長崎の米軍原爆投下に関わるエピソードとして、NHKTV−EV特集「 “焼き場に立つ少年”をさがして」が8月8日、放映された。
 これは、原爆投下後の長崎を訪れた米軍カメラマン、ジョー・オダネルが撮影した「焼き場に立つ少年」の写真を、精査することで、新しい発見があったことを報じている。
  この写真は、ローマ教皇によって取り上げられたことで世界から注目を集める写真だ。そのため、各地の反戦のための戦争記録展示会などでも、紹介されてきた。
IMG_0194参照:第38回 大田平和のための戦争資料展を開催=東京
  しかし撮影から75年経つにも関わらずその撮影日時や場所は謎に包まれたままだという。写真が裏焼きで左右が逆になっていることなど、米軍が戦後九州で撮影した約4千枚の写真を主な手がかりに写真を多角的に分析した。取材で原爆孤児らの新証言を公開。その他、写真の精査による新事実の発見を報じている。撮影されたのは、原爆投下から2カ月後の10月中旬頃であろうと推測できた。
  なかでも、この写真を拡大して検証したところ、少年の白目に出血、鼻には鼻血を止めるための小さな詰め物をしていることがわかった。医師の分析では、およそ放射線を1グレイ被ばくすると、目や鼻から出血する可能性があること。ただし、少年の容姿からは、直接原爆投下時点で被ばくしたようではない。原爆投下後に、何らかの理由で、被爆地を歩き回ったせいで、現地に乗った放射能からの被爆が、集積し1グレイほどの被爆症状がでた形跡であろうと、推測している。
 番組では、そこに言及していない。しかし、ネットで調べると、1グレイという放射能単位は、モノが浴びたときの単位で、ジュールというエナルギーの単位から導き出したものだそうである。それを、人間に当てはめると、1シーベルトという単位だそうである。ただし、この概算は、エネルギーの熱量から換算したものであるというから、概算であって正確に同量であるとすると、ずれが生じる換算法であろう。
 長崎原爆の放射能被爆については、このような見解がでる。しかし、福島原発事故よる、被ばくに関しては、鼻血問題として、論争があった。2014年の「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号の「美味しんぼ」の表現に対し、伝えようとした福島原発事故後の諸問題はおきざりにし、「鼻血」という極めて限定的な、センセーショナルな部分にのみスポットが当てられ、政府筋からのバッシングが行われた事件があった。図らずも、奇妙なところで、福島原発事故における放射能汚染が、長崎原爆並みであったことの証左していることが分かった。
《参照:放射線被ばく「鼻血」論争を通じて考える=西尾正道医師(1)》
《参照:放射線被ばく「鼻血」論争と西尾医師の講演(3)》