読書な毎日

お気に入りの本の感想です。

「もう一度生まれる」朝井リョウ

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)
もういちど生まれる (幻冬舎文庫) [文庫]

「何者」を読んで、結構若い人向けでも読めるかな?と、調子の乗って2冊目を購入してしまいました。
短編集でありながら、登場人物がつながっているというのも、面白そうだと思ったのですが、正直、初めの2編を読んでいる時は、文体が軽すぎ、漫画の主人公みたいで、私には無理かな?と、珍しく、読破できない予感が。
でも、3編目の「僕は魔法が使えない」あたりから、登場人物たちの関係がわかってきて、「も一度生まれる」「破りたかったものすべて」では、かなり集中して読むことができました。
20歳前後の、学生気分からオトナへ移行する微妙な時期の戸惑いが、伝わって来ました。
自分にはないものを持っている者への嫉妬、それを悟られまいと強がる、若い人たちの葛藤が、よく描かれているのではないかと思います。
そこに、恋愛感情が加わってくるところが、よりリアルなのか?それとも現実逃避にはもってこいの要素なのかは、読む人によって、違ってくるのかもしれません。

平成生まれで初めて直木賞をとったということで、注目を集めた作家さんだそうですが、確かに題材は若いけれど、軽いタッチの中に誰しもが持っている負の感情を表現するのが上手い作家さんなんだなと思います。

「何者」 朝井リョウ


若い人とが読む本だなと思いつつ、カバーのメンツがあまりにも魅力的だったので、買ってしまいました。
読後は、やはり映画も見てみたいと思ったし、売り手の策略にまんまとハマってしまいました。

就活真っただ中の4人の若者の、微妙な人間関係と、そこにネットというツールを絡めて、見事な心理劇になっています。
就活真っただ中の人は、リアル過ぎて読むのがつらいかもと、思いました。

一文字打つと、過去に検索した言葉が出てきて、便利な検索機能。
私もスマホで文字をタッチするときに、こんな言葉、あるいは人を、過去に検索したことあったの?と・・・・・特に週刊誌で話題の人の名前が出てきたりすると、自分の品格のなさに苦笑することがあります。
それを他人に見られたら?

主人公拓人の冷めた視点は、私も大いに共感して読んでしまっていたので、最後の理香の反撃は読んでいて心が痛かったです。
思うことは自由だし、裏アカウントでつぶやくことも自由。
でも、掲示板に書きこんでしまうことは、NGだよね、拓人クン。

SNSでつぶやかれる短い言葉、そのものじゃなくて、その言葉の向こう側にいる人間そのものを想像してみる。
深い言葉です。

「きりこについて」西加奈子

きりこについて (角川文庫)
きりこについて (角川文庫) [文庫]

「きりこは、ぶすである」という、衝撃的な書き出しから、誰も触れたがらない領域に真正面からぶつかっていく、作者の心意気を感じました。
しかも、重たいテーマのはずなのに、からりとした軽快な大阪弁の語り口に、何度もクスリとさせられました。
ネコの視点からみる人間の世界は、摩訶不思議な世界なんですねー。
ネコ好きの方が読んだら、楽しいこと間違いなしです。

親から可愛い可愛いと言われて育って来たきりこが、思春期になってそうではなかった事実に気付いてしまう。
きりこほどではないにせよ、思春期に残酷な事実に気付いてしまった女子は多いんじゃないかな?
そして、見た目にとらわれる、理不尽な世の中の不公平にも気づいていく。
入れ物と中身のバランス。
自分が自分らしくあること、よくある人生の課題ではありますが、こんな表現の仕方もあるのかと、新鮮な驚きでした。
途中から、なんか文章が時々稚拙になるのはなぜなのかなー? そもそも「私」ってだれの視点?と、疑問を持ち始めましたが、最後に「私」が登場するあたり、よくできた仕組みになってます。

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