽祭の「サロメ」

ザルツブルグでは大ホールでの金曜日の「魔笛」プレミアに続いて翌日にはフェルゼンライトシューレでリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」の新制作初日があった。二日連続でプレミアとはさすがに大規模な音楽祭だ。

新聞批評をいくつか読んだ限りでは、サロメ役のリトアニア人ソプラノAsmik Grigorianが素晴らしかったとの事。もちろんフランツ・ウェルザーメスト指揮のウィーンフィルの表現力は称賛に値するが、グリゴリアンの舞台上での存在感がこの作品の最も重要な要素だったそうだ。

フェルゼンライトシューレの舞台の後ろの岩壁をうまく利用した舞台装置による演出は結構グロテスクみたいで、袋に入れられた死体が出てくる。ラストシーンも首を切られたヨカーナンの死体を椅子に座られて、その膝の上に乗ってサロメが歌う。その足元にはヨカーナンの首が転がっているのだが、これが馬の頭という気持ちの悪さ。

「魔笛」は子供も喜ぶメルヘンとサーカスの世界だけど、この「サロメ」は大人のためのグロテスクな演出らしい。

ザルツブルグ音楽祭の「魔笛」

バイロイト音楽祭は「ローエングリン」以外の演目の批評が新聞に掲載されているが、ザルツブルグ音楽祭も「魔笛」の新制作初日が金曜日に上演され、ニュースになっている。これにはオーストリアのクルツ首相がイギリスのメイ首相を招待したのだそうだ。

「魔笛」といえば子供むけのジングシュピールとしても知られている。チケットが高額なザルツブルグ音楽祭に子供を連れて行く人がどの程度いるのかはしらないが、今年の「魔笛」もメルヘンチックな演出。時代は第1次大戦直前で、主人公は3人の子供たち。ドイツ語のセリフは大幅にカットし、3人の少年のおじいさんがナレーターとして説明するのだそうだ。なんだかまるでナルニア物語みたい。

演出のリディア・シュタイアーは魔笛の世界をサーカスに仕立てたらしく、パミーナは的に縛り付けられていて、モノスタトスがナイフを投げる。そこにザラストロが出てきて魔法でパミーナを一時的に救うのだそうだ。

演出に関しては子供も喜びそうだし、大人も秘められた意味を見つけることができるとなかなか好評だ。ただ歌手のなかには調子のよくなかった人もいたらしく、音楽面では今一つの批評が多い。

バイロイトの「ローエングリン」批評

バイロイト音楽祭「ローエングリン」の新制作初日の批評が数多くの新聞に掲載されている。夏の次期は通常のオペラ座が休みになり、その代わりに各地で音楽祭が話題の中心だけど、さすがにバイロイトは話題の中心で、ドイツ語の新聞はもちろんだけど、ニューヨーク・タイムスなどの英語の新聞も批評を真っ先に掲載している。

批評記事を総括すると、音楽面ではティーレマンの元、とても素晴らしい公演だったらしい。もっとも盛大なカーテンコールを受けたのは、18年ぶりにバイロイトに登場したオルトルート役のワルトラルト・マイヤー。それから指揮者ティーレマンにも喝采が多かった。全体的に歌手はよかったのだが、トマス・コニーチェニは調子が良くなかったみたいで、歌うより怒鳴る方が多かったという批評。

バイロイトの新制作は演出が話題になるのが普通だけど、今年は演出そのものよりも舞台美術の方が話題になっている。というのも演出のユーバル・シャロンが選ばれるずっと前から舞台美術のネオ・ラウフとローザ・ロイの夫妻が決まっていて、演出家は舞台コンセプトを変更することができなかったから。

青を基調にしたメルヘンチックな舞台で、登場人物は羽の生えた蛍らしい。ローエングリンは害虫駆除業者ではなくて発電所の技術者らしい。たしかに発電所の力は蛍の光とは比較にならない。それだけ強力だということなんだろう。

舞台美術を尊重した演出らしく、1幕と2幕は特に目新しい解釈は無いみたい。ただ3幕の前半でローエングリンがエルザを縛り付けようとするが、エルザが名前を問うことにより自由になる。ラストシーンも登場人物のほとんどが死んでしまうのに、エルザは弟とともに生き残る。この辺がシャロンのフェミニスト解釈なのかもしれない。

全体的に舞台はきれいだし、保守的な人にも革新的な人にも何かしら共感できるものがある。だから来シーズン以降手直しすると良い舞台になるかもしれない、というのが多くの批評で共通している。

ハイドン音楽祭中止

ヴィーナーツァイトゥング紙によれば、1986年からオーストリアのアイゼンシュタットで9月初めに開催されていたハイドン音楽祭がは今年は開催しないし、将来の見込みも立たないらしい。

アイゼンシュタットはハイドンが40年近く住んだ街で、市内にあるエステルハーツィー宮殿にはハイドンが演奏したハイドンザールがある。ハイドン音楽祭はこのハイドンザールをメイン会場としてハイドンの作品を演奏することを目的に、1986年から開催されている。1988年からはワルター・ライヒャー氏がインテンダントに就任し、ハイドンの演奏で名高い団体を各地から招聘して国際的な音楽祭となった。

ところが宮殿の持ち主であるエステルハーツィー財団とブルゲンランド州の関係が悪化し、音楽祭はハイドンザールを利用できなくなった。だから昨年はリストの生地ライディングのホールなど、州内のいくつかの場所で開催した。でもブルゲンランド州の文化担当は今年についてはなにも決定せず、音楽祭を継続するのか中止するのか、公表されなかった。ヴィーナーツァイトゥングがライヒャー氏に確認してやっと今年は開催しないことを認めた。ライヒャー氏の任期は2020年まだなんだけど、来年以降復活する見通しも立っていない。

音楽祭を支えていたアダム・フィッシャーはもちろんこの状況は知っていたのだけれど、それにしてもブルゲンランド州政府の対応はひどい。エステルハーツィー財団が9月にヘルプスト・ゴルドという音楽祭を開催しているので、こちらに乗り換えるつもりらしい。ただしこの音楽祭はジャズやポップスなども含み特にハイドンとは規定していないので、州政府が支援する代わりにもう少しハイドンをプログラムに入れるということみたい。

30年近く続いた音楽祭で芸術的にも高く評価されていたのに、政治家と資産家の争いであっさりなくなってしまうというのは、やっぱり不当だと思う。

バイロイト音楽祭開幕

本日バイロイト音楽祭が開幕した。毎年オープニングには入口の前に赤い絨毯を敷き、有名人が到着するたびに報道陣や地元の野次馬が写真を撮る風景でおなじみ。毎年の行事だけど地元のバイエルン放送はもちろんドイツの全国ニュースでも報道される。ちなみにバイエルン放送は音のみならず映像もネットで生中継していたので、第3幕のみ観た。

もともと今年の「ローエングリン」は演出家より舞台装置と衣装の方が話題なんだけど、3幕だけ見るとたしかにメルヘンチック。どうも擬人化した昆虫の世界での物語みたいで、ローエングリンもエルザも羽が生えている。どうやら登場人物は蛍で、男性の羽は大きく背中が光っている人もいる。最後はローエングリンはまるで害虫駆除業者みたいな服で登場し、ラストシーンはエルザとオルトルートを残して擬人化した虫たちはみな死んでしまう。

3幕だけだと何が何だかわからないのだが、バイロイトでは珍しく演出チームにも喝采が多く、なかなか好評みたい。オンデマンド放送があったら最初から観てみよう。

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