04d5886f.jpg<第18回東京国際ブックフェアで講演する大沢在昌氏>
「第18回東京国際ブックフェア」が開催
「大震災の当初、これで本が売れなくなるな。被災者たちは、絵空事の物語など読んでいるヒマはないであろうと思っていました。ところが、売れている。これは、本の中の物語は、昨日まで読みかけていた、その同じ世界がそこに横たわっていることにあるのでは」
「自分取り巻く世界は、どんどん変化して変わっているのに、本の世界は開けばそこに変わらない世界が横たわっている。厳しい現実を忘れさせるものがある。もしかしたら心の平穏というものをそこに得ている。それは逃避かもしれないけれど、人間はまったく逃避のない人生は送れない。一瞬でも、変わらない世界でのやすらぎ、もっと効果のある言い方をすれば、明日以降に元気で生きてゆこうという材料になっているかもしれない」。
「意外と活字って、役にたたないようで意外と役立っているのではないか。我々の作る物語は役にたっているのではないかとつくづく思う」
 「仙台の飲み屋街の夜道は、人があふれてエネルーがある。すべてがそうであるとは思わないが、問題が大きいが、それをみると、まだまだ大丈夫、しぶといなと感じた」
 活字を日常に回帰させることで、強く感じたこと。
 大沢氏は、2010年の2月から2011年の4月にかけて、インターネットの「ほぼ日刊新聞イトイ新聞」で、無料のウェブマガジンで新宿鮫の10作目を連載したこと。無料で読めるネット上の新聞の連載小説ってどういうことなのか、と多くの方に聞かれ、新聞記者にも訊かれた。
 「カルテット」という小説を紙に先駆けて電子出版したときも、新聞記者に理由を訊かれた。じゃあ、私が紙の本を出版した時に、みなさん取材にきますか。こないですよね。宣伝なんです。それによって、話題になり電子書籍や紙の本がうれれば良いことなんです。
 京極夏彦さんが、「死ねばいいのに」を電子書籍にして話題になった。あれで一番トクしたのは京極夏彦さんです。電子も紙の本も売れた。しかも、もっとも売れたのは電子書籍よりも紙の本。