さくやこのはな

まんがやアニメの元ネタっていうか、作品世界に織り込まれた神話・伝説・古典をゆるい感じで考察するよー。 いまのところ『咲―saki―』重点。忍殺もあるよ(予定)。

【ご注意】
ホットチョコレート作りを失敗しています。
ホットチョコレートの素を作成・販売しているお店を批判・中傷する意図はありません。
おいしく飲むためにはどうしたらいいか、ということを考察した記事になります。




 こんにちは。あおいです。
 いまから一年ほど前、『咲―Saki―』第170局に登場したお菓子(菫がファンの子からプレゼントされたのを照にあげてしまったあのお菓子)が三鷹の「エスプリ・ドゥ・パリ」という店のお品であることを指摘しました。詳細は以下の記事をご覧ください。

さくやこのはな 『咲―Saki―』第170局[菓子]のお菓子


 それから約一年。ついにそのお菓子(の一部)をゲットしましたのでご報告いたします。

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 これが!例のお菓子の詰め合わせの中に入っていた「ホットチョコスプーン」だ!
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 前の記事でも書いたんですけど、これは木製のスプーンの先にチョコレート…というかホットチョコレートの素が刺さっており、温めたミルクの中でスプーンをくるくる回すだけでホットチョコレートが完成するという夢のようなお品です。いまの時期にぴったりの、あったか~い飲み物ですね。
 私はチョコレートがめちゃくちゃ好きなので、この手の商品にもいろいろと目配りはしているのですが、チョコレート部分が円柱形で花を模したような形状のプラスチックの容器に収められているのはこのお店の商品のみです。他ブランドの商品はだいたいチョコが立方体なので。じつはお店の特定に際しても、このホットチョコスプーンの形状が大きな手掛かりになりました。そういうわけで、とても思い出深い商品なのです!

 そういう夢なら…(引歌表現)という気持ちで、さっそく電子レンジの飲み物を温めるモードでミルクをあっためて、ホットチョコスプーンを投入してみました。えいやっ!

 
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(背後の本棚やフィギュアが見えると私の趣味嗜好がバレてしまうのでポーチで隠しています。って冷静に考えればキッチンで撮影すればよかったよね…?)

 
 しかし途中でうまく溶けず、ダマができてしまう事態に。
 テンパってTwitter上で「助けて菫 ダマになってきた」と照口調で救いを求めたら、「その時点ではまだ照→菫は『親切な人』呼びなのでは」「第170局の段階で連絡先を交換していた可能性はあるんですか?」などとコメントされることなく心配してもらえました。良かったです。

 このような事態が発生した理由は、ミルクの温度にあります。
 私はカップにミルクを注ぎ、それを電子レンジのミルクなどをあっためるモードで温めましたが、それだとミルクの温度がまだ低すぎる上、カップ内に温度差ができちゃうっぽいですね。ミルクを沸騰する直前くらいまで温めたほうがよさそうです。それか、鍋にミルクとホットチョコスプーンを入れて加熱しながら溶かすとか。若干手間ですが、個人的にはこの方法がいちばん良いような気がしています。(澪院さんからも「鍋に牛乳を入れて沸騰寸前(むしろさせるくらいに)まで煮詰めるのが良さそうですね」というコメントをいただきました)

 そこでホットチョコレートの素をスプーンから外し、さらに1分ほどレンジで温めてみたところ、ちゃんと濃厚でおいしい飲料が完成しました。なお、ちょっと濃厚すぎるかもしれない(私はこの濃さが好きだけど)ので、気になる人はミルクを水で薄めておくとよいのでは。

 このお品、KAOKA社というところのオーガニックチョコレートを使って作られており(注)、苦味や酸味がしっかりとあって最高です。酸味があるブラックチョコレート大好きなんですよ。KAOKA社はフェアトレードの精神で運営されているので、カカオ農園で働く方の生活水準の向上にも貢献できますし…おススメ。今回は酸味が強いものを中心に3本買ったけど、追加であと数本買おうかな、って思っています。

 そういうわけで、
1、ミルクはしっかり、沸騰寸前くらいまで温める
2、文明の利器である鍋を使う
3、ダマができたらスプーンからチョコを外して再加熱

の3点を意識しながら、バレンタインや照の誕生日にホットチョコレートを楽しんでみてくださいね。
 以上です。


注…チョコレートショップにおいては仕入れてきたカカオ豆を焙煎したりすり潰したりしてチョコレートを作るのではなく、製菓用のチョコレートを元にアレンジを加えてゆく場合が多いです。豆から作るお店もありますが。

 こんにちは。あおいです。

 先日、阿知賀編の実写版を見てきました。
 公開日に2回見て、先週末にもう1回見てきました。
 そして気になる今週末ですが、名鉄百貨店のバレンタインフェアに『咲』第170局でおなじみのパティスリーであるエスプリ・ドゥ・パリが出店するため、照菫の思い出のお菓子を持って白糸台の応援に行こうと思っています。映画館に!


 この前置きからわかるように、個人的には大満足です。

 大好きな天木じゅんさん(小走やえ役)とRaMuちゃん(渋谷堯深役)が共演されていたこと。キャストひとりひとりが、原作への敬意と愛情が伝わる良い演技をされていたこと。Twitterやブログなどの発言から伝わる、制作陣の原作・役柄への思い入れ。原作のエッセンスを活かしつつリアルな女子高生に寄せた人物造型。ドラマ4回、映画1本に収めるべく行われた原作の解体と再構築、その秀逸さとわかりやすさ。オリジナル要素の最高さ。阿知賀かわいい。シズアコちゃんかわいい。千里山カッコいい。新道寺すごい。白糸台マジ白糸台。主題歌も超いい。(だんだん語彙力が低下する)
 小沼監督、脚本の森さんをはじめスタッフの皆さま、キャストの皆さま、ほんとうにありがとうございました。憧ちゃん役の方がTwitterにあげてくださったシズアコポッキーゲーム動画も楽しく拝見しました。ちょーかわいいので未見の方はぜひ!なんか、キャストさんが二次創作界の最大手になってませんか?(個人的にはとてもすばらなことだとおもいます)

 なお、作中で照が食べていたお菓子を全部特定したかったんですが、スナック菓子をふだん食べないため全然わからずに作業が難航しております…。とりあえず、机の真ん中あたりに置いてあったゼリー(本当はプリンらしい)はこれです。宮永姉妹の仲たがいの原因について「咲が照のプリンを食べてしまったから」という説がまことしやかに出回っていますが、一口サイズのプリンが複数個あれば喧嘩にならず安心ですね!

 さて、これで終わるのもなんなのでちょっと真面目な感想を書きます。私は阿知賀編の中ではシズアコの組み合わせが大好きなので、このふたり――ことにシズを中心に、思ったことや考えたことを記してみたいと思います。

 実写・阿知賀編においては、シズの「山を駆け回る少女」としての側面が強調されていました。
 そのいっぽう、シズの能力に関わる修験道関係の用語・モチーフについては、直接に言及されないか、ぼかしたかたちで表現されています。しかし、それは単なる「省略」や「朧化」ではありませんでした。どういうことなのか、以下で詳しく見ていきます。

 原作6巻、大将戦後半の南一局。穏乃は以下のように述懐します。

「あの頃 山の中でひとりでいることが多かった――
 だからこそ 自分自身というものをハッキリと感じ取ることができたし
 色々と考える時間ができた気がする
 いつか意識は自然の中に溶け込んで――
 深い山のすべてと一体化しているような
 そんな気分にもなったんだ
 今――
 牌の山も対戦相手も
 あの頃の山のように感じる――!」(P152~155)

 そしてこの後、蔵王権現の光背をまとって和了り、トップに立つこととなります。
 いっぽうそのころ、衣ちゃんは咲さんにこう語っていました。

「(シズは)修験者は修行のために歩いた深山路――
 そこを修行ではなく庭のように駆け回っていたという」
「その幽邃の地でひとり――
 しずのは何を感じ取ったのか――」(P136)

「現実の修行の山路も 
 有為の奥山も越え 
 その先にいる 
 深山幽谷の化身――」(P164~165)

 衣ちゃんは実写映画に登場しないため、当然ながら修験者とシズを重ね合わせた台詞はすべて省略されています。「深山幽谷の化身」という表現が淡ちゃんの心内語の中で用いられてはいますが…(よく四字熟語なんて知ってたな…)。しかし衣ちゃんの台詞はシズの心内語やハルエのシズ評の中に、よりわかりやすい形で反映されているように思います。

 修験道において、修験者たちが「現実の修行の山路」を「越」えようと試みるのは、山を征服するためではありません。彼らの目的は、深山という鍛錬の道場で修行を行い、力を獲得することにあります。山は自らを鍛え、高める場所なのです。そして衣ちゃんが「現実の修行の山路」と並列させていた「有為の奥山」とは、『日本国語大辞典』によれば「無常なこの世の中を、越えにくい深山にたとえたもの」でした。よって衣ちゃんの台詞は、シズが「山と同じ」と感じた「牌の山」や「対戦相手」との関わりの中において成長し、力を得てゆく存在である…と言っていることになります。

 そうしたことをより平易に表現したのが、以下の映画オリジナルの台詞でしょう。

1、ハルエが大将戦で健闘するシズに対して、「目の前にいるのは敵じゃないんだね」と語りかける。
2、シズがP152~155の心内語につづけて「今まで出会った人たち、今目の前にいる人たち」が「山」と同じく、「ふれるほどに私の力になる」と述べる。


 これらの台詞によって、高鴨穏乃という少女の輪郭、人物像がより明確になりました。映画ではじめて阿知賀編にふれる人が、修験道云々を知らなくても、戦いの中で成長するといういかにも主人公らしい資質を有した存在として理解することができるようになったのです。原作におけるシズ像から逸脱することなく、初見の人にもわかりやすいシズを描き出した、秀逸な構成・脚本だったと思います。

 ところで。シズの誕生日(4月8日)は、旧暦では修験者が吉野の大峰山に登って修行する「大峯入」の日でもあります。映画を見てふと思ったことですが、彼女がこの世に生を受けたことそのものが、「有為の奥山」への入峰修行といえるのかもしれません。
 映画は、憧とシズがハルエの「こども麻雀教室」に足を踏み入れた場面によって結ばれます。そのとき、憧は積極的に行動し、自分から元気に自己紹介します。しかしシズは憧の後をついて歩き、憧に促されてようやく自己紹介を行うのでした。人付き合いが苦手そうな、ちょっと陰気で冴えない少女――それが麻雀を始める前のシズなのです。
 シズがその後、明るく元気な山ガールへと成長し、皆を引っ張ってゆく存在にまで変化を遂げていったのは、こども麻雀教室や阿知賀女子麻雀部の影響でしょう。「有為の奥山」における出会いや別れ、再会などが、シズの能力や雀力のみならず人格をも大きく成長させていることが伺えます。それはED「春〜Spring〜」の歌詞内容にも通じるものだったりして。
  
 そして、いまからすごく大事なことをいいます。そんなシズと一度は袂を分かったものの、阿知賀女子麻雀部創設の際に戻ってきてずっとシズの側に寄り添っている憧ちゃん。彼女の誕生日である5月17日は、阿知賀編の漫画が完結した2013年においては旧暦4月8日(大峯入の日)でした。

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 旧暦(太陰暦)と新暦(太陽暦)にはおよそ1ヶ月から1ヶ月半くらいの差があり、常に同じ日に対応しているわけではありません。今年の5月17日は旧暦に換算すると4月3日になります。しかしこの誕生日の対応は、ふたりが表裏一体の存在であることを示唆します。あるいは、それぞれの暦が拠っている月と太陽のような、相互に補い合う存在であることを。詩的な表現を用いるなら「半身」とか「魂の片割れ」ということになるでしょうか。
 
 そんな二人だからこそ服だって交換するし、ドラマ3話でシズは憧をおぶって山路を越えるけど、大将戦という「山」を越えたシズは今度は憧に抱き上げられるわけで…
 なお、次に新暦5月17日が旧暦4月8日に対応するのは2051年だそうです。
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そのときまでずっと仲良く、「有為の奥山」を背負い背負われしながら進んでいってほしいですね…。


 以上です。

 寒くなってまいりましたが、みなさまお元気でしょうか。単行本は買われましたか。BGは、YGは読まれましたか。阿知賀編実写の放送がはじまりましたが、楽しんでいらっしゃいますでしょうか。


 書きたいことはいろいろあるのですが、今日は『咲―Saki―』182局の扉絵についての妄想を垂れ流してゆきたいと思います。えっと、残念ながら1ページ目の話ではないです。見開きです、そのあとの見開きを見てください! 



 大きく描かれたシズアコと和、そしてその後ろに咲、淡、優希。さらにほんの小さく、ネリーの帽子とビキニ姿のハオちゃんらしきものがフルカラーで描かれたこの見開き! 


 立先生曰く、扉絵は物語内の過去や未来の一場面を切り取ったものだということなので、この見開きはおそらく全国大会終了後のできごとを描いたものということになります。決勝卓で邂逅した四校の一年生たちが一堂に会し、海水浴を愉しむという幸せな光景。
  アニメ一期最終話のEDや時折挟まれる宮永姉妹関係の回想は、決勝で何か不穏な事態が起こることを予感させます。しかし物語は少しずつでも確実に、この幸せな未来に向かって進んでゆくのです。そのときを楽しみに待っていたいですよね…本当にありがとうございます立先生。何より、




 ハオちゃんの水着姿のカラーをありがとうございます!さっそく拡大して待ち受けにしました!これは『咲日和』の特典のお風呂ポスターの水着ではないか、と教えていただきました(注1)。本当にありがとうございます。もっと解像度の高いハオちゃんの水着が見られる日まで頑張って『咲』を追いかけてゆきたいと思います。 


 さて、このビーチは三重県北牟婁郡紀北町の「和具の浜海水浴場」だそうです(注2)。三重県の中でもかなり和歌山に近いところ、熊野三山への参詣路であった熊野古道があるあたりですね。そして、決勝一年生メンバーのなかで三重県に縁があるのは和ちゃん。16巻に、和ちゃんのお母さんの嘉帆さんの出身地が三重である旨が記されています。
  すると、決勝一年生メンバーが泊まっているのはもしかして嘉帆さんの実家なのではないでしょうか。何となく松阪や伊勢志摩あたりをイメージしていたのですが、この近辺である可能性は否定できません。
 なお、地図アプリや乗換案内アプリでちょっとルートを調べてみたんですが、このメンバーが主に公共交通機関を使用して三重に行くとすると、名古屋で清澄&東京組が合流→三重県の松阪(松阪牛で有名。伊勢のすぐ上にある)で阿知賀組が合流→原村家の車で嘉帆さんの実家へ…という流れになるのではないかと思います。いかがでしょうか。 

  iPhoneのマップアプリで検索した茅野から紀北町までのルート。



 白糸台から紀北町までのルート。

  吉野から紀北町までのルート。

  

 そういえば、この扉絵を見ながら行った妄想をSSに起こしてみました。妄想とか大丈夫な人だけ読んでください。よろしくお願いします。


①名古屋で清澄&東京組が合流(『シノハユ』関係の捏造設定があります。ご注意ください)

優希「ここが噂の名古屋だじぇ!」
咲「これがタカシマヤ…すごい人だね。迷子になっちゃいそう」
優希「咲ちゃんは道に弱いからな。私のクーラーボックスのベルトをしっかり握っているといいじぇ」
咲「うう」
優希「あ、淡ちゃんから『東京組三名、ナナちゃん人形の前で待つ』って!咲ちゃん、ナナちゃん人形って知ってるか?」
咲「うん。おばあちゃんの知り合いにナナさんって人がいるんだけど、その人が前に言ってた。名古屋には私と同じ名前の大きな人形があるのよ、って」
優希「おっ有力な情報!そのナナさんは他に何て?」
咲「その人形、普段は全裸なんだけど、イベント時にはいろいろコスプレをさせられるんだって…」
優希「他には?」
咲「それだけ」
優希「あんまり頼りにならない情報だったじぇ…あれ?」
ネリー「あ」
淡「サキ!」
ハオ「こんにちは。おひさしぶりです」
淡「サキー!サキサキー!うん、テルーと同じシャンプーの匂いがするー♡」
咲「淡ちゃん、くっつきすぎ…暑い…」
優希「三人がここにいるってことは、この金色の時計がナナちゃん人形か?」
ハオ「それなんですけど」
ネリー「あまり言いたくないことなんだけど」
淡「地下街でごはんを食べて、いざナナちゃん人形へ!と思ったら迷っちゃったんだよねー」
咲「みんな迷子かあ…」

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②松阪で阿知賀組が合流

憧「やっほー」
穏乃「ハムハム」
憧「しず、さっきからお菓子食べてばっかり。挨拶くらいちゃんとしなよ」
穏乃「いやーごめん。そこの売店で売ってた松阪牛チップスが美味しくてさ」
優希「ならばお詫びにこのタコス一個とチップス20枚を交換してもらうじぇ」
ネリー「それ、等価交換になってないよね」
咲「っていうかそのクーラーボックスの中身、タコスだったんだ」
優希「皆にもタコスの美味しさを知ってもらおうと思ってな!」
ハオ「確かに美味しいですね」
淡「うん、やみつきになりそうな感じ」
ネリー「高く売れそう」
穏乃「高かったよ。確か700円くらいだったかな」
優希「チップスもいいけどタコスも評価して!!!!」

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③駅から車で嘉帆さんの実家へ(捏造設定があります。ご注意ください)

嘉帆「じゃ、二組に分かれて私たちの車に乗ってね。和は――お父さんのほうに乗ってあげて」
和「はい。咲さん、優希、行きましょう」
咲「う、うん…(和ちゃんのお父さん、ちょっと怖いな…私たち、歓迎されてないのかも)」
優希「わかったじぇ(なんかしかめっ面で恐ろしいお父さんだじぇ…)」
淡「サキがそっちの車に乗るなら私もー」
穏乃「大星さんはこっち」
淡「えー?」

   ・
   ・
   ・

咲(車に乗り込んでから15分、ずっと空気が重いよ…どうしよう)
優希(のどちゃんが話を振っても全然乗ってこないし…)
咲(淡ちゃんがいたらもうちょっと雰囲気が和らいだかな…)
恵「和」
和「何か?」
恵「優勝――したんだったな」
和「はい。約束通り、私たちはインターハイで団体戦優勝を勝ち取りました。だから私、東京には行きません。中学で友達になった優希と、高校で出会った咲さんと、それから麻雀部の皆さんと共にこれからも麻雀を続けます」
恵「しかし向こうの車に乗ったうちの三人は東京の強豪校の子だと言うじゃないか。東京にだってお前の友達がいる、恵まれた環境もある。何より東京に行けば、お母さんと一緒に暮らすことができる。それなのになぜ、長野に拘泥する?」
優希(…どうしよう)
咲(和ちゃん…)
和「それは――」
咲(和ちゃん、頑張って)
和「たぶん、お父さんが家族で暮らすことに拘るのと同じ理由です」
恵「和」
和「お父さんがお母さんと一緒にいたいと思うように、私にだって、ずっと一緒に時間を過ごしてゆきたい人が、人たちがいます。この気持ちはお父さんの願いとは相入れないものですし、親に養ってもらっている未成年の身の上でこんなことを主張するなんて良くないのかもしれません。でも――私は咲さんと、それからみんなと一緒にいたかったから、約束通りインターハイで優勝しました。それとも、口約束は約束ではないのですか?」
恵「……ははっ」
和「お父さん?」
恵「あんなに小さかったお前が、こんなことを言うようになるなんてな」
和「お父さん」
恵「私は車の運転が苦手だった。免許を取ったはいいが、交通マナーを守らない輩のイレギュラーな動きが怖くてな。一生ペーパードライバーでいい、公道には出るまいと固く誓った。18のときだ。でも――その一年後、私は深夜にレンタカーを借り、震えながらこの道をひたすら走っていた。どうしてだかわかるか?夏休み、実家に帰った嘉帆のもとに行くためだ。恥ずかしながら、休み前に小さなことで喧嘩をしてしまって――そのまま音信不通になり、友人からは嘉帆は帰省したと聞かされた。当時の私は、ここで彼女を追いかけなければすべてが終わってしまうと思った」
和「それで、どうなったんですか?」
恵「お前がここにいる。それが答えだ」

    ・
    ・
    ・
咲(そのあとも無言の時間がつづいたけど――和ちゃんのお父さんがまとう雰囲気は、すこし柔らかくなったように感じました)






 妄想です!
 お付き合いいただいてありがとうございました。終わりです。



1…「私的素敵ジャンク」のhannoverさんの、Twitter上でのご指摘による。
2…ステルスだーはらさんの、Twitter上でのご指摘による。

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