文芸同人誌に文芸同人誌「みなせ」( 「みなせ」文芸の会発行)は、ネット時代に対応しサイトを持つ。ISSNナンバーも表記してある。
 原稿集めには電子文書を活用して発行も年四回も行うスピード感あふれる運営である。
 各号は二百ページ前後で百枚程度の長い作品も複数掲載されていて十分読み出もある。
 要綱によると年会費千円で掲載費は頁あたり三百円程度の負担で行っている。
 編集後記によれば多種多様な作品を掲載したユニークな文芸同人誌と自称している。
 「御荷鉾山のつむじ風」(神サマ常次郎) と言うノンフィクションは中々読ませる作品だ。
 前回の初回を昨夏「文芸同志会通信」で紹介したので今回は連載の二回目について紹介したい。
 108枚と目次に記されているように毎回百枚超の執筆は年四百枚になる力作である。
 明治初期の自由民権高揚時に起きた秩父事件のリーダーの一人の行動を追っている。
 小柏常次郎の足跡を丁寧に紹介し人物像に迫っている。周辺の情景も詳しく書かれていて臨場感ある作品に成っている。読者と共に秩父地方の民権運動の場を再現している。
 板垣退助が明治政府に籠絡され地方の運動も孤立し暴動化して鎮圧される過程が分かる。
 作者の小柏正弘氏は主人公の縁者らしく豊富な個人情報を元に貴重な記録物になっている。
 日本でのリベラル思想が成長しない封建社会の実態を等身大に理解する良い機会になった。
 亀井昭の「伴大納言絵巻」も面白く読んだ。平安時代の応天門火災を記録した絵巻物が下敷きだ。
 リアルな現場取材記的な部分や作者流の歴史解釈文等詰め込んだ独自な手法で構成されている。
 放談・史観・空想で状況描写と自由気ままに書き綴った作品だが目次では小説に分類されている。
 連載物であるがこれを読むと何でもありの編集方針が理解できる。他の同人誌とは一味違う。
 「オブジェクション144後悔編」は事務局兼編集長の岡森利幸氏の連載作品である。
 事件・社会問題を取り上げコメントを付ける作品で今回は8つのニュースを紹介している。
 毎回百枚超の掲載でエネルギッシュな作者の姿勢が彷彿され何でもあり雑誌の面目を保っている。
 この同人誌は文芸同人誌とは言えないジャンルで書きたい人には全面的に門戸を開いている。
 高齢化社会で発言したい人も増えている。自己負担で書き散らす場は、散漫さのなかで地道に思想性を打ち出せる自由な表現の場でもあり、活用する余地の広さがある。
■関連情報=北一郎「外狩雅巳『二十八歳の頃』の読み方」抄録
穂高健一ワールド・サイト「寄稿・あなたの作品」コーナー(9月1日付)
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 外狩A 外狩雅巳(とがり まさみ)=1942年、旧満州生まれ。仙台で中学卒業後、商店住み込み店員となる。その後、単身上京。工場労働者として労働運動に力を入れる。同人雑誌を中心に地域の市民文芸文化振興と小説執筆での作家活動を行う。(著書参照:「この路地抜けられます」「十坪のるつぼ」)/ 詩人回廊「外狩雅巳の庭」