Heartfrog's Log

ぽつぽつと絵とアニメ感想を上げていく場。

2019年あけましておめでとうございます

■はじめに
今年もよろしく。1月10日に新年のあいさつというのもおかしな話だがスルーしてほしい。

去年は比較的時間に余裕があり電子書籍の消化が捗ったが、それ以上に積みが捗った年だった。去年の抱負は達成せず、むしろ積み本が増えた結果だ。プライベートで読む活字は隅から隅まで読んでいるが、デフォで飛ばし読みして気になるところだけ読み返す様な速読メソッドでも導入しない限り消化が追いつきそうにない。

本を買うのを抑えるルール作りも検討したが、精神衛生上よろしくないので却下した。単純に意志が弱いだけともいう。去年電子書籍は積むことへの抵抗を減らす効果があると懸念していたが、予想は的中したという訳だ。

一昨年に引き続き去年はマンガとの出会いに恵まれていた。やさしい嘘で覆った不条理が剥き出しとなる地獄を描いた愛憎ヴィクトリアン・ストーリー「Under the Rose」、キャラの成年向けマンガへの激烈な執念が楽しい、歴史の影に成年向けマンガありとごり押しで主張するボンクラコメディ「快楽ヒストリエ」が傑出していた。

アニメではひたすらに噛み合わない主要キャラ2人の緊張感、丁寧な芝居と映像に合わせた音楽の演出が極まっていた「リズと青い鳥」、自らの未熟さで人を傷付けた後悔と心を開くことで気が付ける人々の正の側面とを印象的に描いた演出、花火や水の映像、くぐもった音の演出が面白い「聲の形」がよく出来ていた。「聲の形」は2016年作で後追いだ。

まるで山田尚子信者になったかの様なラインアップである。同監督作品で「映画けいおん!」も悪くなかった記憶があるので、何時か「たまこラブストーリー」も観たいものだ。

■消費
去年印象に残ったものを大区分でアニメ・ゲーム・マンガ・小説・実写、小区分で継続部門・新規部門・後追い部門・成年向け部門に分けて語る。去年に発表されたものは継続部門・新規部門に属する。さらに去年以前から続いているものを継続部門、そうでないものを新規部門に分ける。一昨年以前に発表され、去年発表されていない作品は後追い部門に属する。成年向け作品のみ他の小区分への振り分けをせず成年向け部門に属する。

2018年以前の記事では雑な印象で小区分の振り分けをしていたのでカテゴリーエラーが生じている。今年からは上記ルールに従うものとする。

▽アニメ
・継続部門
「進撃の巨人3rd(制作:WIT STUDIO,監督:荒木哲郎,シリーズ構成:小林靖子,原作:諫山創)」
巨大な壁の内側に生活圏を持つ人類が、壁の外側の巨人と戦い安全と自由を勝ち取ろうとする様を描く。自由を求め自分で判断することを肯定し、抑圧すること抑圧に甘んじることを否定する話。また各々が自分にできることを成し、連帯することを肯定する話。

序盤のリヴァイとケニーの立体機動アクションの作画にドギモを抜かれた。原作から再構成された話運びがコンパクトにまとめられていてよく出来ていた。

・新規部門。
「リズと青い鳥(制作:京都アニメーション,監督:山田尚子,脚本:吉田玲子)」
吹奏楽部員の高校生みぞれと希美が最後のコンクールで、自由曲「リズと青い鳥」の掛け合いのソロ演奏を担当する。みぞれは自由曲のモチーフである童話への理解を深めることで自らの内面と向き合っていく。お互いに自分をより活かす付き合い方を追求することを肯定する話。

話の筋はベタだが、作画、芝居、構図、演出、暗喩、音響と音楽がべらぼうに極まっていた。多くを語らない抑制された筆致で受け手に余韻を与えてくれる視聴体験ができた。映像作品ならではの緊張感を出せていた。

・後追い部門。
「聲の形(制作:京都アニメーション,監督:山田尚子,脚本:吉田玲子,原作:大今良時)」
高校生の石田将也は聴覚障害の西宮硝子を小学生の頃にいじめていたことを後悔していた。彼は孤独を深め人間不信となり、贖罪を終えた後に自殺を決意する。彼は喧嘩別れした彼女を探し出し、手話で後悔と謝罪と友達になってほしいことを伝える。彼女との友達付き合いと母の怒りから自殺を思い止まり、少しずつ塞ぎ込んでいた意識を外に開き始める。他者と向き合うことを肯定する話。

飛び降りや人体引き上げなどを反復させる芝居の構成、顔に×印を付ける人間不信の演出が秀逸。花火や水の映像、くぐもった音の演出が面白い。手話の芝居の作画が丁寧だった。

「ズートピア(制作:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ,ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ,監督:リッチ・ムーア,バイロン・ハワード,ジャレド・ブッシュ,脚本:ジャレド・ブッシュ,フィル・ジョンストン,原案:バイロン・ハワード,リッチ・ムーア,ジャレド・ブッシュ,ジョシー・トリニダード,ジム・リアドン,フィル・ジョンストン,ジェニファー・リー)」
肉食動物と草食動物が共存するズートピアで新米ウサギ警官ジュディとキツネ詐欺師ニックは連続行方不明事件の解決に動く。偏見や差別に屈さずに自らの志を貫くことを肯定する話。

構成が巧みで、偏執的に伏線の配置と回収をやりたがる作品。受け手に先入観を埋め込む描写の配置がそのままテーマに結びついている。そのテクニカルさには舌を巻くけれど、受け手の情動を揺さ振ることに寄与しているかというと私の場合はそうはならなかった。むしろ技巧が先鋭化し過ぎていて「よく出来ている仕掛け」への感心に意識が傾いて、示されたテーマに心を打たれにくくなっているまである。

▽ゲーム
・後追い部門。
「Cuphead(開発元:StudioMDHR,プロデューサー:マリヤ・モルデンハウアー,ライアン・モルデンハウアー,デザイナー:ジャレド・モルデンハウアー)」
1930年代を中心とするアメリカン・アニメーションをモチーフとするシューティング。ぬるぬる動く作画とジャス・ブルース風BGMと挿入歌、登場人物がだいたいクズばかりで楽しい。

日本語版はないが読めなくても、だいたいプレイに支障はない。

▽マンガ
・継続部門。
「HUNTER×HUNTER(著者:冨樫義博)」
少年ゴンが父ジンと出会うために、父の職業ハンターとなる冒険活劇。収集の面白さを題材としている。目的を達する過程で得た仲間との連帯を肯定する話。仲間とそれ以外との線引き、仲間でない者や敵に対してどの様な条件で何処まで追い詰めるかの倫理を描く群像劇。

王位継承編に入って、各王子勢力の腹の探り合いと回りくどい設定の念能力の駆け引きが楽しい。オイト王妃が腹違いの娘の死を防げなかったと悔やむ一方、自分の娘に危険が迫ると容疑者を銃で撃つ様に指示を出すなど、各人にとっての命の軽重の線引きも楽しい。

「ブルーピリオド(著者:山口つばさ)」
リア充高校生の矢口八虎は美術部の先輩の絵に感動して美術の道を志す。付和雷同でなく、自分が熱量を傾けられるものに素直になることを肯定する話。その手段として洞察を深め感度を高めより豊かに物事と向き合うこと、知識と技術で自分の関心事をアウトプットすること、意欲的挑戦を肯定する話。

差し挟まれる美術Tipsも知識欲・興味のある人には楽しい。矢口は美術によってアウトプットしたものが理解され肯定されることに喜びを得るが、女装少年の鮎川の様に自己開示によってむしろ拒絶される者にまで美術は手助けしてくれるのかはわからない。今後の展開に期待だけれど、そこ掘り下げ始めると話がとっちらかるのではという懸念もある。

「Under the Rose(著者:船戸明里)」
19世紀イギリスで妾や庶子を持つロウランド伯爵邸の家庭で渦巻く家庭愛憎劇。庶子のライナス・キングが母グレースの死の真相を暴こうとする「冬の物語」、その後家庭教師レイチェル・ブレナンがロウランド夫妻の仲を取り持とうとして逆に彼らの家庭の歪みを露わにしてしまう「春の賛歌」に分かれる。陰鬱な話が苦手な人には合わない。

事情・事件の配置と情報開示が巧みで、構図や効果などのビジュアル演出にも凝っている。それらの仕掛けが受け手に緊張感を与えたり情動を揺さ振ることに効果的に働いていた。私的に傑作。

愛されている自負と自分にできることがある自信が救いになるという話。そうでないキャラは攻撃的になったり自罰的になったりする。酷い仕打ちを受けた記憶、誰かを傷付けた罪悪感も自信喪失に繋がる。やさしい嘘で相手の自尊心を守ることもできるが、それが露見すれば相手は傷つくし、キャパを越えて偽り続けた者は消耗して攻撃的になったり自罰的になったりする。

ロウランド伯爵家当主アーザーは自分の家族を守ることを第一とする。ロンドンの孤児を引き取らないあたり、彼は救いきれないものをある程度弁えている。グレースは守れなかった。ライナスは守れた。では妻アンナはどうか。

最新刊の時点のアーサーはアンナ以外の家族の幸福のためにアンナに攻撃的になっている。ロウランド家次男ウィリアムにとってアンナは救いきれないものではなく、父と考えを異にしている。スタンリーはアンナを「治療」できると信じているが19世紀イギリスの精神科では望み薄と思われる。アーサーの姉モルゴースはライナスに対してそうであった様に、強かにアンナの逃げ道を塞いで追い詰める。アンナは伯爵邸から逃げ、森番にも頼れずいよいよ詰められている。

痛み分けにするなら
・アンナはグレースの死の真相についてライナス、ライナスの弟ロレンスに告白・謝罪(モルゴースの脅迫を無効化)
・新しい家にアンナ、ウィリアム、ライナス、ロレンスを住まわせる
・新しい家では使用人を伝統的価値観に基づいて扱う
・ロレンスへの子守を通してアンナに自信を付けさせる

という落としどころが挙げられるけれどアンナを謝らせるのも、アンナのために子どもを犠牲にする様な措置をアーサーに認めさせるのも難しい。ロレンスがアンナを許すのかもわからない。どんな結末になるにしろ次が最終巻のはずだ。「冬の物語」でのライナスがそうであった様に、アンナも自分の問題と向き合える様になれば良いなと思う。

・新規部門。
「快楽ヒストリエ(著者:火鳥)」
秘史短編集という体で、歴史の影に成年向けマンガの影響があったとごり押しで主張するボンクラコメディ。

キャラの薄情さと成年向けマンガへの執念、成年向け雑誌のキャッチコピーネタ・メタなマジレスネタが楽しい。何だかんだで初期はヒロインが肌の露出や痴女アクションで読者サービスをしていたが、古代エジプト編を最後に猫の額ほどのサービス精神も失われる。おっさんばかりが画面を埋めるが、だいたい1話につき1人以上は美少女・美女が登場するので、成年向け雑誌連載作として最低限の体裁は保っていると思われる。

「地獄の釜の蓋を開けろ(著者:鬼頭 えん)」
12世紀イングランドで墓掘り人のグウェンはその血によって再生の大釜を自称する少女を呼び出してしまうダークファンタジー。超常要素は(今のところ)再生の大釜のみ。

12世紀イングランドの死生観や風俗Tipsが楽しい。だが導入部での外連味が薄く、受け手を引き込む構成が弱い。先を見据えて伏線を張る前に、目先の話に盛り上げどころを作ってエンターテイメントに注力してほしい。

「エルジェーベト(著者:Cuvie)」
19世紀オーストリアでハプスブルク家皇妃エリザベートはウィーン宮廷に馴染めず、各国保養地で療養する。そこにハンガリー独立派の駒であるイーダが侍女として送り込まれ彼女に接触、必要に応じて利用・殺害しようと画策する。

19世紀オーストリアの不安定な政治情勢、義母ゾフィーによって政治的に無力化されているもののやたら強くて美しいエリザベートのキャラが楽しい。ハプスブルク家の宮廷はゾフィーが牛耳ることに甘んじているし、ハンガリー独立勢力の急進左派と呼ばれた者は皇女を暗殺しようとするし、独立勢力の自称穏健派はハンガリー国内の異民族の存在を無視して民族自決を謳うので、受け手がどの勢力にも肩入れできない宙ぶらりん感も楽しい。

「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった(著者:ひだか なみ,原作:山口 悟)」
中世風ファンタジー世界でカタリナ・クラエス公爵令嬢は前世の記憶を取り戻す。ここが前世でやっていた乙女ゲームの世界であること、自分が破滅エンドしかない悪役令嬢であることに気付き、破滅エンドを回避して穏やかな老後を迎えようと画策するコメディ。

カタリナが破滅エンドを回避しようと突拍子もないことをしでかすが、それが結果としてカタリナハーレム作りに繋がるご都合主義展開を繰り返す。カタリナの無茶な振る舞いによるギャグと優しさによるなんちゃってほっこり話を楽しむ作品。カタリナの情深さと行動力がハーレムに説得力を与えている。なお、いじめ問題があるので優しい世界という訳ではない。

カタリナの無茶が2巻に入って失速しているので今後の挽回に期待。あとアランとニコルのキャラ配置、魔法の設定が活かせてないけれど今後やりたい展開に必要なのだろうか。

・後追い部門。
「鎧光赫赫(著者:久慈光久)」
「狼の口」の作者の短編集。主に血生臭い時代劇アクションを扱っている。「エマ」アニメ化に合わせた企画ルポだけ異色。風向きに身を委ねる風見鶏でなく、決断した生き方を貫く矜持を肯定する。体格や性別を問わず平等に戦闘力を与える銃を肯定的に扱っている。

だいたい「狼の口」同様に容赦ない久慈光久ワールド。

・成年向け部門。
「温かくて柔らかくて(著者:Hamao)」「発情びーむ(著者:kakao)」
kakao先生がキャラの頭部の描き方を変えたのは私的に良判断であった。頭を宇宙人のグレイの様に縦長にし、目を小さくして瞳のハイライトを潤ませることで艶やかな顔立ちを作っている。前の絵柄は生々しさを削いだ清潔な可愛らしさに振られていて、成年向けとの相性が良くない印象であった。あとトーンを多用してぼかしで立体感を与える丁寧な画作りも生々しい煽情に一役買っている。他は画力と好みの絵柄。

▽実写
・後追い部門。
「オデッセイ(制作:リドリー・スコット・アソシエーツ,監督:リドリー・スコット,脚本:ドリュー・ゴダード,原作:アンディ・ウィアー)」
火星に一人置き去りにされた植物学者を兼ねる宇宙飛行士ワトニーによるサバイバルを描く。絶望的状況下でユーモアを失わないワトニーの気丈さ、長官の指令に反対して火星に戻るクルーの決断、順風満帆な生存環境作りができてからのビニールハウスを爆発四散させる事件の配置、深刻になり過ぎないテンポの良さと、格好良くてストレスフリーなエンターテイメントしている作品。

科学的正確性や登場人物達の生存・救出のための創意工夫にも唸らされる(厳密には不正確な部分もあるそうだが、映像作品を楽しむにあたって十分に説得的だ)。

■抱負
2年創作を休んで気持ちが再び創作に向き始めたので、リハビリがてら意識低めで少しずつ描き進めたい。

去年の抱負
・本を積まず、かつ過去3年に買った積み本を崩す

0勝1敗。消化する以上のスピードで積んだ。案の定、電子化を進めることで積むことの歯止めが利かなくなっている。プライベートでもデフォで飛ばし読みして気になるところだけ読み返す様な速読メソッドを使おうかと検討するも、プライベートの消費でまで意識高めることに心理的抵抗があって、いまいち乗り気がしない。

今年の抱負
・カラー絵を1枚うpする

教本を手本にぼんやり描いて、先ず描く楽しさに触れ直す。

2018年あけましておめでとうございます

■はじめに
 今年もよろしく。

 去年に引き続きリアルが忙しないことから、フィクションに傾けるリソースを減らした年だった。去年の抱負は達成したが、積みゲーがなくなった代わりに積み本は増えた。書籍は電子化を進めているので消化しやすくなっているが、同時に物理的に嵩張らないことから積むことへの抵抗が減っているのは新たな懸念材料でもある。

 今年崩したゲームは私的にあまり面白くなかったので内容は触れない方向で。以前は貧乏性とプレイ後半で面白くなるかもしれないという希望的観測によりクリアまでプレイしたものだが、最近は数時間プレイして楽しめなかったら損切りする方針を採用している。アニメで2話切りすることがあり、ゲームだけその様にしない道理はない。リソースは有限なのだ。

 マンガは私的に豊作な年だった。アレキサンドロス王子の狂気と合理主義なはずのエウメネスによる組織のしがらみへの抵抗を描いた「ヒストリエ」、目まぐるしく変わる戦況となるべくしてなった悲劇の結末で受け手の情動を揺さ振る「軍靴のバルツァー」と継続作が珠玉の出来であった。

 雨がっぱ少女群先生と熊倉隆敏先生の新作が出たのも大きい。高い画力とレズエロコメと叙情的な話を絡める「麻衣の虫ぐらし」、ネットの呼び掛けで集った十二人の自殺志願者が謎の死体を前にして集いの原則「全員一致」に従い話し合いを始める「十二人の死にたい子どもたち」と先が気になる作品に出会えた。成年向け作品は去年の方が豊作であった。

■消費
▽アニメ
・新規部門。
「鉄血のオルフェンズ」……火星の民間警備会社所属の少年三日月が、火星独立を指揮するクーデリアの依頼で地球までの護衛を受けることから始まる、世界情勢の波乱を描いたロボットもの。過酷な環境下で生きる者達の逞しさを肯定する話。または喪失を埋めるために情勢を見極めず夢物語を追い続けるとエラい目に遭うという話。

 バエル奪取によるギャラルホルン制圧というプランが崩れたにも関わらず、終始楽しそうなマクギリスというピエロを生み出しただけでも価値ある作品。

「けものフレンズ」……少女化した動物(以下アニマルガール)たちが集まる動物園ジャパリパークで、記憶を失った少女(?)が自分の正体を突き止めるためにサーバルキャットのアニマルガールと旅をする冒険譚。

 身体機能で他のアニマルガールに劣るかばんちゃんが知恵を絞って状況を打開していく展開は古典的ながら面白い。インタビューでも語られているがアイカツ的な平和世界が琴線に触れた。あと11話のかばんちゃん木登りダイブアクションがBGMと噛み合ってて印象深かった。

すごーい!の連続、『けものフレンズ』チームに3万字インタビュー | アニメイトタイムズ https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1488452395

・後追い部門。
「カーズ」……擬人化された車で舞台は構成されている。自己中心的な野心家ライトニング・マックィーンは「ピストン・カップ」シーズン最終レースで、初の新人チャンピオンを狙う。トラブルにより田舎町に迷い込んだことを契機に、マックィーンが友情や思い遣りに気を配る様になっていくレースもの。ピクサーらしい丁寧に伏線を回収していく作りと、試合に負けて勝負に勝つ展開が私好みだった。

▽マンガ
・継続部門。
「ヒストリエ」……紀元前4世紀マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた書記官エウメネスの生涯を扱った歴史もの。アレクサンドロス王子の狂気が、フィリッポス王の語る「英雄豪傑など不要」という軍の論理と真っ向から対立していて面白い。実際一番槍にこだわった彼独りの活躍は軍事的大局に何ら影響していない。

 かつて「もう言うことねえなあ……マケドニアは!」とマケドニアを絶賛していたエウメネスが恋人を王に横取りされたことから不貞腐れ、アテネに渡ってマケドニアに逆襲する案にまで思考が及ぶ現金さが面白い。エウリュディケが指摘する様にエウメネスが求める様な自由はこの世の何処にもないのだろうけれど、彼は強い束縛を感じる度に自由を求めてその場から逃げ出そうとするのだろう。

 「心に傷を負ったままでも楽しく暮らす事はできるさ……」と諦観してみせたエウメネスも、ボアの村のサテュラとの別れを気に病んでたことが確認できて良かった。

「軍靴のバルツァー」……19世紀後半のヨーロッパをモデルとした、軍事国家ヴァイセン王国とその同盟国バーゼルラント邦国における平時を含めた軍隊の活躍を描く。ヴァイセン王国佐官バルツァーはバーゼルラント邦国の士官学校に軍事顧問として出向、国の思惑に巻き込まれるも暴動・戦争に立ち向かっていくミリタリー。

 籠城戦→騎馬戦→中央突破→掃討戦と目まぐるしく変わる戦況、ユルゲンとヘルムートの悲恋など見所盛り沢山で今年一番ぶっちぎりで満足度が高かった。画面密度の高さも眼福である。

・新規部門。
「麻衣の虫ぐらし」……虫に明るくない無職の麻衣、虫の利用と駆除で農業を営む奈々子、虫の保護活動に注力する来夏の虫Tips日常もの。雨がっぱ少女群先生の画力とライトエロを拝めたので有難い。奈々子の祖父の愛情深さを示す回想や思い遣りなど、全年齢向けに行ってもしんみりとした喪失と叙情を描く作家性は健在である。

「十二人の死にたい子どもたち」……ネットの呼び掛けで集った十二人の自殺志願者が謎の死体を前にして、集いの原則「全員一致」に従い話し合いを始めるミステリー。熊倉隆敏先生初の原作付きで、マンガならではの決めゴマやメクリとヒキで外連味ある演出を楽しませてくれる。原作者の承諾を得てセリフを変えている。

 登場人物の共通項は自殺志願者というだけで、育った環境の違う少年少女達が各々の都合で意見をぶつけ合う群像劇。そもそも謎の死体について気になるか否かで意見が割れるのだから、いちいち噛み合わなくて面白い。

 元ネタ的にオチの一部が読めるので一捻りして驚かせてくれたら嬉しい限りだ。

・成年向け部門。
「水滴少女」……画力と好みの絵柄。

▽小説
・新規部門。
「結物語」……怪異譚となる前の風説を取り締まる風説課の警察官阿良々木暦が、風説取締に動く過程で本気で自分の使命に取り組んでいる人達に感化され、自らの中途半端さと向き合うこととなる青春怪異小説。

 全力を尽くして今の自分を変えていくことを肯定する話。暦はすっきりしない気分や昔の自分に後ろめたい様な気分になっているのは、全力を尽くしていないから、成長しようとしていないからと自己分析する。

 「みとめウルフ」における暦の推理というか願望について。彼は今の自分の幸せを守るために、羽川からの好意を「なかったこと」にして自分の気持ちが彼女に傾く恐れを断つ大人の判断をしたのだと思われる。

 老倉が暦に息を吐く様に毒舌を仕掛ける言葉遊びが楽しい。23歳になっても人格が破綻していて素晴らしい。

▽実写
・新規部門。
「ねほりんぱほりん」……山里亮太とYOUが毎回顔出しNGゲストを招いて、元薬物中毒者や偽装キラキラ女子や元国会議員秘書などと赤裸々トークをし、放映時は人形劇として映すトーク番組。ゲスト達の独自の価値観が目眩のするドライブ感を与えてくれる。

 シーズン2から見始めたミーハーだけれど、現状「ヒモと暮らす女」回が好き。「僕はもう彼女のお金で楽しく過ごすのが、彼女にとっても恩返しじゃないけど」は名言である。

・後追い部門。
「シン・ゴジラ」……2016年東京を舞台に、巨大不明生物襲来に対して日本政府が問題の収束を図る怪獣もの。ゴジラのビジュアルと現代兵器の活躍と建物の倒壊、後手後手の政府の対応と手際の良いゴジラ凍結作戦を楽しむ作品。

 画作りとテンポが良いので受け手を引き込む力が強い。月並みだがゴジラが火炎と光線で東京を火の海にするシーンは物悲しいBGMも相まって印象的。

■抱負
 リアルの事情により、去年に引き続き消費に注力する。去年再確認したことだが、私は創作しなくてもあまり困らない人の様だ。息を吐く様に創作する業を背負った方々には逆立ちしても勝てない。

去年の抱負
・現環境で出来る積みADVを全て崩す

 1勝0敗。積みゲーがなくなると部屋が広くなるし、積みゲー崩しを気に掛ける必要もなくなるので精神衛生上よろしい。ただし積み本は増えた。本はゲームよりも消費始動コスト(造語)が低いので精神的負荷はだいぶ下がる。電子化したものは嵩張らないのでより捗る。

今年の抱負
・本を積まず、かつ過去3年に買った積み本を崩す

 最近はネット巡回を縮小して本読みにシフトする様に時間の使い方を変えている。興味の向くままに細々とネット記事を読み漁ると精神的満腹感はあるが、それが精神的血肉に繋がる打率は低い気がする。ある程度の文量をまとめて構成された書籍の方に時間を割きたい。

2017年あけましておめでとうございます

■はじめに
 今年もよろしく。

 リアルの方で大きな動きがあったこと(詳細は伏せる)、アニメ「アイカツ!」が終わったことから創作熱とアニメ消費熱が下がった年だった。去年の抱負は未達だが、時間的・気力的問題から2月より早々にぶっちを決め込んでいたので納得ずくの結果である。代わりに空き時間にちょくちょく進めていた積みゲー崩しが捗った。

 創作面では2月まで表情の描画練習に励んでいたが、リアルの方の事情で打ち切った。曖昧だった表情付けがある程度こだわり持って修正できていた。

 消費面では積みゲー崩しが捗った。去年からプレイしていた「Skyrim」はメインと興味のあったクエストをクリア、その後積んでいたADVを崩した。XPでしかプレイできないゲームを何年も放置していた件についてずっと気に病んでいたが、遂にそれらを全て崩せたので気が楽になった。今積み残しているゲームは全てWin10でプレイできるので崩すのに緊急性はないのだが、例年プレイ意欲が低い方だったので今の勢いを利用して崩し切っておきたい。

 アニメ熱は「アイカツ!」が終わったことで益々冷えている。世間的には「君の名は」「ズートピア」「この世界の片隅に」「聾の形」と話題性のあるアニメが投入されて賑わった年だったが、私的に「金ローで見れば良いや」程度の印象だったので総スルーであった。「君の名は」については金ローでも見ない。世評を聞く限り新海作品の構成のアレさは解決しているのだろうけれど、今までの作品が今までの作品なので手を出す気になれない。

■創作
▽絵
・2月まで表情の描画練習

■消費
▽アニメ
・新規部門。
「タイムトラベル少女」……女子中学生が失踪した父から渡されたアイテムで電気の発明にまつわる偉人達の元へタイムスリップする教育SF。一貫した偉人への敬意と感謝、スットコドッコイなギャグでの親しみやすさ、丁寧な情報開示と話運びと隙の無い優等生な作品。水着姿の少女を自宅に招く偉人の絵面については思うところがないではない。後半は父と御影の動向に焦点が当たってマリと偉人の活躍が霞んだ点は寂しい。
「ユーリ!!! on ICE」……大敗を喫したフィギュアスケート特別強化選手の主人公が世界トップフィギュア選手をコーチに迎え、グランプリファイナル優勝を目指すフィギュアスケートもの。作画と音楽は頑張ってた。ユリオの試合に勝って勝負で負けた構図が楽しい。傲慢な強者キャラが好きなのでジャン・ジャック・ルロワがツボであった。

▽マンガ
・継続部門。「ナポレオン覇道進撃」……男臭い味付けでナポレオン・ボナパルトの生涯を扱った歴史もの。遂にランヌが退場。ナポレオンが塞ぎ込んでいるとの話を聞いてタレーランは「落ち込んでいればまだ見込みはある」と評し、実際ナポレオンは一部心を入れ替えるのだけれど、それでも史実的にフランス軍が下り坂であることに変わりはないという。辛気臭い話が増えて痛快劇ではなくなってきているけれど、その分だけドラマの毛色も変わってきていて面白い。

・新規部門。「ハーモニー(伊藤計劃/原作 三巷文/漫画)」……管理された健康・幸福社会で同時多発自殺事件が起きる。螺旋監察官の主人公が友の死の真相を明かそうと捜査に当たるSF。成年向けマンガ時代から三巷文さんの絵柄に惹かれていたので追っかけてみたところ、伊藤計劃原作がふつうに面白かった。よくあるディストピアものだけれど、斜に構えたトァンとぶっ飛んでるミァハに中二心を刺激される。

・後追い部門。「アドルフに告ぐ」……第二次世界大戦前後に、ヒトラー出生にまつわる極秘文書を巡った3人のアドルフの愛憎群像劇。本田大佐の役回りが気の毒であった。

・成年向け部門。「放課後のスキマ」「主従えくすたしー」「キャンディドロップ」「悪女考察」……画力と好みの絵柄。

▽小説
・新規部門。「撫物語」……漫画家志望の女子中学生が怪異現象解決に動く過程で自らの過去と向き合うこととなる青春怪異小説。時系列で、状況で、体調でキャラがブレて過去の自分と今の自分とが不連続に思えても、その結果の責任は当人が負うものである。さりとて過去の自分と今の自分とを同一視して踏み止まっていると錯覚するでなし、トライ&エラーで自分で自分を幸せにしてあげることを肯定する話。紆余曲折を経た撫子の未来志向の誓いが熱い。

・後追い部門。「つめたいオゾン」……お互いの感覚を共有してしまう奇病を患った少年と少女の数奇な日々をつづったファンタジー。取り戻せない喪失はあっても幸せを取り逃さない様に注意深く生きることを肯定する話。断絶には断絶の、同質化には同質化の苦しみがある。ヒロインの抱える問題はあまりに多くのものを失い過ぎて自分の人生を背負う気力が奪われてしまったことであって、彼女の不条理な境遇や特殊性はその核心ではないと思う。

▽実写
・後追い部門。
「アクト・オブ・キリング」……1965年のインドネシア9月30日事件での虐殺者、英雄として堂々と暮らす加害者が虐殺再現ドラマを演じる。結果として加害者が罪と向き合うまでを描いたドキュメンタリー。7年の取材を通して、殺しを自慢げに披露していた男が罪を悔いるまで気持ちを移ろわせていく様が面白かった。
「パシフィック・リム」……2人組の兵士が操縦するロボットで太平洋の海底から現れる怪獣を倒すSFアクション。清々しく前のめりで単純明快なアクション。巨大なものをぐわんぐわんと動かす画作りに見惚れた。

▽ゲーム
・後追い部門。
「パルフェ ~ショコラ second brew~ Standard Edition」……半年前に火災で店舗を失い休業中だった義姉経営の欧風喫茶を復活させようと、大学生の主人公が大型ショッピングモールのテナント誘致を引き受けるメイド喫茶アドベンチャー。外の世界と繋がりを保った上での連帯、問題の核心に切り込む勇気と忍耐を肯定する話。全ヒロインに好感を持てる優しい世界。美緒と玲愛と里伽子が気に入っている。シナリオ的に里伽子ルートは驚きの仕掛けはあるものの、由飛ルートの方が全体の展開として自然で幕引きも綺麗なので俺好みである。里伽子ルートはびっくり箱的面白さはあるものの、その後のダイジェスト風の解決にあまり心動かされなかった。他方、由飛ルートはパイプオルガンの伏線、回想のミスリード、トラブルにタイムリミットありとそこそこ仕掛けが凝っているし、強かな由飛がひと泡吹かせてくれる綺麗な幕引きは心に残った。
「羊の方舟」……地球に接近する巨大隕石を防ぐために、受けた力を同じだけの力で跳ね返す異能者をシャトルに乗せて隕石に向けて打ち出す極秘の計画が立ち上がる。その異能者は助からない。集められた3人の少年の中から犠牲となる1人を選ぶまでの7日間を描くファンタジー。取り返しのつかない喪失をした者達が愛する者のために生き場所と死に場所を見い出して救われる話。メリーバッドエンド群像劇。私的にウォルシュ組の加害意識よりアロイス組の愛憎の方が興味を引いた。アイにとってアロイスは愛する人であり、愛した人を殺した人であり、行き場を失った子どもへの愛情の矛先でもあるというややこしさが印象深かった。ウォルシュの境遇は他のフィクションで見たことのある凡庸なものに感じた。ビジュアル抜きになるが公式webページから途中まで読める。
羊の方舟 工画堂スタジオ
http://www.kogado.com/sw/contents/hitsuzi/title.htm

■抱負
 2年ほどはリアルの方の事情で創作に力を入れられそうにないので、細切れの時間で出来てかつ気力的消耗の少ない積み作品消費に注力する。

去年の抱負
・自分の絵柄を探りつつ特定キャラの喜怒哀楽の表情集をカラーで仕上げてうpする

 0勝1敗。自分が欲する絵柄をカタチに出来ていないが、喜怒哀楽の表情付けは少しマシになった。圧倒的に描いた量が足りない。

今年の抱負
・現環境で出来る積みADVを全て崩す

 今年は割り切って創作を捨て、積みADV崩しを加速させる。元々攻略サイトの利用に抵抗はないので詰まることはないのだが、遅読なので他所様よりプレイ時間は掛かる。さらに作中の事情・事件のメモや感想の記録に時間を費やすので崩しの遅さに拍車が掛かる。発想の自由さとトレードオフだが、メモのテンプレや感想の型はある程度できているので迷うことはあまりない。手早く話の流れと思考を整理して7割納得できれば良しとする。