


気候変動や森林保全に取り組む複数の環境団体は、先にバイオマス発電に関して、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の要件の厳格化を求める共同提言を発表している。
この中で、温室効果ガスを十分削減していること、森林減少・生物多様性の減少を伴わないことなどをFITの要件にすることを求めている。
これに関連して、H.I.S.スーパー電力が宮城県角田市で建設中にパーム油を燃料としたバイオマス発電について、「熱帯林を破壊する」として、その中止を求める署名運動に取り組んできた。すでに世界中から15万筆以上の署名があつまったということから、7月30日にH.I.S.スーパー電力に提出を行ったとして同日、都内で、記者会見を行った。
会見をしたのは、飯沼佐代子氏(プランテーション・ウォッチ)、泊みゆき氏(バイオマス産業社会ネットワーク理事長)、満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)、ロジャー・スミス氏(Mighty Earth)。
テーマは、(1)バイオマス発電に関する共同提言についてーー(2)H.I.S.スーパー電力が進めるパーム油を原料とした発電についてと、署名の提出報告であった。
これは、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により、木質ペレットなどバイオマス燃料を使った発電所の建設が各地で進み、日本の木材自給率を少しずつ押し上げている。
しかし、その一方で輸入木材を使用した発電所も多く、特に大規模なものは輸入燃料に依存しているのが現状。木材は二酸化炭素を吸収して成長するため「カーボンニュートラル」とされているが、過去に蓄積した炭素は木材の燃焼で放出され、伐採地に森林が回復する数十年以上の長期間かけて炭素が吸収されることになっている。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の報告書では天然林の保護は気候変動の抑制上急務であるとしている。
気候変動対策として、森林からのバイオマスをエネルギー利用することは、そのやり方によっては、逆効果であり、これを無差別に対応する日本のFIT制度に問題提起を行っているもの。
《参照:何が問題? H.I.S.のパーム油発電 Q&A》