前回読んだ川上作品「蛇を踏む」に比べると、おなじ「うそ話」でも、だいぶゆるい感じで、大人のおとぎ話のようで、まったりとした読書が楽しめました。
表題神様のほか、九つの短編集ですが、初めのくまとの散歩に始まり、くまとのお別れで終わり、登場人物も、重なっているので、連作として読めます。
一人暮らしの作者の前に、次々と現れる生き物たち。
花を活けようと、壺をこすったら現れた「コスミスミコ」という女性の登場には、アラジンの魔法のランプみたいで笑ってしまいました。
おとぎ話の登場人物なのに、話す内容は、別れた男の話だったり、下世話なところがあって、それゆえに親近感がまして、私のところにも出て来てくれないかなーと、思ってしまいました。
秋の夜長、寂しくなった私たちの心を、ほっこり温めてくれる本です。