今年はドイツは選挙イヤーだ。まず前哨戦としてドイツ国内のいくつかの州の議会選挙があり、さらに9月には国政選挙がある。過去16年間首相を続けて来たアンゲラ・メルケルは今年限りで政界を引退することを表明しているから、各政党とも選挙に力が入っている。それがcovid-19対策にも影響を与えている節もあるのだが、誰がEUの中心であるドイツの首相になるかは世界からも注目が集まる。

ドイツは議院内閣制で、日本同様首相は連邦議会の議員たちによる間接選挙でえらばれる。現実は国会で多数派を形成する政党の党首が選ばれるのが基本だが、どの政党も単独で過半数を取ることは難しく、連立相手を模索することになりそう。でも国会を形成する政党の党首の誰かにはなりそう。

現在のドイツ国会にはメルケル首相率いる中道右派のCDU/CSU、中道左派のSPD、環境保護を主張する緑の党、右派のFPD、左派のリンケ、極右のFPD、に加えてさらに無所属議員の会はがある。秋の選挙をにらんで各政党は党の顔となる党首を選んでいるが、メルケル首相の母体であるCDU/CSUの候補の選定が揉めている。

メルケル首相はCDU(キリスト教民主同盟)だけど、この政党はバイエルン州の地方政党CSUと選挙協力を約束している。CDUは数年前に現在防衛大臣を務めるアネグレット・ケンプ・カレンバウアーを党首に選んだものの、今一つ成果がなくて1年前に党首を辞任。その後任はコロナ危機のだになかなか決まらなかったが、2月にやっとノルトライン・ヴェストファーレン州の州知事であるアルミン・ラシェットが党首に就任した。バイエルン州のCDUは党首のマーカス・ゼーダーがバイエルン州の知事を務めている。

国政選挙となればこの2つの政党は同じ会派となるので、ラシェットとゼーダーのどちらが代表になるかは選挙でも重要だ。でもCDUとCSUは別々の政党だから、党員による投票というような候補者を選ぶ方法が無い。だから双方が話し合って決めるしかないのだけれど、どちらも首相に意欲を燃やしているからなかなか難しい。最終的にはどちらを代表にしたら選挙で勝てるかということで決めるしかない。

選挙まで半年を切った状況なので、今週中にはCDUとCSUの連合の候補を決めるみたいだけど、誰が後任になってもメルケル首相の後を継ぐのは大変そうだ。