読書な毎日

お気に入りの本の感想です。

「オリガ・モリソヴナの反語法」米原万理

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫) [Kindle版]

タイトルから受ける印象と、本文がこんなに違っている本も珍しい。
通訳士であった作者が「反語法」と書くからには、通訳するうえでのエピソードを用いた話なのかと思っていた私の予想は、いい意味で見ごとに裏切られました。

こんなに波乱万丈で、残酷で、だけれどもたくましく生きた女たちの物語だったなんて。
主人公「志摩」が、チェコ・プラハ・ソビエト学校に通っていた頃に巡り合った、舞踊教師オリガ・モリソヴナの、生涯を謎解きする舞台は、過酷なスターリン時代のソ連。
ナチス・ドイツの話は、メディアでもよく取り上げられるので知ってましたが、ソ連でもこんな残酷なことが行われていたことを、私は知りませんでした。
その時代に翻弄された女たちの悲しさ、逞しさ、そして、アッと驚く謎解きの面白さが加わって、感動的な最後でした。

オリガ・モリソヴナの反語法的な会話はなんて下品なんだろうと、初めは引いて読んでいた私も、最後は、その罵声が小気味よく思えてきました。
また、冒頭、エレオノーラが志摩を見ると「中国の方?」と、何度も尋ねてしまうシーンを思い出すと、涙が出てしまいます。

「偉くない「私」が一番自由」米原万理

偉くない「私」が一番自由 (文春文庫)
偉くない「私」が一番自由 (文春文庫) [文庫]

米原万理没後10年ということで、彼女の過去のエッセイ等が新刊として、出されています。
この本は、盟友佐藤優による傑作選と帯に書かれていて、時事問題に弱い私は、はて?佐藤優??と思いながら読んでいたのですが、最後の方の「米原万理さんの上からの介入」を読んで、ああ、あの鈴木宗男代議士の事件の時の・・・・と、やっと気づいた次第です。
逮捕されたときの生々しさが伝わってきて、とても興味深かったわけですが、米原万理を楽しみたいという観点からすると、ちょっと物足りないかなーという思いと、中盤の彼女の「ネクラーソフ」の卒業論文は専門的過ぎて読み通すことができず、残念な思いがしました。

とはいえ、表題にもなっている「偉くない・・・・」は、このネクラーソフの詩の解釈から始まって、「私」という表現をロシア文学を引用して見事に分析しているあたり、彼女の感性にほれぼれしてしまいました。
「女が選ぶ政治家ベスト10」では、政治家をバッサリと切っていく語り口が気持ちよく、彼女が今も生きていたら、どんなふうに政治家を批評しただろうかと、思いを馳せました。

「青空と逃げる」 辻村深月


読売新聞、夕刊の小説「青空と逃げる」が、昨日最終回を迎えました。

俳優の夫が有名女優と同乗していた車で事故にあい、不倫騒動だと騒がれた挙句、女優さんの方が自殺してしまい、夫はそのプロダクションの人たちから追われる立場となってしまう。

俳優の夫をもつ、早苗とその息子、力もマスコミやプロダクションから追わる立場となり、逃避行を続けるって、お話なんですが、設定が殺伐としている割には、早苗と力が逃げていく先々の人々は、みんなとっても優しくて、ほんとかなー、こんなに面倒見のいい人ばかりいるの?と、思いたくなるところもありました。

それで、やっと逃亡先で生活していけると思った矢先、追手が迫ってくるという、よくある展開なのですが、毎日読んでいると、また、逃げるんだーと、登場人物に同情してしまう、私がいました。

最後は、今までの謎だった部分が一気に解明されて、スッキリとした終わり方でした。
ホッとしたけど、今一つ物足りないような気もします。

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