先日、ジャーナリストの伊藤昭一氏のブログにおいて、私近藤の取材記事が掲載されました。《参照:専門職スピーチライターの現状を聞く=近藤圭太事務所
 ただ、当事者としての立場からいえば、「少し私の認識とは温度差のある紹介記事になっている」という印象は否めません。そこでそもそも「スピーチライター」とはどのような存在であるのかという観点から、私見を述べてみたいと思います。
1.人によってとらえ方が異なる「スピーチライター」という言葉
 世の中には、「多くの人に認知されていても、人によってとらえ方が異なる言葉」があります。
 例えば「どどめ色」などはその典型でしょう。地方によっては鍬の実のことを差しあらわすとのことですが、時には青あざをイメージする人もおり、さらに俗な表現を用いれば、本稿で書くことは憚られるような事柄について、「〇〇は、どどめ色をしているな(笑)」と得々と語る人もいるかもしれません。
 言葉の響きや実体のないイメージが先行し、本来その名前が持っている意味や、その背後にある「文化」について踏み込んだ思索がされにくいという意味において、「どどめ色」は実に気の毒な存在といわざるを得ません。
 ただそこまでひどくはないにしても、私が2009年から生業としている職業「スピーチライター」もまた、「一般的な職業」という認識とは違った捉えられ方をしながら、「言葉の拡散のみが続いている」と感じます。
 本稿では「プロのスピーチライター」として、2009年から活動している私の立ち位置で、そもそも「スピーチライター」とはどのような立場の人をいうのかについて考えてまいりたいと思います。
2.あくまでも「言葉のプロ」がスピーチライター
 「話し方」や「スピーチ会場の総合的なプロデュース」は、スピーチを成功させる上で重要なスキルの一つであり、高いノウハウを持ち、実績を上げている専門職の方には、尊敬の念を禁じ得ません。
 あたかもそれは、IT分野における優秀なシステムエンジニアや、著名な映画監督にもなぞらえることができる存在だといえるでしょう。
 その上で明確にしておかなければならないのは、あくまでもスピーチライターであるための「必要条件(それなくしては成立しない)」は鋭い言語感覚を持ち、人前で話すことを前提にした言葉として提示できることではないかということです。
 先に述べた、「話し方の指導」や「会場の演出」などは高い付加価値ではあっても、「必要条件」とは区別して考えるべきでありましょう。
3.「読むスピーチ」と「語りかけるスピーチ(パブリックスピーチ)」は一長一短
 話すスタイルによって大別すると、スピーチには2種類があります。一つは「読み上げるスタイルのスピーチ」であり、もう一つは「語りかけるスタイルのスピーチ(パブリックスピーチ)」です。
 一言でいえば、「読み上げるスタイルのスピーチ」は「守りのスピーチ」といえます。
「一気に脚光を浴びる」「華々しい成果を得る」には向いていませんが、「冠婚葬祭などの式典における儀礼的なスピーチ」「普段話し慣れていない人が、『失敗しない』ことを主眼においたスピーチ」などに向いているといえるでしょう。
 さらには「政治家が重要な節目で行い、テキスト自体が記録として残るスピーチ」も、「読み上げるスタイル」で行われています。(つづく)
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◎近藤圭太・プロフィール=1970年、大阪府生まれ。1989年、大阪府立藤井寺工業高校を卒業後、大阪市内の建設会社にて事務系のスタッフとして勤務。2009年、プロのスピーチライターとして活動を始める。クライアントの多数は、企業の経営者、医師、弁護士などであり、冠婚葬祭に留まらず、各種挨拶文、ビジネス文章の作成などを行う。 短時間の取材にて、相手の意図がどこにあるのかを見抜く直感力、時に問題と感じた事柄を直言する姿勢でリピーターを拡大。「代筆ライター」に留まらっず「外部のブレーン」として多くのクライアントに評価されている。
日本スピーチライターアカデミー》                                        
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