読書な毎日

お気に入りの本の感想です。

「地下街の雨」宮部みゆき

地下街の雨 (集英社文庫)
地下街の雨 (集英社文庫) [文庫]

表題を含めて、7つの短編集です。
帯に「作家としての私の青春時代でした」と書いてあるように、宮部みゆきの初期の作品で、後々の大作につながるようなネタがたくさん入っていました。
短編集でありながら、一つひとつの話は短さを感じさせず、読みごたえがありました。

「地下街の雨」は、精神的に崩壊してしまった女性の怖い話かな?と思ったら、意外にほのぼのとした結末。
「不文律」は、あの「理由」を思わせる手法で、取材された人々の語りだけで物語が構成されており、終盤が不気味でした。
「さよならキリハラさん」では、ファンタジーなのか?と思っていたら、そうでもなくて、笑える要素もありつつ、辛口のラストでした。
音のない世界の不自由さが書かれていたのですが、携帯のない時代の話だったので、現代だったら、ラインとか音がなくても、コミュニケーションの不自由はないのかも・・・と、時代の流れを感じました。

「凍りついた香り」 小川洋子

凍りついた香り (幻冬舎文庫)
凍りついた香り (幻冬舎文庫) [文庫]

小川洋子さんの初期の頃の本ですが、予想以上に面白かったです。
幻想的な世界に引きずり込まれるのはいつものことですが、それに謎解きの要素が加わり、彼女の作品にしては珍しく、スッキリと謎は解明されたような気が・・・・・
でも、主人公の恋人「ルーキー」の自殺の真相は、読む人によって様々な解釈の仕方があるのかも。

調香師の卵だった恋人の突然の自殺。
主人公涼子の知らない恋人の顔が、次から次へと明らかになり、、興味をそそられました。
数学の分野で幼い頃から、天才とうたわれた子供への母親の期待と、それを申し訳なさそうに受け止めている「ルーキー」の対象的な描写と、結末がとても切ないです。

死んだ恋人の足跡を追って、プラハへ旅経つ涼子。
それは自分の意思のようであって、実は死者が導いてくれたものなのかもしれません。
そこには、孔雀がいて、「記憶の泉」の香りがしたのだから。

「夢の守り人」 上橋菜穂子


「守り人シリーズ」、NHKでは綾瀬はるかがバルサ役を演じた「精霊の守り人」が終わり、ただいまシリーズ2作目を制作中だとか。
放送される前に続きを読んでしまおうと張り切ったのですが、放送するのはこの「夢の守り人」はないようですね。
残念。
この「夢の守り人」は、呪術師トロガイと、その弟子タンダの過去がわかる、結構重要なシリーズだと思うのですが。
登場人物に対する思い入れが深まるシリーズなので、テレビでもやって欲しかったかもです。

「夢」というものを、深く考えさせられました。
巻末で作者も語っているのですが、眠って見る夢と、憧れとして追い求めるものを、同じ言葉で表現することに、私も疑問を持っていた一人です。
しかも、にんべんを付けると、「儚い」になる。
これはもう、夢はかなわぬものという認識から来ているとしか思えません。
物語は、そんな夢の認識を巧みに取り入れて、見事なファンタジーに仕上がってました。

近々、次のシリーズを読みそうな予感がします。


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