クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

ウィーン国立歌劇場の2018−19シーズン発表

本日の現地時間で12時からウイーン国立歌劇場の来シーズンのプログラムが発表された。来シーズンの新制作は以下の6作。

ベルリオーズ「トロイ人」、2018年10月14日
Johannes Maria Staud – Durs Grunbein "DIE WEIDEN"、2018年12月8日(世界初演)
ドニゼッティ「ラメンモールのルチア」、2019年2月9日
Manfred Trojahn "OREST"、2019年3月31日(ウィーン国立歌劇場初演)
リヒャルト・シュトラウス「影の無い女」、2019年5月25日
ヴェルディ「オテロ」、2019年6月20日

レパートリー公演は「ニーベルングの指環」を1作と数えて41作。この内アダム・フィッシャーは「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「薔薇の騎士」「フィデリオ」の17公演。「魔笛」以外の3演目はライブ・ストリーミングがある。

ウイーン国立歌劇場の来シーズンのハイライトはこちら

ウィーンフィルのスケジュールはまだ発表されていないけど、多分ツアーの前にウィーンでコンサートがあるのではないかと思う。

ウィーンフィルのサイトを見て驚いたのだが、往年のホルン奏者のギュンター・へグナー氏が亡くなったそうだ。享年75歳。

今週の金曜日にはベルリンの交通網が混乱

ベルリンも大分暖かくなり、旅行を楽しむのに良い季節になってきた。でも今週の金曜日には交通が混乱する事が予想されるので旅行者は要注意。というのも、本日警察が発表したところによれば、ベルリンの中心部で第2次大戦中の爆弾が発見され、その撤去のために付近は強制避難の対象になり交通も遮断されるから。

終戦から70年以上経っても、ドイツでは不発弾がたくさん残っていて、工事現場で発見されて撤去のために周辺住民が避難することは結構多い。数日前もブラウンシュヴァイクで爆弾が見つかってコンサートが中止になったし、去年の夏のフランクフルトの爆弾撤去では6万人が強制避難の対象となった。ベルリンの警察も、この程度の爆弾処理は年に2‐3回はあると説明している。

でも今回の爆弾処理は場所が問題だ。見つかったのはベルリン中央駅から数百メートルで、半径800メートルの避難対象区域にはベルリン中央駅と周辺の路線が含まれる。処理は朝9時から始まりいつ終るかわからない。この間中央駅は閉鎖され、全ての電車およびバスは中央駅を迂回するか運行停止になる。作業中の振動を抑えるためにテーゲル空港も離着陸が制限される可能性がある。

ベルリン中央駅は首都の最大の駅だから、多くの長距離電車の通過駅になっている。だからここが閉鎖されれば地方に向かうICEなども軒並み遅れる。そうなると混乱はベルリンのみならず各地に波及することになる。

中央駅以外の避難対象施設には、産業省、交通省に加えてシャリテ病院の一部も含まれていて、大混乱が予想される。

リングの後はフィデリオ

アダム・フィッシャーはウィーン国立歌劇場で「ニーベルングの指環」のサイクルが終ったけれど、その後引き続きウィーンで公演がある。それは「フィデリオ」が3公演と単発の「ワルキューレ」が1回。日程を良く見てみると、「フィデリオ」が21日、24日、27日の3回で、22日は「ワルキューレ」。計画段階ではリングを2サイクルやるつもりで日程を立てたのではないかと想像する。それが何かの都合で2サイクル目の上演が出来なくなった。

その理由はわからないけれど、勝手に推測するとキャストの誰かのスケジュールの確保ができなくなったとか。もしそうなら「ワルキューレ」以外に出演する人だろうから、ジークフリート役のシュテファン・グールドかブリュンヒルデ役のイレーネ・テオリンではないかと想像する。ウォータン、さまよい人、グンターと全4作に出演したトマス・コニーチェニは「フィデリオ」でもドン・ピッツァロを歌うので、8公演の出演契約を結んでいたのでしょう。

レパートリー劇場の場合、このように演目を入れ替えることは良くある。劇場のスケジュールが一般に発表されるのはシーズン開始の数ヶ月前だけど、出演者との契約を結ばなければならないから、実際のスケジュールは数年前にはもう決まっている。それでも歌手が揃わないなどトラブルがあった場合は似たような演目に切り替える必要がある。そういうノウハウはレパートリー劇場では大切だ。

さて、ウィーン国立歌劇場の来シーズンのスケジュールは19日の木曜日に発表される。アダム・フィッシャーは定番の「フィデリオ」や「薔薇の騎士」など例年通りだそうだ。

「ニーベルングの指環」終了

ウィーンでの「ニーベルングの指環」は昨日の「神々の黄昏」で終了。インターネットに昨日の批評がぼちぼち出ているが、なかなか好評でなにより。プレッセ紙などアダム・フィッシャーの事を「現代のワーグナー・スペシャリストの一人」と称している。20年前には全く想像もしなかった。

もともとアダムはオペラ指揮者だけど、イタリア・オペラやモーツァルトのオペラが中心で、ドイツ語のオペラは「フィデリオ」くらいしか担当していなかった。20年前にワーグナーについて聞いたところ「ワーグナーは好きだけど、愛するくらいでないと指揮できないから」と消極的だった。

そんなアダムがリングを指揮する事になったのはマンハイムの監督になったから。カペルマイスターにやってもらおうと思ったら、支配人から「GMDがリングを指揮しないなんて許されません」と脅されてやる気になった。当時「ジークフリート」だけはやった事がなかったので、分厚い楽譜持ち歩いて「重い」と文句を言っていた。今でも楽譜の重さは文句を言うけど。これはブダペストでリング4作とマイスタージンガーの新制作を振った時の楽譜の量。
Wagner


調べたところウイーン国立歌劇場のライブ・ストリーミングは3日間繰り返し放送され、月間サブスクリプションを購入した人はいつの時間帯でもOKらしい。実際昨日と同じ時間に再放送されていたから、ヨーロッパ時間でも翌日に観ることができるようだ。ただラストが切れてしまう放送事故は修正されていない。4日間かけてリングを観たのにこれは残念。あと10秒長ければ全部入ったのに。

次回のアダム・フィッシャーの「ニーベルングの指環」は2019年6月のワーグナー・インーブダペストで4日間連続で2サイクル。第1サイクルが来年の6月13日から16日、第2サイクルは6月20日から23日。キャストはヨハン・ロイター、スチュアート・スケルトン、キャサリン・フォスターなど。ウィーンのリングで歌っていた人ではさまよい人のトマス・コニーチェニとハーゲンのアルベルト・ペーゼンドルファーが同じ役で出演する予定。まだ1年2ヶ月も先なのに、第一サイクルのチケットは結構売れてるのが気になるところ。団体旅行が抑えているのではないかと思うけど。

ウィーン国立歌劇場「ジークフリート」と「神々の黄昏」

ウィーン国立歌劇場の「ニーベルングの指環」は今日で最後。今シーズンは1サイクルしかない。「ジークフリート」の批評を観る限り、アダム・フィッシャーの指揮を誉める人が多くてファンとしてはとても嬉しい。例えばメルキュール・オンラインの批評では、「特に創造的とは言えない演出(ただし邪魔はしない)を成功されたのは、アダム・フィッシャーの指揮に負うところが多い。(中略)フィッシャーの指揮はきびきびして決して退屈する事は無いが、最近はそれに加えて感情の表現が素晴らしい。」と書いていた。

今日の「神々の黄昏」も2幕にアダムが挨拶した時に既に大喝采。歌手もグートルーネが少し弱い感じがしたけれど、他の人は皆超一級。ただこの「黄昏」はウォータンを歌っていたトマス・コニーチェニがグンターを歌ったのがちょっと異色。ジークフリートやブリュンヒルデと並んで歌うとやっぱりウォータンを思い出してしまう。

オーケストラはところどころ管楽器が目立つソロで音をはずすなどキズがあったけれど、迫力がある演奏だった。長い曲だから仕方が無いでしょう。

本日の一番の問題はライブ・ストリーミングの企画。基本的に各地の時差を考慮し、現地時間と同じ時刻に放送することになっている。実際は30分前からプレ・プログラムが始まるのだが、神々の黄昏は休憩時間を加えると5時間半。カーテンコールを入れると多分6時間15分くらいにはなる。ところがヨーロッパとアメリカ東海岸の時差は6時間だから、生中継が終る前に再放送が始まってしまった。ラストシーンで幕が下りて最後の和音が消え入るところで時間切れ。いくらなんでもこれは酷いのでは。公演時間はわかっているのだから、放送時間の調節すればよいのに。

もっと長いマイスタージンガーだったら幕の間に終了してしまうのだろうか。

ベルリンの不動産価格急上昇

空港はまだ完成には程遠いが、ベルリンはドイツの首都として拡張しつつある。政治の中心であるだけでなく、美術館や劇場など芸術関係でも評判が高くベルリンに引っ越す人が増えている。それに伴い不動産の価格が急上昇している。

イギリスのコンサルタントが調査によれば、世界の主要都市では不動産価格の上昇率は前年の7パーセントから今年は4.5パーセントに減少しているが、ベルリンは相変わらず上昇しているらしい。

2016年末の統計では、不動産価格の上昇率が20パーセントを越えている街は12あった。その多くが中国。1年後にはほとんどの街が20パーセント以下になったが、唯一ベルリンだけが20.5パーセントでこのカテゴリーに属している。ベルリンは香港、パリ、ソウル、ロンドンなどの調査対象の150都市のトップ。トップ10にはハンブルグ(14.1)、ミュンヘン(13.8)、フランクフルト(13.4)のドイツの3都市が入っている。

他のヨーロッパの街ではブダペストとロッテルダムが不動産価格上昇率が高いらしい。

ブラウンシュヴァイクの爆弾撤去

第2次世界大戦の末期、ドイツは連合軍からの爆撃の被害が大きかった。だから北ドイツの街は歴史的な街並みもほとんど壊れてしまい、戦後に復刻されたものが多い。そして未だに不発弾が発見され、その撤去で大騒ぎという事も度々見られる。

不発弾が見つかると、撤去作業中には半径1キロ以内は避難命令が出る。市内には行き先の無い人のために避難施設を設けるし、避難地域内の病院からは入院患者も別の医療施設に避難させる。撤去作業は数時間から半日ちかくかかることもあり、市民生活への影響は大きい。

実は昨日ニーダー・ザクセン州のブラウンシュヴァイクで250キロの第2次大戦の不発弾の撤去作業があった。みつかった場所が街の中心部に近かったので、ビジネスへの打撃も大きかったらしい。それにコンサートホールも避難対象に指定されたので、当日客演予定だったパリ室内オーケストラの演奏会も中止された。

フランクフルト・オペラの「ラインの黄金」はコンチェルタント形式に変更

今週はドイツ各地でストライキの影響がありそう。労働組合Verdiは6パーセントの賃金値上げを要求して、ストライキを計画している。労働組合Verdiは別にオペラ関係者の組合というわけではなくて、公共サービスの従業員や保育園の先生などが加入している。だからストライキがあると一部の州で保育園が休みになってしまい、親は仕事を休んで子供の世話をしなければならなくなる。それからバスや市電などのサービスが無くなったり、ゴミの収集が来なかったりと色々面倒が予想される。ただストライキを予定しているのはヘッセン州やノルトライン・ヴェストファーレン、ニーダーザクセンなどの州で、ベルリンは今のところ対象では無いらしい。

オペラの舞台技術者もVerdiに所属する人が多い。だからフランクフルト・オペラはストライキの影響で金曜日の「ラインの黄金」再演の舞台装置の組み立てが出来ないので、コンチェルタンテ形式で上演すると発表した。具体的にどういう形式になるかはまだ発表されていないのだが、通常通りの公演は出来ないという判断みたい。

Verdiのストライキの影響でオペラ上演が困難になったことはこれが初めてではない。10年以上前にも大規模なストがあり、多くの劇場で公演中止やコンチェルタンテ形式への変更で対処したことがあった。当時ミュンヘンで「さまよえるオランダ人」を観たのだが、劇場前にVerdiの横断幕を持った屈強な舞台技術者たちが並び、アピールしていた。その姿を見ながら、「今日はワーグナーでヴェルディじゃないよ」と考えたことを思い出した。

ウィーンのリング、前半の批評

オーストリアの新聞はレパートリー公演でも同一キャストのシリーズの初日の批評を掲載する。特に「ニーベルングの指環」ともなれば地元ウィーンの新聞各社がそれぞれ批評を掲載する。4作全部の記事を掲載する新聞もあるが、2作ずつ前半と後半に分けて批評する新聞もある。ウィーンの「ニーベルングの指環」も「ラインの黄金」と「ワルキューレ」が終ったのでネットで探すとたくさんの記事が見つかった。嬉しい事にどの記事もアダムの指揮をとても誉めている。

やはり去年の1月にウィーン国立歌劇場の名誉会員になった影響があるのか、アダムのウィーンでの人気はとても高い。若い頃は結構厳しい批評を書かれたこともあり、アダム自身は批評記事を読まなくなった。正直な人なので「批評はとても良かった」と教えるととても喜ぶのだが、自分で読む気はないらしい。

さて明日は「ジークフリート」。長いオペラだけど平日公演だから始まるのは午後5時半。普段よりも早めに帰らないと放送に間に合わない。

ライブ・ストリーミングの幕間プログラム

ウィーン国立歌劇場のライブ・ストリーミングもメトロポリタンオペラのように幕間にプログラムを放送する。ただしこれは生放送ではなく予め録画されたものだ。放送開始当初は定番の出演者へのインタビューが中心だったのだけれど、最近は観客からは見えない裏方の仕事を紹介している。

昨日の「ワルキューレ」の放送では最初に舞台装置のデザインについて。模型を示しながら新制作の舞台装置のデザインや制作の方法等について説明していた。それから1幕の後ではウィーン国立歌劇場オーケストラについて。このオーケストラの特徴について楽員はもちろんソリストや指揮者の言葉を交えて紹介するプログラム。「このオーケストラの必須条件としては歌手の声を聞いてそれに合わせること」なんて楽員は言っていた。その辺がコンサート・オーケストラとの違いになる。

それから2幕の後には舞台オーケストラの紹介があった。ウィーン国立歌劇場は舞台裏や上から演奏する専門のオーケストラがある珍しい劇場で、このオーケストラはピットの楽員とは異なった能力が要求されるのだそうだ。ピットと違って演奏する場所が舞台の上や裏側など様々で、暑かったり場所が狭いなど演奏に向いているとは限らない。舞台の上なら衣装を着なければならないし、ピットとは異なる環境でもベストの演奏が出来ないと舞台オケは務まらないのだとか。

それからワードローブ部門の主任のインタビューもあった。これは衣装を制作するのではなく、出演者への衣装の着付けをする部門。主要キャストだけでなく、合唱団や役者など舞台に出る人全ての衣装の着付けを扱うから、なかなか大変な仕事だ。

お客さんから見ると出演者とオーケストラ、指揮者くらいしか目にしないが、オペラ公演を実現するためには本当にたくさんの人が働いていることが良くわかる。残念ながら幕間プログラムは英語字幕が出るとは限らないので、ドイツ語の理解が必要。

ワルキューレのライブ・ストリーミング

ウィーン国立歌劇場「ワルキューレ」のライブ・ストリーミングが先ほど終了した。サイトにアクセスすると次の放送は1時間後と出ているので、サブスクリプションの場合は時間の設定には関わらず、どの放送でも大丈夫らしい。だからもし仕事などで1幕が見られなかったら、2幕以降を鑑賞してから再放送で1幕を見ることも可能。順番通りには鳴らないけど。

放送を観た限り、シモーネ・シュナイダーのジークリンデとクリストファー・ヴェントリスのジークムントがリリカルで良いペアだった。シュナイダーはコロラトゥーラ・ソプラノとして夜の女王などを歌っていたみたい。ドラマチックなワーグナーにも役を広げているということか。

テオリンのブリュンヒルデ、コニーチェニのウォータン、シュスターのフリッカなどは定評があり、いつも通りの実力を発揮。終演後のカーテンコールもブラボーの大合唱だった。でも一番歓声が大きかったのはアダム指揮のオーケストラ。

幕間のビデオでウィーン国立歌劇場オーケストラや舞台オーケストラについての映像があり、なかなか面白かった。

インターネットでクラシックの放送を見るノウハウ

インターネットが発達して世界各国の放送局のメディアサイトにアクセスできるようになり、一昔前では考えられないほどたくさんの番組を観ることが出来るようになった。私もダム・フィッシャーのコンサートのラジオ放送やウィーン国立歌劇場の映像を見たり聴いたりしいてるのだが、それで得たノウハウを紹介する。以下の情報は経験から得たもので、全ての人に当てはまるとは言えないので、参考程度と考えてください。

ウィーン国立歌劇場ライブ・ストリーミングの時間帯について
ウイーン国立歌劇場のライブ・ストリーミングはベルリンフィルのデジタル・コンサートホールのようにオンデマンドではない。アーカイブとしてオンデマンドで見られるデータもあるが、ライブ公演は視聴する地域をユーザーデータとして登録し、その地域の夕方に放送が始まる。日本は時差が早いからヨーロッパで放送した翌日の夕方放送という事になる。

今までは単発のチケットしか購入していなかったのだが、今月はリング4作があるので月間サブスクリプションを購入してみた。これだと1ヶ月間はライブ公演全てを観ることが出来る。先日ベルリンの時間で「ラインの黄金」を見たのだが、翌日の夜にもう一度アクセスしたところ、アメリカ向けに放送されていて、問題なく見ることが出来た。ユーザデータの設定はベルリンだから拒否されるかと思ったのだが、現時点ではそんな複雑なチェックはしていないみたい。別の時間帯で見たい方は、あきらめずにサイトを訪問すると見られるかもしれない。

放送局が国外からのアクセスを制限している場合
ORFや3SATなど、放送局によっては権利の関係で国外からのアクセス出来ないようにしている。この場合の対策は先日紹介したように、VPNを使うことによって対応できる。月々5ユーロくらいで契約できるサービスもあるが、ブラウザーにholaという無料のプラグインをインストールし、国の設定を変えると見ることが出来る。

実はこの方法はネットフリックスの契約者がプログラムの多いアメリカのサイトにアクセスするために用いていたのだが、ネットフリックスはVPNによるアクセスを拒否するようになった。だから放送局によってはVPNからのアクセスを拒否するところもあるかもしれない。

デジタル・コンサートホールやウィーン国立歌劇場のライブを録画したい
放送局の中にはファイルのダウンロードが可能のところもあるが、デジタル・コンサートホールやウィーン国立歌劇場のライブ・ストリーミングは細かいファイルの分割されているのでダウンロードすることはできない。でも録画する方法はある。

原理をわかり易く説明すると、テレビの画面をビデオカメラで録画すれば難だって録画できる。パソコンの場合は複数のプログラムを同時に実行できるからビデオカメラも要らない。モニタ画面をMP4データとして録画するソフトが無料でもあるので、これを起動させてモニタを録画する、そのモニタにはブラウザを使ってデジタル・コンサートホール等の映像を表示すれば、録画されたデータにはデジタルコンサートホールの映像が映っているというわけ。

データをコピーするダウンロードと違って、この方法だとローカルPCで再生しなければならないから時間がかかるし、間違ってマウスを操作するとパソコンのメニューバーが表示されるなど注意点は色々あるが、パソコンのモニタの解像度次第でHD映像の録画も可能だ。ただし録画ソフトとブラウザの2つを同時に動かすからパソコンのパワーが必要。

放送を録音または録画して個人で楽しむことは違法ではないけれど、それをソーシャルメディアにアップしたり他人に配布する事は著作権違反になる可能性がある。実行する方はご承知ください。

ウィーン国立歌劇場の「ラインの黄金」

昨日はウィーン国立歌劇場でアダム・フィッシャー指揮による「ラインの黄金」があった。ウィーンの現行演出によるリングサイクルは2年前に続いて2回目。でも実はウェルザー・メストが病気でキャンセルした時など、4分の3の指揮は何回かやったことがあるので演出は知っている。

昨日の公演は実はロールデビューがたくさんいた。新しい歌手を発掘するのも劇場の大事な使命だけど、やはりロールデビューは緊張する。特にリングサイクルとなればシーズン中でも公演数が少ないし、リハーサルにかけられる時間も限りがあるから、歌手には精神的にも負担がかかる。だから指揮者はそういう事が良くわかっている人でないと良い公演にはならない。

日本のオペラファンの感覚だと、新制作を担当する指揮者よりもレパートリー公演の指揮者を下に見る風潮があるが、これは大違い。新制作は誰もリハーサルが必要だから、オペラに不慣れな指揮者でも何とかなる。ところがレパートリー公演となれば下手をすればまともなオーケストラ・リハーサルすら取れないこともある。もちろんピアノ伴奏によるランスルー・リハーサルはあるけれど、とにかく制約が厳しい。

だいたい新制作の批評は3分の2が演出について占められ、オーケストラの演奏についてはほとんど数行しかない。でもレパートリー公演は音楽についてしか書かないから、評価もずっと厳しくなる。

だから業界内ではレパートリーを振れる指揮者の方が重宝されるし評価も高い。ウィーンの聴衆はその辺を理解していて、特にワーグナーやシュトラウスなどのドイツ物のレパートリーを振る指揮者は人気が高い。昨日の映像でも、アダムのカーテンコールには大きな歓声が出ていた。

No.376、2018年4月1日、ウィーン交響楽団、ウィーンの春2018

昨日テレビ映像を紹介したウィーン交響楽団の「ウィーンの春」。今年のテーマは「ブダペストからウィーンまでドナウ河に沿った音楽の旅」

Wiener Symphoniker
Adam Fischer
Janoska Ensemble

ZOLTAN KODALY: "Galantai Tancok" ("Tanze aus Galanta")

NICCOLO PAGANINI: "Paganinoska" Caprice Nr. 24 (Bearbeitung: Janoska Ensemble, Orchestrierung: František Janoška)

FRANTIŠEK JANOŠKA: "Musette pour Fritz" (Hommage a Fritz Kreisler)

PABLO DE SARASATE: "Tarantella vs. Niška Banja", Serbian Traditional (Bearbeitung und Orchestrierung: František Janoška)

FRANTIŠEK JANOŠKA: Janoska Symphony op. 1 “Impressions along the Danube” , 1. Satz "Bratislava" (Urauffuhrung)

JOHANNES BRAHMS: Ungarischer Tanz Nr. 1 g-moll WoO 1

JOHANNES BRAHMS: Ungarischer Tanz Nr. 5 g-moll (Instrumentierung: Albert Parlow)

ANTONIN DVORAK: "Slawische Tanze" op. 72, Nr. 2 (10) e-moll "Starodavny" (Allegretto grazioso)

ANTONIN DVORAK: Slawische Tanze op. 46, Nr. 8 g-moll "Furiant" (Presto)

JOHANN STRAUSS (SOHN): Ouverture zur Operette "Die Fledermaus"

JOHANN STRAUSS (SOHN): "An der schonen blauen Donau", Walzer op. 314


最初の「ガランタ舞曲」はアダムのお国物だからさすがに聴き応えがある。前半はその後ヤノシュカ・アンサンブルをゲストに迎えてオーケストラとの共演。このアンサンブルはヴァイオリンが2つとコントラバス、さらにピアノという編成で、多分小さなホールなどでジプシー風の音楽を演奏している団体。放送だとマイクが近いから問題ないけど、生で聴いていると音が小さくてオーケストラに負けてしまう。途中でスウイングのようなリズムになるとウィーン響は苦手らしく、オーケストラの乗りがちょっと悪い。でもこういう演奏会で細かい事を言っても仕方が無い。前半最後の曲はヤノシュカ自作の交響曲1番の第一楽章で、鹿笛という不思議な楽器がバルコニーから演奏していた。

後半はクラシックの名曲揃いでハンガリー舞曲、スラブ舞曲に「こうもり」序曲、美しき青きドナウ。ポピュラーな曲ばかりだからお客さんは大喜び。アンコールは「ハンガリー万歳」で放送は終了したが、実はホールで聴いたお客さんへのボーナスとしてもう1曲「雷鳴ポルカ」があった。

「ウィーンの春」はウイーン響の伝統的な特別コンサートで、毎年ポピュラーな曲を集めて演奏するので団体観光客にも人気があるらしい。私が座った席はバルコニーの最前列だったのだけれど、後ろにはティーンエイジャーのグループがたくさん座っていた。この生徒たちひそひそ話が止められない。音楽が始まってもささやきが聞こえてきて少々閉口した。

ウィーンの春テレビ放送

毎年イースターにはウィーン交響楽団は「ウィーンの春」という演奏会を行う。場所は楽友協会でポピュラーな曲が多いので、ORFが中継する。アダム・フィッシャーは今回で2回目の登場。コンサートのタイトルは「ブダペストからウィーンへのドナウの旅」という事で、ハンガリーやスロバキア、ウイーンをテーマにした曲が並んでいる。

放送はORF3は日曜日の夜20時15分から、翌日の朝10時40分からORF2で再放送があった。今でもメディアテークにあるのだけれど、残念ながら著作権の関係でオーストリア国外には配信しない。だからメディアテークビューではダウンロードできない。

何とかして観られないか試してみたのだが、方法を発見した。クロームなどのブラウザーのプラグインにholaという無料のVPNプログラムがあるのだが、これをインストールして国をオーストリアに設定すると映像は観ることができる。でもダウンロードはできない。

ORFはクラシックの番組が充実しているので、興味のある方は挑戦したらいかがかと。ただし問題があってもサボートは出来ないので自身で解決してください。

ベルリンフィルは2022年までバーデン・バーデンとの契約を延長

イースター休暇も本日で終わり。ヨーロッパの音楽シーズンも終盤にさしかかる。どうやらベルリンフィルのバーデン・バーデンでのイースター音楽祭出演契約が2022年まで延長去れた模様。

もともとベルリンフィルはイースターの時期にはザルツブルグに出演していた。ところが2013年からザルツブルグに出演しない事になり、同じ時期に音楽祭を開いているバーデン・バーデンに出演する事となった。目玉のオーケストラのなくなったザルツブルグはティーレマン率いるシュターツカペレ・ドレスデンと契約して音楽祭を継続している。

ご存知のようにベルリンフィルはサイモン・ラトルからキリル・ペトレンコに監督が変る。音楽祭との関係をどうするかは監督の意向も影響するから、今後契約が延長されるかどうかは注目されていた。今後の計画ではペトレンコは2019年にコンサートを指揮し、2020年からはオペラ公演も指揮する事になっている。

アンドレス・オロスコ=エストラーダがウィーン響の次期監督に

ウィーン交響楽団は2021年秋からコロンビア人指揮者のアンドレス・オロスコ=エストラーダがシェフに就任すると発表した。契約は5年で就任する1年前から時期監督としてオーケストラのマネージメントに関与する。現在のシェフのフィリップ・ジョルダンは2020年からウィーン国立歌劇場の監督になるので、早い時期から穴埋めをするのかもしれない。

アンドレス・オロスコ=エストラーダは2014年からフランクフルトのヘッセン放送交響楽団のシェフとヒューストン交響楽団のシェフを務めているが、2006年のウィーン響デビュー以来、エキサイティングな演奏でオーケストラからも評価が高く、2018‐19シーズンにはブレゲンツでの共演が予定されている。

デュッセルドルフの人権擁護コンサートの映像

3月22日にはデュッセルドルフで人権擁護コンサートが開かれた。この演奏会は毎年人権擁護に功績のあった団体や個人を表彰しているのだが、そのビデオがフェイスブックに載っている。

アダム・フィッシャーはジョルジュ・ショロシュに人権賞を授与した理由を説明しているのだが、当然ドイツ語。テキストで読みたい方はこちら

大雑把に訳すと、ジュゼッペ・ヴェルディは成功できなかった音楽家のために家を建て、自身の作品の著作権をその家の運営に宛てた。ヴェルディ自身と同様の才能を持ちながら幸運でなかった音楽家のために尽くすのは、成功した音楽家の責務だと考えていた。アダム・フィッシャーも同じように考えている。

ハンガリー系アメリカ人投資家のジョルジュ・ショロシュに反対する人も多いが、かれはファンド運営で得たお金を人権擁護や民主主義教育、言論の自由の擁護に使っている。これはヴェルディの考えにも通じている。だから今年のデュッセルドルフ人権賞にジョルジュ・ショロシュを選んだ、ということだ。

それからORF2のクルトゥアモンタークという番組でアダムのインタビューが放送された。ネットの映像もあるけれど、多分1週間でオンデマンドは終了だと思う。

ハンブルグ州立歌劇場のスケジュール発表

ハンブルグ州立歌劇場の2018‐19シーズンのスケジュールが発表された。オペラの新制作は6作で、最初はモーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」。以下シューマンの「ゲーテのファウストより」、グルックの「オルフェオとエウリディーチェ」、ヴェルディの「ナブッコ」、ベンヤミンの「Lessons in Love and Violence」。この内音楽監督のケント・ナガノは「ゲーテのファウストより」と'Lessons in Love...'を指揮する。

経営状態はどうかと言えば、2016‐17シーズンは「心配な状況」で、有料入場者率はオペラが71.2パーセントでバレエが85.5パーセント。決して成功といえる数字ではない。これは多分エルブ・フィルハーモニーの影響があると分析している。今シーズンに入ってからは大分持ち直して、3月末までの統計によればオペラが78.3パーセント、バレエが94.6パーセントだそうだ。

ハンブルグ州立歌劇場の来シーズンのプログラムはこちら


エル・システマの創立者ホセ・アントニオ・アブレウ氏死去

ベネズエラの「エル・システマ」はベネズエラの子供に楽器を教え、オーケストラで演奏する機会を与える教育プログラムだけど、その創始者のホセ・アントニオ・アブレウ氏が78歳で死去した。

エル・システマの大きな成果はシモン・ボリバル・ユース・オーケストラで、2000年、2002年、2005年、2007年のヨーロッパツアーでは無名の指揮者グスタフ・ドゥダメルの名を世界中に知らしめる成功を果たした。

ベネズエラのエル・システマはドイツの教育にも取り入れられ、「全ての子供に楽器を」というモットーのプロジェクトが生まれた。

マデュロー大統領はアブレウ氏の死を悼んだそうだが、独裁色を強める大統領に反対する音楽家も多いので、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラも外国へのツアーをキャンセルするなど、エル・システマの将来は不透明になっている。

一方大統領に反対したドゥダメルは国外追放に近い扱いを受けているが、アブレウ氏の死去した当日にスペイン国籍を取得したらしい。今後はEU内では今後はビザが必要ないので活動しやすくなりそう。
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