こんにちは。また今回も『シノハユ』についていろいろ書き綴ってゆこうと思います。
 あ、妄言郷さんが、「【シノハユ】一索とかからツラツラと妄想」という記事の中で拙ブログを取り上げ、前回の考察内容を深めてくださいました。ありがとうございます!今後のご考察も楽しみにしております!

 さて、今日は『シノハユ』に関係しそう?な、動物について。


 ◆「おかーさん鳥」は何の鳥?(未解決)◆

 86・88頁に描かれた二羽の鳥の種類をみんなで考えよう。という企画。
 絵を見る限り、背中側と尾羽は暗い色(黒か茶色?)。翼の裏側と腹が白い。翼の雨覆も白いみたいです。くちばしと翼の感じから、なんとなくカモ科じゃないかという感じがします。
 ここは宍道湖に近い場所のようですが、宍道湖には冬に多くの水鳥が飛来する地のよう。おそらくこの二羽も、宍道湖にやってきた水鳥の一種なのではないでしょうか。宍道湖周辺に多い鳥の一覧はこちら
 この中で比較的似ていなくもない鳥としてはマガンキンクロハジロヒシクイが挙げられますが、いずれも白い羽毛の位置が異なるんですよね…。
慕ちゃんの見た鳥の種類に心当たりがある方はご一報くださいませ。

 さて、古代・中世の和歌や散文作品における水鳥の例は、水鳥を「つがい」として描いたり、「つがい」を持たない孤独な水鳥と登場人物の境遇とを重ね合わせるものがほとんどです。
 ただ、『シノハユ』同様、水鳥が「親」の記憶を喚起する例も存在します。それは『住吉物語』という作品の一場面。内容は、母をはやくに亡くし、継母にいじめられていたお姫様が素敵な男性と出会って幸せになるといういわゆるシンデレラストーリー。そこに、家を逃げ出して住吉に暮らすお姫様が水鳥の声を聞いて家族を思い出し、父たちに手紙を書く、という場面があります。

住の江には、霜枯れの芦こほりにむすぼれたる中に、水鳥の上毛の霜はらひもあへず鳴く音につけても、思ひ残すことなかりけり。(姫君)「中納言殿よりはじめて、かたへの人々、いかにおぼしなげくらむ。親にものを思はせたてまつるは、罪深きことにこそ。生きてありとばかりは知らせたてまつらむ」(武山隆昭校注『住吉物語』63頁)

 シチュエーションがかなり異なりますが、まあ、こんな先例があったよってことで。

◆イワトビペンギンと閑無ちゃん◆

 次に、麻雀を「勝つためにやっている」少女、石飛閑無について。
 彼女の姓、「石飛」から連想される鳥がいます。それはイワトビペンギン。ペンギン科マカロニペンギン属の近縁三種の総称で、頭に黄色い羽根がついていることで有名です。
 このイワトビペンギン、学名を「E. chrysocome 」というのですが、これは「金色の毛を持つ」という意味だそう。閑無ちゃんが「金髪」として描かれるのは、その姓から喚起されるイワトビペンギンのイメージに由来しているのではないでしょうか?
 なお、「ペンギン」に着目すると、ちょっと面白いことがみえてきます。

 Cat in the boxさんが「シノハユ考察:石飛閑無を読み解く」という記事で、風越せば池田が出上がるさんの指摘をふまえ、次のように仰っています。

閑無ちゃんが人の手によって創作されたキャラクターである以上、
その名前にも、なんらかの意図が込められている可能性は高いです。
特に咲-Saki-は、「名は体を表す」というキャラが非常に多い作品。
そして閑無ちゃんは、原村和と似た立ち位置の超重要人物。
「閑無」という名前には、
明確な意味が込められていると考えていいのでしょう。

ここで注目したいのが、
「閑無」の「無」という文字です。

閑無=のどか「ではない」

つまり、原村和とは正反対なキャラクターである
と考えるのが、真っ当な読み方なのではないか。
そう思ったわけです。


 さて…この原村和さんのアバター・のどっちには羽根が生え、天使のような姿で空を華麗に舞ったりしています。彼女が打つときに抱いているのは「エトピリカになりたかったペンギン・略してエトペン」というぬいぐるみ。
 いっぽう閑無ちゃんは、その名に、空を飛べない「ペンギン」のイメージを負っている。彼女は鳥に関係するグッズを持っていないようですが、かわりに慕ちゃんが、美しい伝説の鳥である鳳凰(あるいは孔雀)が描かれた一索を持っています。孔雀はともかく、鳳凰なら空を飛べますね…。

和…アバターに羽が生え、空を飛ぶ         /飛べないペンギンのぬいぐるみを抱く
閑無…空を飛べないペンギンを連想させる名前  /のちに彼女のチームメイトとなる慕が鳳凰(飛べる)を描いた一索を大切にしている

 和と閑無は、名前だけではなくこういった点においても対照的。


◆リチャードソンという名前の小動物をめぐって◆

疲れていたので適当に「リチャードソン」とgoogleの検索窓に打ち込んでみたところ、リチャードソンジリスという小動物がヒットしました。何これ。かわいい。

「なでなでするとチュンチュンなくリチャードソンジリス」ひどい。ずるい。かわいすぎる。




「ある朝、リチャードソン(本名・こーすけ)が気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の小動物に変ってしまっているのに気づいた。彼は上質の毛布のように柔らかい背中を下にして横たわり、頭を少し上げると、ふわふわの毛に覆われた自分の茶色の腹が見えた。腹の盛り上がりの上には、かけぶとんがすっかりずり落ちそうになって、まだやっともちこたえていた。ふだんの大きさに比べると情けないくらいかぼそくて愛らしい四本の足が自分の眼の前にちんまりと光っていた。

「あの部屋のなかで何か落ちる音がしましたね」と左側の隣室で質屋がいった。リチャードソンは、けさ自分に起ったようなことがいつか質屋にも起こらないだろうか、と想像しようとした。そんなことが起こる可能性はみとめないわけにはいかないのだ。だが、まるでリチャードソンのこんな問いに乱暴に答えるかのように、隣室の質屋は今度は一、二歩しっかりした足取りで歩いて、彼のエナメルの靴をきゅうきゅう鳴らした。リチャードソンに知らせるため、右側の隣室からは慕のささやく声がした。
「おじさん、お友達がきているのよ」
「わかっているよ」と、リチャードソンはつぶやいた。


カフカ作品めいた事態からはじまる、薄い本の可能性はまさにムゲン!個人的にはリチャードソンジリスに変わってしまったリチャードソンを質屋がナデナデする展開を希望しています。がんばれリチャードソン。

追記:深夜のテンションで上記のように書きましたが、閑無ちゃんが慕にきついこと言いつつ、リチャードソンジリスの世話の仕方を教えてくれる話の方が魅力的だと思いました。