英国が国民投票で決めた欧州連合(EU)離脱の混迷は、国民がブレグジットで、どのように社会が変わるかを知らないまま、投票したことが要因であろう。しかも、その必要性を説き、何が問題になるか、を説明しなかった党の責任者はもういない。メディアはそのこ知らなかったか、報道しなかったのである。国益がなんであるか、知らない指導者に従った英国民は、アホで間抜けな国民と見られても仕方がない。
 いま、日本では大手新聞メディアの報道で情報を得ている。政策を実施するのに、それに関する事実情報を与えられているのか? それが問題であろう。現在、官邸記者会見で、報道規制があったとし、東京新聞は(2019・2・20付)その検証と見解を発表している。《参照:【検証と見解/官邸側の本紙記者質問制限と申し入れ】》
 官邸側は 「東京新聞側にこれまで累次にわたり、事実に基づかない質問は厳に慎むようお願いしてきた」。会見はインターネットで配信されているため「視聴者に誤った事実認識を拡散させることになりかねない」とし、「記者の度重なる問ーー題行為は深刻なものと捉えており、問題意識の共有をお願いしたい」とあった。
 それに対し、記者会側は「記者の質問を制限することはできない」と官邸側に伝えた。
 同紙はーー本紙記者は昨年一月の質問で、国連人権理事会のデービッド・ケイ氏が2015年12月1日から特定秘密保護法や報道の自由度の調査で来日を予定していたが、外務省が三週間前に面会を一年延期したことに触れ、「ケイさんが菅さん(官房長官)や高市(早苗)総務相(当時)に面会したいというときも、政府側がドタキャンしたという経緯があった」と述べた。
 官邸側は、ケイ氏は菅氏に面会を要請した事実はなく、高市氏も日程が整わなかったとして、ドタキャンしたとの質問は事実に基づかないと指摘してきた。
 臼田局長は「官房長官の面会予定があったと受け取れる箇所など、一部で事実誤認があった」と誤りを認める一方、「『政府側がドタキャンした』という表現は論評の範囲内だと考える」と回答した。ケイ氏の来日中止は当時、本紙や毎日新聞、共同通信も「日本政府の要請で突然延期になった」と報じていた。
 今月十二日の衆院予算委員会で、菅氏はケイ氏に関する質問を例に挙げ、「内外の幅広い視聴者に誤った事実認識を拡散させる恐れがある」と答弁した。だが、会見では菅氏も「ドタキャンなんかしてません」と即座に回答しており、記者の言いっ放しにはなっていない。ーーなどの、主張をしている。
IMG_0911_1<東京新聞・望月衣塑子記者 《参照:ここが変?「報道の自由」の現状を語る集い》>
 同紙では、メディア向けの各記者クラブ制度について、解説している。
<官房長官会見>=原則、月−金曜日の午前と午後に1回ずつ、首相官邸で開かれる。主催は内閣記者会。金曜日午後の会見は、内閣記者会に所属していなくても一定の要件を満たしたジャーナリストが参加できる。官邸のホームページで会見の動画を見ることができる。
  <内閣記者会>=記者クラブの一つで、所属記者は首相官邸などの取材を担当している。記者会の常駐会員は新聞、テレビ、通信社の計19社。非常駐会員やオブザーバー会員として地方紙や海外メディアも所属していて、全会員数は185社に及ぶ。
 今回の問題は東京新聞の望月衣塑子記者と菅官房長官の構図のように見えるが、本質は国家権力の政府が国民の知る権利に誠実に応えるかどうか、であろう。それを記者クラブの記者が事実のあらましを正しく伝え、国民の目となり、耳となり、そして権力の考え方、方針、それを国民に提示するのが望ましい。
 ところが、この記者クラブには、一枚岩ではなく、それぞれの労働組合がある。その立場に縛られるyなのだ。
 昨年から、望月記者の立場を後押ししてきた、朝日新聞の南彰記者は、昨年9月に新聞労連の中央執行委員長になった。ところが、望月記者が加盟している「中日新聞労働組合」は、全国紙、ブロック紙では、産経新聞労組と同様に新聞労連に加盟していないのだという。
 今のところ、未加入の新聞社記者同志が記者クラブ内でバトルを展開する構図が出来ているようだ。
 いずれにしても、日本の記者クラブが存在する限り、世界の報道の自由度の評価レベルは低いままであろう。
《参照:海上自衛隊員イジメ自殺隠蔽と記者クラブの問題を語る=寺澤有氏》