July 23, 2015

自動車税を激安化する「しあわせ貨物計画」(後編)

さて前回は、いかに日本の自動車税制がアンフェアなものであるかを説明しましたが、
今回はそれに合法的に対応するための「しあわせ貨物計画」実践編です。

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自動車の用途区分は、付与されるナンバーでわかります。
1ナンバーは普通貨物自動車(トラックとか。税金安いが高速道路が割増料金。)
2ナンバーは大型自動車(バスとか。とりあえず、でかいの。)
3ナンバーは普通乗用車(5ナンバーの規格を超える乗用車全般)
4ナンバーは小型貨物車(5ナンバーサイズの貨物車。税金安くも高速も安い。)
5,7ナンバーは小型乗用車(全長4.7・全幅1.7・全高2.0m・排気量2ℓ以下の自動車)
8ナンバーはパトカーとか救急車とか特殊車両です。

3ナンバーと5ナンバーの違いはそうとう形骸化しており、

newSTEPWGN-1

たとえば「ノア」とか「ステップワゴン」は5ナンバーの「小型」自動車です。
ステップワゴンは4690×1695×1845mmの1.5リッターエンジン。

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一方プリウスは3ナンバーの「普通」自動車です。
サイズは4480×1745×1490mmの1.8リッターエンジン。
誰がどう見たって8人乗りのステップワゴンの方が圧倒的にでかいんですが、
横幅だけわずかにプリウスの方が大きいのでこういう区分になってます。
というか、世に溢れる3ナンバー車は大抵横幅だけ1.7mを超えたものです。
驚くべきことにおなじみハイエースも法規上は「小型」貨物自動車です。

バカバカしいですね。

でも、それが日本の法律なんです。

ディーゼルエンジンは2ℓ超えても小型扱い等の例外もあり、
詳しい解説は省きます(ここが詳しいです)が、
小型貨物車というのは、税金が安く、高速道路料金も普通車と変わらない、

いわば最もお得な選択肢です。

この小型貨物車の構造要件は、
・後部開口部の寸法が80×80cm以上かつ開口部鉛直面の投影面積が0.64以上
・床面の荷室床面積が1岼幣紊如△覆かつ後席乗員の乗車面積より多いこと
・5ナンバーサイズに収まること
・ホイールが純正であること(正確には違いますが、この認識で問題ないです。)
詳細はこのへん参照ですが大体こんな感じです。

ちょっと前まではこれに加え、ブレーキの構造要件問題がありましたが、
2015年2月の審査事務規定の第64次改訂により、
乗用車のブレーキが問題なく使えるようになりました。

これらの条件を満たす車があれば、それは貨物車といって差し支えなく、
貨物車といって差し支えない車であることのお墨付きがもらえれば、
税金が安くなるという摩訶不思議なカラクリがお役所にはあります。

いわゆる「セダン」は、開口部の大きさや荷室面積が足りないため不可能なので、
「ステーションワゴン」という類の車をもってくるのが簡単です。
上級者というか玄人向けですが、「ハッチバック」でも不可能ではないらしいです。
(その道のプロはスポーツカーすら貨物化することが可能とか・・・)

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さて、早速やってみましょう。
用意したのは2002年式のレガシィ、Blitzenという限定モデルのツーリングワゴンです。
この時期のBH型レガシィはスバリストが愛するボクサーサウンドがするらしいですが、
重要なのは、改造して「小型貨物自動車」にできるかという点と、
中古市場での入手性が高く、安く仕入れられるという点なので、
音だとかスタイルだとかは二の次というか、ぶっちゃけどうでもいいです。
(でもできるだけ速くてカッコいい方がいいよね!というドク並みの感想。)

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回送時には貨物用の自賠責をとることだけ間違えないように。
それ以外の注意点は、以前記事にした、
「ナンバーのない車を買ってきて登録する」を参照してください。
ちなみに、こいつをそのまま車検とって登録すると、

自動車税として年間約4万円、

重量税は二年分前払いで3万円
ほどとられます。


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後部開口部はレガシイツーリングワゴンであればクリアできる条件なので問題は荷室ですが、
元々の荷室は面積が1mに満たないため、座席を外します。

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今回、右側の座席を外し、二人分の乗車スペースを「荷室」としました。
ちなみに、ステップワゴンとかもっと大きな5ナンバー車を貨物登録する場合、
7人乗りを5人乗りにすることでも4ナンバー化は可能ですが、
定員が3人か5人かで税金が変わってくるのでそこだけ注意してください。

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BH型のレガシイは座席をフラットにできるため改造が簡単です。
座面を取り外し、背もたれを前に倒して、上に板を貼ります。

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板といっても、これは陸運局への「仁義」のために貼ってるようなもので、
特に構造要件にあるような工作物ではないため、そこらのホームセンターで
1cm厚スチロールを買ってきて、カッターで切ってビニルテープで繋げただけです。

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同様に、積載貨物から乗員を保護するための「仕切り」は、
木の棚板を買ってその場で切ってもらい、同じ売り場の木ネジでくっつけただけの代物です。

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これも陸運局への「義理」のためにつけているに過ぎません。

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構造的には突っ張りポールとか、もっとナメた仕様でいいらしい。
なんだか義理とか仁義とか切ったとか貼ったとか、
役所に行くには似つかわしくない言葉が並びますが
ここまでさくさくっと改造したら、陸運局にカチこn回送して車検を受けます。

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車検は受け直さないといけないので、一通りの点検整備はしておきましょう。
これは専門知識が必要とされ、素人が自力でやるのはちょっとしんどいので、
陸運局の近くにあるテスター屋を利用するといいと思います。

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この日は雨だったのであまり余裕が無く、ちゃんと写真が残ってませんが、
「業者ではなく一般人です」ということをあくまで低姿勢に伝えると、
わりと親切に車検のプロセスを教えてもらえました。
車検のラインを通したあとが本番で、構造変更という検査を受けます。
(ここは写真撮影禁止です。)
ここで、さっき改造した点をチェックしてもらいます。
「貨物自動車」として不備がないかをチェックしてもらうわけですね。

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貨物自動車には最大積載量の表記が必要ですが、
これは減らした乗員分を充てるのがセオリーです。
乗員一人当たり50キロというのが目安なので、今回の場合積載量は100キロ。
ステッカーは前もって自分で計算して買ってもいいですが、
念のため、一度検査を受けて積載量を確認してもらってからテスター屋で入手しました。

この「構造変更検査」をパスすると、晴れて車検証とナンバープレートが発行されます。

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スバリストの皆様にすげー勢いで怒られますが、3人乗り「バン」です。
輝く4ナンバー。2002年式のレガシィが立派な貨物車になりました。

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登録月の関係で、自動車税は月割りでわずか5800円。

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重量税は7800円。

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普通車だと7万円くらいとられるのがここまで変わるんなら、
やる価値もあるんじゃあないでしょうか。

機関というか、車そのものはなんも変わっていないので、
改造車には当たりません。単なる「用途変更」です。
そのため任意保険にもまったく問題なく加入できます。
例えばソニー損保は家族限定特約とか年齢制限特約も普通に付帯できるので、
たとえば今回の任意保険料は年間45000円でした。普通車と変わりません。
 
構造変更で注意すべきは車検です。普通乗用車は車検は二年に一度でいいですが、
貨物だと一年ごとになってしまいます。ですが、この車は改造車ではないため、
車検は普通のガソリンスタンドでも受けられるので維持費はトータルでは安い上に、
今まで税金に消えていたお金が整備と点検に使えると思えば、
決して一年ごとの車検もムダではないと緋斐は思います。

以上、最後にメリット・デメリットを一覧で比較して終わりです。おつかれさまでした。

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さて、本編はここまでですが、

オマケとしてもうひとつ悪い事を考えました。
これは未検証なので誰にもおススメしません。

貨物登録のデメリットで地味に痛いのが「定員が減る」点です。
座面を外して定員を減らし、その面積を荷室に組み入れて登録したものを、
元に戻して乗ってしまうと法的にマズいとされてますが、

これ、本当でしょうか?

貨物車の荷台に人が乗るのは絶対にダメというわけではありません。(参考
積荷を監視する最低限の人員を貨物自動車に乗せることは道交法55条で認められています。
軽トラに冷蔵庫積んで、それを押さえる人が荷台に載るのは違法ではない。

であるならば。

荷室となっているところに搭載した物品は「積載物」となりますが、

取り外した座面は既に自動車の付属物ではないので、

荷室の一部に偶然フィットする形をした「積載物」を乗せた貨物車に、

己のケツとシートベルトでもって、

その「座面のような形をした積載物」が

動かないように固定・監視する要員


を乗せる事は果たして違法と言えるのだろうか。
違法なのであれば、関連法規のどこにどう觝触するのだろうか。
という疑問が当然出てくるわけです。

屁理屈もここに極まれりといった感じですが、
そもそもこの話の発端は同じ車に極端に違う税率を課す行政の屁理屈であって、
われわれ一般市民はあくまで合法的にそのお役所都合の屁理屈に対応した結果、
自らも屁理屈を重ねる事をいわば強いられているに過ぎません。
そもそも自動車税の制度がもっとフェアなものであれば、

最初からこんなことしなくて済むはずです。

わたしは積極的に試してみる気はないですが、
お客様の中にこれで警察に喧嘩を売ってみたいって勇者はいませんか。
いれば結果を聞かせてください。なにも差し上げられませんが。

以上、オマケでした。 

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この記事へのコメント

1. Posted by あい   May 17, 2016 23:45
悪い事は
http://www.miyako-office.net/blog/keitora-josya/
警察署長に許可が必要なので実用的ではないと思います

ところで、回送時には貨物用の自賠責をとる事とあるけど、登録識別情報等通知書が普通車なのに貨物の自賠責って買えますか?
2. Posted by 緋斐   May 18, 2016 13:53
こんにちは。

警察署長に許可が必要なのは「荷台に何も載ってないときに人を乗せる場合」ですよね。
わたしが考えたのは、
もともとついてて、貨物化したときに外した「座面」は、既に自動車の付属物じゃないので、
付属物じゃないものが荷台スペースに載ってたらそれは「荷物の積載」と見なせるのではないかということで、
「荷物」が積載されていれば、「それを押さえるための最低限の要員」として、
「座面の形をした荷物」を「ケツで押さえるために」その上に座る要員というのを
「認めない法的理由がなくなる」のではないか。という仮説です。

まあ、話がムチャクチャなのはわたしも承知の上ですが(笑)

貨物用の自賠責は、結論から言えばとれます。
一般的にはとれないことになってますが、2年用の自賠責も、とれました。
おそらくこの運用って、保険会社の中でも運用でカバーしてて、
システムがエラーを吐いて登録できないという運用になってないのではないかと思います。
なので、なんも知らなさそうな農協の職員とかにさも当然のような顔をして頼めば、やってくれるんじゃないでしょうか。

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