こんにちは、あおいです。
 前回はなんだか微妙な感じの記事になってしまって申し訳なかったです。なぜユキちゃんが「左手」を使ったのか?ということにうまく説明がつけられず、「左手って基本的に神に反する存在が悪を行うときの手だって偉い学者さんたちが言ってるしー…でもユキちゃんの左手には神の御名が浮かび上がってるから、聖なるパワーで輝くツモを掴んでるとしか思えないんだよなー…」とぐるぐる考えておりました。
 しかし某お船のゲームの冬イベ攻略もそこそこに頑張って考えた結果、いい感じの結論を思いついたのでここで発表いたします!あと全然関係ないんですけど今回の新艦娘に成香ちゃん+揺杏+爽みたいな感じの子がいませんか…?どう思います…?


 ◆ユキちゃんの名字と名前から連想される存在とは?◆
 当ブログは元々、『咲』キャラの名前を手掛かりにその元ネタを考察するブログでした。ですから今回もこの基本に立ち戻り、そこから何が見えてくるのかについて考えます。ということで、まずユキちゃんの名前を見てみましょう。 

 真屋 由暉子。まやゆきこ。 今回着目したいのは、漢字ではなくその名字と名前の読みです。

 まず、「まや」という名字は神の子であるイエス・キリストを人としてこの世に産んだ女性、マリアを連想させるものです。彼女はローマ・カトリックや聖公会において「聖母」や「神の母」、日本ハリストス正教会においては「生神女」という称号で呼ばれ、崇敬(信仰ではない)をうけています。キリスト教の一部教派において、イエス・キリストをめぐる人々の中でも特別な存在として位置付けられている人物――それがこの「マリア」なのです。
 『新約聖書』の四つの福音書(ざっくり説明すると、キリストの生涯や教えについて弟子たちがまとめた四種類の文章)によれば、彼女は神に選び出されて男性を知らないままキリストを産み、およそ三十年ののち、その十字架上での死を見届けるという運命を辿ります。なお、マリアを尊崇する教派においては、彼女はその生涯の終わりにおいて肉体ごと天にあげられた、とされることが多いです。
 
 そして日本の長崎には、「雪のサンタ・マリア」と呼ばれるこの聖母マリアの絵と、マリアが六月に雪を降らせる奇跡を起こしたという伝説が伝わっています。この絵と伝説については以下の記事に詳しい説明がありますのでご参照のほどを。 さわらび通信―奇跡の伝説と秘伝の聖画=「雪のサンタマリア」 
 日本の隠れキリシタンたちが細々と語り継いできたのであろうこの伝説の中で、マリアが「丸屋」という漢字で表現されていることも注意。
 
◆マリアの戴冠をめぐる図像表現―「マリアの右手の側/左手の側」◆
 そして、先に掲げたサイトに載せられている「雪のサンタマリア」の絵をよく見ると、マリアが冠っぽいものを被っているのがわかるでしょうか。絵の損傷や汚れの関係でちょっとわかりにくいですけど…

 この冠、マリアをたたえてその絵に後から付加されることも多いのですが、本記事では、マリアに「冠が被せられる」ことを題材に取った絵画がルネサンス期のヨーロッパを中心に描かれていることに注目したいと思います。え?ユキちゃんの左手に神の名が浮かぶことと全然関係なさそうじゃないかって?ちょっとまってください。そしてこの絵を見てください。これは『フランダースの犬』のせいで日本ではやけに有名になった感のあるルーベンスによって制作された「聖母マリアの戴冠」という絵です(ベルギー王立美術館蔵)。
 この絵の中では、天に昇ったマリアが三位一体(父なる神、子であるキリスト、聖霊が一体であるということ)の神によって冠を授けられています。マリアの頭上には白い鳩が見えますが、これは神から遣わされる霊であり神そのものでもある「聖霊」をあらわします。リンク先の記事では「精霊」と表記されていますが、これは間違いなので注意。そして、月の上に座るマリアの右手の側には赤い衣をまとった若い男性――キリストが、左手の側には父なる神がそれぞれ立って、マリアに冠をかぶせているのです。
 同様の構図を持つ絵はこれひとつだけではありません。ほかにもカラッチエル・グレコベラスケスが、マリアの頭上に鳩の姿をした聖霊、マリアの右手の側にキリスト、左手の側に父なる神を描く、という構図の「三位一体の神による聖母戴冠」を描いています。画家の名前のところに画像のリンクを張っておいたので、興味のある人は見てくださいね。


 ユキちゃんの左手に父なる神の御名が浮かび、そして「輝くツモ」を掴む、という表現は、「雪のサンタ・マリア」の王冠の縁で連想される「聖母の戴冠」の構図から発想されたものなのではないでしょうか。
 前の記事にも書きましたが、「輝くツモ」を彼女が左手で掴むとき、右手の指はキリストの祝福のポーズと同じようなかたちに曲げられています。そのことから彼女の右手は、「子であるキリスト」を象徴している可能性が高いです。そして彼女が封じていた左手に父なる神の名を浮かび上がらせ、右手と左手がそれぞれ「子であるキリスト」と「父である神」をあらわすものとなるとき、彼女に冠のごとく「輝く」ものがもたらされる――そういうことなのかもしれません。

 ただし、『旧約聖書』の『出エジプト記』でモーセが神から与えられた十戒に「神の名をみだりに唱えてはならない」 とあります。父なる神の御名にかかわる能力が一日一回しか使えないのは、そのあたりと関係しているのかも。

 以上。「聖母戴冠」の絵画の構図がユキちゃんの能力の背景にあると考えると、なんとかあの左手使いにもいい感じの説明がつけられるんじゃないかなー、というお話でした。ただ、他にも可能性はいろいろあると思うので、何か思いついたらご教示ください。

 あ、あと「このサイトにこんな解説が載ってましたがユキちゃんの能力の元ネタってほんとにこんな感じなんですか?」とか立先生にメールしちゃダメだよ…?もう遅いかもしれないですが一応申し上げておきます…