P1070006P1070002P1070010<文芸同人誌「澪 MIO」の同人展の会場風景。横浜市旭区民文化センター「サンハート」1月7日>
 小説、文芸評論、詩、書評、写真など個人と社会の表現者たちによる文芸同人誌「澪 MIO」の同人作品展が、1月6日(金)から9日(月)まで、横浜市旭区民文化センター「サンハート」で(相鉄線・二俣川駅隣)で開催されている。
 澪の会は、2012年から現在まで足掛け5年、8冊のになるのを記念して、メンバーの作品展を開催。市民に向けて、活動の成果を展示しているもの。
会場はゆったりとした雰囲気で、活動の支援者や写真愛好家の見学者が、時間をかけて作品や著書を鑑賞していた。
P1070007P1070005P1070009<「澪」同人の力作を鑑賞、立ち読みする入場者たち。>
 最近の文芸同人誌の動向として、同人メンバーの合評会だけでなく、もっと広く地元市民や文学愛好者に読者を拡げようという気運がでてきている。大規模なものとしては、「文学フリマ百都市構想」活動があるが、それほど動員力を持たない文芸同人誌が単独で小規模に行うのはそれほど多くない。
 「澪の会」代表で編集者の石渡均氏によると、「澪」の由来は「地表に降った雨が地下に溜まり、濾過されて源泉となり、川に流れそそいで、やがて海に到達し、船人の水路となる有り様を作品制作のイメージになぞらえて命名しました」という。
 「創作の始まりはたとえ木の葉から零れ落ちるわずかな滴であっても、いくつかの堰を乗り越え、やがては大海原に向かうのです。いずこへ流れ出ようとも、すべては作品を描いた作者の自己責任です」とも。
 メンバーは、各分野での気鋭の若手も含め、既に自作を公的な機関や、他の同人誌に発表したり、出版経験のある書き手で、二年間で四冊の同人誌を発行。この度、すべてのバックナンバーを電子書籍化(キンドル)しているという。
P1070004P1070008P1070003<写真や書まで、多彩なジャンルなので、同人展の個性になっているようだ。>
 そのなかで、展示会会場が、今回のように区民センターでは、物品としての販売行為ができない。しかし、購入希望者が出てくるはずなので、その対応策を石渡会長に聞いてきた。すると「展示作品のリストを記した購入申し込み書を会場のおいて置き、住所・氏名と購入したい作品を記入し、受付に渡し、後で送ってもう方法をとっていた。
  いわゆる役所の管理の会場だと、直接に売り買いができないので、このような方法もあるということだ。
《参照:映画評論「東京裁判」(石渡均)の現在的意義=雑誌「澪」第8号
「澪の会」メンバーの経歴。ほかに加入希望者がいて10人になりそうだという。
☆石渡 均代表。
 横浜市在住。日本映画撮影監督協会会員。長く映画撮影に係わり、同時に映画教育の講師を務めながら、執筆活動を20年あまり続けている。翻訳書を含め映画専門書の著作10冊。これからは静止画を中心に活動したいと思っている。写真教室講師。横浜市内でフォトコンテストの審査委員長を務めている。
☆上田 丘
 川崎市在住。二十歳頃より詩作を始め、運輸業会社勤務の傍ら詩作を続ける。詩集に『羊と隕石』(春風社)、『無の中の無限』(デザインエッグ)。感銘を受けた詩人は中原中也。趣味はジョギング、ツーリング。愛車はVFR800F、好きな標語は「安全運転」。
☆柏山隆基
 文芸同人誌にて評論を掲載。感銘を受けた本:ハイデガー「ニーチェ論」、道元「正法眼蔵」(一部)等。
☆片瀬平太
 横浜市桜木町生まれ。コピーライターを経て、服飾記者に。藤沢市片瀬海岸にてファッションを軸とした執筆活動を展開。主な著作:漫画「王様の仕立て屋」「IPPO」(原案・監修)、ノンフィクション「ナポリ仕立て〜奇跡のスーツ」、新書「スーツの適齢期」(以上すべて集英社)
☆田村淳裕
 文芸同人誌にて詩・随筆を掲載。著作に「タムタム タイムズ」(千書房 2011)
☆鈴木清美
 横浜市旭区在住。家業を手伝う傍ら、近くの公園で主に野鳥を撮影。第54回富士フィルムフォトコンテスト自由写真部門グランプリを受賞。そのほか入受賞多数。個展として、ニコン横浜サービスステーション、茶処「しんり」大池公園の野鳥Part1、Part2野鳥の写真を展示。
☆鈴木容子
 横浜市在住。日本エディタースクール卒。雑誌のレイアウトや印刷全般の仕事をしてきた。現在は、非商業出版物・小冊子発行のサポートをしている。著作に「ゴングを鳴らせ」「土の器物語」(いずれも源流社2008)
☆ 柊木董馬
 静岡県御殿場市在住。大分県出身。読書好きが高じて創作活動を開始。ふじのくに芸術祭2015(コンクール)に応募した小説「イーさんと雪の日」が静岡県芸術祭賞を受賞。