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伊藤昭一ジャーナル★運営「文芸同志会」「文芸同志会通信」&「詩人回廊」運営。  

2019年07月

IMG_0976IMG_0975<左から記者会見する飯沼佐代子氏(プランテーション・ウォッチ)、泊みゆき氏(バイオマス産業社会ネットワーク理事長)、満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)、ロジャー・スミス氏(Mighty Earth)。H.I.S.スーパー電力に宮城県角田市で建設中にパーム油を燃料としたバイオマス発電の中止を求める署名が、世界中から約14万筆強が集まりその署名を7月30日に提出したと記者会見。7月30日、衆議院第一議員会館にて。>
IMG_0973<(株)エイチ・アイ・エスと、H.I.S.スーパー電力(株)に宮城県で建設中のパーム油によるバイオマス発電が、温室効果ガスを増大させるものとして建設を中止することを求めた環境団体の記者会見>
気候変動や森林保全に取り組む複数の環境団体は、先にバイオマス発電に関して、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の要件の厳格化を求める共同提言を発表している。
 この中で、温室効果ガスを十分削減していること、森林減少・生物多様性の減少を伴わないことなどをFITの要件にすることを求めている。
  これに関連して、H.I.S.スーパー電力が宮城県角田市で建設中にパーム油を燃料としたバイオマス発電について、「熱帯林を破壊する」として、その中止を求める署名運動に取り組んできた。すでに世界中から15万筆以上の署名があつまったということから、7月30日にH.I.S.スーパー電力に提出を行ったとして同日、都内で、記者会見を行った。
  会見をしたのは、飯沼佐代子氏(プランテーション・ウォッチ)、泊みゆき氏(バイオマス産業社会ネットワーク理事長)、満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)、ロジャー・スミス氏(Mighty Earth)。
  テーマは、(1)バイオマス発電に関する共同提言についてーー(2)H.I.S.スーパー電力が進めるパーム油を原料とした発電についてと、署名の提出報告であった。
  これは、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により、木質ペレットなどバイオマス燃料を使った発電所の建設が各地で進み、日本の木材自給率を少しずつ押し上げている。
  しかし、その一方で輸入木材を使用した発電所も多く、特に大規模なものは輸入燃料に依存しているのが現状。木材は二酸化炭素を吸収して成長するため「カーボンニュートラル」とされているが、過去に蓄積した炭素は木材の燃焼で放出され、伐採地に森林が回復する数十年以上の長期間かけて炭素が吸収されることになっている。
  IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の報告書では天然林の保護は気候変動の抑制上急務であるとしている。
  気候変動対策として、森林からのバイオマスをエネルギー利用することは、そのやり方によっては、逆効果であり、これを無差別に対応する日本のFIT制度に問題提起を行っているもの。
《参照:何が問題? H.I.S.のパーム油発電 Q&A

 IMG_20190729_0001_1<笹田隆志「一九九九年九月三〇日」の作品が掲載された文芸同人誌「「北狄」356号>
 文芸同人誌「北狄」(青森)356号(2019年4月発行)には、問題提起として注目したい作品が掲載されている。それは笹田隆志・作「一九九九年九月三〇日」である。
 これは、タイトルそのもが、茨城県東海村JCO臨界事故の起きたその日である。そこで、物語は東海消防署第一救急隊の当日の状況からはじまる。一部抜粋する。作品では、JCOはJNOになっている。人物名もそのままでないが、真に迫るものがある。
ーー午前一〇時四三分、突然、指令室の電話が鳴った。清水ははっと我に返り、反射的に顔をあげ受話器を取った。
  男は日本核燃料会社の者だと名乗った。
「はい、=九番です。どうしました、火事ですか、救急ですか」
  受話器を持った途端、普段の救急隊長に戻った清水は、通信指令マニュアルにある通り、つとめて冷静に通報者に話しかけた。
  「会社の建物で人が倒れました。救急車、お願いします」
  通報者は慌てているのか、自分の名前を名乗らなかった。
  「どうしましたか。それから、あなたの名前と倒れた人の名前と年齢、性別hそれに倒れた場所を正確に教えてください。それと時間もお願いします」
  清水は間をおかずに落ち着いて訊ねた。
  「上司から急いで救急車を呼ぶようにいわれただけなので、詳しいことは分かりません」
  清水は、受信簿に走り書きすると、そのまま続けた。
  「わかりました。人数は、何名ですか」
  電話口からすぐに応答があった。
  「一人です」
  「あなたの名前と電話番号をお願いします」
  清水はもう一度訊ねた。
  「私はJNO東海事業所総務課の杉山仁といいます。電話番号は、四八ー六五一七です」
  清水は署内放送のスイッチを全館に切り替え、通報者の杉山に向かって叫んだ。
  「救急車向かいます」
  出場指令を発した清水隊長は、受信係を第二救急隊の伊籐消防士長に引き継いだ。ーー
  以後、話をはしょると、伊藤は、通報者に救急車をかけたので、現場の状況を教えて欲しいというと、「くわしくはわからないが。テンカンで倒れたと思います」と答えが返ってきた。
  まさか、それが核燃料会社の東海事業所の転換試験棟で、原子力に関する何らかの事故が起きてさぎょ員が倒れたという意味だとは、思いもしなかった。そこで、何の被ばく予防の装備もなく、出動。原子力の臨界を身近で観た作業員を救出し、消防隊員も被ばくした話である。
 それを、ドキュメンタリーのように語たるため、緊迫感と迫力がある。
 同時に、原子力関係で事故が起きても、関係者はそれを外部に教えることはないーーという現実の実態が語られていることだ。
  さらにこの事故は、自然災害でもなければ、プラントの故障でもない。人的な作業の誤りであることだ。この場合も、機械的なシステムで行うべき設計を、無視し手作業を行い、臨界を見てしまったという、プラント設計者が想定の不可能なことを起こしていたのだ。
 ーー事実は、作業員3人が大量被曝し、うち推定被曝量が致死量をはるかに上回る16〜20シーベルト(Sv)のO氏が12月21日、同6〜10SvのS氏が2000年4月27日に亡くなる。日本の原子力事故での初の被曝死となった。現場周辺の放射線量は、同事業所の敷地境界(事故現場から80m)に事故の間ずっと居続けたとすると、92mSv(ミリシーベルト)(一般人の年間線量限度の92倍)の被曝になる量。避難の境界となった350m地点でも1.2mSvだった。国の推定によると、周辺住民を含めた被曝者は計667人。ーー
  小説によると、遺族は新潟や山形で口を閉ざし、ひっそりと暮らし、かろうじで生き残った作業員は、僧侶に。消防隊員たちも職を離れ、被ばくの影響を恐れながら暮らしているとある。
  災害やテロなどを心配する前に、人間的な誤りによる事故の方が明らかに確立が高い。そことを改めて実感させる時宜をえた作品である。発行所=〒038−0021青森市安田近野435−16、木村方。北狄社
■関連情報=東海第2 再稼働反対60・8% 世論調査 県民、依然慎重

  アメリカ大統領選挙では、必ずしも前評判の高い人が当選すると限らないのは、トランプ氏の場合だけではない、1976年の大統領選挙に民主党候補として出馬したジミー・カーターはなども、ジョージア州知事であった。の当初は「ジミーって誰のこと」(Jimmy, Who?)という言葉が流行するほど知名度が低かった。それが、草の根運動での集金で、資金をまかなって当選を決めたと巷間でいわれた。しかし、大資金を提供したのは草の根の仲間の誰であるかはわからない。民主党でノーベル平和賞を受賞し、イスラエルに対し比較的に距離を置いた。
 その後の大統領がドナルド・レーガンで共和党で強いアメリカを主張したところは、民主党のオバマ前大統領のあとのトランプ現大統領のケースとよく似ている。
 このように2大政党が交互に大統領を輩出するというのは、自然であるようで、そうでもなさそうであるのも、米大統領選の不思議さである。
  そして、その選挙戦資金とかかわりそうであるのに、ほとんど言及されないのが、米国中央銀行であるFRBである。このFRB(The Federal Reserve Boardの略)とは、日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれる。連邦準備理事会は、7名の理事から構成されている。FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定している。
  その特徴は、ドル紙幣を発行できるということ。つまり、ドル紙幣を発行する権限を得るわけで、ドル紙幣を発行するだけで、利益を得るのです。紙幣は印刷されるのですが、そのコストはだいたい紙代と印刷代だけです。たとえばそれが1ドルとした場合、100ドル紙幣を印刷すると、99ドルが利益になります。これがFRB連銀の儲けになります。そして、民間銀行であるにもかかわらず、決算は開示されていない。為替介入というのがありますが、あれも相当の利益を生んでいるはず。債権の買取りも行う。アメリカ政府が発行する米国債を買い取る。アメリカ政府が借金すると、それを買い取るFRBは紙代と印刷代だけのコストで、アメリカ国債を買い取り債権者になる。《参照:ドル紙幣を発行する権限を持つ「FRB」
このなかで、米国の財政状況は、予算教書では、国防費を中心に歳出の5%増を要求した。年3%の経済成長という楽観シナリオでも、財政赤字は4年連続で1兆ドル(約111兆円)を突破する。これから20年度予算の本格審議に入る。ただ、最終的な予算は「ねじれ議会」の影響で、ホワイトハウス案よりも一段と膨張する可能性があるという。
  そのため、FRBは膨大な貸し出しをすることになり、儲けが増えるシステムになっている。FRBの中心的連銀はニューヨーク連銀だが、その設立にあたり、「ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨーク」や「ナショナル・シティー・バンク・オブ・ニューヨーク」、「ナショナル・バンク・オブ・コマース」などの銀行が株主である。また、チェース・マンハッタン銀行以外は、ユダヤ系金融機関であること。
 このFRBは、理事制度で独立性をもつとされているが、最近はトランプが意見を述べて、それに影響されている気配がある。
 基軸通貨っが、ドルであることは、世界の通貨がドルを通して換金されるということである。国際大資本は、ユダヤ系が多数である。そこで、この系統の資金に多く影響されている国と、そうでもない国に分かれる。英国の金融界は、米系資本の代表であろう。
 そうでない国には、中国、ロシア、イスラム教圏中東地域がある。イラン、トルコなどに対するトランプ氏の行動をこの視点から見ると、米ドル圏の世界に入らない国を排除するところに一貫性があると思える。
 とくに、米中対立、米イラン対決、ロシア(プーチンはすでに自国の石油会社の国際資本の流れを切断している)やトルコなどイスラム圏が通貨として米ドルの影響から距離をおこうとする動きと一致するように見える。
ただし、国際大資本は米国を利用して利潤を上げているだけなので、トランプ氏といえども、何かの都合で見捨てられる可能性がある、という見方ができる。
■関連情報=yosaku60.0現在アメリカには、次の三つの勢力がある

IMG_0931IMG_0937IMG_0939<都立工業高校のサンドストラップの作成体験と、子どもコマ対戦「ものづくり匠の技の祭典場所」の本戦前哨戦。7月27日、TOCにて>
ものづくりj日本の復活の可能性をさぐる「伝統と革新ー匠の技の祭典」(主催・東京都)が品川区五反田のTOC(東京卸売りセンター)で7月25日ー27日まで開催された。
IMG_0927IMG_0930IMG_0938<欧米の産業に追いつき追い越した、伝説のトヨタGT の乗車体験や、衣・食・住・工のさまざまな分野の優れた技を、見るだけではなく、自ら体験できるなど、盛りだくさんの会場。>
IMG_0940IMG_0941IMG_0942<伝統建築、邦楽、大工などの体験もできる。>
  近年、若者のものづくり離れや熟練技能者の高齢化などを背景に次代を担う後継者不足となっている。一方、2020年にオリンピック・パラリンピックが開催されることを契機にして、日本の優れた技術やそれにより産み出される製品を世界中に発信していく好機ととらえて、 日本のものづくり産業の継承と発展を担うイベントとして、この祭典を開催したもの。
  メイン会場では東京都の技能士会連合会、職業能力開発協会に参画している団体が中心に出展。全国ブースでは全国各地のものづくり団体が出展。さらに、ステージではパフォーマンスが観られ、ブースではさまざまな職種のものづくり体験、匠の技の実演・作品鑑賞や購入もできた。
 ちょうど夏休みに入った子供たちを中心とした家族連れで、職人の技を実体験するなど、連日おおにぎわいとなった。
  現在の世界経済は、 GAFA(ガーファ)というネット企業が、世界的に個人データを圧倒的な規模で集めている検索エンジンやクラウドなどを提供する「Google(グーグル)」、デジタルデバイス(iPhone・iPad・Mac他)やソフトウェアなどを提供する「Apple(アップル)」、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を提供する「Facebook(フェイスブック)」、世界最大のネット通販(電子商取引)を運営する「Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)」や、FinTech(フィンテック)といわれる、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた情報技術が隆盛である。
  しかし、これからは、地球温暖化の進行によって、既設の設備などが、大災害により破壊される可能性がある。というようり、自動車産業は国内などは不景気の中で、販売台数が落ちていない。これは、各地における異常気象での廃棄から買い替えによる可能性も否定できない。これは世界共通であろう。長期的にモノづくり復興の可能性が高いのではないか。
《参照;20兆円の被害か?大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」

【スティーブ・バノンの突然の登場の意味するものー資金はどこから出たのか】
  トランプが事前予想をひっくり返して大統領選に勝利した立役者は、スティーブ・バノンであった。大統領最終盤のトランプ陣営が、バノンをCEOとして採用したのは選挙戦のわずか1年前であった。
  その間、 劣勢にあった選挙戦を建て直し、ラストベルトに集中的に資源を投入することにより、皆の予想を裏切ってドナルド・トランプを当選させた。その手腕を発揮するには、どこからか資金を調達していたはずである。米国の大統領選は、資金調達の戦いであり、それができないために多くの候補者が脱落している。
  バノンを大金持ちだとする説もあるが、自己資金でそれに投入することは考えられない。どこからか資金が出ていた、とくに「首席戦略官」に就任し、首席補佐官と並ぶホワイトハウスの中心人物となり、選挙公約通りの過激な政策を志すが、ほとんどうまくいかない。突然のシリア空爆をするが、その意味はよく理解されていない。ただ、「パリ協定からの離脱」という、即座には意味のわからないことは実現させた。
 そして、2017年1月27日 NYタイムズ紙に対して「この通り引用してくれ。メディアは野党だ。この国を理解していない。なぜトランプが大統領に選ばれたか、未だにわかっていない」と告げる。
 さらに、トランプ大統領がイスラム圏からの渡航一時停止措置を発表したのは、「イスラムは世界最大の脅威」が持論のバノンによる進言とされる。
 しかし、その後CPAC(共和党系の大会)で「行政的国家の解体」を宣言する。7月26日 「トランスジェンダーの入隊禁止」をトランプがツイート。これもバノンの献策とされる。
  その後、トランプ政権から、外されたとされるが、自ら外れたようにも見える。このことは、バノンは、トランプ政権をさえ作れば、お役御免であったように見える。当人も、とりたててそのことにこだわる様子なかった。
  双日総合研究所の吉崎達彦氏の人気情報サイト「溜池通信」2017年8月25日号にこう記す。
 −−人生には2つか3つの物語しかない。しかしそれらは繰り返されるのだ。その度ごとに初めてのときと同じような残酷さで。ーーワシントンでは「大統領と参謀」の関係をめぐって、この言葉通りのことが何度も繰り返されてきました。
 ビル・クリントン当選の立役者、ジェームズ・カービルは生粋のポピュリストだったが、クリントン政権が「まともな」方向に向かったために政権内に居場所を失った。ジョージ・W・ブッシュの参謀、カール・ローブは忠誠心を貫いて最後まで生き残った。彼はイデオローグではなく、オタク的な選挙職人だったから。バラク・オバマに勝利をもたらしたデイビッド・アクセルロッドは、当初は重用されたがすぐにワシントンを去った。メディアが注目するような側近は、得てしてろくな目に遭いません。
 ましてメディアに喧嘩を売っていたスティーブ・バノンにおいておや。ーー自分は、そこで、米大統選挙には、ある巨大資本の集団がかかわり、その立役者はその任務を終えて去るのではないかーーという疑問がでるのである。
  そも資本意志によって、今回は反移民、反イスラム、反同性愛、反フェミニズムなどの活動をさせてみようか? という試みをしたのではないかと想像する。バノンは、来日した時に、「経済的ナショナリズムは、人種も信仰も肌の色も宗教もジェンダーも性的指向も気にしない」と言ったという。ただ、トランプは相当気にしているようだ。----
 果たしてトランプの政策は、姿なき大資本と連動しているのか、現在は不明である。そこが、霧の中とするゆえんである。次回は、無国籍的国際資本と大統領の関係を考えてみる。
■関連情報=米国の今(2)警察官の黒人射殺事件とBlack Lives Matter

  トランプ米大統領の周辺には、得体の知れない妖霧が漂っているような気がする。かつては、多くの世論を覆して、自ら大統領になったことに、驚きを見せたという噂があるほど。棚から牡丹餅であるはずの米国大統領の地位であったはずとされる。しかし、ひとたび大統領になると、異常な執念で、次期の大統領であろうとする。
  どうやら、大統領でいなければならない事情があるようだ。それは、大統領であれば、そついされれないが、もし大統領でなくなったら、訴追される行為があるかではないか。以前から、すでにイバンカ夫人もろとも、訴追されるビジネス案件があるのではないか、という噂があるようだ。
 そこにきて、一度は消えたはずの、大統領選での「ロシア疑惑」の再燃である。報道によると、捜査を指揮したムラー元特別検察官は24日、議会で「トランプ大統領は潔白ではない」と証言した。下院司法委員会・ナドラー委員長「トランプ大統領は退任後、司法妨害で訴追される可能性はあるか?」と問われ、ムラー元特別検察官「ある」
と答えたという。
 ムラー元特別検察官は、捜査報告書提出後、初めて議会で証言し、トランプ大統領による捜査介入疑惑について、潔白ではなく、大統領を退任後、訴追される可能性があるとの認識を示した。
 トランプ大統領「ムラー元特別検察官は、きょうも、そして捜査でも、最低の仕事ぶりだった」という。これに対し、トランプ大統領は「民主党は大きな打撃を受けた。2020年の大統領選で大負けするだろう」などと反発している。
 これ以前に、情報保全に関連する法規に、イバンカ氏が抵触する恐れがあると報じられたことがある。私用メールで数百回にわたり職務関連の連絡などをしていたとされる周辺には、メールに関する規則の詳細をよく知らないと話したという。
  こうなると、トランプ氏は、何が何でも大統領の地位を守らなければならない。なりふり構わぬ来年選挙へ向けての、パフォーマンスは、追い詰められた立場を証明しているようだ。では、次に世評を裏切ってトランプ大統領が誕生するのに力を貸したバノン氏の不思議な動きを見て見よう。
■関連情報=米国の今(2)警察官の黒人射殺事件とBlack Lives Matter

IMG_0916IMG_0919<盛一克雄氏。2014年に覚せい剤使用で逮捕、起訴され有罪判決(懲役2年、執行猶予4年)を受けた刑事事件について、実際には存在した証拠の開示を求めていたものの、担当検事により「存在しない」とされたため、盛一氏が防御権の行使を妨げられたとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求をするまでの経緯を語る。>
  事件概要〜〜2014年3月19日、盛一氏の自宅などに石川県警の家宅捜索が入り、覚せい剤譲り渡しの疑いで逮捕された。だが、自宅、会社、車両などから覚せい剤は見つからず、覚ぜい剤譲り渡しについては不起訴となった。しかし、逮捕後の尿検査で覚ぜい剤の陽性反応が出たとして、後日、覚せい剤使用で再逮捕された。
  盛一氏は、覚ぜい剤譲り渡しも覚せい剤使用も身に覚えがないため、逮捕後ずっと「やっていない」と否認を続けていた。そのため、接見禁止(弁護士以外は面会できない(のちに母親許可)で400日以上も拘留され、家族や会社を失う羽目となった。
  それから、2017年11月24日、金沢地裁で、盛一克雄氏を原告とする国家賠償請求訴訟を起こした。この訴訟は盛一氏が2014年に覚せい剤使用で逮捕、起訴され有罪判決(懲役2年、執行猶予4年)を受けた刑事事件について、実際には存在した証拠の開示を求めていたものの、担当検事により「存在しない」とされたため、盛一さんが防御権の行使を妨げられたとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求をしたもの。〜〜
  事件の背景に、1991年から約10年間ほど、県警の捜査協力者として働いた盛一氏の過去がからんでいる。20代の時に、盛一氏は石川県片山温泉にあるソープランドの店員をしていた。そこの店長に覚醒剤の使用を教わったのであった。マネージャーとも親しくなった。
  店長は、警察の内部情報に詳しく、どこどこの店に内偵が入ったとか、盛一氏たちが違法物を使っていると、その時に警察の手入れがあると、事前通告してきたという(そのため摘発を免れてきたようだ)。あるとき、店長から誘われ、地元警察に行った。そのときは生活安全課の担当とあって、売人などになるなよ、などと言われただけで済んだようだ。そこで、担当者の部下の刑事と連絡を取れるようにした。
  そこで危ない仲間を教わったりする、情報交換が始まった。そして、警察の取り調べ室に呼ばれ、何通もの白紙の取り調べ書に署名をさせられた。
 ある時は、マネージャーのところに大阪から売人がくるので、その人を逮捕したいので、協力して欲しいという。そこで、覚醒剤を買うようにさせてほしいというので、そうしたこともあるという。
  しかし、結婚し子供がきると、県警と連絡を絶った。盛一氏は、それでSとしての立場は解消されたと思っていた。しかし、それで済むことでは、なかったわけである。
■関連情報=Youtube盛一国賠訴訟金沢地裁判決(2019年6月7日)

IMG_0912IMG_0919<盛一克雄氏の身の上に起きた冤罪での起訴と有罪の経緯について、事実は小説より奇なり。今回の草の実アカデミーの講演テーマは、ドラマや映画、小説の世界の話でしかないような、しかし現実に起きた不可解な事件ーーと解説する司会の林克明氏(左)と講演をする盛一克雄氏(右)と盛一氏の体験講演の会場。2008年7月20日>
IMG_0922<山下幸雄弁護士(左)は、この裁判は捜査が違法で無罪という主張をしているが、状況から考えると、起訴された事実がないのであるから、再審請求であるべきだと思うが…、と語る。>
   草の実アカデミーの7月20日例会は、かつて1991年ごろから石川県金沢中署で警察の捜査協力者(Sといわれる)となっていた盛一克雄氏の話。彼が「S」をやめてから久しい、後年の2014年のこと。
   覚せい剤使用で逮捕、起訴され有罪判決(懲役2年、執行猶予4年)を受けた刑事事件と、その後の体験講演であった。そこでは、法的な問題について、山下幸雄弁護士も出席。解説を行った。
 有罪とされた容疑は、警察のねつ造であって、それを証明するために必要な、実際には存在した証拠の開示を求めていたものの、担当検事により「存在しない」とされたため、盛一さんが防御権の行使を妨げられたとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求をしているーーというのが盛一氏の説明である。
  まず、 2014年、盛一克雄(もりいち・かつお)氏さんは覚せい剤取締法違反(有償譲渡)で石川県警に逮捕されたが、そのような事実はなく、この件関しては後日、不起訴処分になったという。
  しかしながら、このときに任意提出した尿から覚せい剤が検出されたとして、盛一さんは覚せい剤取締法違反(自己使用)で金沢地裁に起訴された。盛一さんは有償譲渡も自己使用も当初から否認している。
  公判前整理手続きで、盛一さんの中西祐一弁護士は、検察官が作成した関係者の調書を証拠開示するよう請求した。しかし、金沢地検の高梨未央検事は「存在しない」と回答。2015年、盛一さんは執行猶予付きの有罪判決が確定した。2016年、盛一さんは金沢地検で関係者の刑事裁判の記録を閲覧し、高梨検事が「存在しない」としていた調書を発見。2017年、盛一さんは「高梨検事の対応は違法」として国賠(国家賠償請求)訴訟を金沢地裁に提起。2019年6月7日、金沢地裁(押野純裁判長)は盛一さんの請求を棄却する判決を言い渡した。
  こうした結果には、盛一氏が1991年から10年近く、覚醒剤使用の違法を見逃がしてもらう代わりに、石川県警の捜査協力者(S)として働かせられていたという事情があった。
 たとえば、石川県警は何も書かれていない真っ白な調書を何枚も出し、盛一に署名・捺印を要求した。合計で何枚書いたかも覚えていないが10通はこえていたであろうという。こうして偽造した調書を石川県警は利用し、第三者の逮捕状や家宅捜索令状を請求するときの証拠書類として裁判所に出していたのだ。
 しかしその後、協力者として身の危険を感じることもあり、盛一さんは警察と距離をおくようになっていった。
 そして盛一氏は、虚偽調書を作成して裁判所から令状を発布させることはよくある話だ、と周囲にもらしていたのである。警察が絶対に隠したいことを彼は話してしまった。
  その 報復なのだろうか。2014年3月、盛一さんは、覚せい剤譲り渡しの疑いで逮捕される。しかし自宅や会社から覚せい剤は発見されず、その後、覚せい剤使用で再逮捕された。盛一さんはまったく身に覚えがない。 2015年5月1日、金沢地裁は彼に有罪の判決を言い渡した。盛一さんは控訴したが同年10月15日、名古屋高裁金沢支部は控訴を棄却し、有罪判決が確定している。
  当時経営していた会社も失い、妻とも離婚せざるを得ない状況に追い込まれた盛一さんは、2017年に金沢地裁に国賠訴訟を提起したものの、今年6月7日、金沢地裁は原告の請求を棄却したといことだ。
■関連情報=Youtube盛一国賠訴訟金沢地裁判決(2019年6月7日)

IMG_20190720_0002_1IMG_20190720_0002_2<国の取り組みでは、10年後には原子力・水力・再生可能エネルギー・未来活用エネルギーで供給の約25%にすることを目指す。 近畿大学研究シーズ発表会(2019年7月3日、東京)の田茂井政宏・農学部生物機能科学科教授 「藻類バイオ燃料の実用化に向けた技術開発」発表資料から。《近畿大学リエゾンセンター》>
  環境団体ダイベストインベストの調べでは、環境負荷の大きい事業を手掛ける企業から投資撤退の姿勢を示している機関投資家は世界で1100を超す。彼らが関連株式をすべて売却した場合、売却額は8.8兆ドル(約950兆円)に上るという。
IMG_20190720_0003_1<そうした世界エネルギーの環境のなかで、日本のエネルギー利用の23%を占める運輸部門は、液体燃料でなければ代替できない。そこで高性能の藻類由来バイオ燃料開発に期待がかかっている。近畿大学研究シーズ発表会(2019年7月3日、東京)の田茂井政宏・農学部生物機能科学科教授 「藻類バイオ燃料の実用化に向けた技術開発」発表資料から>
  ノルウェー年金の投資撤退リストに英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや英BPは載っていないという。両社が再生可能エネルギーなどの事業を幅広く手掛けており、石油依存からの脱却が進んでいると判断されたようだ。
  ロイヤル・ダッチ・シェルは17年、二酸化炭素(CO2)排出量を50年までに半減させると宣言。太陽光や風力などの再生可能エネルギーに年間20億ドル(約2200億円)を投資。環境負荷の小さい液化天然ガス(LNG)にも投資を手厚くする。18年12月期の純利益約2.5兆円のうち、LNGや再生エネ事業の割合は5割弱を占める。「企業として生き延びるため、低炭素エネルギーの作り手になる必要がある」と、「脱・石油依存」に向けて不退転の決意を示す。BPは欧州最大級の太陽光の発電事業者に出資したほか、米電気自動車(EV)大手のテスラと風力発電向けの蓄電池の合弁会社を設立した。石油開発に代わり、再生エネやLNGに活路を見いだそうとする世界の動きは進んでいる。
 ■関連情報= 近大「藻類バイオ燃料の遺伝子導入ユーグレナ」開発とSDGs

IMG_0803_1<「SDGsの目標を蟹江慶応大教授が講演」より>
  世界は、「持続可能な開発」SDGsにみられる環境・社会・企業統治などの取り組みが、国際的な評価基準になりつつある。これが世界企業活動への評価につながるようになっている。
 企業は持続可能瀬性に対する社内規定の整備や責任者の配置、情報開示など経営体制と活動、保有資産のエネルギー消費量や二酸化炭素(CO2)排出量の測定・削減の取り組みがなされつつある。
IMG_20190720_0001_1IMG_20190720_00_2<世界で使用しているエネルギーは、石油・石炭・天然ガスで全体の90%を占める。あと58年で原油は掘り尽される予測。 近畿大学研究シーズ発表会(2019年7月3日、東京)の田茂井政宏・農学部生物機能科学科教授 「藻類バイオ燃料の実用化に向けた技術開発」発表資料から。《近畿大学リエゾンセンター》>
  これに関連するESGを意識した投資は、株式や債券を中心に拡大してきた。投資を通じて、企業に環境やサプライチェーンにおける労働環境、企業統治などへの改善の取り組みを促す。ESG重視の流れが不動産やインフラの投資にも広がりつつある。
IMG_20190720_00_1<原油を石油に精製するには、多段階の技術が必要で、原油輸出して石油を輸入するということもあり得るようだ。 近畿大学研究シーズ発表会(2019年7月3日、東京)の田茂井政宏・農学部生物機能科学科教授 「藻類バイオ燃料の実用化に向けた技術開発」発表資料から>
  国内では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が17年にESG評価が高い企業への株式投資を始め、民間の運用会社にも浸透してきた。「不動産会社やファンドも投資を呼び込むにはESGへの対応が欠かせない」(CSRデザイン環境投資顧問の堀江隆一社長)との指摘がある。
   さらにそれを推進するのが「ダイベストメント」(投資撤退)だ。ノルウェー政府は年金基金の投資対象から石油・ガス企業134社を除外する方針を明らかにした。
  リストには出光、国際石油開発帝石、富士石油などの日本企業が入っているようだ。ノルウェー政府は「原油価格変動などの影響を避けるため」とする。背景にESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する姿勢がある。ノルウェー年金は約110兆円の運用資産を誇り、政府系として世界最大。
■関連情報= 近大「藻類バイオ燃料の遺伝子導入ユーグレナ」開発とSDGs

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