クライアントの家族関係を聞いていくと、そこから驚くほどたくさんのことが解ってきます。

両親がどんな人だったのか。祖父母や、伯(叔)父・伯(叔)母がどんな人たちで、彼らがどのような関係だったのか、を聞いていくと、クライアントと同じ問題を抱えていた人々と、その問題を助長してしまう人々が、家系の中にたくさん見つかります。


◆エゴの作り出している法則

“こういう家族”だと、“こういう問題”を抱える子供が育ち、その子が大人になると、このパターンを持った家族を作り出していく。

それが代々続いてきたのが,家系の流れなのです。

この家系の流れから読み取れるものを分類すれば、たくさんの法則のようなものが見えてきます。

クライアントの問題に、その法則を当てはめてみると、先祖に起きていた出来事が、クライアントの問題を導き出している、ということの多さに驚きます。

でも、これによって多くのことが解かるので、問題の核心を見出していくことが出来ます。

しかし一方で、これらの法則は当たっているように見えても、人間のエゴが作り出してしまう家族のパターンを、まとめたものにすぎません。

上手に活用すれば役に立ちますが、この法則を真実だと思ってしまうと、エゴの作り出している世界から抜け出せなくなります。


◆「何もできない思い」が「何もできない現実」を作る

A子さん(38歳)は小さい頃から心霊体験をたくさんしてきました。

大人になってからは、そのサイキックな能力に加えて様々なエネルギーワークを習得し、たくさんの方々を助けてきました。

特に家系に根差している問題を、先祖の方々と霊的にコミュニケーションしながら解消していく実力は高く、多くの方から評価されています。

先日彼女は、ある方の家系のもつれを癒すワークショップに参加しました。

その中で、結婚を予定している彼との関係をワークしてもらったところ、二人の関係は良くない、という結果になりました。

彼女はそのワークショップに寄せていた信頼が崩れたことと、彼との関係への不安で、すっかり落ち込んでしまいました。

私の個人セッションに現れた彼女は、疲れきっていて、前の夜もほとんど眠れなかったそうです。

話を聞くと、4日後に結婚するそうです。

彼女は仕事柄、さまざまなパートナーシップを見てきているので、この結婚については不安に思っている、と言います。

「自分の家族も彼の家族も、ごたごたしているので、あんまり考えないようにしてきました。でも、家系のことを学んでいると、どこにどういう影響が出るのか表面からは分からないようなことが起きるので、家系のことって大きいな〜と思うし、しょうがないな〜って感じです。結婚して彼と家系を作るんだ、と思うと、めんどくさいし、憂鬱な感じです」といいます。

「ヒーリングをしているときの私は、亡くなっている方の方が気になるんです」と彼女は言います。

「クライアントのご先祖とお話をして、その方の行きたい方向へお連れすることが出来るので、家系の問題を解消してさしあげられます。ところが、身内のことになると、解からなくなってしまうのです」

彼のご両親は離婚されていて、お父さんの家系には、様々な問題が代々続いているそうです。

「彼のお父さんの家系を霊視しようとすると、黒い霧がかかって向こう側が見えなくなります。

そして、もの凄く怖くなります。彼の家系の何を恐れているのか、自分でも分かりません。

せめて彼の実家のお墓参りができれば、霊的な手がかりが得られるのですが、事情があって、お墓参りが許されないのです。

彼の家系のことになると、自分では何もできないんです。

全く自信がなくなってしまって、どうしたらいいかわからなくなるんです」と言います。

私は彼女に、こう伝えました。

「あなたは、様々なテクニックを学んできて、人を助けてきました。家系のことも学んで、法則のようなものも解っているだけに、

今回の、自分が何もできない状態は、とても不安だと思います。

でも、いろんなテクニックを学んでくると、自分が身に付けたものに、騙されやすくもなります。迷ったときは、シンプルに考えてみましょう」

心が引き起こす様々な問題の成り立ちを、シンプルにしてみると、『心の内側で思っていることが、外側に現実となって起きてくる』ということです。

A子さんは、結婚する彼の家系に対して効果的なことが何も出来ません。

外側に「何もできない現実」が起きているのは、内側に「何もできない思い」があるからではないでしょうか。


◆この人はダメだと思うと、ダメな人になる

いつもなら、内側にある「何もできない思い」を探し出して癒していくのですが、A子さんには、エゴが作り出している幻想の向こう側に気づいてもらう方が、

彼女にとっての次の段階に入って行く助けになるような気がしました。

エゴが思い込んで判断している相手の姿の向こう側にある、真実の姿を見るのです。

ある実験があります。テストをして全く同じ能力の生徒を集め、その生徒を2つのクラスに分けました。

ひとつのクラスの先生になる人には、「テストの結果、とても優秀で、頭の良い生徒たちを集めたクラスの担任になってもらいます」と伝えます。

もう一方のクラスの先生になる人には、「テストの結果、頭が悪くて、ダメな生徒たちを集めたクラスの担任になってもらいます」と伝えます。

すると、時間がたつにつれて、この生徒たちは優秀だ、と思っている先生のクラスは、優秀になっていき、この生徒たちはダメだ、と思っている先生のクラスは、ダメになっていったそうです。

≪次週に続く≫


8月H・E・A・R・Tは「家系に伝わるパターンを癒し、亡くなった方を癒す」

9月H・E・A・R・Tは「インナーチャイルドを癒す」です。

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