おひさしぶりです。
 前回の記事で問題にした「ネット上で行われる漫画のネタバレに対する出版社の対応」についての続報がなく、当ブログにも何の勧告もないため、いろいろ気を付けつつ更新を再開しようと思います。コメントでいろいろご教示くださった方、本当にありがとうございました。
 実は身内の中でごたごたがあって、この上私までもトラブルを抱えてしまっては…ということで、しばらく自粛しておりました。ブログに対する私の態度は他のブロガーさんの姿勢を批判するものではなく、私的な事情が大きいです…その点、ご了承いただければと思います。

 さて。そういうわけであらためて更新。
 本記事には咲全国編アニメ13話(最終話)の重大なネタバレが存在しますので、未見の方はご注意ください。
 なお、記事中の画像は考察のために用いたものであり、アニメのキャプション画像の著作権は権利者様に帰属します。何か問題がありましたらご連絡いただければと思います。
 そして、前のブログデザインだとタイトルの横に画像一覧が出てしまうので、デザインを変更しました。これで不快な思いをされる方は減ったと思いますが…これについても何かありましたらよろしくお願いいたします。

 
画像1


 成香ちゃんの影を求めて北海道物産展に行きまくっていたところ、こういう商品を見かけました。成香ちゃん、美味しいキャラメルがあるよ!こっちにおいで!



























◆◆以下からネタバレです◆◆



 13話の最後に、アニメ一期同様、「今後の展開のダイジェスト」が流れました。そこに出てくるのは現在YGの連載において進行中のBブロック準決勝であり、半分くらいは原作を読了したひとなら「ああ、あの場面か」と理解できるカットでした。が、そこで今後の準決勝の展開を示唆するようなカットもいくつか。
 なにより驚かされたのは、現在明華ちゃんがトバそうとしている揺杏が無事生き残り、副将戦、大将戦も行われそうだということ。なんだかキラキラしたユキちゃん、荒野を背景にすさんだまなざしをしたネリー(一期のあの楽しそうに空を飛んでいたネリーはどこに行った)、そして禍々しい赤のオーラと水のイメージを纏った爽、末原先輩と咲さんの対決っぽいカット…などが出ていました。ダイジェストの順番からしてユキ副将、爽大将のよう。当ブログの予想がまたしても外れたという…

 気を取り直して。
 今回はその中でも、有珠山のユキちゃんのカットを取り上げ、彼女について再考してみたいと思います。



 ではまず、こちらの画像をご覧ください。
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 キルラキルの「人衣一体」ではありません。ユキちゃんです。キルラキルの「神衣(かむい)」って確かにアイヌ語で神を意味する「カムイ」に着想を得たっぽい語ですが、彼女が身に着けているのは有珠山高校きってのヤンキーっぽさを誇る揺杏が制作した改造制服です。成香ちゃんがスカートのスリットを見て「ちょっと怖いです」と発言したアレです。のどっちと野依さんがはやりんと戦うときに着る衣装じゃ、ないからね…?(声優ネタ)

 ユキちゃんはセーラームーンの変身ポーズのような奇妙なポーズで右手に牌を構え、その周囲に虹色のオーラと、キルラキルめいたキラキラしたエフェクト(って言ったらいいんでしょうか)をまとっています。このエフェクトの形状は、輝きや星にも十字架にも見えますが、恐らくは両方の意味をもつと思われます。(詳しくは後述)
 それからよく見ていただきたいのが、この虹色のオーラの中に三角形(正三角形)がいくつも散らばっていること。するとこれは万華鏡かステンドグラスを元にしてデザインされたオーラのように思えますが…
 実は三角形はルネサンス期の美術において、三位一体、すなわちキリスト教の父なる神、その子であるイエス・キリスト、そして聖霊の三つの位格がひとつであることを表すものでした。なお、父なる神が三角形の後光をつけて描かれる例もあるそうです(ジェイムズ・ホール『西洋美術解読事典』 河出書房新社、1988、「三角形」項、「三位一体」項)。そのことが、このユキちゃんの背景に影響を与えているんじゃないでしょうか。
 この「三角形」の表現により、彼女がキリスト教的な「神の力」を行使する存在である可能性はいっそう高くなったかと。あ、そういえば、ユキちゃんの髪飾りじたいも三角形でしたね。彼女、「三位一体」を意識して、あの飾りを付けてるのかなあ。

※三位一体の図像学的表現、三位一体と三角形についてもっと知りたい方は以下のサイトを参照のこと。
Wikipedia-プロビデンスの目(よく秘密結社の陰謀論とかで目にするあのマーク。ただ、もっと古い歴史があるそうなのよ)
キリスト教の基礎知識 巡礼の手引き―三位一体

 それから、彼女の謎ポーズですが、実はこれにもちゃんとした意味がありました。
 牌を持った右手に注目。人差し指と中指で牌をはさみ、薬指を折り曲げて親指に近づけています。えっと…持ちにくそうですね?どうしてわざわざこんなに面倒な持ち方を?

 実は、右手の指を同じようなかたちに曲げたキリストの図像があります。比較的似てるんじゃないかな、と思われるのが、玉川大学教育博物館蔵「パントクラトールのキリスト」や、トルコのイスタンブール、アヤソフィアにある「キリストと皇帝コンスタンティノス九世、皇后ゾエ」といったイコン。以下にリンクを貼っておきます。

玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介―パントクラトールのキリスト
玉川大学教育博物館 イコン―パントクラトールのキリスト

Wikipedia―アヤソフィア 内の「キリストと皇帝コンスタンティノス九世、皇后ゾエ」画像へのリンク

 玉川大学教育博物館によれば、この指の折り方には以下のような意味があるそうです。

右手の人差指は「Ι」、少し曲げた中指は「С」、薬指と親指を合わせて「Х」、小指を曲げて「С」、すなわちイエス・キリストを表す「ΙС」「ХС」の神聖4文字を表し、キリストの祝福を意味する。
 
 というわけで、ユキちゃんの謎ポーズのうち、牌を持つ右手の指に関してはキリストの祝福を意味することがわかりました。なお、この指のかたちは現代でも、正教会の司祭が指で十字を描いて信徒を祝福する際に用いられています。そうすると彼女の周りに乱れ飛ぶ十字のきらめきには、やっぱり「十字架」としての意味がありそうですね。

 あ、このユキちゃんの右手、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像にも似てます。っていうか、実は、最初に思い至ったのがこちらのほうでした…
 弥勒菩薩は仏教に取り込まれる前はミトラ神といって、キリストのイメージにも影響を及ぼした存在ですし、広隆寺を建てたのは渡来人の秦氏。ネストリウス派キリスト教を信じていたという説もあります(事実かどうかは不明ですが)。もしかすると未来仏である弥勒菩薩のイメージも、ユキちゃんの造型に影響してるかもしれないですね。え?怜?

 以上のことから、信仰熱心で「パウロ」の名前と聖句の出典がすらっと出てくるユキちゃんはやっぱりキリスト教的な「聖なる力」を行使する存在だったようです。するとBブロック副将戦は「オカルト」を信じないデジタルの申し子であるのどっちと、神の奇跡を行使するユキちゃんの対決、ということになりそう。アイドル対決としても、信条をめぐる対決としてもなかなか興味深いです。

 しかし大将の爽さんについては……放映をご覧になった方はわかると思うんですが、なんかめっちゃ禍々しいオーラが出てるんですけど……バックに赤いライオンともなんともつかない、変な生き物っぽいのがいるし……その生き物の片目のような部分が光ってるし……コワイ!成香ちゃん、あんなオーラ出す三年生と一緒に部活やってるくせに、先鋒卓で「怖いです」を連発してるの?どういうことなの?
 明日か明後日、この彼女のまとうオーラが意味するものは何なのか、についての仮説を示したいと思います。先に結論を先取りして言っておくと、爽は「キリスト教的な終末のイメージ(黙示録に描かれたイメージ)」に由来する能力をいくつも持っている存在で、あの画像は彼女の能力のうちのひとつを切り取ったものに過ぎないんじゃないかな、と。なぜなら、チカちゃんがイメージしていた能力行使時の爽の姿と、あの画像から導かれる彼女の元ネタは相反するもののように思えるので。姉帯さん同様に能力をたくさん持っているからこそ、彼女は圧倒的なエースになりえたのかもしれません。

 では、そういうわけでまた次回。 

(もしかしてもうふたばあたりではユキちゃんの元ネタの特定は済んでるのかもしれませんが、過去ログを見る時間がないので…すみません) 


追記:ユキちゃんのお誕生日である10月9日の聖人、聖ドニを記念するパリのサン・ドニ大聖堂。ここは王家の墓地であり、そして見事なステンドグラスがあることで非常に有名なのですが…そのバラ窓のステンドグラスがちょっとユキちゃんの背景に似てなくもない…かも?
 ステンドグラスの下のほう、三角形が集まって円を作っているところがそこはかとなく似ているような。どうでしょう? 
 ユキちゃんの画像については、アニメでは今後のネタバレ防止のために「光背・オーラが形成される途中、あるいは崩れたあとを描いた」可能性もあるので 、この状態が彼女の光背・オーラの完全な姿とも言い切れないんですよね。(なんか無茶なこと言い始めたぞ)(だれかとめて)

追記2:イコンの名前が間違っていたので修正しました。「パントラクールのキリスト」とか書いてましたが「パントクラトールのキリスト」が正解です。申し訳ありません。