P1090006<第24回「詩と思想」新人賞贈呈式の及川俊哉氏(右)と 高木祐子土曜美術社出版販売(株)社主。撮影:北一郎、1月9日>
 詩誌「詩と思想」(土曜美術社出版販売)の新年会と第24回「詩と思想新人賞」の贈呈式が1月9日、都内で開催され盛況であった。
 受賞作は及川俊哉氏の「 水蛭子(ひるこ)の神に戦を防ぐ為に戻り出でますことを請ひ願う詞」で作品はネットサイトに示されている≪参照: 「詩と思想」 ≫。審査委員(本選考は 高良留美子、 郷原宏、 森田進の三氏)の選考経過説明と及川受賞者の実績や人なりの紹介があり、その後、受賞の言葉と前回新人賞受賞者による花束贈呈があった。
P1090010<第25回「詩と思想新人賞受賞作を朗読する及川俊哉(おいかわ しゅんや)氏。(略歴)1975年岩手県生まれ。 福島大学大学院教育学研究科修了。 福島市在住。 和合亮一発行の詩の同人誌 「ウルトラ」 2代目編集長。 2009年詩集 『ハワイアン弁財天』 を上梓。 2014年ドキュメンタリー番組 「Edge」 の1本として 「語りえぬ福島の声を届けるために〜詩人・及川俊哉 現代祝詞をよむ〜」 が撮影・放送された。 2015年から 「未来の祀り∴ふくしま」 に出演。 2016年福島市で詩の朗読とオイリュトミーのコラボレーションイベントに出演した>
  同誌の一色真理編集長は、「詩と思想の精神は、社会的な詩誌であると同時に、編集は詩人たちが行うこと、詩人・詩愛好者のための詩的広場作りを目指す運動誌的性格を備えている」とし、その原点に戻って、今年をスタートしたい、という趣旨をのべ、70歳になるので今年をもって編集長を辞し、若い世代に未来を託したいという意志を述べた。
P1090001_1_1<一色真理「詩と思想」編集長。撮影:北一郎、1月9日>
 会場で、新人賞受賞の及川俊哉氏の受賞作品の朗読を聴いたが、それは神道の神主の用いる古語の詞のリズムであった。現代における日本の詩が、リズムをうしない、単に行を変えた散文に、詩の要素を盛り込んだものにならざるを得ない時代性に対し、ひとつの問題提起として、意義をもっているように思えた。

P1090011<ドイツ文学者で、東京大学教養学部名誉教授。リルケの作品翻訳、研究者の神品芳夫氏も挨拶。現代詩論を述べる。撮影:北一郎、1月9日>
 ただし、太平洋戦争敗戦以後、古代から封建時代、近代資本主義のなかを潜り抜けてきた日本的なものを、マッカーサー指令における強権のもとで、一度否定された。それに乗じて、それなりに新しい思想を育んできた我々、戦後世代の行き詰まりに対して、ーー韻を失い散文化するしかない現代において、伝統的神話性を盛り込んだものが失われたリズムとして、よみがえる現象にも見える。なんと、皮肉なことよ。、
 郷原宏氏の選評に、その意義を認めながら、これは詩であるか、と問われた答えを失うとある。
 過去の時代において菊池寛は、科学が発達し、物事の現象がすべて明らかになるので、詩はなくなる、と主張して、萩原朔太郎と論争したようだが、まさにその解答をさがす時代になったのである。(「詩人回廊」北一郎)
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