IMG_20161116_0001_1<文芸同人誌「弦」100号。表紙絵:岡部寛治>
 がん患者は多い。その治療過程について、系統的に記されたものが、同人雑誌に掲載されることがある。
 今回は、文芸同人誌「」100号(〒463−0013名古屋市守山区小幡中3−4−27、中村方)に80代男性の合田聖文氏が「ビームを浴びて」という放射線治療の経過を発表している。
 放射線は、一般論で被曝しない方が健康によい。だが、がん細胞を退治するためには、放射線を浴びることでの健康へのリスクと、命を脅かすがん細胞の情況とを勘案して、治療のために使用した方が生存持続のメリットがある場合に用いられる。
 この事例では、瀬川達郎の肺がん治療体験記となっているが、記述は実体験に基づいていると読める。
 患者は大学病院で、例年の入院での健康診断を行ったところ、腫瘍マカーは正常であるが、レントゲンで左肺の上部に影が出て、CT検査をする。そこで小さな円形のものが出て、医師は癌の疑いを告げる。医師は血液とMRIの検査を院内で予約し、PET検査は癌センター近くの画像診断クリニックに予約した。PETに関する注意書きがある。PET検査の料金は、約10万円で健保給付対象になっている。
 翌週に検査結果が出る。PET検査で左肺S6のところに28ミリ程の腫瘍がみつかる。他に転移はないが、CTガイド下肺生検を行い、確認の上治療をするとなる。「扁平上皮癌」とわかる。そこで放射線を患部に集中させて、退治する。全身に浴びたら、命にかわるほどの強い放射線だが、部分に照射するので、がん細胞に集中してダメージを与える仕組みだ。
 しかし、たとえ一部でも全身への影響がでる。作品では、「グレイ」という放射線の解説には「放射線が『もの』に当たった時にどれくらいのエネルギーを与えるかを示す単位。1グレイでモルモット100匹を殺傷できりという。一方、シーベルトは放射線が人間にどのような影響を与えるかを示す単位。1グレイ=1シーベルトである。」としている。
 照射の日程をみると、3月23日にリハーサル。3月31日に第1界照射。4月4日に第2回。7日に第2回。11日に第4回。4月18日に医師の診察になる。
 たまたま4月4日の中日新聞の夕刊に「放射線治療から妄念」の見出しで、芥川賞作家・村田喜代子の新作「焼野まで」の記事があったので、その本を買う。これは自伝的小説で、子宮体癌をで「オンコロジー・センターでの1か月余の放射線治療の体験をもとにしている。放射線は1日あたり2グレイを25日間、1日当たり5グレイを6日間、総量88グレイのビームを病巣に照射したとある。その副作用として宿酔という副作用に悩まされたとある。宿酔=「放射線の照射によって、正常細胞がダメージをうけ、倦怠感、食欲不振、吐き気、目眩などの症状がでること」。
 作者は、82歳。都市銀行の国際担当を長く務め、その後も地方銀行にて平成11年に退職、癌になったひとや周辺の人々に参考になればとーとしている。癌患者となったことでの死生観なども吐露されており、有意義な記録になっている。