IMG_20150815_1_1<「法政文芸」第11号>
 「法政文芸」(日本文学誌用別冊・法政大学国文学会)第11号(7月3日)が発行された。
 特集は「古典の再創造」で、池澤夏樹氏への編集部インタビューがある。タイトルは「ジーパンとセーターに着替えた古典」である。池澤夏樹といえば、個人編集 「日本文学全集 全」30巻シリーズ(河出書房新社)の編集者であり、本誌らしい好企画である。
 そこで、池澤氏は「日本文学全集」を「知っているから編集するんじゃなくて、知らないから勉強すると、という覚悟で編集しようと思った」と述べる。そのポリシーのひとつが丸谷才一の「モダニズムが文学のあるべき姿だ」という主張に沿ったものだという。
IMG_20150815_0001<池澤夏樹氏へのインタビュー。「ジーパンとセーターに着替えた古典」の誌面>
 それに自身の趣好である「辺境」が入ることこと。その「辺境」好みの例として、「世界文学全集」に石牟礼道子「苦界浄土」を収録したことを挙げる。
 古典を現代語に訳すことで、早く読めること、また大江健三郎が「今の若い作家に古典を訳させることによって彼らも変わる」という説を支持する。
 川上美映子「たけくらべ」、町田康「宇治拾遺物語」などの訳にも触れている。その他、「源氏物語」を現代語訳担当の角田光代氏が寄稿している。
 古典は学生時代に学ぶが、そのほかでは、関心のある作家の現代語訳ででもないと、社会人になってはなかなか読まないものだが、読んでみようかな、という気にさせる。
  巻頭エッセイで、台湾人の日本語作家・温又柔「民主と愛国」がある。2014年3月に、台湾(中華民国)史上はじめて学生運動によって国会が占拠されるという事件について、海外に居住して、故郷の風土性を見守るだけの立場の複雑な心境を述べている。
 台湾にとって巨大権力の中国(中華人民共和国)との共存のあり方が若者にも関心が高いようだ。それが目に見える形で表出する。
 これに対し、日本は台湾の統治国になった過去の歴史から、現在の台湾の環境に責任がある。韓国や中国も単に現在の環境の表面上の現象を超えて、見通すリテラシーが求められる。目下、日本はアメリカという巨大権力国の従属国としての立場であるが、官僚の操作によって、それが見えづらい。最近は桜井という人気芸能人の父親が、官僚のトップクラズの地位に上がったというので、多少話題になった。この官僚のトップになるには、米国従属性がないと、なれないようだ。
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