クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

ミュンヘンの事件とバイロイト

ミュンヘンの事件について、日本語のサイトを検索すると相変わらず「イスラムのテロ」と断定しているものが上位に並ぶのだが、ドイツ国内ではテロではなく銃乱射事件として扱われている。だいたいテロ事件と銃乱射事件の違いだって発生当初にはわからない。テロ事件というのは犯人が政治的な意図を持って不特定多数に対して行う犯罪で、今回の事件は政治的な背景は見つかっていないからテロではない。むしろドイツ国内では銃が違法に出回っている問題や、人を殺して点を競うパソコンゲームの問題などが議論の的になっている。

奇しくも2011年7月22日にはノルウェーでテロ事件が発生している。オスロ市庁舎の爆破事件を起こし、さらにオスロ近郊のウトヤ島で銃を乱射して80名近くが犠牲になった。犯人は移民の受け入れに対して反対するために事件を起したノルウェー人だった。それに古くはイングランドに対してテロを繰り返していた北アイルランドのテロ組織もあった。だからキリスト教徒だってテロ事件を起すのに、すぐにイスラムと関連付けるのは良くないことだ。

もちろんドイツでもそういう人は多いけど、トルコ系などイスラム教の人も身近にいるから、テロとイスラムを結びつけることにはジャーナリストは慎重だ。でも日本はイスラム教と接点が少ないから「イスラム=テロ」と簡単に断定して問題意識を持たないのかもしれない。これは恐ろしい事ではある。

ところでミュンヘンの事件を受けて、同じバイエルン州で開催されるバイロイト音楽祭にも影響があった。毎年開幕公演の後にはバイエルン州主催の晩餐会が開かれるのだが、今年は中止になった。開演前の赤い絨毯によるセレモニーも無し。バイエルン州大統領他の州の要人はみな欠席するそうだ。

ミュンヘンの事件と日本のメディアの偏向

ミュンヘンで銃乱射事件が起きた。昨日の午後6時少し前、ミュンヘンのオリンピア・ショッピングセンターのマクドナルド付近で男が発砲した、その後ショッピングセンターに逃げ込んで発砲を続け、最後は自殺した。9名が死亡、重軽傷を合わせると28人だそうだ。

昨日は家に帰ったのが8時半頃で、テレビをつけたら主要ニュースが特番を放送していた。その時点ではまだ不明な点が多く、複数犯の可能性も指摘されていた。ミュンヘン中央駅は閉鎖されたし、ミュンヘン市内の公共交通網は全て停止したという事だった。

警察の記者会見によれば、犯人は18歳のイラン系ドイツ人で、違法に入手した銃で発砲したとの事。難民には全く関係が無いし、イスラム国とのつながりも現時点では見つかっていない。被害者も10代の若者がほとんどで、無差別というよりはティーンエイジャーが同年代をターゲットにしたとも考えられる。さらに犯人がフェイスブックのアカウントを乗っ取り、マクドナルドへの招待メッセージを送っていたらしいし、目撃者のビデオには屋上に逃げた犯人が「俺はドイツ人だ」と叫んでいる姿が映っている。

だからドイツ国内では現時点ではテロではなく銃乱射事件として扱われている。アメリカほどではないがドイツでも銃を入手する事が可能で、過去にエアフルトやシュトゥットガルト近郊のヴィネンデンなどで若者の銃乱射事件が起きているが、小さな街で学校などが舞台だったのでテロとみなされる事はなかった。今回は同様の事件が都市部で起きたと考えられる。

ところが日本でのニュースを見て驚いた。確認したのは朝日新聞と毎日新聞のニュースだけど、どちらもテロという見方。毎日新聞なんて、「容疑者がイラン系の男だったことで、『開かれた国』を目指すメルケル独首相への逆風が強まるのは必至だ。 」なんて書いてある。イランはイスラム教だけど、シーア派だし言葉はペルシャ語でイスラム国とは関係ない。世界情勢の理解が足りないんじゃないか。

それに「片親がイラン出身だったから子供が罪を起した」と決め付けているようで、とても不快感をおぽえる。たしかにドイツには外国人に反対するペギーダという組織もあるが、ドイツ人と結婚してドイツに溶け込んでいる人の18歳の子供(ドイツでは成人扱い)が罪を犯したからといって、その親の国籍が問題だなんていう意見は主流ではない。

ドイツに滞在する日本人記者もドイツ語を話せる人はごくわずかで、ニュースの取材は英語経由だ。だから日英語圏での事件の取材は難しくなる。それに日本人全体が外国に対して興味を失ってしまった影響かもしれないけど、海外に駐在する記者ですら基本的な社会情勢を理解していないのには驚きをおぽえる。

続バイロイトの警備のお話

今年のバイロイト音楽祭は警備が厳しいという話は以前の日記に書いた。音楽祭を訪ねるお客さんも大変だけど、音楽祭で働く人にとっては大問題だ。音楽祭事務局は従業員に対して警察によるバックグラウンド・チェックに同意するように要求している。警察は従業員全員のチェックを行ったようで、その中の35人を不適切と判断したのだそうだ。その理由は明確にはなっていないが、レストラン職員などの外注だけでなく、バイロイト音楽祭に直接雇用されている人も含まれている。音楽祭側は直接雇用した人を解雇することは無いとしているが、外注の人は別の人に代わってもらうとの事。

音楽祭で働いている人に対するセキュリティ・チェックは相当厳しいらしく、「パルジファル」のタイトルロールを歌うフローリアン・フォクトがカフェテリアで食事をしていたら、身分証明書を忘れていたので警備員に連行させたとか。バイロイト音楽祭に働くのに出演するスターの顔も知らないのか、という突っ込みはあるけれど、例外は認めない厳しい対応らしい。

確かに最近のヨーロッパはテロ事件が多発しているし、つい先日もバイロイトからそれほど遠くないところで、電車の中でイスラム国に感化された少年が乗客を切りつける事件があった。でも音楽祭というのは娯楽なんだから、厳重な警備で楽しみを半減ざせてしまっては意味が無い。その辺、もう少しソフトに対応できないものなんだろうか。

ハイドンの未公開の肖像画を発見

アイゼンシュタットのハイドン協会は、今まで公開されていなかったハイドンの肖像画を取得したと発表した。

ハイドンの肖像画はクリストフ・ルードヴィッヒ・ゼーフスの作品で、1785年にハイドンがウイーンに滞在していた時に描かれた。この油絵はアメリカの骨董商で発見されたもので、ハイドンターゲのインテンダントであるライヒャー氏の下に連絡があったのだそうだ。検定の結果本物であると判断されたため、アイゼンシュタットのハイドン協会が購入し、ウィーンの国立ギャラリーに修復を依頼した。修復が終ったので本日公式にニュースとして報道された。

画家のゼーフスは同時期にハイドンの肖像画を複数残したという記録がある。一番よく知られていてものはドイツのシュヴェリンの博物館にある。2つめの作品はプロイセン文化伝統協会(現在はベルリン州立博物館)が所有という事になっているが、第2次大戦中に紛失し、現在は白黒の写真が残っているのみ。アイゼンシュタットが購入したものは3作目。

この肖像画はアイゼンシュタット市のハイドン博物館に常設展示される。

音楽家の休日

「トランペット吹きの休日」という曲があるが、休日のはずなのにトランペットはとても忙しい曲だ。それでは音楽家は休日に何をするか。

音楽家たって音楽以外の趣味があるから、いつも音楽を聴いているわけではない。ハイドンフィルの知り合いは腕時計の収集が趣味だったり、時間がある時に車を自分で修理するなど、音楽とは全く関係ない趣味を持っている。コンピュータに興味があって色々やっている人もいれば、「音楽家にとってインターネットは敵だ」なんていう人もいる。どちらも時間を要するから、インターネットに夢中になって練習が疎かになるからだそうだけど。

アダム・フィッシャーは7月2日のマーラー5番の後2週間の休暇があり、今日当たりからザルツブルグでモーツァルト・マチネーのリハーサルが始まったはず。カッセルでは色々な人と面会があり、忙しくて話す時間が取れなかったのだが、アダムもベルリンに行くという事で、カッセルから同じ電車に乗る機会があった。

仕事の無い2週間に何をするかを聞いたところ、残念ながらゆっくりできるわけではないらしい。世界中を駆け回っているのでハンブルグの自宅も留守がちで、帰ったときにはまとめて雑用を処理しなければならないのだとか。次にいつ戻ってくるかわからないからハンブルグに戻った時には主治医を訪ねて健康診断を受けるし、車検などやら無ければならない事もある。普通の職業なら大したことは無いことも、旅が多い職業だから大変になる。

また次の演奏会の勉強も欠かせない。電車の中で楽譜を引っ張り出してザルツブルグの予習をする。ミヒャエル・ハイドンのミサ曲の楽譜を読みながら、アダムは「これフルートとビオラが無いよ!」とビックリ。さすがにミヒャエル・ハイドンは演奏する機会が少ないから勉強が必要だ。

ザルツブルグの後にはまた短い休暇があり、8月後半からはスカラ座の「魔笛」のリハーサルがある。その後はアイゼンシュタットで3種類のプログラム。マーラー4番と「新世界より」は何度も指揮しているが、あまり演奏しないのがハイドンの20番と60番。それからコントラバス協奏曲と四手のピアノ協奏曲もあるので勉強が大変そう。

マーラー2番の自筆譜がオークションに

この秋、マーラーの交響曲第2番「復活」の自筆譜がロンドンのサザビーズでオークションに出されることになった。サザビーズのコメントでは、この自筆譜は歴史上最も重要な自筆譜で、3百50万ポンドと予測されている。過去にこのオークション・ハウスが扱った自筆譜は、モーツァルトの交響曲が293万ポンド、シューマンの交響曲第2番が176万ポンドだったとか。

マーラー「復活」の自筆譜は232ページで、変更点や修正、作曲家のコメントなどが含まれている。マーラーの自筆譜の中では唯一オークションに出品されたもので、マーラーがオランダ人の指揮者ヴィルヘルム・メンゲルベルグに送ったもの。その後マーラーの研究家で「復活」専門の指揮者として知られていた実業家のギルバート・キャプランが入手し、一般の人のために図書館に寄付した。キャプランはそのファクシミリ譜を作成して研究した。キャプランは今年の元旦に亡くなったので、その自筆譜がオークションに出させる事になったのだろう。

バイロイト音楽祭のジークリンデ交代

開幕までほぼ1週間、現在はゲネラルプローベが始まっているバイロイト音楽祭だけど、この段階でまたキャストの変更が発表された。

ジークリンデ役を歌う予定だったアメリカ人ソプラノ、ジェニファー・アン・ウィルソンが辞退し、ハイディ・メルトンが代役を務める。メルトンはアメリカ出身の若手で、最近ではゲルギエフ指揮のウイーンフィル演奏会で「ブリュンヒルデの自己犠牲」を歌っている。舞台上演では、サイモン・ラトルが指揮したベルリン・ドイツオペラの「神々の黄昏」でグートルーネを歌った。バイロイト音楽祭にはデビューとなる。

それからフンディングとファスロット役のアンドレアス・ヘールも辞退。フンディングはゲオルグ・ツェッペンフェルド、ファスロット役はギュンター・グロイスベックに交代する。

ジークリンデ役の交代は指揮者ヤノフスキの意向ということらしい。ジェニファー・アン・ウィルソンの声質とブリュンヒルデ役のキャサリン・フォスター合わないという指摘は昨年からあったらしいのだが、ヤノフスキも一旦は了承した。でもウィルソンが風邪のためリハーサルで実力が発揮できなかった不幸もあり、結局ウィルソンはヤノフスキや音楽祭マネージメントと話し合って辞退を決めたそうだ。

ヤノフスキの意見ではウィルソンはビブラートが強く、ブリュンヒルデ役の方が適しているとの事。キャサリン・フォスターもビブラートをかけるので、芸術性の面からジークリンデ役の交代を主張したらしい。ウィルソンはブリュンヒルデとしては素晴らしいから、機会があったらぜひ共演したいとヤノフスキは言っている。

それでもこの段階での交代は大丈夫なのだろうか。

ドイツから見たイギリス、フランス、トルコ

ニースでテロ事件が起きた翌日には、なんとトルコで軍事クーデターが発生した。詳しい事は良くわかっていないのだけれど、最近独裁を強めているエリドガン大統領に反対する軍部が反乱を起したらしい。民間人を含む190人以上が死亡し、怪我人は千人を越えるという報道もある。

それにしてもこのところ世界に影響を与えるヨーロッパ発のニュースが多い。まず大きかったのが6月末のイギリスのEU脱退国民投票とそれに続く政権交代。国民投票を予定しておきながら、脱退のシナリオを全く想定していなかったのも驚きだが、脱退を主導していた政治家たちが同僚の裏切りや自身の失言などで次々に首相レースから脱落していったのは情けなかった。一説には「Brexitの呪い」なんて言われていたが、採取意的には消極的残留派だったメイ首相が誕生し、EU脱退に向けて交渉することになった。

ドイツ人たちも最初は驚いたし怒った人もいるけれど、イギリスのドタバタを見て正直怒る気もしなくなった。イギリス政府の人事がようやく固まったところにニースのテロ事件。ドイツとフランスは歴史上何度も戦争をしているのだが、今は良い隣人となっている。テレビ局のARTEがドイツとフランスの共同で制作しているくらいだから、ニュースの特派員も各地にいて情報はたくさん入ってくる。EURO2016も無事に終ってほっとした所をテロに狙われてしまった。

トルコはEUではないけれど、ドイツ国内にはトルコからの移民がたくさん住んでいるからこちらも心情的にかなり近い。ベルリンは特にトルコ系のドイツ人が多いから、これらの人々にとっては他人事ではない。ただトルコの大統領は独裁性を強めていて自由に報道ができないから、どうなっているのか良くわからない。

色々と物騒な事件が起きているから、ベルリンが狙われるのも時間の問題という雰囲気が漂っている。

ニースのテロ事件

昨日は会社のサマーパーティーがあり、夜遅くに帰ってきた。朝起きてテレビを付けるとニースのテロ事件のニュースで一杯。フランス革命記念日の花火大会が終わり、海岸にいた人々がプロムナードに出てきたところを狙って、大型トラックが突っ込んだ。警察が止めるまで約2キロにわたって人をはね続け、84人が死亡、50人近くが重症を負って病院で手当を受けている。ニースの市民の多くが献血に協力したそうだ。

犠牲者にはベルリンから修学旅行に出かけていた生徒2名と先生1名が含まれているとの事。ブランデンブルグ門の前、パリ広場に面したフランス大使館の前にはベルリン市民が花束を持ってきて、追悼の広場になっている。この週末はここでフランス・フェスティバルが開かれるのだが、お祭りの雰囲気は吹っ飛んでしまった。

フランス大使館の反対側はアメリカ大使館で、つい先日の銃乱射事件の犠牲者を追悼する花束や蝋燭が置かれていた。そのさらに前の11月はパリのテロの追悼の場だったし、パリ広場は悲しい広場になってしまった。

ドイツ国内の警備とバイロイト

サッカーのヨーロッパ選手権が終了してベルリンのファン・マイルは撤去されたけど、ヨーロッパ各地の大都市がテロの対象になっていることもあり、ベルリン市内の警備のレベルは厳しくなっている。ベルリン中央駅では防弾チョッキを着てライフルを持ち歩いている警官も見かける。素性の怪しそうな人に対する職務質問もあるし、企業もテロが起きた時の対策を考えているようだ。

だからこそバイロイト音楽祭の警備が厳しいのだろうけれど、とりわけ開幕公演には注意が必要らしい。観客だけでなく、赤い絨毯の回りにやって来るや野次馬も警官が厳重にチェックするらしく、身分証明書の携帯は必須。十分な余裕をもってフェストシュピールハウスに来るようにとの事。

警備が厳しいだけでなく、交通規制もあるのだそうだ。祝祭歌劇場の正面の道、ジークフリート・ワーグナー・アレーはVIPなど特別なお客さん以外は車の通行が禁止されるみたい。だから市内のホテルからタクシーで祝祭歌劇場に向かっても、遠いところで下ろされて長い坂を徒歩で行くことになるかもしれない。一般の車両はトリスタン通りやタンホイザー通りから駐車場に入ることは出来るらしいけれど、ホテルからのバスはどうなるかは不明。

音楽祭に行かれる方は要注意。

Brexitとイギリスのイメージ

イギリスの国民投票から約3週間が経過した。EU離脱の影響はまだ未知数だけど、Brexitによりイギリスのイメージは低下したとアメリカ在住のイギリス人記者はかんじているらしい。

この記事の筆者のアメリカの自宅に大統領選挙の運動員が訪ねて来た。イギリス人だから投票できないと説明したら、相手は暫しの沈黙の後「ご愁傷様で」と言って去ったそうだ。国民投票以降、友人たちがまるで遠方の親戚が亡くなったかのような態度だったりして、Brexitとは"Sorry for your country failed"と同義語になってしまったと嘆いている。アメリカの新聞のBrexitに対する記事のタイトルも、「離脱派は1776年の教訓を忘れた」(ワシントンポスト)、「偉大なブリテンか小さなイングランドか」(ニューヨークタイムズ)、「イギリス人はアメリカ人を愚か者呼ばわりする権利を失った」(ニューヨーカー)などかなり辛辣なものも多い。

筆者の考えでは国民投票の前まではアメリカ人はイギリスという国に対してとても好意的なイメージを持っていた。昔は「伝統的」「近寄りがたい」と否定的だったが、「シャーロック」などのテレビ番組のヒットやロンドン・オリンピック、ハリー・ポッターなどから『親しみがある』「親切」など肯定的なものに変って来た。ところが国民投票の結果、イギリスのイメージは一挙に悪くなったとのこと。

確かに国民投票を実施したキャメロン首相や離脱を先導した政治家たちが、道筋を示すことなく無責任に辞任していく姿を見ると良いイメージは持てない。イギリスと言えば上品な貴族階級を想像したが、今となってはビールを飲んで騒ぎまくるサッカーのフーリガンの方が現実に近いのではないかという気もする。

それにしてもドイツに住んでいるイギリス人たちには同情する。投票後数日はからかいの対象にもなっていたが、半ばパニックになって「ドイツの国籍を取得する」とか「アイルランドのパスポートはとれるか」など本気に検討している姿をみると、結果の与える影響の大きさを考えさせられる。

コンサートのドレスコード

先日のカッセルでのマーラー演奏会での事。開演に先立って地元の名士が舞台に出てきて挨拶をした。これらの人々は紺のスーツに赤いネクタイという政治家スタイル。オーケストラの音あわせが終るとアダムと一緒に出てきた人もスーツにネクタイ姿だったので、また政治家が何か話すのかと思ったら実はソリストだった。

休憩時間にお客さんの意見を聞いたところ、ソリストの声が小さいこともあってあまり評判がよくない。中には「あの服装は良くない。ソワレだし特別な演奏会なんだから燕尾服を着るべきなのに、スーツというのはちょっと問題ではないか。」なんていう人もいる。歌の実力だけでなく服装までチェックされてしまうとは可哀想ではある。

一般的には夜の演奏会は燕尾服に蝶ネクタイ、昼の演奏会はスーツ(略礼服)に普通のネクタイというのが基本みたいだけど、コンサートなんだから演奏しやすい服装の方が良いような気もする。最近は演奏会の服装も大分自由になってきて、黒シャツと黒のズボンに上着ネクタイ無しの時もある。

オペラの場合は演目が長いから始まる時間が早いこともあり、どんな服にするかは微妙かもしれない。チューリッヒやメトロポリタンオペラなどでは土曜日か日曜日の昼過ぎからマチネー公演を行う。この場合はもちろんスーツ。以前ウイーンで午後4時開始という事があったが、この時もスーツだった。バイロイトの場合は16時開始だけど、ピットが見えないから指揮しているときは普通のシャツとズボン。指揮者はカーテンコールの間に着替えて舞台に出てくるのだそうだ。

疑問なのが11月のウィーン国立歌劇場。「ワルキューレ」は3回とも午後3時開始だから、ドレスコードによればスーツ。でも日本の方は指揮者には燕尾服を期待する人が多いような気もする。重くて嵩張る燕尾服を日本に持っていく必要が無いければアダムは喜ぶとは思うが、日本のルールはどうなのだろう。

バイロイト音楽祭関連ニュース

毎年7月になるとドイツ語圏の多くの劇場が夏休みに入る反面バイロイト音楽祭の準備が佳境を迎えるので、新聞の文芸欄はバイロイトのニュースがでてくる。

その中のひとつによれば、劇場がが襲撃された昨年のパリのテロ事件を受けて、バイロイト音楽祭の警備が強化された。どうやらお客さんはセキュリティ・チェックを通ることになるようで、空港並の厳しさらしい。大きなバックやリュックサックは持ち込みが禁止だし、液体つまり飲み物も持ち込み禁止。さらにクッションもダメだそうだ。バイロイト音楽祭の座席は硬いので有名で、クッションは必需品みたいなもなんだけど、今年は禁止。

セキュリティ・チェックに時間がかかるため、お客さんに開演45分前までには劇場に到着するように呼びかけている。さらに入場時にIDチェックがあるのでパスボートは忘れずに。

これではオペラを楽しむという雰囲気ではなさそう。パルジファルの演出家は警備の物々しさに反対している。

それから、バイロイトのオーケストラピットのリハーサルの模様を伝えた記事も見かけた。Die Welt紙の記事に寄れば、世界で一番恐ろしいオーケストラピットだそうだ。

記者はジークフリートのリハーサルに同席したようで、ヤノフスキが指揮するリハーサルの模様をレポートしている。オーケストラ・ピットには6段の台があり、奥に行くほど低くなる。また通常のオーケストラと異なり、第一ヴァイオリンは指揮者の右手に並ぶなど、バイロイトの特殊性を説明している。

記事の最後の方で、音楽監督のティーレマンが客席から歌手らに指示を与えていると書いてある。「感情は常にコントロールされているわけではなく、直感的な判断で決定していく。」のだそうだ。「パルジファル」のリハーサルを聴いたかどうかは知らないが、少なくとも記者が取材した「ジークフリート」にはティーレマンは少なくとも一部は聴いていたらしい。

バイロイトのスキャンダルリスト

開幕まで4週間をきった時期に新制作の指揮者が交代したバイロイト音楽祭だけど、実は公表された出演者や演出家が病気以外の理由でキャンセルした例はたくさんある。ここ数年に限ってリストアップした記事をみつけた。

  • 1999年、演出家ヴィリー・デッカーが「ローエングリン」の演出をキャンセル。キース・ウォーナーが後を継いだ。
  • 2000年、長年歌っているバリトンのハンス・ソリンが指揮者クリストフ・エッシェンバッハと対立して「パルジファル」プレミアの数日前にキャンセル。エッシェンバッハも翌年は指揮しなかった。
  • 2000年、ワルトラルト・マイヤーもリハーサルのスケジュールで対立して翌年以降キャンセル。
  • 2004年、「パルジファル」の演出に予定されていたマルティン・クシェイがキャンセルし、クリストフ・シュリンゲンジーフに交代した
  • 2004年、06年新制作である「ニーベルングの指環」の演出に予定されていたラルス・テォン・トリアーが辞退。タンクレッド・ドルストがわずか2年で4部作を制作した。
  • 2011年、13年の「ニーベルングの指環」演出予定だったウィン・ウェンダースが辞退。実際の演出コンセプトより、音楽祭執行部との映像収録とマーケティングの権利に関する意見の相違が原因と言われている。
  • 2012年、「さまよえるオランダ人」のタイトルロールを歌うはずだったエフゲニー・ニキティンが刺青問題で辞退。
  • 2014年、今年の新制作「パルジファル」の演出には当初、ジョナサン・メーセが予定されていたが、当初案にはナチを賞賛する内容が含まれていた。結局音楽祭側は予算オーバーを理由に演出家を変更した。
  • 2015年、新制作「トリスタンとイゾルデ」のタイトルロールに予定されていたソプラノ、アンヤ・カンペが開幕1ヶ月を切った段階でキャンセル。
  • 2016年、「パルジファル」新制作の指揮者、アンドリス・ネルソンスが6月末にキャンセル。

No.344、 2016年7月2日、シュターツテアター・オーケストラ・カッセル、マーラー交響曲第5番他

5月末から6月にかけてアダムはとても忙しかった。ワーグナー・イン・ブダペストのリハーサルはもちろんあったのだけれど、それ以外にウィーンで「薔薇の騎士」の公演があった。ブダペストでリングとマイスタージンガーの公演が終ったと思ったら、スカラ座から緊急の呼び出し。演出家との打ち合わせがあったらしい。その後ドイツのカッセルに飛び、マーラーのリハーサルと演奏会があった。

Gustav-Mahler-Festtage 2016
Staatstheater Kassel

Adam Fischer
Stephan Genz

G. Mahler: Ruckert-Lieder
G. Mahler: Synfonie Nr. 5


アダム・フィッシャーは1978年から1992年までシュターツテアター・カッセルで音楽監督を務めていて、今でも名誉指揮者として特別に扱われている。その理由はオーケストラへの貢献。カッセルは小さな街なので劇場に対する予算も少ない。だからアダムが監督に就任する前はオーケストラはBクラスだった。(何でも規格化するのが好きなドイツでは、オーケストラにもABCのにクラスで規定がある。例えばAクラスに属するオーケストラは楽員の基本給も同じだし人数や裏方に至るまで同じになる。ただしベルリンフィルなど日本で知られているオーケストラはA+として規格を超えて独自の待遇になる。)

アダムはヘッセン州やカッセル市の政治家に働きかけて、オーケストラをBからAに昇格させた。これにより規模が大きくなったのでマーラーを演奏できるようになったオーケストラは、マーラーフェストを開催するようになった。マーラーは若い頃カッセルの劇場のGMDだったので、この街には縁が深い。

BからAに昇格させるのも大変だったけれど、アダムがカッセルから去ると街の政治家は文化予算を削減したので、オーケストラはAステイタスを失いかけた。だからオーケストラのメンバーやカッセルの企業や市民がお金を出し合って、ブルガー・プロAという組織をつくり、州や市からの文化予算を補助する形でAステイタスを現在も保っている。その組織の創立20周年を記念したのがこの日の演奏会。

オーケストラがステージに登壇すると、市長とブルガー・プロA(「Aクラスを支援する市民」という意味)の会長が過去の経緯なども含めて演説。その後オーケストラのチューニングも終ってもアダムとソリストが出てこない。1分くらい空白があって客席が少しざわついた頃、ソリストとアダムが出てきた。後でその理由を聞いたら、政治家の話は長いと思ったステージマネージャーはソリストを控え室に戻したのだけれど、オーケストラの準備が整った時に呼びにいったら、ソリストの準備が出来ていなかったのだとか。

前半のリュックケルト・リーダーはソリストの声が小さいので出来は今ひとつ。会場のシュタットハレは響きが良くないこともあってソリストには可哀想だったかもしれない。

後半はマーラーの5番。カッセルのマーラー・フェストは数年ごとに行われるのだが、過去にアダムはほとんどの交響曲を指揮しているが、5番だけはカッセルで演奏した事は無かった。数年前にはウィーン響と演奏しているけれど、マーラーの中では演奏回数が少ない。

アダムのマーラーは大きな音の部分はもちろん迫力があるのだが、スケルツォのウィーン風のリズムや緊張感溢れる小さな音が素晴らしい。第4楽章のアダージェットは実に美しい。

今回はヴァイオリン奏者の友人宅に泊めてもらったのだが、音が小さい時の方がオーケストラにとって勇気がいるのだそうだ。「だって第一ヴァイオリン16人が小さなフルートの音を消さないように、小さいけれどしっかりと演奏しないといけないんだから、大変なんだよ。」と言っていた。音が大きい演奏の方が好まれるけれど、実際は小さな音で演奏するほうがずっと難しいのだ。

No.343、 2016年6月26日、ワーグナー・イン・ブダペスト、「ニュルンベルグのマイスタージンガー」

2006年に始まったワーグナー・イン・ブダペストも10周年を迎えた。今年は4日間のリングとマイスタージンガー。その最終日の公演を聴いた。

Wagner: Die Meistersinger von Nurnberg
Artistic director and conductor: Adam Fischer

James Rutherford - Hans Sachs
Gabor Bretz - Veit Pogner
Zoltan Megyesi - Balthasar Zorn
Domonkos Blazso - Konrad Nachtigall
Bo Skovhus - Sixtus Beckmesser
Jurgen Linn - Fritz Kothner
Tivadar Kiss - Kunz Vogelgesang
Jozsef Csapo - Ulrich Eisslinger
Lars-Oliver Ruhl - Augustin Moser
Piotr Prochera - Hermann Ortel
Ferenc Cserhalmi - Hans Schwarz
Laszlo Jekl - Hans Foltz
Daniel Kirch - Walter von Stolzing
Annette Dasch - Eva
Norbert Ernst - David
Gudrun Pelker - Magdalene
Domotor Pinter - A Nightwatchman

The Hungarian Radio Symphonic Orchestra
The Hungarian Radio Choir (chorus master: Zoltan Pad)
Hungarian National Choir (choirmaster: Csaba Somos)


ミヒャエル・シュルツ演出のマイスタージンガーはワーグナー・イン・ブダペストの中では最もわかり易く共感が持てる。ミニマリストの演出だから派手ではないけれど、演奏時間が長いのに楽しめた。もっともワーグナーのストーリーがしっかりしているのと、ベックメッサーを歌ったボー・スコーフスの表現力によるところが多いけれど。

それに比べるとワルター・フォン・シュトルツィング役のダニエル・キルヒとダヴィッド役のノルベルト・エルンストはちょっと単調。第一幕のこの二人のやりとりは少々退屈だった。ハンス・ザックス役のジェームス・ラザフォードは3年前のプレミアと同じだけど、演技面で自身がついたようで経験豊かなザックスを演じていた。2幕のベックメッサーとのやり取りはとても可笑しくて目が離せない。

エヴァ役のアネット・ダッシュも可愛らしいが、ちょっと違和感があったのがエヴァの父親役のガボー・ブレッツ。歌はとても上手いんだけどカッコ良過ぎ(笑)。ワルターはお父さんに勝てないぞ。

一幕は調子の上がらなかったキルヒも三幕になったらしっかりして、歌合戦の場面は盛り上がった。最初は体力をセーブしていたみたい。それから合唱団が凄い。ボリュームも凄いんだが、発音がクリアーで揃っている。ハンガリーはコダーイの国だから合唱が盛んということ再認識した。

この演出では第二幕の乱闘で女声合唱がバルコニーからトイレットペーパーを投げるのだが、1回目の公演では誰かがオーケストラ・ピットに投げたらしく、首席ビオラの頭上に紙が降ってきて楽譜が見えなかったそうだ。だからアダムは「トイレットペーパーはピットに投げないで!」と合唱団に注意していた。オペラというのはそういうトラブルもある。

バイロイト「パルジファル」の指揮者決定

ネルソンスが辞退してから数日が経ったが、バイロイト音楽祭は「パルジファル」新制作はHartmut Haenchenが指揮する事を発表した。

ハートムート・ヘンヒェンはドレスデン生まれの73歳。ドレスデン・フィルハーモニーの指揮者やシュターツカペレ・ドレスデンの客演指揮者を経て1986年から99年までネザーランド・オペラのGMDを務めた。ロンドンのコヴェントガーデンやパリ国立オペラ、コペンハーゲン国立オペラなどで客演している。

バイロイト音楽祭は初登場。

今年のバイロイトのスキャンダル

バイロイト音楽祭は最近は開幕前にスキャンダルで話題になる事が多い。昨年は共同総監督のひとり、エヴァ・ワーグナー・パスキエを敷地内立ち入り禁止にしたという噂が発端で、リング指揮者のキリル・ペトレンコが反対するメッセージを発表し、ペトレンコと親しいソプラノのアンヤ・カンペがティーレマンの指揮する新制作「トリスタンとイゾルデ」を直前にキャンセルした。

今年のスキャンダルは新制作「パルジファル」の指揮者のアンドリス・ネルソンスが開幕まで4週間も無いのに指揮を辞退してリガに帰ってしまった。この事件が起きたのは先週の木曜日、それ以来4日経つが代役はまだ発表されていない。

週末にはドイツの新聞がとりあげていたのだが、ネルソンス側によれば、「いろいろな物事の異なるアプローチが原因で、今年のバイロイト音楽祭は全ての関係者にとって快い雰囲気とはいえない」ことが理由だとか。アンサンブルやプロダクションのクルーには感謝しているとのことなので、演出が酷いのでキャンセルしたわけではなさそう。ドイツの新聞の推測では、今年の「パルジファル」はイスラムがテーマという噂で、テロ対策のため祝祭歌劇場の回りのセキュリティが強化された。劇場の立ち入りもチェックが厳しく、芸術を上演するという雰囲気ではないそうだ。

またネルソンスはボストン交響楽団のGMDとして夏のタングルウッド音楽祭への出演がある。25日の「パルジファル」のプレミアの後、7月29日から31日まで3つの異なるプログラムを指揮し、8月2日にはバイロイトに戻ってきて再び「パルジファル」を指揮する予定だったし、8月後半にもタングルウッドとバイロイトの往復が予定されていた。さらに7月にはライプツィヒでシャイーがキャンセルした演奏会を引き受けて、ネルソンスはとにかく忙しい。繊細な人らしいから、ハードスケジュールに嫌気がさしたのかもしれない。

どうやらそれに加えて、昨年からバイロイト音楽祭のGMDに就任したクリスチャン・ティーレマンとの衝突があったらしい。ティーレマンはGMDとして他の指揮者のリハーサルも聴いているらしく、演奏に関して注文を付けるのだとか。「パルジファル」の2幕の花の乙女のシーンのリハーサルで、音響チェックのためにネルソンスは音を小さめにして演奏していたら、ティーレマンが音が小さすぎるとリハーサルに介入してきたのだとか。オーケストラや合唱団は結局ティーレマンの指示通りの演奏をすることになったのだとか。

年配のヤノフスキに対してもティーレマンは注文を付けるのだが、父親のような年齢のヤノフスキはティーレマンが客席からピットに電話をかけてきても無視してしまうそうだ。ネルソンスは若いが既にバイロイトでは「ローエングリン」を4年間指揮している。だからまるで新人の駆け出しみたいに扱われて腹を立てたのではないか、というのがドイツの新聞の大方の推測だ。

ティーレマン側はネルソンスの関係は良好だったし、是非とも戻ってきて欲しいとメールをしたが返答は無いという発表。それにティーレマン自身トリスタンのリハーサルで忙しく、他人のリハーサルを聴いている暇は無いとコメントしている。でも音楽祭の広報は、GMDとしてリハーサルを聴いたとのはネルソンス側の希望と言っている。この辺に矛盾がある。

バイロイト祝祭歌劇場は構造が特殊なので、歌手とのバランスやタイミングを合わせるのがとても難しい。ティーレマンがバイロイトにデビューした2000年頃はウォルフガング・ワーグナーが健在だったので、リハーサルを聴いて劇場の音響について歌手や指揮者に対して厳しく指示していたそうだ。音楽監督としてティーレマンがその役割を担うのはわからないでもないのだが、作曲家の孫で歌劇場の構造を知り尽くした音楽祭の総監督ならともかく、指揮者陣の一人ならもっと態度に気をつけないと指摘を聞いてもらえない。そういう配慮はないから誤解を受けやすいのかもしれない。

ティーレマンは過去のポストでも問題を起しているし、ドレスデンもオーケストラはともかく客演指揮者となっているオペラの方はレベルが低下している。指揮者としては素晴らしいが、人間としては問題があるというのがドイツの新聞のティーレマンに対する共通の意見となっている。

カッセルへの遠征

昨日はサッカーのドイツ対イタリア戦を見たわけではなくて、カッセルまで出向いてアダム・フィッシャー指揮のマーラー5番を聴いてきた。マイスタージンガーの時は3対0で余裕があったし、会場がブダペストだったからそれほどテンションは高くなかった(その代わりハンガリーとベルギーの試合が第三幕と重なったけど)。今回はドイツ国内だし相手がイタリアという事で、チケットの売り上げにも影響があって、2階席の一部は空席があった。

開演は8時だけどメイン・プログラムのマーラー5番が始まったのが試合開始とほぼ同時刻。でもワーグナーのオペラほど長くないので終ったのが午後10時15分。その後拍手があって楽屋を訪ねたのが10時半頃だった。案の定オーケストラの控え室にはプロジェクターでテレビから受信した映像が映し出されていて、普段なら演奏後即効で帰る楽員も何人かが残っていた。この時点で1対0でドイツが勝っていたから、家にたどり着く前に試合が終ってしまうと考えたのだろう。

アダム始めスポンサーや街の有力者などはそのあとで近くのイタリアン・レストランに行ったのだが、イタリア人の若者たちがテレビの前に陣取っている。こちらはイタリアのチャンスになると大喜びだから、後からやって来たドイツ人たちは肩身が狭い。

最後PK戦になるとイタリア人にかまわずテレビの前に移動。または携帯電話でテレビを受信して観ていた。アダムも一緒になってドイツを応援し、結局ドイツが勝った。でもけが人やイエローカードの累積で次の試合は出られない人が多い。、フォワードのマリオ・ゴメスも怪我で残りの試合は絶望だそうだ。相手は地元のフランスか番狂わせで勝ち残ったアイスランド。こうなるとアイスランドに活躍してもらうしかなさそう。

ワーグナーのオペラは長い

「ワーグナーは長いよ、だってジークフリートが岩山に寝ているブリュンヒルデが男ではないことがわかるまで7分もかかるんだよ」というのは、ワーグナーを中心的に取り上げる前のアダム・フィッシャーの言葉だった。日曜日にブダペストで「ニュルンベルグのマイスタージンガー」を観たのだが、確かに他の娯楽とは比べ物にならないほど長い。

この日はユーロ2016のトーナメント戦があり、15時、18時、21時開始の3試合があった。オペラが始まったのは16時なので、ほとんどのお客さんは最初の試合も観られない。第一幕が終ったのが17時半くらいだったので、既に試合は終っていて、フランスが勝っていた。

1回目の休憩は50分あったので、ドイツの試合が始まった事は知っていたし、試合開始から10分ほどで点が入ったので、この調子ならドイツは勝つだろうと思っていた。第二幕が終ったのは19時半。まだドイツの試合はやっていたが、3対0でそのまま終了した。

2度目の休憩は1時間なので第三幕は午後8時半開始。それから30分後にハンガリー対ベルギーの試合が始まったので、案の定少し空席が出来た。マイスタージンガーの第三幕は長いので、終ってカーテンコールも静まった頃には0対4でハンガリーの負けが決定していた。「延長になればオーケストラもテレビを観られるかも」という期待は外れてしまった。

これだけ長いのだから、楽譜もとても厚い。芸術宮殿の指揮者控え室に指揮者用のスコアが山積みされていたので、アダムと一緒に記念に写真に取った。
Wagner
下からワルキューレ3冊、ラインの黄金1冊、神々の黄昏3冊、ジークフリート3冊に一番上がマイスタージンガー。もちろん読んで勉強するのは大変だろうけど、これを持ち歩くのも大変そう。重さは百科事典並だ。
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