クラシックおっかけ日記

指揮者アダム・フィッシャーのおっかけ記録、音楽の話、海外生活など

ミラノの週末

この週末はミラノに行って、アダム・フィッシャー指揮の「天地創造」と「エルナーニ」を鑑賞した。金曜日の早朝にベルリンのショーネフェルドを発ち、日曜日の夕方にテーゲルに帰ってくるイージージェットでの往復。

ミラノにも複数の空港があるが、イージージェットはマルペンサ空港をハブにしている。ここからは市中央駅までマルペンサ・エクスプレスが走っているが、今回はシャトルバスを利用。片道8ユーロだけど往復のチケットを買うと合計14ユーロと少しお得だった。

ミラノは食べ物は比較的安いのだけれど、ホテル代が高い。中心部だと1泊100ユーロでは泊まれない。だから今回は中心部はあきらめて、中央駅の北側、地下舘アッフォリ・チェントロ駅の近くのホテルに泊まった。ちゃんとした朝食がついて1泊56ユーロ。アッフォリ・チェントロ駅からスカラ座に行くには、地下鉄のM3でモンテナポレオーネ駅まで行き、そこからは徒歩で400メートルほど。乗り換えが無いのでホテルからでも30分程度で到着できた。

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スカラの鑑賞以外はスフォルツェスコ城とその内部の博物館を見学した。ここに楽器博物館にはクレモナ工房の1650年作のヴァイオリンなどが展示されていた。アジアの楽器として三味線などもあった。そのたミラノの彫刻や装飾技術など多数が展示されている。入場料も5ユーロとリーズナブル。

日曜日には大聖堂を見にいくつもりだったのだが、なんと市民マラソンがあって地下鉄も止まらない。大聖堂の前からスタートすることになっていて、周辺はピンクのTシャツを着た参加者であふれている。セキュリティもあって非参加者は大聖堂に近づけないのであきらめて帰ってきた。

アメリカのオペラの先行きは暗い?

ウォール・ストリート・ジャーナル紙がアメリカのオペラの将来に関して悲観的な記事を掲載している。

メトロポリタンオペラのゲルプ支配人が言うには、グランド・オペラは芸術形態としては恐竜のようなものだそうだ。確かにメトの現行シーズンのレパートリーは、「アイーダ」「ボエーム」「カルメン」「トラヴィアータ」などおなじみの演目が並んでいる。演出もよく言えばオペラらしい、悪く言えば定番で斬新なアイディアがない。衣装など豪華だけど、ヨーロッパの演出を観慣れた人からすると、おとぎ話で共感が持てない。

その理由はオペラハウスが巨大なことが大きいそうだ。メトロポリタンオペラは3800席だけど、他のオペラハウスもかなり大きい。ストライキ中のシカゴ・リリックオペラは3563席、サンフランシスコ・オペラでさえ3126席だ。ウィーン国立歌劇場は立ち見を入れても2220席だから大違いだ。

客席が大きいとなぜよくないかと言えば、野心的な演出や新作オペラを上演できないから。ヨーロッパのオペラ座はサイズが小さいから低予算の野心作も上演できるが、アメリカのオペラファンは豪華な衣装や舞台装置を期待する。それがないと人気が無くて客席ががら空きになってしまう。

オペラ以外にもたくさん娯楽がある現在、アメリカのオペラハウスは大胆な改革が必要だ。

シュトゥットガルト歌劇場改築工事の難題

シュトゥットガルト歌劇場の改築工事の計画が難題に突き当たっている。シュトゥットガルト歌劇場の建物は100年以上前に建てられて、改築工事が必要な状態になっている。だからシュトゥットガルト市は改築工事の計画を専門家に依頼していた。

改築のポイントは最新の舞台機構を設けて舞台転換を素早く行うようにすることはもちろん、現在手狭になっているスペースを10600平米追加する予定だった。でも専門家によれば現在の場所で拡張することは、長期的にビジネスを継続するうえで困難としている。

シュトゥットガルト歌劇場の改装費用は2019年には州から認可され必要があり、当初の予算では4億から5億ユーロとされていたが、現時点では8億ユーロと見積もられている。専門家の計画は劇場マネージメントに提示されていて、今後建築プランを検証することになる。

ユーロっパで最大の演劇、バレエ、オペラを合わせた総合劇場であるシュトゥットガルト歌劇場の建物は1912年に建てられた。その後の改築は1983年だけで、建物としてはかなり古い。今回の改築は2023年から2030年までを計画している。

シカゴ・リリックオペラのストライキ

メトロポリタンオペラに次いで有名なアメリカのオペラハウス、シカゴ・リリックオペラのオーケストラがストライキに突入した模様。

アメリカの音楽団体は数年毎に契約更新があり、労働組合と経営者側がシーズンオフに交渉する。リリックオペラも長期にわたって交渉してきたが、オーケストラの組合代表が交渉決裂を宣言してストライキに突入した。

オーケストラ側によれば、経営側はオーケストラの5つのポジションを削除し、給料を8パーセント削減した。さらに全公演数を減らしてオーケストラの勤務を24週から22週に減らしたことなどをストの理由としている。もちろん経営者側はストライキは必要ないし、劇場を傷つけると反対している。

ストライキによりリハーサルが中止され、木曜日の午後2時の「ラ・ボエーム」と土曜日の午後7時の「イドメネオ」の公演が危ぶまれている。

ベルリン国立歌劇場、ケルビーニ「メディア」で開幕

ベルリンのオペラ座のうち、ドイツオペラとコーミッシェオーパーはすでに9月中からシーズンが始まっているが、国立歌劇場も7日の日曜日に開幕した。演目はルイジ・ケルビーノの「メディア」新制作プレミア。歌手のアンサンブルは全体的に好評だったが、特にタイトルロールを歌ったブルガリアのソプラノ、ソンヤ・ヨンチェーヴァへの喝采が多かったそうだ。それからバレンボイム指揮のシュターツカペレも好評。アンドレア・ブレート始め演出チームに対してはブーイングもあった模様。

この「メディア」は1797年のオリジナル版による世界初演で、フランス語により歌われた。これは国立歌劇場の新制作7つのうちの最初の演目。それ以外にはユーバル・シャロン演出フランツ・ウェルザーメスト指揮による「魔笛」などがある。また25年間続いているアウグスト・エバーディングによる定番の「魔笛」もレパートリーとして公演する。

バレンボイムとシュターツカペレによる海外ツアーや、シーズン終盤には「オペラ座の夜」と題してパブリック・ビューイングも行い、ベルリン国立歌劇場だけで年間で約300公演を行う予定。

イギリス人音楽家の反ブレキシット嘆願

アイルランド出身ののポップ・シンガー、ボブ・ゲルドフがイギリスのメイ首相宛てにEU離脱を中止する嘆願書を送った。それには多数のイギリス人音楽家が署名し、クラシック界からもサイモン・ラトル、ジョン・エリオット・ガーディナーなどが名を連ねている。

この手紙によれば、イギリスがEUを離脱するとイギリス人の音楽家がヨーロッパで公演する際にビザが必要になる。若手音楽家にとってビザ取得の手間と時間は大きな負担で、イギリスの音楽業界にとって大きな打撃になるとの事。だからEU離脱を取りやめるように嘆願している。

関連する英語の新聞記事によれば、今年はイギリスのポップス業界はとても好況だったらしい。その要因はイギリス出身のグループが世界的にも成功したことだが、それらのグループはブレイクする前にヨーロッパで公演し、ファンを着実に増やしていった。

イギリスのポップ・ミュージシャンを売り込むエージェントの話では、最近はアメリカは入国審査が厳しくなり、ビッグネームはともかく若手のツアーを企画するのはとても難しくなっている。それに加えて近場のヨーロッパでビザや機材の持ち込み許可の手続きが複雑になれば、若手音楽家のツアーは採算が取れなくなる。

だから将来のスターが生まれなくなるとイギリスの音楽業界はEU離脱に危機感を抱いている。イギリス離脱まであと半年を切った現在、離脱を撤回するのはかなり困難になっている。

モンセラート・カバリェ死去

スペインのオペラスター、モンセラート・カバリェが10月6日早朝にバルセロナの病院で死去した。享年85歳。ドイツの新聞記者の質問に病院の広報担当が回答する形で確認された。

スペインの首相もカバリェの死を悼み、ツイッターに「偉大な外交大使が亡くなった。しかし、モンセラート・カバリェの素晴らしい声はいつも私たちとともにある」とコメントした。

カバリェは2週間前から病院に入院していたが、ここ数年は病気と闘っていた。6年前に転倒してからはほとんど歩くことができず、車いすでの生活がほとんどだった。

1959年から1962年までブレーメンの契約歌手だったカバリェは、その後ヨーロッパで着実に人気を得ていった。1965年にニューヨークのカーネギーホールでドニゼッティの"Lucrezia Borgia" を歌ったことで、国際的にも有名になった。また、1992年のバルセロナ・オリンピックでも歌ったことでクラシックファン以外にもしられるようになった。ご冥福をお祈りします。

ズビン・メータの復活

8か月にもわたって病気で出たいから遠ざかり、ファンを心配させていた巨匠ズビン・メータがイタリアのナポリの演奏会を指揮した。

復活最初の演奏会と合わせてナポリの地元紙 "La Repubblica" のインタビューに応えたメータによれば、抗がん剤治療による休業だった。ロサンジェルスの医師団からはガン全快のお墨付きをもらい、メータ自身体力も戻ったと確信しているとの事。

今後はまずイスラエル訪問する。イスラエル・フィルハーモニーのシェフを50年続けているメータは、2019年に辞任することになっている。その後は2020年にナポリとフィレンツェでの演奏会が予定されている。メータはこの2つの都市の演奏会を治療のためにキャンセルしているので、その穴埋めだそうだ。

Brexitの混迷

イギリスのEU離脱交渉が時期的に山場を迎えているはずなのだが、またまたイギリス国内の政治スケジュールによって停滞している。

ざっと復習すると、イギリスのメイ首相はチェッカーズ案というものを作成し、政府閣僚の承認を得た。そこでこれをEUに提出したのだが、これはEUから見ると良いとこ取りだし、一番大切なアイルランドと北アイルランドの国境についての解決策が無いので、EU側から冷たく扱われた。EU側は当初の予定を1か月繰り下げて11月中旬にブレキシット・サミットを開くことにして、その前提として10月中旬までに画期的な進歩があるかどうかを確認すると発表した。

イギリス側はメイ首相が冷たく扱われたことに反発し、EUを批判する声明が多数を占めた。玄外務大臣はEUをソ連と同等だと批判したのだが、これに対してはEU27か国の中のソ連の影響かにあったリトアニアやポーランドなどから大反発が出て、お互いに罵り合っている状況。これでは交渉は進まない。

交渉が進まないもう一つの理由は、イギリス国内で与党の保守党の党大会が開かれていたから。メイ首相のチェッカーズ案は保守党内でも批判が多く、ボリス・ジョンソン前外相らが党首辞任を要求するかとも思われていた。でもどうやら最終日の演説で面目を保ったみたい。

それでもアイルランドとイギリス領である北アイルランドの国境の問題は解決策が見えない。北アイルランドは親アイルランドのカトリック教徒とイギリスに帰属を望む英国国教会派が対立し、1970年代はテロ事件が多発した。でもイギリスとアイルランドがEUに加盟していることから、この地域の国境をなくして移動が自由になった。アイルランドからするとイギリスが脱退して国境が復活するのは平和を乱すことにつながり受け入れられない。だからEUはアイルランドと北アイルランドの間に国境は設けないことを最低限の離脱条件としていて、交渉の最初から言い続けている。

イギリス国内でもテロの記憶があるから、アイルランドに国境は設けたくない。ただEUとの間の移動を自由にするためには、品質基準など同じルールに従う確証が必要だ。でも離脱推進派は「離脱したのだからEUのルールに従う必要はない。」と言う。でもそれでは国境で車を止めてチェックが必要になるが、詳しい解決策は定時されていない。

そこでEU側は、北アイルランドのみEUルールに従い、物資のチェックはアイルランド海の船の上で行う案を提示した。そうなると実質アイルランド海が国境になってしまうので、メイ首相は「北アイルランドをその他のイギリス連邦から分割する案には同意できない」と強気の発言を繰り返している。

今のところアイルランドの問題に関してはイギリスから建設的な案は提示されていない。このままでは時間切れによるノーディール・ブレキシットになりかねない。

ベルリンの新シーズンの舞台芸術集客予想は300万人

ベルリン市の文化庁の発表によれば、ベルリンの公的支援により運営されているオペラ座、劇場、オーケストラの新シーズンの集客数は300万人以上を予想している。「ベルリンの文化の多様性と品質の良さを証明している」というのがベルリン文化長官の意見。


新シーズンには35のベルリンの公的芸術団体が合計で385の新制作を計画している。2017年は381だったからほとんど同じ。でも2017年は9195公演だったのだが、新シーズンは8500公演程度の見込みで、公演数は減少すると予想されている。

ベルリンの団体の他の都市への客演は前年の1623公演から1264公演に減少する見込み。

他の大都市でこのような統計を取っているかどうかしらないが、ベルリンの人口が350万人程度だから、集客予想300万人というのはかなり大きい。もちろんこの中には観光客も含まれているのだが、ベルリン市民にとって劇場などのライブ・パフォーマンスは身近であることは確か。

ヴェネチアのフェニーチェ劇場の小火騒ぎ

プッチーニやロッシーニのオペラが初演されたことでも知られるヴェネチアのフェニーチェ歌劇場でボヤ騒ぎがあり、劇場職員が避難する事件があった。幸いボヤはすぐに消し止められて大きな被害はなかったとの事。ボヤが発生したのは今日の朝8時半頃で、すぐに消火された。現在は技術者が被害の状況を調査していて、可能ならば修理するとの事。

ヴェネチアのフェニーチェ劇場は北イタリアの歴史的な建物で、1792年に建設された。建物は1836年と1996年の2回焼失されたが、その後再建されている。今回は大事に至らなくて一安心。

スカラ座の「エルナーニ」プレミア

29日の土曜日にはアダム・フィッシャー指揮によるヴェルディの「エルナーニ」新制作プレミアがミラノのスカラ座であった。アダムは数年前にモーツァルトの「魔笛」の新制作をスカラ座担当した。これはスカラ座アカデミーの公演だったし、ドイツ語のセリフもカット無しでかなり長いこともあり、ミラノのお客さんはとても神妙に聞いていた。今回はヴェルディの作品なので、終演後の反応はかなりワイルドだったみたい。

「エルナーニ」が前回スカラ座で制作されたのは36年前だそうだ。キャストはプラシド・ドミンゴ、レナート・ブルゾン、ミレラ・フレーニなど当時の超一級の歌手をそろえたこともあり大好評だった。それもあって次の制作がなかなかできなかったのではないかともいわれている。

今回の演出はドイツ人のスヴェン・エリック・ベヒトルフ。オペラの本筋とは関係ないシニカルな演出はバイロイトのリングでも不評だったけれど、スカラ座でも演出チームに対してはブーイングどころか口笛まで出る大不評。第3幕から4幕に代わるところですでに文句を叫ぶ人が出ていたとか。どうやら19世紀のオペラ座が上演するという設定で、劇中劇になっているらしい。

音楽面では好評だったようで、合唱団、オーケストラ、歌手には喝采は10分以上続いたとか。ただソプラノにはブーイングが出たらしいけど。いくつか出ている批評によれば、アダムの音楽は迫力があって好評されている。ただちょっとテンポが速すぎて合唱団がついてこれない部分もあったとか。

もともとアダムが「エルナーニ」をやりたかった理由は、ストーリーに現実味がないので音楽が好きにできるから。スカラ・オーケストラの能力を最大限に使ってドラマチックなイタリアオペラやりたかったのだそうだ。

因みに「エルナーニ」のプレミアではNHKのトレーラーがスカラ座の外に泊まっているのが目撃されている。どうやら8Kスーパーハイビジョンでの収録があったみたい。

サイモンラトルがベルリン州勲章を受章

先シーズンでベルリンフィルのシェフの座を退いたサイモン・ラトルがベルリン州勲章を授与される。ベルリン州の広報オフィスの発表によれば、今年はラトルに加えて11人に授与される。このベルリン州勲章はベルリンに貢献した人物に対する感謝を表すもの。

「サイモン・ラトルはベルリンフィルのシェフとしてベルリンを感動させた。」というのが勲章授与の理由。管弦楽に関する教育プログラムにも力を入れたし、フレキシブルな音楽スタイルをオーケストラにもたらした。「ベルリンの外交大使として、サイモン・ラトルはベルリンフィルを率いて世界中を訪ね、コスモポリタンな文化都市としてのベルリンの評価を高めた。」

ベルリン州勲章は1950年のベルリン憲法の公布を記念して毎年10月1日に授賞式が開かれる。式典はベルリン市庁舎の大ホールで行われるが、ラトルは多分参加できないので別の日に行われるらしい。

ラトルは2002年にクラウディオ・アバドの後継としてベルリンフィルのシェフに就任し、16年にわたってベルリンの看板として活躍してきたから、当然の受賞でしょう。

雑誌オペルンヴェルトの年間最優秀賞発表

毎年9月になるとドイツの雑誌オペルンヴェルトのヤールブーフが発売される。これは50人の記者による投票による年間最優秀賞の発表で話題になる。今年の年間最優秀オペラ座はフランクフルト歌劇場だった。

最優秀公演はバリー・コスキー演出のバイロイト音楽祭の「ニュルンベルグのマイスタージンガー」。この公演でベックメッサーを歌ったバリトンのヨハネス・マルティンが最優秀歌手に、衣装を担当したクラウス・ブルンズが最優秀衣装デザイナーに選ばれた。

最優秀オーケストラは5年連続でバイエルン国立歌劇場オーケストラが選ばれ、アンサンブル歌手のAnna El-Khashemが新人賞を受賞した。

73歳の演出家コンヴィツュニーが7度目の最優秀演出家受賞。最優秀指揮者はイギリスのバッハ・スペシャリストのジョン・エリオット・ガーディナー。最優秀合唱団はシュトゥットガルト歌劇場合唱団となった。

この結果は世界中の文芸記者50名による記名投票。対象になるオペラ座は数多いし、それぞれが相当数の上演を行っているから50人が同じ意見になることは少ない。最優秀オペラハウスに選ばれたフランクフルトでさえ、50人のうち10人が選んだに過ぎない。小さな劇場は評論家がたくさん来るわけではないので、とても良い公演でも数表しか入らない。そういう問題点はあるものの、投票者の名前と選択が公表されるから、審査員となる評論家も安易には投票できない。だから業界内では評価が高いのだそうだ。

ドイツの文化首都は今年もシュトゥットガルト

国際経済インスティテュートが毎年調査するドイツの文化首都、今年もシュトゥットガルトが選ばれた。これはドイツ国内の30都市の文化度を調査したもので、文化の需要と供給をあらわす指標を算出している。これは人口に対する劇場の客席数や観客動員数などで、公演の良し悪しは客観的に評価できないので評価から除外されている。

バーデン・ブリュッテンベルグ州の州都シュトゥットガルトは過去2014年、2016年、2016年と2年ごとの調査で毎回トップに選ばれている。これは経済的な要因も大きく、シュトゥットガルトでは文化セクターに努める従業員が労働者の7.6パーセントを占める。同じ数値はベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、ケルンの4大都市でもミュンヘンの7.1パーセントが最高だから、シュトゥットガルトは文化に仕事として携わっている人の割合が大きい。

この指標によるランキングは第2位がドレスデン、第3位はベルリン、4位と5位はミュンヘンとカールスルーエだった。進歩が著しいのが11位のヴィスバーデン。再開はデュイスブルグ、メンヘングラッドバッハ、ゲルゼンキルヘンといったノルトライン・ヴェストファーレン州の都市。これらは文化というよりもサッカーなどのスポーツ観戦が盛んなのかも。

ベルリンのセキュリティ

2016年のクリスマス市のテロ事件以来、ベルリンの駅など人の集まるところでは警察管の姿を見かけるようになった。テロ事件の起きたブライトシャイトプラッツの近くのツォーロジッシャーガルテン駅はもちろん普段でも鉄道警察隊の姿を見かけるが、イスラエルのネタニアフ首相が駅のすぐ前のホテルに泊まった時には、まるで戦車のような装甲車も繰り出して、すごい警備をしていた。

それほどではないとは思うけど、トルコのエルドアン大統領が間もなくベルリンを訪問することになっている。最近独裁色を強めていてトルコ系ドイツ人の記者もテロリストとして拘束するなど、ドイツとトルコの関係は悪化している。だからベルリンの警察には負担がかかっている。

そのベルリンのショーネフェルド空港でワイヤーわ取りつめたベストを着た人物が警官に拘束されるという事件があった。この人物は挙動不審で警官から質問を受けたのだが、着ていたベストには針金が取り付けられていて、爆弾が取り付けられているようにも見えた。警官の質問に対してビール瓶を投げつけるなど反抗したので、公務執行妨害で拘束された。ただ持っていたバッグパックには爆弾などの危険物は見当たらなかった。この事件は空港の駐車場での出来事だったので飛行機の発着には影響はなかった。

エルドアン大統領のベルリン訪問は木曜日の夕方で、テーゲル空港に到着する。公式スケジュールは金曜日にシュタインマイヤー大統領やメルケル首相との会談があり、午後にはベルリンミッテの戦争犠牲者を祈念するノイエ・ヴァッヘを訪ね、ブランデンブルグ門前のホテル・アドラーに宿泊するのだとか。トルコに反対する団体が突然のデモを行うこともあるので、今週の木曜日と金曜日にベルリンを観光する方は要注意。

ベートーベンフェスト・ボンは好評のうちに終了

今年のベートーベンフェスト・ボンは「運命」をテーマに開催されたが、その経営状況が発表された。それによれば、全公演の3分の1にあたる57公演でチケットが売り切れになり、70パーセントのチケット販売があった。

ベートーベンフェスト・ボンの総監督はニケ・ワーグナーによるオープニングのスピーチに続く交響曲第5番「運命」やピアノソナタ・ウィークエンドなど、幅広いジャンルの音楽を演奏した。子供向けの公演も36公演行い、3000人近い若者がベートーベンを親しむ機会があった。

常連のMDR交響楽団に加えて、マルティン・ボーダー指揮のPRF放送響ウィーン、ミヒャエル・プレトネフ指揮のロシア国立管、アダム・フィッシャー指揮のエンライトメント管、みっこ・フランク指揮のラジオ・フランス管などが客演した。

来年のベートーベンフェスト・ボンは「月光」がテーマで、9月6日から29日まで開かれる予定。

2018年9月23日、ダニエル・ハーディング指揮ベルリンフィル、ブルックナー交響曲第5番

本日はベルリンフィル・シリーズAの最初の演奏会があった。

Berliner Philharmoniker
Daniel Harding Dirigent

Anton Bruckner: Symphonie Nr. 5 B-Dur


コンサートが始まったのが午後8時。演奏が終了したのが9時10分くらいという短い演奏会。終演後バスの待ち時間が少なかったので、午後10時前には自宅に着いた。

曲目はブルックナーの5番。今シーズンのベルリンフィルはなぜかブルックナーが多いのだが、これはオーケストラの意見なのだろうか。私はブルックナーはほとんど聴かない。録音も持っていないし5番を聴くのは初めて。でも最初から最後まで同じような調子であまり感動しなかった。マーラーだと曲が長くてもリズムに変化があったりして長さは気にならないんだけど、なんだか全楽章あまり差がない。

ベルリンフィルだから音色も厚く迫力は十分なんだけど、なんとなくフォルテに音が偏っているような感じ。緊張感たっぷりのピアニッシモというのは見受けられなかった。それにクレッシェンドやデクレッシェンドでダイナミックに表現するということもない。オーケストラの編成が大きいから、特別な表現は難しいだろうけど。

アダム・フィッシャーに言わせると、大型のオーケストラは大型客船で小型のオーケストラはモーターボートなんだそうだ。モーターボートは小さくて大型客船のように快適ではないけれど、急旋回したり、客船のできないことができる。

今日の演奏会はベルリンフィルという超豪華客船を楽しんだという感じ。実際終演後は指揮者のハーディングよりベルリンフィルのソリストの方が圧倒的に歓声が大きかった。

EU離脱交渉とザルツブルグ・サミット

イギリスがEUを離脱する期限が約半年に迫っている。現在は交渉の山場のはずなのだが、この週末にザルツブルグで開かれたEUサミットはイギリスのメディアでは「メイ首相の大惨事」という評価。結局目標にしていた交渉期限を延長し、10月の交渉が山場となる見通し。

ザルツブルグではメイ首相はイギリス側の案以外受け入れられないと強行な発言をした。ところがEU側か、「イギリスの案は良いたたき台ではあるが、実行不可能な部分があるのでそのまま受け入れることはできない」と拒否した。その後メイ首相は「理由も説明せずに拒否するのは失礼だ。」とEU批判を続け、「イギリスは合意最優先にするが、合意ない離脱の可能性も捨てない」と強気の発言を繰り返している。

ヨーロッパ側はイギリスの態度にいら立ちがあるようで、トスクEU大統領はメイ首相とケーキを食べているシーンの映像をソーシャルネットに投稿し、「ケーキをどうぞ。でもチェリーはあげない。」とキャプションをつけた。つまりチェリーピック(良いとこ取り)はさせないというメッセージ。

EU側から見るとイギリスの提案には問題がある。EU加盟国であるアイルランドとイギリスの北アイルランドは国境を接しているが、現在はEUのルールに従って厳しい国境チェックは無い。イギリスが単一市場に参加して物資の移動の自由を保障するためには、製品の安全基準などEUとイギリス奏法のルールが同じと保障されないと国境でのチェックが必要になる。でもイギリスの離脱賛成派は「EUのルールを強制されるのは離脱ではない」と反対している。

この件を明確にしないと合意できないから、EU側はザルツブルグのサミットでは離脱に関しては話題にしないように暗にメイ首相に求めていた。それにもかかわらずドラマチックに大々的に取り上げたので、EU側は反発した。でもヨーロッパは英語を理解する人が多いので、メイ首相の立場が弱いことやもともとの提案でも反対派の閣僚が辞任している状況はよく知っている。だからイギリスの強行な態度は国内向けのパフォーマンスであると考える人は多いが、それでも批判されれば反発する人も多くなる。

ヨーロッパの見方では、イギリスの離脱は大きな影響があるが、ヨーロッパにはほかにも大きな課題がある。だからもうイギリスの事は放っておいて、他の問題に注力すべき、という雰囲気がある。離脱交渉の山場なのに、ドイツでは驚くほど人々の関心が低い。

ボストン響のツアー・トラブル

ボストン交響楽団のヨーロッパツアーがあったのだが、その最後のアムステルダム公演でトラブルがあったのだとか。

ヨーロッパツアーは複数の都市を回るのが普通だが、アムステルダムの前日はパリで公演があった。オーケストラはパリに宿泊し、翌日11時にチャーター機でアムステルダムに向かう予定だった。ところがそのチャーター機が故障し、出発時刻の2時間後になって航行不能ということがわかった。

パリとアムステルダム間は高速鉄道で4時間半なんだけど、随行者や裏方を除いた演奏者だけでも120人もいるオーケストラだから、列車の座席が確保できない。バスによる移動では時間がかかるし、何でもアメリカの演奏者組合はツアーにおけるバスの移動を制限しているらしく、それも不可能。何とか別の機材の都合をつけたけれど、それは小型機なので客席は76席で、アムステルダムのプログラムはショスタコーヴィッチの4番の演奏には足りない。

結局当したのかと言えば、プログラムをベートーベンに変更し、76人で演奏したのだとか。楽譜はPDFをコンツェルトヘボウに送りブリントしてもらい、20時15分の開演時間を21時に遅らせた。76人のオーケストラは空港から直行し、燕尾服に着替えてリハーサルも全くなしで演奏したのだとか。

多人数の団体旅行のトラブルはよくあることだけど、連日複数の街で演奏会のあるオーケストラのツアーはトラブル対策が大変だ。でもパリ・アムステルダム間は高速鉄道があるのだから、計画段階で鉄道にした方がよかったのではないかという意見はある。
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