クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

コンツェルトヘボウ・オーケストラの新しいホール

ガッティ解任に関するマネージャーのインタビューを紹介したオランダのコンツェルトヘボウ管のために、の新しい建物「RCO House」が完成した。

これはコンサートホールであるコンツェルトヘボウにもほど近く、オーケストラのメンバーにとっては好都合な場所。ただこの新しいたものは演奏会ではなくてリハーサル向け。中には10個のスタジオがあり、楽員が個別にリハーサルできるようになっている。さらに事務用のオフィス・スペースもあるので楽団マネージメントはここで仕事をする。また学校向けのワークショップもここで行われる。

もともとこの建物はアート・スクールとして20世紀の前半に建築され、のちにオランダの芸術収集協会に利用された。改築のために一般から資金1000万ユーロを調達したが、さらにコンツェルトヘボウ管が250万ユーロを支出した。

オーケストラとひと口に言ってもその状況は大違いで、演奏会のリハーサル会場すら持たないオーケストラも多いけど、さすがにロイヤル・コンセルトヘボウ管は団体のリハーサルだけでなく、個人練習もできるスタジオ設備を持っているとは。音楽家には大きな音が出せる練習場が大切だから、うらやましく思う人も多いだろう。

フランスとドイツのアーヘン条約

イギリスのメディアは相変わらずEU離脱ニュースが多いけれど、ヨーロッパはそれには付き合っていられない。今日のドイツのニュースはイギリスの話は全くなく、フランスとドイツのアーヘン条約がトップ。

100年前の第1次大戦で戦った両国だけど、その後平和の大切さを学んで56年前に当時のアウデナウアー首相とドゴール大統領が友好条約を結んだ。その成果としては2か国語で放送するArteの創設や若者の交流などがあり、現在フランスとドイツはEUをけん引する大切なパートナーとなった。

それをさらに発展させるために、マクロン大統領とメルケル首相は今日アーヘンで新たな友好条約を締結した。両国の相互理解をさらに進めるため、軍事行動の連携、若者の交流の促進、さらにより密接な鉄道のシステムを構築することが今後の課題となる。

両国ともポピュリスト政党の台頭など問題を抱えているが、今後も協力してEUの理念を広めること約束している。だから式典にはフランスやドイツの国旗よりも青地に黄色い星のEUの旗を振る人が多かった。

全然進展がないBrexit

日本ではイギリスのEU離脱に関してあまり報道されていないみたいなので、先週から今日にかけての展開を紹介。3月29日の期限まであと68日しかないのに、ほとんど進展はありません。

先週の火曜日にメイ首相とEUの合意案が投票にかけられ、230票という大差で否決された。その後労働党がメイ首相に対する不信任案を提出し、翌日討議と投票が行われた。保守党の議員にしてみると労働党が政権を握るよりはメイ首相が続投した方が良いので不信任案は否決され、メイ首相が続投することになった。

メイ首相は本日21日までに代替案を議会に提出しなければならない。そのため党派を超えて意見交換を申し入れたが、最大野党労働党のコービン党首は「無秩序な離脱の可能性の排除を確約しない限り参加しない。」と拒否。意見交換に参加した他の党派の代表もほとんど否定的な意見だった。実際2度目の国民投票や無秩序な離脱の可能性排除に関しては、イギリス政府は否定的でだった。

週末に一部噂されていた代替案は、問題となっているアイルランドとの国境についてはイギリスとアイルランドの2国間交渉で解決し、EU離脱合意から取り除くという案。合わせてアイルランドと北アイルランドの和平条約であるグッド・フライデー・アグリーメントも見直すなんて言う人もいた。

イギリスの政治家のこんな態度に反発したのか、北アイルランドのロンドンデリーでナショナリストがピザ配達車を乗っ取って爆弾を搭載し、市内の裁判所の前に駐車した。犯人が警察に警告したので爆弾処理班が急行し、周辺を非難させて爆破させた。けが人は出なかったものの、北アイルランドの平和が壊れやすいことがはっきりした。

本日月曜日に発表されたメイ首相の代替案は原案とほとんど同じ。新しい点は離脱後にイギリスにとどまるEU市民に課すとされていた65ポンドを無料にすることくらい。でもこれはEUとの合意案には関係ない。代替案は先週拒否された原案と同じで、アイルランドのバックストップについてEU側に譲歩を要求するというもの。EUはもう何度も最高所ははしないと拒否しているし、多くの人は正直ウンザリしている。

イギリス国会は今後1週間かけて代替案を協議し、1月末には補正案をいくつか投票する予定。その承認投票は2月に入ってからのようなので、少なくともそれまでは混沌が続く。

ガッティ解任のコンツェルトヘボウ管の言い分

#MeeToo運動によりダニエレ・ガッティがコンツェルトヘボウ管のシェフを解任されて数か月が経った。その件についてコンツェルトヘボウ管のマネージャーがインタビューに答えている。元はオランダ語だけど英語に訳すとそれなりに意味は通じる。

これによれば、何人かの女性がガッティの不適切な行為を訴えていたそうだ。だから楽団側は独立した調査官に依頼して事実かどうかの調査をしてもらった。どのような方法を取ったのかはマネージャーは知らないとのこと。そのうちにワシントンポストが記事にするというニュースが伝わってきた。

楽団とガッティとの話し合いの場には最初からガッティの弁護士が同席していたそうで、マネージャーとガッティとの1対1の話し合いは無かったそうだ。結局最後の話し合いはガッティ側が打ち切ったそうで、その時点では楽団とガッティとの間の信頼関係が崩れてしまっていたので、契約解除という形になった。ガッティは楽団に雇用されているわけではないので、解雇ではないとの主張。

この件が公表された後、コンツェルトヘボウ管のアメリカツアーに対する影響が心配されたが、アメリカの楽団のシェフがサポートしたこともあり、影響はなかった。また一部では楽団に反対して一部の指揮者が客演を拒否したという噂がながれたが、マネージャーによればそれは全く嘘であるとの事。

今後については新しいシェフの選定はじっくり時間をかけて行うとの事。既に有名指揮者4名が候補に挙がっていて、コンツェルトヘボウ管の将来は心配ないという事だ。

ウィーンフィルとティーレマンのブルックナー・プロジェクト

ウィーンフィルハーモニーは今年のニューイヤーコンサートを指揮したクリスチャン・ティーレマンと今後5年間にわたってブルックナーの交響曲を演奏するプロジェクトを発表した。

シリーズの会場は楽友協会ではなくて、ヨーロッパ各地の大聖堂。最初の公演は5月2日のベルリン大聖堂での公演で、ブルックナーの交響曲第2番を演奏する。シリーズの最後になる2024年はブルックナー生誕200年のメモリアルイヤーなので、それまでに終了する計画らしい。オーディオとDVDの収録の可能性もありそう。

ブルックナー以外には現代音楽などブルックナーの交響曲と関係のあるプログラムを組む予定だそうだ。

2019年1月17日、マリス・ヤンソンス指揮ベルリンフィル、シュトラウス、リスト、ワーグナープロ

昨日はベルリンフィルのAシリーズ3回目の演奏会に行った。

Berliner Philharmoniker
Mariss Jansons conductor
Evgeny Kissin piano

Richard Strauss: Also sprach Zarathustra, op. 30
Franz Liszt: Concerto for Piano and Orchestra No. 1 in E flat major
Richard Wagner: Rienzi: Overture


前半のプログラムは「ザラトゥストラはかく語りき」。映画のおかげで最初の1分間は誰でも知っている有名曲だけど、その後40分近く続く。全曲を聴くのは20年ぶり。1999年にアダムがハリウッドボウルに出演した時に演奏した。オーケストラのソロも多く難しそうだけど、あまりハーモニーが良くない感じで普段のようなベルリンフィルのキラキラ感はなかった。3回の演奏会の最初だから今後は良くなるかも。

休憩の後の後半はリストのピアノ協奏曲第1番。ソリストはエフゲニー・キーシン。どうやらこの演奏会はキーシンのベルリンフィル・デビュー30周年がメインのテーマだったみたい。キーシンは1988年にカラヤンの指揮でデビューして以来何度もベルリンフィルと共演している。その時はチャイコフスキーの協奏曲だったけど、今回はリスト。さすがに上手くてお客さんも大喝采。それに応えてアンコールにはショパンの「子犬のワルツ」。

リストの協奏曲だけでは後半は短いので、ワーグナーの「リエンツィ」序曲がプログラムの最後になった。「リエンツィ」は聴いたことがないけれど、序曲はローエングリン風の部分があったり、ヴェルディ風だったりしてワーグナーの初期の特徴は出ていた。「パルジファル」のプレリュードとはだいぶ異なるけど、作曲家の変遷を楽しむのも良い。

これでベルリンフィルAシリーズの3回を聴いた。次回はメータ指揮で「シェラザード」など。

ヨナス・カウフマンとエルブフィルハーモニー

数日前のニュースだけど、人気テノールヨナス・カウフマンがエルブフィルハーモニーに出演した時の出来事。1月12日にはカウフマンのコンサートがエルブフィルハーモニーで開かれた。伴奏はシンフォニー・オーケストラ・バーゼルでプログラムはペリオ作曲による「シューベルトに断片によるレンダリング」とマーラーの「大地の歌」。カウフマンが「大地の歌」を歌っている最中にお客さんの一人が「声が全然聞こえない」と叫び、怒ってホールから退席したらしい。

エルブフィルハーモニーでのカウフマンの公演だから、チケット代は安くても80ユーロ。チケット購入の困難さを考えると多くのお客さんはとても楽しみにしていたと思われる。マナーをわきまえない一人の行為に多くのお客さんがコンサートの印象を台無しにされたし、カウフマン自身も気分を害したようだ。

このお客さんは舞台の後ろ側の席に座っていた人らしく、一説によれば観光客ではないかという話。カウフマン自身もエルブフィルハーモニーの音響に不満を感じたらしく、「今後一切出演しないとは言わないけど、次のコンサートはライゼハレにしたい。」と言っている。

エルブフィルハーモニーはどの席でも音響が素晴らしいと評価されている。オーケストラだけのコンサートならそうかもしれないが、実は多くの歌手が不満を持っているらしい。特に部隊の後ろ側の席だと声が聴こえにくい。「大地の歌」はオーケストラの音が大きくて普通のホールでも歌手は聞こえにくいから、舞台の後ろの席だと条件はもっと悪くなる。

ひと口に「音響が良い」と言っても、どんな形態でも理想的な音響になるわけではないから、席を選ぶときにはプログラムや楽団のサイズを考慮した方が良い。

イギリス議会がBrexitの合意を否決

イギリスのEU離脱期限まであと80日を切っているのだけれど、本日やっとメイ首相とEUとの合意案に対するイギリスの議会の承認投票が行われた。結果は賛成が202票で反対は432票と大差で否決されてしまった。もともと野党の労働党は与党案には反対すると言っていたのだが、与党の保守党からも大幅に離反者が出た。2年間かけて交渉してきたのに、まだ不安定な状況は続く。

国会議事堂の前には離脱派と残留派の市民が集まり、大騒ぎだったそうだ。どちらのグループもメイ首相の案に反対することでは一致しても、否決した後どうするかは意見は大幅にことなる。労働党は採決のあと内閣不信任案を提示し、水曜日に討議することを要求している。それが可決すれば総選挙という事になるが、離脱期限は3月29日だからこのままでは時間切れになってしまう。それを防ぐにはイギリス政府が期限の延長をEUに申請することが必須だが、メイ首相の指導力はほとんど無いし、議会も分断しているから、イギリス政府として何ができるかわからない。いよいよ無秩序な離脱の可能性が高くなった。

No.387&388、2019年1月12日・13日、デュッセルドルフ響ハイドン101番、マーラー9番

デュッセルドルフ響の演奏会は金曜日・日曜日・月曜日の3公演あるのだけれど、オーケストラは月曜日からスペインツアーに出かけるのでこのシリーズだけ金土日に行われた。だからデュッセルドルフに1泊して土曜日と日曜日の演奏会を聴いた。

Dusseldorfer Symphoniker
Adam Fischer: Dirigent

Joseph Haydn: Symphonie Nr. 101 D-Dur "Die Uhr"
Gustav Mahler: Symphonie Nr. 9


二日ともチケットは売り切れで、ほとんど空席が無い状態。ベルリンフィルならともかくとして、最近デュッセルドルフ響の評判が上がっている証拠。スペインから招待されていることについてもお客さんが誇りに思っているみたい。オーケストラが登壇する前に支配人が出てきて挨拶。ライブ・レコーディングするのでマーラー9番のラストなどピアニッシモが続くから、客席のわずかな音も静寂を破るので協力してほしいとの事。

マーラー9番は1曲でもプログラムになりそうだけど、ハイドンとマーラーという組み合わせなのでハイドンの「時計」を前半のプログラムに入れた。休憩時間を含めると2時間半近い長い演奏会となった。もちろん多くの人はマーラーを期待しているわけだけれど、まず驚いたのはハイドンの「時計」。この曲ハイドンフィルで何度も聴いているのだけれど、新しいアイディアが満載でビックリ。特に3楽章が楽しくて、ソロもうまかったし極上のハイドン。マーラーの前座の扱いではない。

後半のマーラーはオーケストラのサイズも倍増。デュッセルドルフ響はオペラもあるので130人以上の大所帯だけど、ほとんどフル出場みたい。フォルテッシモはとても迫力があるし、弦楽器の音も厚い。第3楽章はだんだんテンポが上がっていってドラマチック。その後の4楽章はゆっくりとしたテンポが25分くらい続く。それでも緊張感は持続していて、ラストのピアニッシモは聴いている方も息をのんで身動きができないほど。消え入るように終わった後しばらくして大喝采が起きた。

2回とも良い演奏だったのだけれど、日曜日の演奏の後にアダムと話したら「80分過ぎに指揮を間違えた」と残念がっていた。やっぱり長い曲は大変だ。因みにハイドンはもちろんだけど、マーラーも暗譜で指揮していた。

デュッセルドルフ響のCD第6弾

この週末は2019年最初のおっかけでデュッセルドルフへ。航空券はイージージェットで往復50ユーロ以下。これだと電車より絶対安い。ベルリンの天気は雨模様だったけど、デュッセルドルフも同じ。寒くはないのだけれど風が強い。南ドイツやオーストリアは湿った雪が数メートル積もっていて、雪崩による被害がでている。

デュッセルドルフ響はこの演奏会の後スペインへのツアーに出かける。そのタイミングに合わせてマーラーシリーズの最新CD「大地の歌」が発売された。現時点ではデュッセルドルフ・トーンハレのみの販売だけど、数か月後には全世界で発売されるでしょう。「大地の歌」のアルトはアンナ・ラーソン、テノールはトチュアート・スケルトン。昨年1月の演奏会のライブ・レコーディング。

マーラー・シリーズ、現時点で発売されているものは1番、3番、4番、5番、7番とこの「大地の歌」。8番は昨年の夏に録音している。今週の定期演奏会で9番を録音した。2番は4月の初めの演奏会を録音する。6番は来シーズン。

職場としてのドイツのオーケストラ

ドイツのオーケストラの雑学。今日は職場としてのオーケストラについて。

音楽を聴く側としてはオーケストラ奏者の待遇には興味はないが、プロの演奏家からすればオーケストラの待遇などはとても重要だ。ドイツのオーケストラは団員組合と雇用者側で団体協約(TVKと呼ばれる)を結び、給料や労働環境を規定している。

団体協約にはいくつかのグループがある。放送オーケストラの団員は放送局に所属するし、公演以外にラジオやテレビ番組の録音も業務に含まれるので、特別な協約になっている。それ以外のオーケストラはKultur Orchesterと呼ばれ、団体協約によってAからDに分かれる。AクラスとBクラスにはさらに付随する条件がある。先日紹介したドイツのオーケストラ一覧にTVKAなどの略号が書いてあるが、これはそのオーケストラが団体協約グループのAに属することを示している。

それぞれのグループはポジションの数が規定されていて、A+ (TVK A/Fとも呼ばれる)楽団員 130人以上。Aは楽団員99人以上130人未満、B+は78人以上99人未満、Bは66人以上78人未満、Cは56人以上66人未満、Dはそれ以外の団体。

TVKにはポジション数以外にも給料や特別手当などいろいろなことが規定されている。A+の団体の方がAよりも給料などの待遇は優れている。業界におけるステータスも向上するので、オーディションに参加する奏者の質も向上するのだそうだ。ベルリンフィルやバイエルン国立歌劇場オーケストラなど、日本でも名の知れている有名オーケストラはTVKをさらに発展させた独自契約になので、待遇はさらに良いと思われる。

日本とドイツのオーケストラのサイズ比較

昨日に続いて日本とドイツのオーケストラ事情比較。今日はオーケストラのサイズについて。

日本オーケストラ連盟の資料によれば、会員のオーケストラの中で最も団員が多いのは東京フィルハーモニーで134人。その次がN響で111人。100人を超える団体はこの二つで、以下読響95人、都響93人、東京交響楽団89人となる。

ドイツの場合は最も大きいのがライプツィヒのゲヴァントハウス管で185人、その次は最近合併したSWR交響楽団で167人、以下シュターツカペレ・ドレスデン159人、バイエルン国立歌劇場オーケストラ144人、シュターツカペレ・ベルリン136人、ハンブルグの劇場オケが134人。100人を超える楽団がこれらを含めて30団体もある。

ドイツのオーケストラが大きいのは、多くの楽団がオペラも演奏するので公演数がとても多いから。コンサートだと同じプログラムで週に2-3回公演というバターンが多いけど、オペラは基本的に日替わりで年間300公演近くになる。コンサートの場合は同一プログラムは同じ人が演奏するけど、本番の回数が多いオペラは公演毎に演奏する人が入れ替わる。だからたくさんの楽員が必要なわけだ。

日独オーケストラ比較

どすとさんからドイツの中小のオーケストラについてご質問をいただいたので、少し調べてみた。今日はまず日本とドイツの比較。

ドイツはEUの中でも発言力が強いこともあり何となく大国のイメージがあるけれど、実はそれほど大きくない。人口は8280万人だから、1億2700万人の日本の65%くらい。でもオーケストラはたくさんある。

日本のプロオケが構成する日本オーケストラ連盟には正会員と準会員があり、正会員の団体が25準会員の団体が9なので、全部で34団体ということになる。正会員と準会員の差はいろいろあるが、正会員は固定給与を支給しているニ管編成以上の楽団で、準会員は固定メンバーが半数以上が占める楽団で、管楽器と弦楽器を両方含むもの。だから管楽器だけのブラスバンドはどちらにも属さない。2015年の統計では正会員の楽団に所属する楽員は1,778名、準会員のそれも合計すると2,146名。

ドイツのプロオケに関する一覧はこちらにある。これは2018年の統計だけど、これによれば州や市などの公的支援を受けているオーケストラは全部で110団体、公的支援を受けている室内オーケストラが8団体、放送局所属のオーケストラが11団体と合計129団体がプロとして活動している。楽員の数は公的オーケストラが8468人、室内オーケストラ138人、放送オーケストラが1140人で総計9746人。

人口に対する職場の数を比較すると、ドイツでは8500人に1人の割合でプロオケの楽員がいるが、日本だと約6万人に1人。単純計算で日本の7倍の職場があるわけだ。ただEU諸国やその他の国からの留学生も多いからもちろん競争は激しいが、プロのオーケストラ団員になりたいなら日本よりドイツの方が可能性が高そう。ただ日本人はビザの取得が難しいから、ドイツの音大で学ぶなど事前準備は必要か。

Bachtrackの2018年統計

Bachtrackというのはクラシック音楽の批評や情報サイトで、英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語で公演批評やニュースを集めている。各地での演奏会もデータベース化していて、毎年1年間の統計を集計している。その2018年の統計がこちらにある。

2018年に演奏された作曲家は第1位がベートーベン、第2位がモーツァルト、第3位はメモリアルイヤーのバーンスタインだったそうだ。コンサートで演奏された曲目もトップ3はバーンスタインが並んでいて、、第1位ウェストサイド・ストーリーからシンフォニック・ダンス。第2位はキャンディード序曲。第3位はプラトンの饗宴によるセレナーデ。

その後にはオーケストラや演奏家の統計がある。忙しいオーケストラトップ5はは第1位ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラで150公演。第2位北西ドイツフィルハーモニーが139公演。第3位はシカゴ響で126公演。第4位フィラデルフィア管123公演、第5位ニューヨークフィル120公演。

忙しい指揮者トップ5は第1位アンドリス・ネルソンス121公演、第2位ワレリー・ゲルギエフ93公演。第3位パーヴォ・ヤルヴィ91公演。第4位ヤニック・ネゼ=セガン85公演、第5位グスタヴォ・ドゥダメル85公演となっている。

指揮者についてコメントすると、オーケストラの演奏会は通常リハーサルが2-3日に対して2-3回連日演奏会がある。これがオペラになるとリハーサルの期間はずっと長くなるし、歌手の負担があるから連日で公演はやらない。だからオペラは拘束時間が長い割には公演数は少なくなる。それを反映してコンサートに重点を置く指揮者の方が本番の回数が多くなる。

因みにアダム・フィッシャーの2018年の公演数は手元の集計ではコンサート36公演にオペラ35公演で合計71公演。10位のサイモン・ラトルよりも上のはずだけど、デンマークなど非英語圏はBachtrackのカウントに含まれない公演のかもしれない。

Brexit: The Uncivil War

ドイツ南部では1月6日も休日なので、1月の第1週はビジネスもスロー。7日からいよいよ本格的に始動する。それは国会議員も同じで、とくにイギリスの国会ではEU離脱に関する議論が再開し、メイ首相の合意案に対する承認投票が行われる。これが否決されると無秩序な離脱の可能性がさらに高くなり、世界中が影響を受ける。

このタイミングでイギリスではEU離脱を問う国民投票の舞台裏を描いたテレビドラマが放送される。制作はアメリカのHBOイギリスのChannel4で、アメリカでの放送は19日だけど、一足早くイギリスでは7日の月曜日の夜に放送される。Brexitの承認の最終討論と投票の直前で世論の関心も高いから、この時期の放送はネットワークにとってはこれ以上無いタイミング。国民投票では離脱派が宣伝用の赤いバスに"Take back control"と印刷して各都市を回ったが、放送を前にChannel4は赤いバスに"Take back remote control"と印刷して話題を振りまいている。

このテレビドラマのタイトルは"Brexit: The Uncivil War"。実在する離脱推進派のキャンペーンマネージャーを務めたデヴィッド・カモミグスを中心にした物語で、投票前の予想では残留派が大勢を占めていたのに、ソーシャルメディアを利用した戦略で離脱派が勝利した舞台裏を描いている。

もちろんエンターティメントだからすべてが事実ではないだろうけれど、関係者に取材を重ねているし、カニングス本人にもプロデューサーと役を演じるペネディクト・カンバーバッチが会って話を聞いたそうだ。

イギリス国内の意見の分断を考えるとこの放送は話題になりそう。24時間後にはメディアでの議論があふれることだろう。

中古ピアノの密輸事件

ユーロっパ諸国の真ん中に位置するスイスは永世中立国だからEUには加盟していない。それでも人の行き来は自由だし関税同盟に加入するなど物の移動も比較的自由にできる。それでもスイスからドイツへ輸入する場合に関税がかかるものもある。

スイスとドイツの国境で21台の中古ピアノ密輸事件を関税職員が発見した。国境検査では税関の申告書類はスイス側で発行されるという説明だった。1時間後にドイツの配達先を税関職員が尋ねたところ、すでにピアノは配達されていたが税関書類はなかった。さらに詳しく調査したところ、2日前には同じ住所にさらに14台のピアノが配達されているかとがわかった。21台のピアノの総額は1万ユーロで、業者は2500ユーロの関税を支払うことになるとニュースは報道している。

ドイツからスイスを経由してイタリアに向かう物資も多いから、税関の検査は緩やかなはずだけど、それでもこういう事件が起きる。以前チューリッヒからドイツに電車で戻る時、国境駅であわてて乗客が乗ってきた。その乗客はチューリッヒに行く予定だったのに誤って反対方向の電車に乗ってしまったらしい。スイス国内の移動のつもりだったのに、発車後にパスポートの提示を求められて大慌て。国境検査員に連れられて次の駅で下車していった。

国境があるとこういう問題もあるし、書類の作成や税関検査のために多くの時間が割かれる。イギリスは島国だから自覚がないかもしれないが、EUを離脱するとこういうトラブルは頻繁に起きる。

ドイツのユース・オーケストラ

ドイツのクラシック音楽業界がほかの国に比べて活況なのは、ドイツの音楽教育によるところが多い。この記事によれば、何万人もの子供たちがユース・オーケストラに所属してクラシックの作品を演奏しているのだとか。

ドイツには5000以上子供たちによる音楽団体が存在し、15万人以上の少年少女が参加している。音楽団体は小さなグループからフルサイズのオーケストラまで様々だけど、子供たちはオーケストラに参加することにより、お互いの音を聴いて一緒に演奏するチームワークを学ぶ。

ユース・オーケストラの組織はピラミッドのようになっている。その基礎は普通の学校や音楽学校のオーケストラ。練習時間はそれぞれ異なるけれど、合同練習は1週間に1度くらいで、発表会の直前には週末にもリハーサルがあるくらい。ここで実力が認められた子供たちは州のユース・オーケストラやドイツ連邦のユース・オーケストラに参加できる。

州のオーケストラやドイツ連邦のオーケストラは選抜された子供たちにより構成させ、年に数回集まってリハーサルと演奏会を開く。ドイツ連邦ユース・オーケストラになると、世界的にも有名な指揮者の元で演奏する機会がある。過去にはサイモン・ラトルやキリル・ペトレンコなどもプロジェクトに協力している。このレベルのユース・オーケストラだとプロを目指している子供たちも多く参加する。

ユース・オーケストラの中にはエージェントから招聘されるものもある。ハンブルグのエルブフィルハーモニーやベルリンで演奏会を開くほどのユース・オーケストラもあるし、州立レベル以上だとウィーンなど外国からも招聘される団体もある。ただツアーとなると負担が大きいので、なるべく地元企業にスポンサーとなってもらって、親からの費用の負担をできるだけ軽減するように工夫しているらしい。

ユース・オーケストラのコンクールも開かれる。2018/19年は13の団体が予選を通過した。各団体は今後数か月間に自身で主催した演奏会を開き、審査員がその演奏会を聴きに行って評価する。第1位の団体には3000ユーロが与えられる。

Brexitによるイギリスの分断

2019年も明けて、いよいよ3月29日にはイギリスがEUから離脱する。イギリス政府とEUとの合意はイギリス議会の承認待ち。来週から再来週には投票があるみたいだけど、承認の見込みは立っていない。というのもイギリス国内では離脱派と残留派の分断が大きくて、普通の生活にも影響が出ているみたい。

まずは花火の話題。大晦日からニューイヤーにかけてロンドンでも大規模な花火が打ち上げられたが、演出として観覧車のロンドンアイをブルーの照明で照らし、黄色の星を点滅させた。これはEUの旗をイメージさせるとして離脱派の反感を買った。

花火の主催者はロンドン市なので、残留派のロンドン市長が税金を使って親EUのメッセージを発信するのは不当だと、離脱派の国会議員数名が公に批判した。「これはまるでフォークランド紛争の時にアルゼンチンの旗を振るようなものだ」と主張している。

そういう批判はテレビドラマも容赦しない。イギリスでも人気のあるSFファンタジーの「ドクター・フー」も例外ではなく、離脱派の批判で再放送は視聴率が下がったそうだ。

ドクター・フーはタイムマシンと宇宙船を合わせたTADISを駆使して地球の危機を救う物語。元旦に放送された最新作では宿敵のダーレクを倒すために地球防衛軍にあたるUNITに助けを求める。すると電話のオペレーターが「経済的な紛争と国外の主要パートナーからの資金の撤退により、すべてのUNITの活動は停止されました。」と答える。このシーンがEU離脱後のイギリスをネガティブに示唆しているとして離脱派が怒っている。Brexitに反対するものは花火もドクター・フーも許さないというかのような雰囲気。一般市民は日常の会話も注意しないと攻撃されそう。

そんな雰囲気のイギリスでBrexitをテーマにしたドラマが19日に放送される。これは離脱派のキャンペーンマネージャーを主役にしていて、当初残留派が有力だった国民投票をソーシャルネットや誇張キャンペーンで離脱が勝利するまでを描いているそうだ。主演はシャーロック役のベネディクト・カンバーバッチ。

ニューイヤーコンサート2019

元旦恒例のニューイヤーコンサートも終了し、クリスマス休暇も終わりに近づいている。さて、今年のニューうやーコンサートの指揮はティーレマン。全世界90か国以上に中継されるという事で、オーストリア放送も毎年力を入れて映像制作するけれど、バレエは2曲とか細かい決まりがあって何となくマンネリ化しているような。もともとは新年の軽い演奏会のはずなのに、各国の政治家もたくさん来る堅苦しいイベントになってしまった。今年はオーストリアの首相や前国連事務総長などの姿が映っていた。

面白かったのが休憩時間に移された映像。NHKが放送したかどうかはわからないが、ZDFの放送では休憩時間にコメント無しの音楽映像が放送される。今年はウィーン国立歌劇場の150周年記念という事で、室内アンサンブルがオペラの有名曲を演奏しながら、ウィーン国立歌劇場の日常を映していた。

衣装の制作や合唱団の練習、舞台装置の設置などの様子が映っていて、オペラ上演の大変さを示している。舞台装置の設定だって何時間もかかりそう。それに出演者の化粧や着付けなども大変だ。
その中に「こうもり」のリハーサルの映像があった。カメリア・ニュルンドとアドリアン・エレッドが
デュエットピアノ伴奏に合わせてデュエットのリハーサルをする。脇には演出助手が立っていて、歌手に演技をタイミング良く指示していく。「ウィーン国立歌劇場はリハーサルをやらない」という人も多いけど、こういうピアノ伴奏によるリハーサルはたくさんある。決してぶっつけ本番でやっているわけではありません。

あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。今年も当日記をよろしくお願いいたします。

とはいいつつも日記を書いている段階ではドイツではまだ年が明けていない。毎年新年になると同時に至るところで花火が上がり、まるで空襲にあっているような騒ぎになる。気の早い人もいて、すでに外では花火の音が響いている。猫たちはすでにそわそわしていて、バスルームに逃げ込んでいる。

大晦日から新年にかけては音楽番組がたくさんある。ドイツ語とフランス語の2か国語法うのArteではベルリンフィルのジルベスター・コンサートの生中継があった。今年はGMDが不在なのでダニエル・バレンボイムが指揮。午後10時半からは創立350年を迎えるパリ・オペラからガラ・コンサートの中継がある。

ドイツの放送局3satはポップ・アラウンド・クロックと題して24時間ポップバンドのライブを放送している。朝起きてテレビをつけたらなんとフォーリナー結成40周年記念のコンサートをやっていて、数時間後にはイエス結成50周年ライブを放送した。どちらも2017年のコンサートらしい。これらのバンドのメンバーはすべてがオリジナルというわけではなさそうだけど、それでも主要メンバーは出演している。多分70歳近いと思うけどそれでも元気。

私は実家が東京都心だったので70年代の武道館でのコンサートにはよく行った。記憶に残る最初のロックコンサートはクイーンで13歳だったと思う。今から思うと親はとても理解があった。フォーリナーのコンサートは行ったけど、イエスは多分レコードのみ。

そういえば、来年の6月にフィル・コリンズのライブがベルリンである。会場はオリンビア・スタジアムだけど、チケット代は100ユーロから120ユーロ。ほとんどオペラ並みの値段だけど、客層は似ているのかも。
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