クラシックの演奏会で見かける風習だけど、演奏が終わると指揮者やソリストに花束を渡す。この風習は何に由来するのだろうか。

音楽家も書き込むネット掲示板を訪ねてみたのだが、英語サイト、ドイツ語サイトともに結構議論されている。「男性奏者に花束をあげるのはどうなのか」とか「中には受け取るとすぐにオーケストラの女性奏者に渡す人がいるが、あれは失礼ではないか」など、細かい議論が展開されている。

シリーズ券を買っているベルリンフィルやコンツェルトハウス管はどうしているか、正直覚えていない。お客さんにとってはどうでもよいセレモニーなんだけど、花束を贈らないと格好がつかないと考える主催者が多いのか。

新聞記事を検索したら、RPオンラインがわざわざ花束のことを記事にしている。それによれば、コンサートが終わって花束を渡すと演奏者はとても喜んで、中には花の香を嗅ぐ仕草をする人もいる。でも多くの演奏家は楽屋のごみ箱に捨ててしまい、翌日掃除婦が処分することが多いのだそうだ。

この記事はその理由を列挙している。演奏家の多くは終演後にはプライベートに戻りたいが、花束を持っているとまるで自身が音楽家であることを宣伝しているように目を引いてしまう。花束は湿っているし、水がないと枯れてしまう。化学物質のにおいがすることもあるし、花瓶が必要。バッグに入れられないので手が使えなくなる、等々。男性の多くは花には縁が薄いので水が必要なことを忘れるし、花の種類もよくわからないことが多いとか。

それでも花束は華やかだし、演奏家に対する主催者の感謝を表す効果はある。でもこの記事の筆者は何度も使える造花を使えばよいと書いている。多くの演奏者はそれが造花であることも気づかないのではないかとの事。

デュッセルドルフのトーンハレはソリストと指揮者には毎回生花を送る。デュッセルドルフ響の演奏会は3回あるので、一つのプログラムで花束を3つももらうわけだ。もともと音楽以外には無頓着なアダム・フィッシャーは花束はオーケストラの女性奏者に渡してしまうことも多い。ただタイミングを逸すると持って帰ることになり、楽屋に放り出していることもしばしば。コンサートで主催者が渡す花束というのは、遠目に見て花であることがわかるようにかなり大きい、色も黄色やオレンジなどはっきりしたものを選ぶようで、近くで見るとけばけばしい。緑の葉を強調するためにヤツデまで含まれている。

日曜日の演奏会の後、もらった花束をホテルの人にあげるつもりだったのだが、自転車で帰るので花束を持っていると運転できない。だから分かれる直前に「これあげるから」と渡された。気温が高いのに乾燥対策は全くない状態で少々困ってしまったが、ウェットティッシュで根元を包むなど工夫をしながらなんとかベルリンまで持ち帰った。空港や機内ではかなり目立た。大体最近セキュリティが厳しいから、生花を機内に持ち込む人は少ないだろう。記事の筆者の言うように造花の採用も考えるべきではないかと思った。