6月は「父の日」がありましたね。
(5月の「母の日」に比べて、忘れられがちな印象は否めませんが…)。
大抵の場合、人生で一番最初に身近にいて、長く関わってきた男性は自分の「父親」でしょう。
男性にとって、自分と父親との関係は、男性としての自己イメージに影響を与えます。
女性にとって、自分と父親との関係は、自分が付き合う男性との関係のあり方に影響を与えます。
子供は、自分の近くにいるものを好きになります。そうでなければ、生きていけないからです。私たちは、「自分の親が好き」という状態から人生を始めます。
父親が心理的に安定していて、子供の気持ちを察し、大切に関わってくれるような人であった場合、男の子は「心理的に安定していて、人の気持ちを察し、大切に関わっている男性像」を自己イメージに取り入れます。
ところが、父親が心理的に不安定で、子供の気持ちを察することもなく、大切にもしてくれない場合、子供はとてもつらい気持ちになります。
このときの、「大好きな親が自分を大切にしてくれない」という感情は、年頃になって大失恋したときに噴き出してくる感情と同じです。心が千切れてしまうような、痛みと寂しさに苛まれます。
あまりに寂しくて何かにすがりついて、しがみつきたくなります。つまり依存の心理状態になります。
このタイプの父親は人格が未熟で、自分もまだ子供のような心理状態ですから、子供の気持ちを思いやってくれる余裕などありません。
そばにいる子供はいつも傷つき、父親の機嫌を損ねないよう、びくびくしながら生活することになります。しかし、いくら傷つき、つらい気持ちになっても、子供は親に依存して生きていくしかありません。
すると子供は、無意識のうちにその親のことを好きになろうとします。そして、つらい気持ちを麻痺させて、自分勝手で傲慢な父親を好きになります。
男の子の場合は、それを自己イメージとして生きていくのですが、抑圧された深層意識では、強い自己嫌悪を感じています。
女の子の場合、つらい気持ちを麻痺させてしまっているので、父親のひどい言動を、「大したことではない」と思うようになります。そして、父親と似たような男性を好きになります。
一方、つらい気持ちを麻痺させて好きになったのに、あまりにもひどすぎる父親の場合には、もう一度父親を嫌いになります。そして父親と正反対のタイプの男性を選びます。
ところがほとんどの場合、慎重に慎重を期して正反対のタイプを選んだつもりだったのに、「私を大切にしてくれない」という最も重要な部分は、正にあの嫌な父親と同じ、という男を選ぶことになってしまうのです。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。
子供の頃、「私を大切にしてくれない」父親のことを、あなたは嫌いでした。
ところが、安全に生き延びる唯一の手段として、無意識のうちに嫌いな父親を好きになろうとしたのです。
未熟な父親に幾度となく傷つけられ、裏切られても、そんなつらい気持ちに封をして、「そうではない。お父さんは、本当は私を可愛がってくれる、いい人なんだ。私はお父さんが大好きなんだ」と、幼いあなたは、自分で自分の心に呪いをかけてしまったのです。
そしてその呪いが解けない限り、なぜかいつも、「私を大切にしてくれない」男性を好きになってしまうのです。
よくある人生相談では、「子供のことを可愛いと思わない親なんていません。お父さんも苦労して大変な状態だったから、あのような言動をされたのではないでしょうか。そして、どんな子供にも、親を慕う気持ちがあるのではないでしょうか」という方向に話が進んでいくことがありますね。
確かに、最初はお父さんのことが大好きだったので、親子の愛情というところに結論をもっていくと、誰でもほっと、安心した気持ちにはなります。
ところが、せっかく「お父さんのことが好きだった」というところに気持ちを持っていっても、最初の、純粋にお父さんを好きだったところまではさかのぼれません。
自分を傷つけた、ひどいお父さんを無理やり好きになった気持ちにたどり着くだけです。
つまり、「お父さんが好き」=「ひどいお父さんが好き」のままで変わらないのです。
このままでは、「自分を大切にしてくれない男性ばかりを好きになってしまう」というパターンは、無意識のうちに繰り返されることでしょう。
このパターンを本当に変えたいのならば、性急に「親子の愛情の本来あるべき姿」のようなところに進む前に、大好きな親から大切にしてもらえず、心が千切れてしまうような痛みと寂しさに苛まれていたときの、傷ついた幼い心に寄り添って、温かい感覚が戻ってくるまで癒されることが必要です。
その体験があると、あなたに対する思いやりのない相手の言動を、自分の心の痛みを麻痺させて、「これが愛情なんだ」とごまかしながら付き合う必要はもうありません。
本当の愛情との違いがわかってくるからです。
6月のHEARTでは父親との関係を扱います。
一緒に癒していきましょう。
お待ちしています。
本サイトの著作権は中島勇一に帰属します。
本サイト内に掲載されている画像・文章等、全ての内容の無断転載・引用を禁止します。
◆中島勇一のサイト
中島勇一のグループセッションH・E・A・R・T 公式サイト
(5月の「母の日」に比べて、忘れられがちな印象は否めませんが…)。
大抵の場合、人生で一番最初に身近にいて、長く関わってきた男性は自分の「父親」でしょう。
男性にとって、自分と父親との関係は、男性としての自己イメージに影響を与えます。
女性にとって、自分と父親との関係は、自分が付き合う男性との関係のあり方に影響を与えます。
子供は、自分の近くにいるものを好きになります。そうでなければ、生きていけないからです。私たちは、「自分の親が好き」という状態から人生を始めます。
父親が心理的に安定していて、子供の気持ちを察し、大切に関わってくれるような人であった場合、男の子は「心理的に安定していて、人の気持ちを察し、大切に関わっている男性像」を自己イメージに取り入れます。
ところが、父親が心理的に不安定で、子供の気持ちを察することもなく、大切にもしてくれない場合、子供はとてもつらい気持ちになります。
このときの、「大好きな親が自分を大切にしてくれない」という感情は、年頃になって大失恋したときに噴き出してくる感情と同じです。心が千切れてしまうような、痛みと寂しさに苛まれます。
あまりに寂しくて何かにすがりついて、しがみつきたくなります。つまり依存の心理状態になります。
このタイプの父親は人格が未熟で、自分もまだ子供のような心理状態ですから、子供の気持ちを思いやってくれる余裕などありません。
そばにいる子供はいつも傷つき、父親の機嫌を損ねないよう、びくびくしながら生活することになります。しかし、いくら傷つき、つらい気持ちになっても、子供は親に依存して生きていくしかありません。
すると子供は、無意識のうちにその親のことを好きになろうとします。そして、つらい気持ちを麻痺させて、自分勝手で傲慢な父親を好きになります。
男の子の場合は、それを自己イメージとして生きていくのですが、抑圧された深層意識では、強い自己嫌悪を感じています。
女の子の場合、つらい気持ちを麻痺させてしまっているので、父親のひどい言動を、「大したことではない」と思うようになります。そして、父親と似たような男性を好きになります。
一方、つらい気持ちを麻痺させて好きになったのに、あまりにもひどすぎる父親の場合には、もう一度父親を嫌いになります。そして父親と正反対のタイプの男性を選びます。
ところがほとんどの場合、慎重に慎重を期して正反対のタイプを選んだつもりだったのに、「私を大切にしてくれない」という最も重要な部分は、正にあの嫌な父親と同じ、という男を選ぶことになってしまうのです。
なぜこんなことが起こるのでしょうか。
子供の頃、「私を大切にしてくれない」父親のことを、あなたは嫌いでした。
ところが、安全に生き延びる唯一の手段として、無意識のうちに嫌いな父親を好きになろうとしたのです。
未熟な父親に幾度となく傷つけられ、裏切られても、そんなつらい気持ちに封をして、「そうではない。お父さんは、本当は私を可愛がってくれる、いい人なんだ。私はお父さんが大好きなんだ」と、幼いあなたは、自分で自分の心に呪いをかけてしまったのです。
そしてその呪いが解けない限り、なぜかいつも、「私を大切にしてくれない」男性を好きになってしまうのです。
よくある人生相談では、「子供のことを可愛いと思わない親なんていません。お父さんも苦労して大変な状態だったから、あのような言動をされたのではないでしょうか。そして、どんな子供にも、親を慕う気持ちがあるのではないでしょうか」という方向に話が進んでいくことがありますね。
確かに、最初はお父さんのことが大好きだったので、親子の愛情というところに結論をもっていくと、誰でもほっと、安心した気持ちにはなります。
ところが、せっかく「お父さんのことが好きだった」というところに気持ちを持っていっても、最初の、純粋にお父さんを好きだったところまではさかのぼれません。
自分を傷つけた、ひどいお父さんを無理やり好きになった気持ちにたどり着くだけです。
つまり、「お父さんが好き」=「ひどいお父さんが好き」のままで変わらないのです。
このままでは、「自分を大切にしてくれない男性ばかりを好きになってしまう」というパターンは、無意識のうちに繰り返されることでしょう。
このパターンを本当に変えたいのならば、性急に「親子の愛情の本来あるべき姿」のようなところに進む前に、大好きな親から大切にしてもらえず、心が千切れてしまうような痛みと寂しさに苛まれていたときの、傷ついた幼い心に寄り添って、温かい感覚が戻ってくるまで癒されることが必要です。
その体験があると、あなたに対する思いやりのない相手の言動を、自分の心の痛みを麻痺させて、「これが愛情なんだ」とごまかしながら付き合う必要はもうありません。
本当の愛情との違いがわかってくるからです。
6月のHEARTでは父親との関係を扱います。
一緒に癒していきましょう。
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