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美しい国の原発事故避難者いじめ(5)岡森利幸オブジェクション

4.父母と子
 横浜の少年や千代田区の少女は、自分の小遣いだけでは足らなくなり、親の財布から金を抜き取ったりして、悪ガキたちの要求に対応していた。
 横浜の父親は、「抜き取る財布が見つけられなかったら、この子は自殺していたかもしれない」と述懐していた。確かに、渡す金がなければ、悪がきグループによる恐怖の「いじめ」が始まっていた。
 少年は、それが知られたら、親にこっぴどく叱(しか)られるのを覚悟していたのだろうか。もしかすると親に知られない、外から入ったドロボーの仕業と考えてくれるかもしれない、と淡い期待を持って抜き取っていたと思える。状況を想像してみよう。
 ――ある日、母親が財布の中のお札の枚数が減っているのにいぶかしく思った。財布の置き場所には注意を払い、〈ここなら、外部の人間などが見つけるはずがない〉と思われる場所にしまった。ところが、それでも札の枚数が減っていた。数日後、息子がなにやら探し回っている現場に出くわした。
「xx(名前)、そこで何をしているの! 財布を捜しているのね? 今まで、お金がなくなったのは、あなたのせいね?」
 息子は頷(うなず)くしかなかった。
「何十万円も、そんな大金、何に使ったの? 白状しなさい!」
 少年は、親に言いつけたとなると、不良グループからどんな目にあわされるか、分かっていた。学校の先生に話したときもそうだった。言い渋っていたので、母親は根負けした。父親の帰宅を待って、このことを話した。
「ナニー? 親の金を150万、盗みとったダトー?」、
 いつもはおとなしい父が激怒した。
「テメー、なぜだ? 何に使った? 言え! ちゃんと言わんか! テメー、自分が何をしたのか、わかっているんか!」
 しまいには、親としてはじめて手を上げて、息子の頬を思いっきりひっぱたく。「バッシーン」
 少年は張り飛ばされる。「ドーン」
「このドロボー野郎! 警察に突き出されたいんか!」
 ひっぱたく方も泣きたくなるような場面が展開する。少年はもう自分の部屋に閉じこもって、不登校になるしか自衛手段は無い。あるいは食事もとらず、死ぬしかない。
「テメーは悪くないと思うなら、ここで何か言ってみろ!」
 父の厳しい追及によって、この少年はついに白状した。
「エエー? それじゃ、おまえが被害者じゃないか」
<岡森利幸:フリーライター。>
(注:本論は、雑誌「みなせ」(岡森編集長)73号に掲載された「オブジェクション153−「苦悩編」からの一部抜粋編集をしたものです。)

美しい国の原発事故避難者いじめ(4)岡森利幸オブジェクション

3.おごり・たかりの構図
 これらいじめの場合、金銭に結びついた。「おごれよ」「買えよ」とせびるのは、りっぱな恐喝行為だろう。
 福島第一原発の周辺の人たちは、避難の遅れもあって、確かに放射性微粒子を浴びたし、吸い込んだ。それは微量であったにしても、受け入れ側のこどもたちは、避難してきた人たちには「放射能がついている」というイメージを持ってしまう。避難した子どもが、避難先でガキどもにいじめられる可能性は大いにあった。しかも、避難した人に賠償金が出されていることが小学生にも知られており、金をもらっていることにやっかみがある。
 小学生レベルの子どもたちは、そんな避難の子に異質さを感じ取ってしまうものだ。先ず福島と神奈川では方言の差異がある。地元の子どもはよその子をすぐには受け入れない傾向がある。
 例として、戦争中に疎開した子どもが地元の子どもたちにいじめられた話は、どこでも無数に聞かれるほどだ。新しい世代の教諭たちにはそんな経験がなかったのかもしれないが、それにしても、学校側の配慮がまるでなかったことに、あきれてしまう。あの事故で避難した子どもが通う学校は、ほかにも多数あるはずだが、同じような対応をしているのだろうか。
 小学生ともなれば、相手の弱みに付け込む知恵を身につける。それが善か悪かは別として、自分にとって有利になることを知れば、活用しない手はない。相手が避難者であることを隠したがるのであれば、「ばらされたくなければ、おごれよ」となる。
「テメーたち一家は、賠償金をたんまり、もらってんだろ、おい!」
 いじめる側は、金をせびり取れると分かったら、際限なく、いじめ抜く。実利があるとなると、いじめがいがあるのだ。金をせびりだしたら、いじめのスパイラルはとまらない。いじめグループとしては、「○○菌」をいじめればいじめるほど金が手に入るのだから、もう止められない。いじめが実益になるのだ。
 保護者からのうるさいクレームで、先生がグループにしぶしぶ注意したとしても、彼らはその場では「はい、もうしません」などと低頭し、言い繕(つくろ)えばいいのだ。その場から開放されると、ガキどもは舌を出したりして……。彼らは学校では体罰が無いことをよく知っているから、先生をなめきっている。悪いことをしても謝ればすむと思っている。そして、先生に言いつけた「○○菌」を逆(さか)うらみする。彼らは「○○菌」を河川敷に連行したりして……。
「このヤロー、センコーにチクったな、うらぎりやがって」
 一度「おごる」だけですまないのが、こうしたケースだ。金を出さなければ、からかわれる・物が無くなる・階段でうしろから突き落とされるなど、いたずら(嫌がらせ)の標的にされ、いじめ抜かれるのだ。要求する金額も、いじめの悪質さもすぐにエスカレートする。自分の金がなければ、どこからか金を得るしかない。身近にあるのは親の金ぐらいだろう。
<岡森利幸:フリーライター。>
(注:本論は、雑誌「みなせ」(岡森編集長)73号に掲載された「オブジェクション153−「苦悩編」からの一部抜粋編集をしたものです。)

「放射能汚染防止法」がなぜ必要か=山本行雄弁護士

P3270003P3270005<「放射能汚染防止法」制定に向けての院内集会の会場。「放射能汚染防止法」がなぜ必要か」を講演する山本行雄弁護士(右)。3月27日、衆議院第二議員会館にて>
  現在、環境・公害問題については、環境基本法や、水質汚濁、土壌汚染を防止するための一連の法律があるが、どれも放射性物質を適用除外しており「法の空白」となっている。《事例参照:郡山市の指定廃棄物火災〜院内集会と環境省と質疑を行う
  3・11の福島原発事故のあと、環境基本法の除外規定はなくなり、放射性物質も環境基本法のもとにおかれるようになった。しかし、具体的な規制手法は整備されず、「特別扱い」は続いている。《参照:
  これに対し、FoE Japan(NPO法人)は、放射能汚染防止法」制定を提言する山本行雄弁護士を招き3月27日、衆議院第二議員会館で院内集会を開催した。
  折しも同日には、福島県内の除染で出た廃棄物の再生利用を検討している環境省は、利用先として新たに公園などの緑地を加え、廃棄物を埋め立てて造成する際の基準をまとめたーーという。
  政府は、福島県内の除染で出た、最大で東京ドーム18杯分の土などの廃棄物を中間貯蔵施設に搬入したうえで、30年以内に福島県外で最終処分する方針。だが、そのめどはたっていない。
  最終処分する廃棄物を減らすため、環境省は、放射性物質の濃度が低いものは道路や防潮堤の盛り土などの建設資材として再生利用することにしている、これに新たに公園などの緑地を加えたうえで、廃棄物を埋め立てて造成する際の基準をまとめ。
  それによりますと、造成工事に多くの作業員があたることや、完成した緑地を散歩などで住民が使うことを想定した結果、利用する廃棄物は、含まれる放射性物質の濃度が1キロ当たり4000ベクレルを下回ったものとするとしている。
   そのうえで、津波や大雨などの災害で廃棄物が流出したり、土から放射性物質を吸い上げた木が火災で燃えたりして放射性物質が拡散しないよう、最大で1メートル以上の厚さの土で表面を覆うよう求めるとしている。
  しかし、緑地への再生利用には地元の住民や自治体などからの反発も予想され、環境省は今後、再生利用への理解を求める方法を検討する部会を新たに設けることにしているーーというのだ。
  これは、原発の事故のよる放射能汚染物質の処理が、いかに困難であるかをしめすももので、毒物を薄めて全国にばら撒いてしもうという無策の策に過ぎない。
  この現状のなかで、国の放射能汚染に対する抜本的な対策を求め、排出者責任などを盛り込んだ「放射能汚染防止法」制定を目指し、市民による法案づくりを進めるために、「放射能汚染防止法」を制定する札幌市民の会が結成されている。
  今回の院内集会では、この札幌市民委員会の法律アドバイザーで、著書「制定しよう放射能汚染防止法」のある山本行雄弁護士の「放射能汚染防止法」がなぜ必要か」の講演行った。
  また、これに関連して、「放射性物質汚染対処特措法の問題点」を藤原寿和さん(千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会事務局長)。「福島各地に建設される焼却処分場の実態」を和田央子さん(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)。「除染土再利用問題と帰還促進」を満田夏花さん(FoE Japan)。長野県で、「放射性物質拡散にノー」の意見書続々を柳井真結子さん(FoE Japan)が語った。
 《参照: 「放射能汚染防止法」制定に向けて(3/27)》

美しい国の原発事故避難者いじめ(3)岡森利幸オブジェクション

 2.避難者たち
 福島第一原発の大事故で、「帰宅困難地域」に住んでいた人たちは、すべて公的な指示で避難民にされたし、その周辺に住んでいた人の多くも自主的に、家族もろとも全国の各地に移り住んだ。
 子どもたちは、そんな人々に敏感に反応する。「避難者」に同情するよりも、自分たちとは異質の者が来たという感覚で、よそ者に対して警戒心を持つし、からかいの対象にする。だいたい、「人を見たら、不審者と思え。見知らぬ人に話しかけられても、答えるな」と教えられているような子どもたちだろう。よそ者に親切にしようという発想がない。遠方からの転校生はいつも肩身の狭い思いをする。
 千代田区の少女は、小学生のとき「避難者」であることが、からかいやいじめの対象になることを知り、それを隠すことにしたのだが、中学になって、耳元で「避難者」とささやく者が現れた。その悪がきは、秘密をばらされたくないなら「おごれ」と迫った。少女は小学生の同級生の一人が、悪がきにその秘密を漏らしたのだろう。
 周囲の大人が黙っていては、エスカレートしてしまうのが、金銭が絡んだ「いじめ」の特徴だ。いじめというより、恐喝という犯罪行為になっている。いじめる側は、対象人物をいじめればいじめるほど、実入(みい)りが多くなるのだから、止められない。金を出し渋れば、もっと嫌がらせをして、震え上がらせればいいから簡単なことだ。嫌がらせは、いたずらに似て、面白半分に実行できるし……。
 たとえば、教科書やノートを隠してしまう。彼らには、「いたずら」をされた側の気持ちが分かっているのだろうか。その困った顔や、泣く姿を見て、陰でへらへら笑っているのだろうが……。
 先生方は、そんな金銭のやり取りを認識しても、仲のよい仲間同士の「おごり・おごられる」関係だと思っていたというから、のんきなものだ。おごり・おごられている関係が続く限り、確かに、表面上は、いたずらやいじめは影を潜(ひそ)める。しかし裏では、悪ガキたちは、標的に対し、いじめより悪質な「恐怖のプレッシャー」をかけていたのだ。
 児童が悲惨な状況を教諭などに訴えても、学校や教育委員会は重大と考えていなかったというから、あきれてしまう。「死人が出るかもしれない」という深刻さには、まったく気づいていなかったわけだ。何人もの大人たちがそろいもそろって、指導力がなさ過ぎる。想像力に欠ける。おそらく彼らは文部科学省が定めたマニュアルどおりの対応をしたのだろう(皮肉を込めて)。
<岡森利幸:フリーライター。>
(注:本論は、雑誌「みなせ」(岡森編集長)73号に掲載された「オブジェクション153−「苦悩編」からの一部抜粋編集をしたものです。)

美しい国の原発事故避難者いじめ(2)岡森利幸オブジェクション

   1.自殺を踏みとどまった横浜の少年
   横浜へ避難した少年はいじめグループの悪ガキたちに「xx(少年の名前)菌(きん)」とはやし立てられていたという。東京・千代田区に非難した少女は「福島菌」と呼ばれた。なかには、「セシウム菌」と呼ばれた避難者もいるだろうと容易に想像できる。
   横浜へ避難した少年の手記に、驚いた大人たちは多かった。社会に衝撃を走らせた。この後、横浜だけでなく、全国各地で、新潟、東京などで、「私もいじめられた」「避難者と呼ばれ、からかわれた」と声を上げる少年少女が相次いだ。横浜だけではないだろうと私は想像していたものの、横浜とそっくりの事例が各地であったことに、やりきれなさを覚えている。
   横浜の事例は例外事例ではなく、一般的なことなのだと認識したい。つまり、日本人は避難民や難民など、よそ者をいじめる民族だということを再認識したいところだ。日本人ならだれでも、自分たちがひそかに持っている悪習として自覚すべきだろう。
   学校の先生方にしても、避難の児童・生徒が一時的にいじめられるのは「当たり前」という顔をして、この件では対応していなかった。クラスメートにからかわれたとしても、陰湿ではないと、楽観していた節がある。
   からかわれる児童が、ゆすり・たかりの格好の餌食にされてしまうことは、セオリーどおりだ。横浜の例は深刻ないじめの典型なのに、学校の対応の悪さが際立つケースだ。保護者が学校に訴えても、いじめが続いたため、埒が明かず、横浜市の教育委員会に訴えた。それでも、すぐには対応してもらえなかったという。やがてメディアにも知られることになってから、やっと事の重大さが公知されたわけだ。
   少年がノートにぎこちない文字で書いた「死のうとおもった」は、びっくりさせられる。それは、遺書になるところだった。「何度も死のうと思った…」と書き出し、「……生きることに決めた」と書き結んでいる。何度か自殺を図って、いずれも未遂に終わったことが伺える。
   このグループの陰湿ないじめは、ひどいレベルに達していた。お金を巻き上げることにやすやすと成功していた。中でも、「(福島第一原発事故で避難したことの)賠償金が出ているんだろ」と言って、いじめグループは何度も、際限なく金をせびり、小学5年のとき、約150万円を奪い取っていることに私は注目したい。金を巻き上げるようなことは、「重大事態」にして本気で取り組まなければ、解決しない。様子を見ているようなことでは、いじめを黙認しているのと同じことだ。
<岡森利幸:フリーライター。>
(注:本論は、雑誌「みなせ」(岡森編集長)73号に掲載された「オブジェクション153−「苦悩編」からの一部抜粋編集をしたものです。)

美しい国の原発事故避難者いじめ(1)岡森利幸オブジェクション

  まず、原発事故避難者いじめの報道記事をピックアップする。
 【毎日新聞・朝刊2016/11/10 社会面=福島からの避難生徒、横浜の中1(13)は、小学2年だった2011年8月に横浜市立小児転入したが、同級生から名前に「菌」をつけて呼ばれたり、暴力を振るわれるいじめを受け、一時的に不登校になった。5年の時には「賠償金をもらっているんだろう」と、5万〜10万円を約10回、10人前後に支払わされたと説明したという。】
 【毎日新聞朝刊2016/11/16 社会面=避難生徒側の代理人弁護士が、生徒の手記と保護者の声明を公表した。生徒が小学6年だった昨年7月、学校や加害者側との話し合いをする中でノート3ページにわたって思いを書き留めた。賠償金をもらっているだろうなどと言い掛かりをつけられて金銭を要求されたり、ばい菌と呼ばれ「放射能の影響ではないか」と不安になった経緯が記されている。いじめは小学2年から5年まで続いたという。保護者は声明で「学校は金銭の要求を知っていながら、連絡もしてくれなかった」と学校側を批判し、市教育委員会側から提出された報告書が、主要な部分で黒塗りされていることに遺憾を示した。
   生徒の手記――いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた。……ばいしょう金あるだろと言われむかつくし、ていこうできなかったのもくやしい。……ていこうするとまたいじめがはじまるとおもってなにもできずにただこわくてしょうがなかった。(ばい菌と言われるのは)ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった。(学校の対応について)いままでいろいろはなしをしてきたけど、しんようしてくれなかった。なんかいもせんせいに言うとするとむしかえされた」】
【毎日新聞朝刊2016/11/18 社会面=横浜での避難生徒いじめの件、県警が調査後、「被害150万円」が判明したが、学校は動かなかった。
   保護者は2014年7月、県警に同級生から金銭を要求されたことで相談。県警がゲームセンターの謀反カメラ映像などを調べたところ、加害者側が1回あたり10万円単位の金銭を浪費していたことが分かった。金銭は加害者側に「(原発事故の)賠償金があるだろ」などと言われ、生徒の保護者に打ち明けられず、(家の)生活費を持ち出していたという。市教委の第三者委員会は「万単位の金銭のやり取りを把握しながら、『おごった側』、『おごられた側』への十分な指導が行われた形跡が認められない」と指摘した。】
   【毎日新聞夕刊2016/11/18 社会面=横浜市教委に文科省の幹部派遣。避難生徒いじめで。生徒は小学5年のとき、「賠償金をもらっているだろう」と因縁をつけられ、金銭を支払わされた。14年に保護者が学校に伝えたが、学校は「重大事態」と判断せず、保護者が15年に市教委に被害を訴え、調査が始まった。】
   【毎日新聞朝刊2016/12/14 社会=千代田区の中学で、福島からの避難の生徒に同じ学年の3人が「おごってよ」と言って物を買わせていた。複数回にわたり菓子やジュースなど計1万円ほどの代金を支払っていた。生徒は学校に「避難者とばらすと言われた」と話している。11月下旬に生徒の母親から「子供が財布からお金歩抜いている」と連絡が有り、学校が生徒に話を聞くと、同級生3人に菓子などをおごったことがあると話した。3人は「おごってよと言ったことがある」と認めている。】
  【毎日新聞朝刊2016/12/15 社会=避難者いじめが川崎の私立中でもあった。男子生徒は2012年4月、川崎市立中に入った。同級生に「福島県民はバカだ」「近づくな」などと言われ、たたかれたり蹴られたりした。生徒側は学校に相談したが、同級生側がいじめを否定して解決しなかった。】
  【毎日新聞朝刊2016/12/20 神奈川版=県内で、原発避難のいじめ、8世帯9人も被害にあった。2人は不登校になった。大人に対しても福島ナンバーの車が傷つけられたり、「まだいるの?」などといった言葉を投げかけられたりするケースがある。】(つづく)
<岡森利幸:フリーライター。>
(注:本論は、雑誌「みなせ」(岡森編集長)73号に掲載された「オブジェクション153−「苦悩編」からの一部抜粋編集をしたものです。)

共謀罪の問題点を日本ペンクラブ、市民文化団体などが検証へ

   共謀罪創設反対百人委員会は、全国一万人委員会を立ち上げることを一般人に呼びかけている。ひとりが10人に声をかければ、100人が1000人になり、一万人になる。法案を廃案に追い込むまで、力を合わせて頑張るとしている。3月20日に時点で、百人委員会は、277名の参加を得ている。この277名の総意で、百人委員会を呼びかけ母体として、全国1万人委員会の結成をよびかけている。そのためにも全国47都道府県に百人委員会を結成することをめざしている。《参照: 「共謀罪の創設に反対する百人委員会」の活動活発化
  また、共謀罪を考えるメディア関係者の会では、集い「メディアの立場から共謀罪の問題点を考える」を3月31日午後6時半、東京・本郷の出版労連会議室で開催する。
  メディアに関わる人々で、共謀罪のもつ問題点、とりわけメディアにかかわる点を中心に考える集い。登壇者は、上智大学教授・田島泰彦氏(同会代表世話人)、立教大学名誉教授・服部孝章氏、日本雑誌協会・田近正樹氏、ジャーナリスト・寺澤有氏。そのほか、参加者にも発言してもらう。 参加無料。問合せは、同会事務局=出版労連出版研究室 TEL03-3816-2911 まで。
  日本ペンクラブは、イベント「共謀罪は私たちの表現を奪う」を4月7日午後6時半、東京・春日の文京シビックセンター小ホールで開催する。
  共謀罪が取材・報道の自由にどのような影響をおよぼすのかを改めて確認し、昨今の言論萎縮状況にいかに立ち向かっていくかを話し合う。
  発言者は、浅田次郎(作家、日本ペンクラブ会長)、雨宮処凜(作家)、香山リカ(精神科医・作家)、中島京子(作家)、ビッグ錠(漫画家)、森絵都(作家、日本ペンクラブ常務理事)、森達也(映画監督・作家)ほかの各氏。司会を日本ペンクラブ常務理事・言論表現委員会委員長の山田健太氏が務める。
参加費は1000円。定員は280人。事前申込は不要。

役人に忖度させる籠池氏のノウハウには価値がある

  学校法人「森友学園」の籠池泰典・前理事長の証人喚問が話題の中心だが、この問題は、国有地を異常な安さで売却することを決めた財務省の本省か、近畿財務局か、どっちかの当時の担当者に説明責任がある。
 これまでのメディアの報道で、籠池氏の関係があるとした人物や団体と思想をならべてみよう。
 国粋主義者的な思想。(これが左翼思想であったら、忖度されなかったであろう)
 安倍晋三小学校という名称。安倍首相夫人の講演。
 まず、これで役人には忖度した方が良いと思わせる。
 鴻池議員事務所への連絡、陳情。(実態は陳情であるが、財務省の役人には、「この間も、鴻池議員事務に行ってきた」と、議員も賛同しているように忖度させる。
 日本会議。安倍首相の閣僚や議員には、日本会議の会員が多いので、あたかも権力に近い筋と役人に思わせ忖度させる。
 安倍首相の百万円寄付受付。籠池氏が金を渡したのではなく、もらったのであるから、自分で100万円の受け取りを書いておけば良い。
 役人が政治権力者の意向を忖度することは、自然なことで、財務関係官僚が、ありもしない籠池氏による政治的な関係を鵜呑みしたら、認可をすすめようとするのは当然であろう。
 また、籠池氏には詐欺罪の容疑もないことはないが、警察もお役人。だから忖度して、捜査などしないであろう、という読みもある。
 籠池氏の最大の強み、ノウハウは、役人が自らのミスを認めることは絶対にないので、籠池氏の口先に騙されたという証拠は出てこない。
 要するに今後は何も、出てこないであろうということだ。この籠池氏の手法は、立場によっては、大いに役立つにちがいない。

原発作業員の放射線被ばくと未解明な人体への影響

P3200020P3200021<2017「3・20 いのちを守れ! フクシマを忘れない さようなら原発全国集会」の東京・代々木公園イベント広場でも、北九州の原発作業員の仮称「あらかぶさん」の白血病労災認定の裁判闘争の訴えがあった。。3月20日>
さようなら原発全国集会2017年3月20日(東京・代々木公演にて)では、イベントとして、放射能被ばくにたいする危険性を訴える関係者の声が集まった。
  そのなかで、北九州市の42歳の原発作業員の仮称「あらかぶさん」(ニックネーム、「あらかぶ」はカサゴの地方名)の、放射線被ばくによる健康被害、白血病の労災認定を求める裁判の事例の紹介があった。
  あらかぶさんは2011年10月〜2013年年12月、東電福島第一、第二などの事故直後対応作業の仕事を依頼されたという。福島県での東電事故原発に従事したが、被ばく防御はずさんで、防護服も足りていなかったという。『思想運動』996号 2017年2月15日号によると、記録では、2年余りで約20ミリシーベルトを被ばくしたようだ。そして、事故収束作業員として初めて、被ばくにより白血病を発症したとして労災認定を受けた(2015年10月)。その後、死の恐怖に苛まれてうつ病になり、うつ病についても労災認定された(2016年5月)。
 労災認定されたとき東電は、謝罪はおろか、自らの責任に触れることは一切なく、労災被害者を愚弄するような東電・九電に対し、「被ばく労働による病気に苦しむ労働者が泣き寝入りすることなく、労災認定と損害賠償を求めて声をあげる先例になろう」という思いで、2016年11月に約6千万円の損害賠償請求訴訟を起こしたという。労災補償では補われない被害、計り知れない精神的・肉体的苦痛に対しては、原子力損害賠償法により原子力事業者に賠償責任がある。ーーという。
P1140056_1P1140057_1P1140058_1<放射線被ばくの健康への影響は、制度的にはここまでは許せるという閾値を設けているが、これはあくまで便宜上のものにすぎない。放射線に関する研究も、人体への影響へのすべてが解明されているわけではない。また、原発が稼働されると放出するトリチュームという放射線は、簡便に除去するのが不可能という理由で、放出し放題である。原発のある地域でがんが多く発生してるのは、経験的にわかっている。また、その他の物質が影響してる可能性も否定できない。>(データ写真は西尾正道医師が2017年1月14日に都内で行った「放射能健康被害のウソ‐ICRPのまやかし」の講演の資料から)
  こうしたことを考えると、がんと自殺が国民の健康課題になる可能性が高い。

3/20さようなら原発全国集会で安倍政治批判=東京・代々木

P3200029P3200030P3200032<2017「3・20 いのちを守れ! フクシマを忘れない さようなら原発全国集会」の東京・代々木公園イベント広場。3月20日>
  2017年「さようなら原発全国集会」(主催:「さようなら原発」1千万署名市民の会」)が3月20日、東京・代々木講演で開催された。
  集会では、第1部で超博&ジンタらムータのバンド演奏、中川五郎、李政美、板橋文夫。矢野敏広など各氏アーチストが集会を盛り上げた。
P3200022<フクシマ原発事故の放射能被災者をほっおっておいて何がオリンピック騒ぎですか。森友学園がどうしたというのか。南スーダン尾戦争隠しなど、メディア目くらましで、政治家のやるべきことをせずして、原発被災者を救済しないアベ政治をゆるすべきでない、と語る落合恵子氏。3月20日>
  第2部は木内みどり氏の司会で、呼びかけ人の落合恵子氏の主催者あいさつ、福島県の原発被災者、避難者、その支援者たちが、事故を起こしながら、無責任に言い逃れをする東電と政府を非難し、脱原発への推進をアピールするデモ行進を行った。
P3200024<福島の郡山に在住することを決めた野口時子さんが息子さんを連れて、3ā郡山の食物被ばく回避活動の困難さを語る>
 「福島原発事故から6年。福島では、8万人近い被災者が、いまでも苦しい避難生活を余儀なくされている。子どもたちの甲状腺の問題、労働者被曝の問題、中間貯蔵施設の問題、帰還と補償打ち切りの問題など山積する課題の中で被災者が悩み苦しんでいるにもかかわらず、東電と政府の彼らへの支援はないがしろにされ、フクシマ原発事故から国民の目をそらそうとしている。
P3200025<瀬戸大作・避難者の共同センター事務局長は、避難区域解除で、補償を打ち切られる県外避難民の窮状を訴える。>
 また、政府は、福島原発の廃炉など事故処理にかかる費用が、従来想定の約2倍となる21.5兆円と試算し、費用の一部を電気料金に上乗せすることで、消費者にツケを回そうとしている。
P3200027<弁護士で3・11甲状腺がん子ども基金理事の河合弘之氏は、こども甲状腺がんはすでに185人、標準発生率の400倍なのに政府は、調査データーがないので特別なのかどうかわからない、と逃げている。さらに、検査を受けないようにしている。これは、放射能がどれほど怖いか、わかってしまうのを恐れているのです。と基金への寄付お願いした。>
P3200028<フクシマ連帯キャラバンも到達>
 安倍政権は、原発の再稼働、核燃料サイクルの推進、原発輸出を掲げ、原発推進政策をゴリ押し。高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉決定に追い込まれ、核燃料サイクル崩壊が始まっている。原発再稼働も、市民の強い反対の前で思うように進んでいない。会場では、原子力政策の行き詰まりは明らかです。原子力政策の根本的転換を迫り、フクシマの被災者との連帯を強化しましょうと呼びかけた。
P3200019<超博&ジンタらムータのバンド演奏、中川五郎、李政美、板橋文夫。矢野敏広各氏などのアーチストが集会を盛り上げた。>
■関連情報=絵本『てぶくろ』の3・11甲状腺がん子ども基金への寄付
  郡山から川崎市に避難している松本徳子氏も、避難者困難生活への理解を訴えた。
海外に福島原発事故被害者の6年を会見報告=日本外国特派員協会
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