クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

ベルリンのクリスマス市の傾向

第3アドベントの週末はクリスマス・ショッピングも山場を迎える。ショッピングモールはどこも人でいっぱいで、レジ待ちの列はとても長い。クリスマス市も人だかりですごい。

シュトゥットガルトは街の中心部に集中したクリスマス市が立っていて、とても大きい。ベルリンの場合は数か所に分散しているので市の規模は大きくないが、それぞれ特徴が異なる。

自宅に一番近いのは2年前にテロ事件があったブライトシャイトプラッツ。暴走トラックが走ってきた道は今年は通行止めになり、防護壁と遊具施設が置かれている。だから大きなトラックが暴走してもクリスマス市の人だかりまでは行きつけない。クリスマス市を囲むようにコンクリートのブロックが置かれ、入口には頑丈な車止めが設備されている。警察の車が近くに泊まっていて常時パトロールする警官を見かける。

今日はシャルロッテンブルグ宮殿前のクリスマス市に行った。ここはベルリンでもかなり大きなクリスマス市で店の数も多いのだが、ここもコンクリートのブロックで囲まれているし、入口には警察の車が止まっている。中に入れば普段通りのクリスマス市なのだが、やはり警備は厳しくなっている。

安全を確保するためのコストは店を出店する業者の負担になり、それは販売するものの値段に転嫁される。定番のグリューワインは今年は1カップ4ユーロが標準。焼きソーセージも4ユーロくらいだから市場の立ち食いでも8ユーロかかる。

それでも食べ物のスタンドはコストを転嫁しやすいけれど、物を売る店は簡単に値上げできない。だからブライトシャイトプラッツのクリスマス市は出店を取りやめた店もあったようで、ところどころ閉まっている小屋がある。

ヨナス・カウフマンにバイエルン州のマクシミリアン勲章を授与

ヨナス・カウフマンがバイエルン州のマクシマリアン勲章を受章した。これはバイエルン州が文化や科学の分野の優れた人に与えるもので、授賞式は12月17日に開かれる。

マキシミリアン勲章はバイエルン州が与える最高の勲章で、バイエルン州首相により授与される。クラシック関係の過去の受賞者は歌手でではクルト・モル、エディタ・グルベローバ、ディアナ・ダムラウ、指揮者のズビン・メータなど。

マキシミリアン勲章はマキシミリアン2世により1853年に創設された。1980年にはバイエルン州の伝統として規定された。過去の受賞者は222人だけど、現存する受賞者は100人と限定されている。

EU離脱と保守党の党首不信任投票

イギリスのEU離脱はドイツにとっても00影響が大きいのでBrexitに関するニュースを追いかけているのだが、イギリスの与党保守党の混乱はもうあきれてしまう。

メイ首相はEUと離脱交渉に合意し、その合意文書はEU27か国の首脳とメイ首相が署名したのが11月25日。その後メイ首相は内閣や国会議員に合意内容を説明して回った。というのも首相の合意は議会の承認が必要だから。当初の予定では5日間かけて議論し火曜日に投票するはずだったのだが、否決される可能性が高いのでメイ首相は採決を延期した。その代わりにメイ首相はハーグ、ベルリン、ブリュッセルを回って合意を修正するようにEUに働きかけた。でもEU側の答えは「不明瞭な部分を明確にすることは可能だが、合意内容を変更することはできない」というもの。これでは保守党の強硬派は納得しない。

水曜日になって、保守党議員が党首不信任投票を要求した。これは保守党議員が党首の資質を問う手続きで、保守党所属の国会議員の15パーセントが1922委員会の委員長に手紙を送ることで発動される。15パーセントというのは48人なので、委員長は48通の党首不信任の手紙を受け取ったことになる。

投票の結果は信認が200票で不信任が117票なので、現内閣は信認された。今後1年間メイ首相は不信任投票から免除される。

それでも指導力が弱くなるのは目に見えていて、議会を説得してEUとの合意案に承認を得ることはさらに困難になる。それを見越してメイ首相は2022年に予定されている次回の総選挙までには党首を辞任することを発表した。

不信任投票を勝ち抜いても離脱合意案の承認の見込みは立たないから、EU離脱はいよいよ混迷を極める。無秩序な離脱の可能性がかなり大きくなったことは確か。保守党の反対は野党を巻き込んで内閣不信任案を提出するという噂もある。そうなると再び総選挙。イギリス側は無秩序な離脱を避けたいEU側は離脱期限の延長を認めるだろうという意見が多いけど、EU側としてはもういい加減にしてほしいというのが本音。Brexitの先行きは不明だけど、イギリスという国の評判を落とし国際的な影響力を激減させたことは確か。

Brexitの山場

イギリスのEU離脱がいよいよ山場を迎えている。国民投票から2年半経過しているから、話題を追いかけていない人はすでに落着していると思うかもしれないが、まだ決着していない。その原因は主にイギリス国内、特に与党の保守党内部で意見が割れていることに依存している。

最近の出来事を復讐すると、イギリスとEUとの離脱交渉が合意したのが先月中旬。その後11月25日にはEUの27の加盟国の首脳が構成するEU委員会で承認された。それを受けてメイ首相は合意をイギリスの国会に提示し、その承認を受けなければならない。当初の予定では先週5日間かけて詳細に討議し、11日の火曜日に承認の投票を行う予定だった。ところが議会からは厳しい批判が相次ぎ、投票を強行すれば否決される可能性が高い。だからメイ首相は投票を延期し、ブリュッセルを訪問して最高賞することを計画しているらしい。

イギリス議会が問題にしているのが北アイルランドのバックストップ。アイルランドと英領の北アイルランドの間に国境を設けないためには、最低でも北アイルランドはEUのルールに従う必要がある。でもそれでは北アイルランドとその他のイギリスとの間に法律の違いができてしまう。イギリスの議会はこの点を問題視している。

北アイルランドのバックストップを止めるにはEUの承認が必要で、イギリスが単独で止めるわけにはいかない。イギリス国内の統一を尊重すれば、結局EUのルールを守るしかなくなりEU離脱の意味が無いというのが理由。だからバックストップは実行しないという約束をEUからもらえと言っている。

EU側は北アイルランドのバックストップは移行期間内に解決策が見つからなかった時の保険のようなもので、実際に施行することは目的にしていないと説明している。でも規定されたシステムを実行しないと宣言するなら規定する意味が無い。EU側としては、正直もういい加減にしてほしいという気分が強い。だからイギリスがいくら要望しても、修正に応じる可能性はほとんどない。

EU裁判所はイギリスがEU離脱を断念する場合にはEUの承認を必要としないという見解を発表したけれど、このままイギリスが何もしなければ無秩序なBrexitの可能性が高くなる。

ミラノ・スカラ座のオープニング

ドイツ語圏のオペラ座とは異なり、ミラノ・スカラ座のシーズンは12月に始まる。毎年新制作が話題になるが、今年はヴェルディの「アッティラ」がプログラムに選ばれ、12月7日にプレミアをむかえた。でもその演出に関して批判が出ている。

スカラ座の「アッティラ」はDavide Livermoreの演出で指揮はリッカルド・シャイー。ロシア人のバスIldar Abdrazakov,がタイトルロールを歌い、相手役はスペイン人のSaioa Hernandezが務める。12月7日から1月8日までの間に8回の公演が予定されている。

ところが、ミラノのあるロンバルディアのコミュニティ・センターの責任者が、スカラ座の支配人アレキサンダー・ペレイラ宛に批判の手紙を書いた。スカラ座の「アッティラ」には売春宿に聖母マリア像を投げ込むシーンがあって、ヴェルディ、またはイタリアの価値観を表したものではない。冒涜であり不要なシーンだからカットすべきという内容だそうだ。

また、動物擁護団体もスカラ座の「アッティラ」に反対している。というのは演出の途中で本物の馬が登場するからで、スカラ座は「舞台に登場する馬は虐待を受けることは無いと保証する」と公式声明を発表している。

最近は映画ではレイティング・システムが普及していることもあり、過激な演出や宗教的にも受け入れにくいシーンを服もものもある。それに比べると舞台芸術、特にオペラは批判が厳しく、映画では可能な表現もできないと演出家が反論することもある。舞台芸術は劇場をサポートする聴衆の価値観に合わせた演出が好まれる。

ダニエレ・ガッティに関するニュース

ダニエレ・ガッティはセクシャルハラスメント疑惑により、アムステルダムのコンツェルトヘボウ・オーケストラのシェフを解任されてしまったけれど、ローマ歌劇場のシーズン・オープニングでヴェルディの「リゴレット」を振って成功を収めた。さらにローマ歌劇場はガッティのGMD就任を発表した。オペラ座の発表では、「有罪と判定されるまでは無罪という原則に基づいて、ガッティの就任は問題はない」という立場らしい。ガッティもローマ歌劇場のオファーにはとても喜んでいて、即刻就任ということになった。

ところが歌劇場の発表によれば、ガッティは心臓の不整脈により木曜日の公演をキャンセルした。9日の日曜日は指揮する予定らしいけど、ファンにとっては心配の種。それに加えてベルリンフィルの発表によれば、さらに来年のイースターにバーデン・バーデンで行われヴェルディ「オテロ」のコンサート形式上演もキャンセルすることになったそうだ。代役は病気から復活したズビン・メータ。ベルリンでの公演もメータが担当する。

ベルリンフィルの発表によれば、他の出演については変更なしということなので、なぜイースターをキャンセルしたのかは不明。来年の春だから病気ということは無いでしょう。バーデンバーデンはコンサート形式とはいっても演出家がついているから、たぶんリハーサルも多く指揮者の拘束が長い。それがローマ歌劇場のスケジュールと重なるのかも。

コンツェルトハウスが改築工事の負債を完済

ウィーンのコンツェルトハウスが年末で負債を完済できそうだと発表があった。コンツェルトハウスは1998年から2001年の間に大規模な改装工事を行ったが、当初予算2800万ユーロでは収まらず、1450万ユーロもオーバーしてしまった。その半額は負債として返済することになった。ウィーン市とオーストリア政府がそれぞれ150万ユーロとコンツェルトハウスが309万ユーロが返済し、残りは銀行からのコンツェルトハウスへの支援という形で返済が完了した。

オーストリアの文化大臣らのコメントでは、「負債から切り離されて身軽になり、さらに将来に向けて問題を解決してほしい」との事。コンツェルトハウスの運営資金の9割はホール自身が調達しているが、2019年のコンツェルトハウスへの補助金の増額は認められなかったから。補助金を増やす条件としては「社会的浸透性」を増すように努力するとホール側は述べている。

ウィーンのコンツェルトハウスは1913年のオープンしたが、約1900席の大ホール、700席のモーツァルトホール、366席のシューベルトホール、さらに約400席の新しいホールがある。ウィーン交響楽団の本拠地として知られ、年間を通してジャズなどを含む多くの公演を主催している。

エサ=ペッカ・サロネンがサンフランシスコ響のシェフへ

本日のニュースによれば、フィンランドの指揮者エサ=ペッカ・サロネンがサンフランシスコ交響楽団の次期シェフに決定したそうだ。サンフランシスコ交響楽団は現シェフのマイケル・ティルソン=トーマスが25年近く率いてきて、西海岸のみならず全米でもトップクラスのオーケストラとして評価されるようになった。

サロネンの任期は2020年からだけど、次期シェフとして来年1月には客演するし、2019/20シーズンにも2週間共演する予定になっている。

サロネンは現在フィルハーモニア・オーケストラのシェフを務めていて、その任期は2021年までとなっている。だから就任当初の演奏会は少なめで、フィルハーモニア・オーケストラとの契約が完了してから、年間15-14週指揮することになるそうだ。

サロネンは107年の歴史を誇るサンフランシスコ交響楽団の12番目のシェフだそうだ。

眠れない夜はクラシック

夜眠れないのはなかなか大変だけど、就寝時に音楽をかけると眠りやすいという人は多い。ドイツの睡眠研究者がソーシャルネットを利用してアンケートを行った結果、クラシック音楽がもっとも効果が高いと考えている人が62パーセントを占め、ロックやポップスよりも人気が高かった。

研究チームはフェイスブックやツイッター、電子メールなどを利用して世界中の651人に睡眠時の音楽について質問した。その結果ヨハン・セバスティアン・バッハの作品が睡眠に最も効果があるとの結果だった。第2位はポップ歌手の Ed Sheeran。第3位はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト。以下ブライアン・イーノ、コールドプレイ、フレデリック・ショパンと続く。

アンケートに回答した人は不眠症に悩ませている人だけではなく、音楽を聴きながら眠ることにより、睡眠の質を高めたい人も多く含まれている。音楽を聴きながら睡眠する理由は、物理的精神的にリラックスするので、眠りをさまたげる思考から解放されると答えている。

ただこの調査をした研究者の考えでは、オンラインによる調査は音楽好きが興味を持って答えたとも考えられるので、一般論として拡張することはできないとしている。

ベルリンの動物園に白熊の赤ちゃん誕生

ベルリンのシンボルは熊で、街のいたるところに両手を挙げた熊の像が立っている。だから動物園の熊に関するニュースは関心が高い。

ベルリンの新聞によれば、ベルリンの動物園ティアパークで、白熊の赤ちゃんが生まれたそうだ。母親の白熊は最近体重が増えたので妊娠の可能性があったのだが、白熊はとても狂暴な動物なので近付いて診断することは不可能だった。でも12月1日にビデオカメラに白熊の赤ちゃんが映っていることが確認された。

動物園の獣医も「カメラの技術により私も自宅から子熊の誕生を確認できました」と喜んでいる。でも生後数日の致死率は高く、母親が育児を放棄する場合もある。だから動物園では今後10日間は白熊の織には誰も近づかないようにするのだとか。

ベルリンの白熊といえば人工保育で人間に育てられたクヌートが有名。こちらは旧東ベルリンのティアパークではなくて、ツォーロジッシャーガルテンの方。すぐ近くに住んでいるのだがまだ行ったことがない。クヌートは2011年3月に死んでしまったが、そのはく製はベルリンの自然史博物館に展示されているらしい。実はこれは職場のすぐ近くなんだけど、こちらも行ったことがない。

ガスタイクの音響設計は豊田泰久氏が担当

ミュンヘンのコンサートホールのガスタイクは1985年のオープンしたホールで、今までバイエルン放送響やミュンヘンフィルなどミュンヘンのオーケストラの演奏会場として使われてきた。でも老朽化もあって改築することが決まっている。その工事は2021年から始まる予定。

そのホールの音響設計に日本人の豊田泰久氏が選ばれた。豊田氏はクラシック音楽業界にはその名を知られた音響設計者で、サントリーホールをはじめロサンジェルスのディズニーホール、ハンブルグのエルブフィルハーモニー、パリのコンサートホールなど世界中の有名ホールの音響設計を担当している。

ミュンヘン市の文化センターが金曜日に発表したところによれば、豊田氏の設計事務所を含めて10社が候補に挙がったのだが、使用目的などの細かい点を考慮して豊田氏にガスタイクのオーケストラ用のカール・オルフザールと小ホールの両方を依頼することに決定した。

ミュンヘン市の文化アドバイザーはこの決定をとても喜んでいるとの事。

ベルリンフィルの雑誌128

ベルリンフィルは128という雑誌を発行していて、シリーズ券購入者には無料で送付される。これは3か月に1回発行なんだけど、今週新しいものが送られてきた。

今回の特集は指揮者クラウディオ・アバド。若いころの写真やベルリンフィルとのツアーの一コマなどたくさん掲載されているし、オーケストラのメンバーやアバドと親しかった人がいろいろな記事を書いている。

記録に残るアバドの最初の演奏会は1955年12月22日でピアニストとしてバッハの協奏曲を演奏した。最後の演奏会は2013年8月26日のルツェルン音楽祭オーケストラで、プログラムはブルックナーの交響曲第9番。約60年のプロとしての活動期間におよそ3500公演に登場した。

アバドが共演したオーケストラと公演回数も掲載されていて、第1位はベルリンフィルで688公演。以下スカラ座オーケストラ544公演、ウィーンフィルとウィーン国立歌劇場管弦楽団が529公演。

作曲家別ではベートーベンが712回で最多。第2位はモーツァルトで623回。第3位はマーラーで449回となっている。

最近は過去の公演データをネットで公開する団体も多いけど、古い記録はデジタル化されているとは限らないので、調査は結構大変だ。アダム・フィッシャーの公演を調査して約2400公演のデータを記録しているが、フライブルグ、カッセル、ミュンヘンなどのドイツのオペラ座での公演の情報が無い。ウィーンやメトは過去の公演のデータベースを公開しているけれど、ミュンヘンも過去にさかのぼってアーカイブを作ってくれるとありがたいのだけど。

ウィーン国立歌劇場管弦楽団

オーストリア100周年を祝う式典はウィーン国立歌劇場で開かれたけれど、番組のアナウンサーもウィーンフィルハーモニーの演奏と紹介していたし、関連サイトにもそう書かれている。でもウィーン国立歌劇場のオペラの公演ではウィーン国立歌劇場管弦楽団と表記される。これはなぜか。

ウィーンフィルを良く知っている日本のクラシックファンなら、ウィーンフィルはウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーで構成されていることは多分ご存知だろう。「国立歌劇場オケに入団後3年経つとウィーンフィルの正式メンバーになる」ということが書かれているサイトもあるけれど、要するに演奏している人は同じ。でも組織的には大きな違いがある。

ウィーン国立歌劇場管弦楽団はその名が示すように国立だから公務員扱いになる。給料は公演数に関係なく決められているが、労働契約に含まれない仕事はしない。これに対してウィーンフィルハーモニーはプライベートな団体だからもちろんコンサートもオペラも出演は自由。でも出演料が必要だしテレビ放送があればオーケストラは追加費用を要求する。

国立歌劇場管弦楽団の仕事はオペラの伴奏をすることだから、記念式典のようにコンサートで演奏することは労働協約違反になる。だからウィーン国立歌劇場管弦楽団を起用できない。政府が式典を企画した時は国立歌劇場管弦楽団を起用すれば余分な費用は必要ないと考えたみたいなんだけど、それはできないのでウィーンフィルを雇うことになったのだそうだ。

建国100年式典の裏話

11月12日にはオーストリアの建国100年記念式典がウィーン国立歌劇場で開かれた。ウィーンフィルが出演したこのイベント、指揮したアダムに聞いたところいろいろ大変だったみたい。

ORFの映像を観た夕焼番長さんから、第九の打楽器が無かったのはなぜかというご質問をいただいたが、実際は入っていたとの事。ただし音が小さかったし、マイクロフォンの位置もコンサート向けではなかったので聞こえなかったのかもしれない。このイベントはコンサートではなくて式典だから、スピーチが重要で演奏は二の次、実際リハーサルはわずか30分だった。

本来なら1時間で終わるはずだっだのにスピーチが長引いて36分も予定をオーバーしてしまったらしい。照明の当たるステージ上で待機していたオーケストラのメンバーの中には体調を崩して倒れた人もいたようで、本番中に運び出されて救急車で病院に連れていかれたのだとか。

また生中継を担当したオーストリア放送も放送時間が予定よりも延長されて困ったみたい。だから放送ディレクターができるだけ速く指揮するようにアダムに頼みに来たそうだ。でも「僕の芸術的な評価を犠牲にして速く指揮したとしても、違いはせいぜい30秒しかない。」と断った。たしかに政治家に演説を短くしてもらう方がよほど効果が高い。

放送を観ても気づかないかもしれないけれど、トラブル満載だったみたい。

No.386、2018年11月25日、デンマーク室内管、ベートーベンの第九

12月にはおっかけを計画していないので、今年最後のおっかけ公演はデンマーク室内管によるベートーベンの第九演奏会。

Danish Chamber Orchestra
Adam Fischer

Sara Swietlicki – sopran
Morten Grove Frandsen – Kontratenor
Ilker Arcayurek – tenor
Lars Moller – baryton
DR Koncertkoret

Beethoven: Synphony No.9



デンマーク室内管はデンマーク放送所属のオーケストラとして75年活動してきたのだが、2014年末に放送局から解雇されてしまった。その時アダム・フィッシャー指揮による最後の演奏会がベートーベンの第九。デンマークの国会で室内管の解散に反対する決議が採決されるなど、デンマークの国を挙げての反対にも関わらずオーケストラは解散したわけだが、その後デンマーク初の私設オーケストラとして復活し4年経った。今でも財政難は変わらないし、アダムが出演しないコンサートが少ないなど楽団の運営は大変だけど、支援者も増えてきているみたい。来年にはベートーベン交響曲全集が完成するし、その発売に合わせてウイーンの楽友協会を含むツアーを行う。

4年前の演奏に比べると今回はオーソドックス。4年前は第2楽章などティンパニ協奏曲みたいに大きな音で演奏していたが、今回はそれほど目立たない。エキストラとして参加した若手のなかには第九はあまりなじみのない人もいて、リハーサルはちょっと苦労していた。特に合唱が入るところはテンポ設定など合唱団の事も考えないといけないので、慣れない奏者が多いとちょっと困る。

その合唱団はデンマーク放送所属の団体。でもドイツ語は母国語ではないのでテキストはいま一つ聞き取れない。月曜日から4日間かけて録音するときも同じラインアップらしいので、録音の出来はどうなるか。

この演奏会で今年のおっかけは終了。今年は1月のデュッセルドルフ響の「大地の歌」から始まって、18公演をおっかけた。毎年恒例のアイゼンシュタットが無かったけどベルリンやハンブルグなどドイツ北部の演奏会が何度かあったので回数が増えた。来年はデュッセルドルフ響とデンマーク室内管、さらにブダペストは行く予定。それから秋にベルリンフィルがあるらしいので楽しみ。

コペンハーゲン訪問

この週末はアダム・フィッシャー指揮デンマーク室内管の演奏会があったので、コペンハーゲンに行った。プログラムはベートーベンの第九。

コペンハーゲンまではイージージェットを利用したのだが、最近はショーネフェルドだけでなく近場のテーゲルからも発着しているのでありがたい。ただ今回は日曜日の早朝の便が無かったので、土曜日の朝にベルリンを発ち日曜日に帰ってくる1泊2日の行程にした。

土曜日にはリハーサルが10時から13時までと15時から18時までの2回あったので、午前9時に到着してそのまま地下鉄で中心部に向かい、リハーサル会場には5分前に到着。デンマーク放送所属のころはスタジオでリハーサルが出来たけれど、今はリハーサルの場所もその都度変わる。午前中は市内中心部の教会で、午後はゲネプロ扱いなので音楽院のコンサートホール。

リハーサルの進め方は指揮者の責任だけど、必ずしも最初からやるわけではない。この日は第4楽章の合唱が入る部分から。午前中のリハーサルはオーケストラのみだけど、合唱と合わせることを想定して演奏しないといけないから、テンポなどオーケストラの勝手にできない。だから余分に練習が必要。それにベートーベンの第九は第4楽章の中盤から打楽器やピッコロが入るので、最初からリハーサルをやるとこれらの人々は出番まで待たされてしまう。そういうことも考えて第4楽章の後半をやり、それから1楽章に戻って順次演奏していった。

午後のリハーサルは合唱とソリストも入ったゲネプロ扱いのリハーサル。15時開始だけど、その1時間前にはソリストとピアノによるリハーサルがあるからアダムは忙しい。教会から音楽院まで徒歩で20分くらいあるし、軽い昼食を取るためにカフェによったらもう時間がない。多くのクラシックファンは、車で迎えがあるので指揮者は悠々としているように思うかもしれないが、それはオーケストラによる。財政難のオーケストラは運転手を雇う余裕などない。

ウィーン国立歌劇場が2018年の観光賞を受賞

ウィーン商工会議所はウィーン国立歌劇場に対して2018年の観光賞を授与すると発表した。この観光賞は過去にはザッハートルテ、プラター、シュテファン寺院などが受賞している。

ワルター・ラックウィーン商工会議所代表によれば、「経済、文化、観光地としての価値」を考慮したのだそうだ。年間60万人の観光客がウィーン国立歌劇場を訪れ、300以上の公演を行っている。またウィーン・オペルンバルなどの催しは国外にもテレビで中継され、歌劇場は街の外交大使としての役割も果たしている。

商工会議所の観光産業部門の議長は、夏の間に野外に劇場の前にライブ映像を映写する"Oper live am Platz"の取り組みについても評価していて、「オペラによるポジティブな印象は観光客が長く覚えているだろう。」との事。

ウィーン国立歌劇場のドミニク・マイヤー支配人は業績の認知をとても喜んでいて、「観光客はウィーンの経済に重要だし、間接的な貢献も大きい」とコメントしている。マイヤーは約千人の従業員を代表してこの賞を受け取った。

間もなくクリスマス市開幕

今日はベルリンでも雪が降った。今週になって急に冷え込んだと思ったら、今日の夕方から雪がちらほら。地面が温かいので積もることはなかったが、本格的な冬になってきた。

11月末からはドイツの各地でクリスマス市が開かれる。市ではクリスマスの飾りやプレゼントが中心かと思われるが、実際は暖かいグリューワインと焼きソーセージなどの食べ物屋が大部分を占める。寒い日にわざわざ外で質の悪いワインを飲むというのはアルコールが苦手な人にとっては理解できないが、ドイツ人は知り合いと誘い合ってクリスマス市に出かける。2年前のベルリンのテロ事件以降警備が厳しくなり、そのコストが市場で売っているものに転嫁されているという話だけど、毎年楽しみにする人は多い。

ベルリンのクリスマス市は複数開かれていて、それぞれ特徴がある。ベルリンのクリスマス市のトップ10は以下のおとり。

第1位、ジャンデルマンマルクト
第2位、アレクサンダープラッツ
第3位、赤の市庁舎前
第4位、ヴィルヘルム祈念教会前
第5位、シュパンダウ旧市街
第6位、フリードリッヒスハインのRAWゲレンデ
第7位、ダーレムのアドベントマルクト
第8位、シャルロッテンブルグ宮殿前
第9位、ベルリン大聖堂近くのマルクト
第10位、クルトゥアブラウライのマルクト

この中で行ったことがあるのがジャンデルマンマルクト、アレクサンダープラッツ、赤の市庁舎、ヴィルヘルム祈念教会、シャルロッテンブルグ宮殿前、クルトゥアブラウライ。まだ開拓の余地はある。

デュッセルドルフ響のホスピス支援

アダム・フィッシャーがシェフを務めているデュッセルドルフ交響楽団は、市内のホスピスEVKに対する支援を行うと発表した。楽団が1年間ホスピスの同盟者となり、オーケストラのメンバーがホスピスを訪ねて演奏するだけでなく、ホスピスのスタッフをゲネラルプローベやコンサートに招いたり、お客さんに寄付を呼び掛ける。「楽団としてコミュニティに貢献する。」とはトーンハレの支配人でオーケストラのマネージャーであるミヒャエル・ベッカー氏の言葉。

オーケストラは12月10日に「バーンスタイン・ミサ」をトーンハレで演奏するが、楽団員は「オーケストラとして音楽を演奏するだけでなく、音楽によって人々を繋げる役割を果たしたい。」と言っている。「音楽は言葉なしでも伝えることができるから。」

ホスピスEVKは1994年に設立され、約55人のボランティアにより運営されている。2005年から支援者を募っていて、過去には政治家やテレビ司会者、役者などがパトロンになっている。今回初めてデュッセルドルフ響とのサポートを受ける。

ゴーン会長の逮捕

ルノー日産三菱の自動車アライアンスのトップであるカルロス・ゴーン会長の逮捕は、ドイツでも大きく報道された。自動車産業はドイツ国内でも重要だから関心が深いのだけれど、日本での取材陣が限られるのか、情報はNHKや朝日の報道の参照が中心で、独自に取材したニュースはあまりない。もちろんフランスのルノーの動向に関しては情報が早く、株価が11パーセント下落したことや、マクロン大統領もコメントしていることなどかなり詳しい。

やはり取材力の違いは言葉によるのだろう。日本語が流暢なドイツ人記者なんてか滅多にいないから、日本の取材は難しい。同じことはヨーロッパの取材をする日本のメディアにも言える。ヨーロッパ在住の日本人特派員は、英語はなんとか使えてもドイツ語やフランス語など現地の言葉を話せる人は少ない。だからヨーロッパの情報は英語で収集することになり、英語圏のフィルターを通してヨーロッパを見るような論調になる。

それを強く感じたのはEU離脱に関するニュース。イギリス国内のニュースはEUを悪者にすることが多いのだが、日本も知らず知らずにその論調を受け入れてしまう。EU側の情報はフランス語やドイツ語などなので、本音の部分はなかなか理解できない。やはり地元の言語で直接取材した方が正確な情報が手に入る。
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