刑法の性暴力被害の実態に応じた制度の見直しを議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は3日、性犯罪の成立要件を大幅に見直す刑法改正の要綱案を取りまとめた。従来の「暴行」・「脅迫」といった要件を、同意しない意思の表明などが難しい状態にし、性的な行為をしたことにするほか、薬物、グルーミングすることなど8要件を加えた。近く法制審の総会を経て法相に答申され、政府は今通常国会に改正案を提出する方針。
現行刑法は性犯罪の成立要件について、被害者の同意の有無を見極めるため、加害者側の行為に着目した「暴行・脅迫」と、被害者側の状態である「心神喪失・抗拒不能(心理的・物理的に抵抗が著しく困難な状態にある)」という二つの要件を置いている。ただ、規定が抽象的で、処罰されるべき性的行為が処罰されず、公判での裁判官の判断のばらつきにもつながっているとの指摘があった。
さらに、加害者の行為や被害者の状態について「暴行・脅迫」のほか、「アルコール・薬物の摂取」「経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」――など8項目を列挙。これらによって「性的行為に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせたり、そうした状態に乗じたりして、性的行為をした場合は罰する」とした。
性的行為に同意する能力があるとみなす「性交同意年齢」は13歳から16歳に引き上げた。ただ、13歳以上16歳未満との性的行為が処罰されるのは、加害者が被害者より「5歳以上」年上になる場合に限定し、同年代同士の行為は除外した。
性犯罪の公訴時効も原則として5年延ばした。被害の申告が遅れやすい18歳未満については、18歳に達するまでの期間を公訴時効に加算する仕組みも盛り込んだ。
性暴力被害の当事者団体や支援団体は3日、オンラインで記者会見を開いている。被害者らでつくる一般社団法人「Spring」金子深雪さんは「今回の議論を通じて、性犯罪の処罰規定の本質は『相手が同意していない性的行為を行った者を処罰するもの』だと改めて確認された」と評価するも性犯罪の公訴時効の延長期間については短すぎるとし、さらなる見直しを求めた。
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現行刑法は性犯罪の成立要件について、被害者の同意の有無を見極めるため、加害者側の行為に着目した「暴行・脅迫」と、被害者側の状態である「心神喪失・抗拒不能(心理的・物理的に抵抗が著しく困難な状態にある)」という二つの要件を置いている。ただ、規定が抽象的で、処罰されるべき性的行為が処罰されず、公判での裁判官の判断のばらつきにもつながっているとの指摘があった。
さらに、加害者の行為や被害者の状態について「暴行・脅迫」のほか、「アルコール・薬物の摂取」「経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」――など8項目を列挙。これらによって「性的行為に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせたり、そうした状態に乗じたりして、性的行為をした場合は罰する」とした。
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性暴力被害の当事者団体や支援団体は3日、オンラインで記者会見を開いている。被害者らでつくる一般社団法人「Spring」金子深雪さんは「今回の議論を通じて、性犯罪の処罰規定の本質は『相手が同意していない性的行為を行った者を処罰するもの』だと改めて確認された」と評価するも性犯罪の公訴時効の延長期間については短すぎるとし、さらなる見直しを求めた。
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